著書

2017.09.10 「事業資金調達の教科書」中央経済社

~事業に活かす為の資金調達の考え方と活用方法

2015.02.20 「為替リスク管理の教科書」中央経済社

~為替相場の変動に振り回されず本業に専念するための考え方と対応法

2013.06.15 「事業再生の現場プロセス」中央経済社 (共著)

~知的資産経営の活かした、事業再生の手法と事例集

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2018年6月 2日 (土)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2018年5月末現在)

【米ドル】・・・対円

5月は上下しました。

月初109円台前半で始まり、上昇(円安)したのは21日(111円台前半)、下がった(円高)のは月末にかけて(一時108円台前半)です。

あげた要因は

①米経済の好指標が利上げ環境を整え、利上げ回数の増えるのではないかとの見方がでてきたことから、日米金利差によるドル買い円売り。

②日本の対外直接投資に伴う円売り(海外企業買収資金を調達し外貨に換える)。

③米国のイラン核合意離脱に伴う原油価格情報で本邦の貿易収支黒字幅が縮小するとの予想による円売り(貿易収支説:赤字は通貨安)。

下げた要因は

①トランプ大統領がいきなり中止した米朝首脳会談の行方

②米国の輸入自動車などへの関税大幅引き上げ

③イタリアやスペインの政局不安定化

による不安からリスク回避機運が高まり回避先の円を買う動きにでたことです。

結局、さげたまま108円台後半で月末を超えました。

 

【ユーロ】・・・対米ドル

5月は下がりました。

昨年11月から買われ、1.25近辺の水準まで上げた1月をピークに結局11月の水準(1.15)にまで戻すという、きれいな山を描いたような軌跡をたどりました。

下げた要因は2つあります。

まず金融緩和の出口が見えにくくなってきたこと。ユーロ圏5月の購買担当者景気指数(PMI)速報値は54.14ヶ月連続して悪化。域内の13GDP成長率も前期比0.4%にとどまるなど、ユーロ圏経済は息切れぎみとなっています。このため、欧州中央銀行は、9月末に期限を迎える量的緩和政策の終了を、予定していた6月ではなく、7月の理事会まで判断しない可能性もでてきました。緩和の出口が見えなくなると、米国との金利差が開き、ユーロが売られる原因になります。

要因の第二は南欧の政治不安です。

選挙後のイタリアは組閣に失敗して混迷の度合いを踏まえ、イタリア10年物国債利回りは月末にかけて3.4%水準にまで上昇しました。このほか、スペインでもラホイ首相への不信任案などあり、通貨ユーロ売りの材料になっています。

月末にかけて1.15台前半まで下げて結局1.16近辺で月末を超えました。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

為替相場の変動が、金融政策や経済動向より政治の影響を大きく受けるようになってきました。政治にも経済に絡む政治とそうでない政治がありますが、米朝首脳会談の行方とその先の朝鮮半島や中露のかかわり方、またイラン核合意離脱と中東での対シーア派包囲網形成の行方は経済に絡まない純粋に政治だけの要素です。市場は世界情勢の混乱をリスクオン・オフへの機運として相場変動の材料として捉えています。

これらが不透明になるなら、リスク回避先の円買いで、そうでない場合はドル買いという具合。もっとも、イランに関しては原油価格変動を通じて、為替相場に二次的な影響ももたらします。原油高では日本の貿易収支が悪化し、円が売られるという具合です。

これら政治要素はさておき、考慮しておかなければならないのはやはり米FOMCの利上げでしょう。5月の米経済指標はいずれも好結果で利上げ機運は上々。6FOMCで利上げし、その後も数回の利上げが見込まれています。3月の利上げを含めて今年の利上げは4回あるとの見方もあります。

利上げが進むと、日米金利差から、ドル高円安。ただ、中長期では米に資金が還流し、新興国の経済に深刻な打撃を与えることにもなり、こうなると逆にリスクオフの動きから円買いが進むとの見方もあります。

今は短期ではドル買い、中長期では円買い、いや或いはどちらにも動きにくい状況かもしれません。今まで円売りが相当たまっていたシカゴの先物市場での投機筋のポジションは、今はほぼなくなっているようです。やはりどちらにも賭けられないということなのでしょう。

 

ユーロドル ・・・

金利のユーロ買い材料は、欧州中央銀行の量的緩和政策の出口が見えていて、物価などの環境もそれを支える状況だったからです。9月期限の量的緩和政策もここで順当に終えるという思惑から、米利上げについていけるとみていた。つまり米欧金利差がさほど開かないと予想していたし、またユーロ圏経済の足取りもしっかりしていたから、通貨への信用を取り戻しつつあったのです。

しかし、トランプ大統領の積極経済政策から財政が窮屈になってクラウディングアウトを起こしかけていることなどから、金利上昇速度と圧力が当初予想を上回っていること、5月のユーロ圏経済指標から息切れ感がでてきたことを材料に、ここ当面はユーロを買いにくい状況になっています。

