そもそも所得税より消費税の方が合理的ではないか
昔、はじめて日本に消費税を導入しようというとき、大阪大学の教授が、「所得税を消費税に切り替えていくのがよい。」と説明して消費税導入を支持しました。私はサラリーマンでしっかり税金を払っていましたから、所得税をごまかす悪い人が大勢居るので、消費税にすればそんな不公平は解消されるのではないかと思い、同調しました。
しかし、その後、所得税は減らずに消費税はとられ、さらに税率が3%から5%に上がってしまいました。徴税者に「いいとこどり」をされてしまったわけです。私はその大阪大学教授氏にだまされたと口惜しく思いました。だますつもりはなかったのでしょうけど。
で、今はどう思うかというと、今でもやっぱり所得税より消費税の方が合理的だと思っています。その理由を4つの項目に分けて話しましょう。
【お金は消費してはじめて価値が実現する】
お金は、貯めておくだけでは何の価値もありません。食品と交換して、食欲を満足させるという価値が実現し、電車代として支払って短時間で移動できるという価値を得るわけです。だから、毎晩、甕にしまった小判を数えることその事が楽しみだという変質者はともかく、お金は使ってはじめてその価値が実現し、良い思いができるのです。そして、良い思いをする時に、その幸せの中から一部を払うのが税であるべきだと思います。つまり、税と「良い思い」は直接対応しているべきだと思うのです。
この点で、所得のうち、貯蓄に回ってしまった分についても課税する所得税は変です。それに対して、消費税は消費に回されて実現した価値の分にだけ課税されるので納得がいきます。
【所得税は将来の税収の先取りになってしまう】
所得の内、貯蓄に回されたお金は、ずっとそのままかというとそうではありません。いつか必ず消費されて価値が実現します。但し、いつかと言ってもその時期は人によって、事情によって様々でしょう。ひょっとしたら、子に相続されて、その子が消費するかもしれません。所得税は、その子が享受する価値への課税分を先取りしてしまうことになりはしませんか。
もっとも、この場合は、将来利益を享受できる社会インフラを造るようなケースにおいて、利益享受と納税とのタイミングが合わないという不合理な面がでてきます。所得税でもそれは同じなのですが、消費税ではそれがより強い。
【税金で取られるなら使っちゃおうと考えてしまう】
昔、ラッファーという人が、「法人税率を100%にすると、儲けを全部取られてしまうのが嫌で、儲けを出さないようにするため税収はゼロになり、逆に法人税率を0%にすると、皆儲けを出そうとするが、税収はゼロである。だから、その中間地点のどこかに税収を極大化できる場所があるはずだ。」と説明しました。これはラッファー曲線と呼ばれて、ときのレーガン大統領が供給力に力点を置いた経済政策をとる拠り所となりました。
これとはちょっと趣旨は違いますが、税率を高くすると、「税金として採られてしまうより使った方がまし」と考える人は少なくないのではないでしょうか。だから、消費を喚起して有効需要を起こすには法人税を上げるのが効果的だなんて思ってしまいます。
税率を上げることで現金として置いておくことのコストを増加されば、相対的に設備投資から得る期待収益率が高くなる。だから投資も消費も促進されて景気が良くなるという、なんだか訳のわからないような理屈です。
しかし、これは、「訳のわからないような理屈」であるだけに、なんだか不健康ではないかという気がしてなりません。
【確実に徴収できる】
昔、「10、5、3、1」と言われました。「トーゴーサンピン」と読みます。サラリーマンからは給料天引きで確実に税を徴収できるから、所得捕捉率10割。自営業者は5割、農業従事者は3割、国会議員やお寺は1割。「クロヨン」という言葉もありました。税率は同じ、或いは所得が多いほど高い累進課税率を適用して、制度上は平等や弱者救済を謳っていても、従事している仕事によって、こんなに捕捉率が違うのではあんまりだということです。
しかしこれは所得税など直接税のはなし。消費税では職業によって捕捉率が違うなどということはありません。だれでも平等に5%負担します。だから、消費税は平等。
「いや、逆進性がある」と言う人も多いようです。でも、それは、ちょっと前に書いた記事「消費税は景気の腰を折るのか、はたして逆進性があるのか。」を参照してください。
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)


最近のコメント