そうなると、先月まで市場が良そうしていたように、9月には量的緩和を終了し、2019年には利上げに進むだろうという予想は、そのままでは通りにくく、このシナリオがメインとして復活するためには、まず南欧政局が落ち着くこと、それからPMIと物価が戻ってくる必要があります。両者は引き続き注目していかなければなりません。

異常は短・中期のはなしです。超長期ではやはり、ユーロの構造的な問題への取り組み(財政統合など)や打開の方向を見極めていく必要があります。

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. 北朝鮮情勢:6月に予定されている、米朝首脳会談の行方次第で大きく変わる政治リスク。円への信用力にも影響する可能性。

 2. 米国FOMCの金融政策スタンス。61213FOMCで予想通り利上げ決定するか。

 3. 欧州中銀(ECB)の量的緩和策(資産買入)終了時期が201712月から延期された20189月に本当に終了するか~2018/6に判断するか、7月まで伸ばすか。

 4. 米長期金利動向(10年物国債利回り)

 5. 原油価格上昇。米国のインフレからドル売り材料となる。ただし、インフレならFRBが利上げしやすくなり逆にドル買い材料となる。

 6. 米経済指標(雇用統計、物価指数など):堅調なら、金利引上げ、積み上がり資産の縮小の環境が整い、ドル買い材料

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. FOMCの金融政策スタンス :年内利上げは3回にとどまるか、4回に及ぶか

 2. 米政府が注目する円の実質実効レートの動向 :貿易赤字解消を目的に米が割安円を指摘

 3. 北朝鮮情勢:さらに緊張高まれば、リスク回避先として短期i円買い、もしくは日本への不安からくる中期円売り。

 4. 米長期金利動向(10年物国債利回り)

 5. 米大型減税(2017/12可決)の効果による、米国への資金還流(多通貨からドル変換によりドル高材料となる)

 6. ユーロ圏経済の動向(貿易収支、個人商品の伸び、物価指数等)良ければ欧州中央銀行の緩和策出口が見える

 

【長期的な材料(数年)】

 1. 米大型減税(2017/12可決)の効果による、米国への資金還流(多通貨からドル変換によりドル高材料となる)

 2. 好調な世界経済の恩恵を受けた本邦輸出促進効果で貿易収支改善、対外直堰投資蓄積による配当や利益の本邦送金を背景に、経常黒字拡大が再び円高を誘う。

 3. 米経済好調から、インフレ懸念され、米ドル減価につながる

 4. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻超インフレ(円安)。

 5. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 6. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 

 

以  上

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2018年5月 7日 (月)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2018年4月末現在)

【米ドル】・・・対円

4月はドルが高くなりました。

月初105円台後半で始まったドルはその後買われ、下旬には109円台に乗せるまでドル高が進んで、109円台前半で月末を越えています。

中期的にドル売り円買い材料であった、シリアや北朝鮮の政治リスクは後退し、トランプ政権の保護主義政策進行はむしろ米金利高騰要因であるとの解釈となるなど、リスク回避かリスク挑戦かの相場判断が、再び金利動向による相場判断に戻ってきたような感じです。

月初に発表された米国3月雇用統計も、非農業部門雇用者数が市場予想を大きく下回ったにもかかわらず、そのことがもたらす金利引上げ環境不十分印象を無視するかのように、現実の米金利が上昇したのです。特に下旬は米10年物国債利回りが20141月以来の3%台まで上昇してからドル買いが顕著となりました。425日付け日経新聞朝刊は金利上昇の背景として以下の諸点を指摘しています。

 トランプ関税引上げで米国内の鉄鋼やアルミ等値上がり

 大規模減税で米財政悪化、国債需給悪化→金利上昇

 賃上げで消費需要拡大が物価を押し上げ

これは今後の相場動向を占う際にも気に留めておかなければなりません。

 

 

【ユーロ】・・・対米ドル

4月は一旦上昇後、結局下がりました。

月初、1.23台前半で始まったユーロは、一旦1.23台後半から1.24台まで上昇しましたが、その後は米金利上昇もあって下落し、結局1.20台後半で月末を越えています。

一旦上昇した背景には、欧州中央銀行による金融緩和出口模索の動きへの期待からでしょう。ユーロ圏経済は比較的好調できたので、緩和措置を収束させやすい環境が着実に整っていると見てきたわけです。

しかし、直近のいくつかの指標は必ずしもそれを裏付けることなく、すこし疑わしくなってきました。ユーロ圏物価上昇率は1.1%台に伸び悩み、インフレとは言いにくく、ユーロ経済を牽引する独経済も、企業景況感指数が5ヶ月連続して悪化するなどです。

そこへきて、米10年物国債利回りが久しぶりに3%台に乗せた為、ドルに対して急落、1.20台後半で月末を越え、52日現在は1.20台前半まで値を落としています。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

金利動向を見る相場判断になってきたと書きました。その場合は、ドル高を予想します。その材料としては、

 上にも書いた、関税引き上げによる輸入インフレや大規模減税による国債需給悪化など金利上昇要因があること

 黒田総裁の再任で日銀の緩和スタンスが変わらないことで日米金利差が拡大する

 日本の経常黒字拡大と日本企業による活発な対外直接投資(円売って投資対象通貨を買う)

一方で、金利以外では2つの円高材料を指摘することができます。

第一に、ドル指数(米ICEが算出する)でみた円は割安感が強いこと。米が13日公表した為替報告書でも実質実効円レートは下がったと批判しています。原因は日本のデフレ。超長期為替相場決定理論として購買力平価説がありますが、これを占うのは物価上昇率です。米でインフレが進行し、日本でデフレ脱却できないなら、この理論によりドル安円高ということになります。

第二に、各国の外貨準備の通貨別構成比変化。これは円高の問題ではありません。2017年は米ドルの構成比が3ポイント下がって62.7%となったようです。これに対してシェアを伸ばしたのが円とユーロです。この傾向が中長期に変わらなければドル売り材料となります。

さて、ドル高材料と円高材料のどちらか強いかは難しいところ。ただ、上に書いたドル高材料は短~中期材料、円高材料は中~長期材料です。当面はドル高で長期には円反転という予想が成り立つかもしれません。

 

ユーロドル ・・・

426日、欧州中央銀行(ECB)の理事会終、ドラギ総裁は記者会見で、足元の景気拡大は鈍っていると認めました。そのため理事会も、量的緩和や超低金利政策は当面維持すると決め、声明文表現も変更ありません。しかし同総裁は、景気拡大の鈍化は昨年末高成長の反動であるとし、長期的には成長継続に強気です。

3月の消費者物価指数は2月の1.1%から伸び、今後はエネルギー価格上昇を背景として上昇していくと見ているようです。物価指数動向も踏まえ、ECBは20189月まで延長してきた資産買い入れ(緩和策)の終了を20186月にも決定し、2019年以降は利上げに動くだろうというのが大方の市場の見方です。ここ当面の米金利上昇に引っ張られる状況をしのげば、その先はユーロ高というシナリオになります。

ただ、超長期でユーロ圏経済とユーロ通貨が安定していくためには、ここしばらく忘れていた課題があります。財政統合です。これは加盟各国の政策自由度を奪うような方向性ですが、先日の日経新聞によると、どうやら仏マクロンが積極的に進めようとするなか、独メルケルは慎重。加盟各国も自国の政策自由度を損なう方向には、それを犠牲にユーロ全体が結束する事には理解を示しても、やはり自国のこととなると慎重。超々長期的には不安があります。

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. 北朝鮮情勢:56月に予定されている、米朝首脳会談の行方次第で大きく変わる政治リスク。円への信用力にも影響する可能性。

 2. 米長期金利動向(10年物国債利回り)

 3. 米経済指標(雇用統計、物価指数など):堅調なら、金利引上げ、積み上がり資産の縮小の環境が整い、ドル買い材料

 4. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 5. 原油価格上昇。米国のインフレからドル売り材料となる。ただし、インフレならFRBが利上げしやすくなり逆にドル買い材料となる。

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. 米長期金利動向(10年物国債利回り)

 2. 欧州中銀(ECB)の量的緩和策(資産買入)終了時期が201712月から延期された20189月に本当に終了するか~2018/6にも判断する模様

 3. 北朝鮮情勢:さらに緊張高まれば、リスク回避先として短期i円買い、もしくは日本への不安からくる中期円売り。

 4. 米大型減税(2017/12可決)の効果による、米国への資金還流(多通貨からドル変換によりドル高材料となる)

 5. 米政府が注目する円の実質実効レートの動向 :貿易赤字解消を目的に米が割安円を指摘

 

【長期的な材料(数年)】

 1. 米大型減税(2017/12可決)の効果による、米国への資金還流(多通貨からドル変換によりドル高材料となる)

 2. 好調な世界経済の恩恵を受けた本邦輸出促進効果で貿易収支改善、対外直堰投資蓄積による配当や利益の本邦送金を背景に、経常黒字拡大が再び円高を誘う。

 3. 米経済好調から、インフレ懸念され、米ドル減価につながる

 4. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻超インフレ(円安)。

 5. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 6. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 

 

以  上

 

 

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2018年4月 2日 (月)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2018年3月末現在)

 

【米ドル】・・・対円

3月は、後半に一段円高になる場面がありました。

201710月の114円前後を当面のピークとして、その後じりじりと下げ続け、3月下旬に一時201611月以来の安値104円台半ばを付けるまでに至りました。一連のドル安円高は、

・米以外の当局が緩和措置の出口を探るようになってきたこと。

・米利上げでも、インフレ圧力強まって多通貨に対して弱くなる(インフレ通貨は減価する)との予想を背景にしたものです。

しかし、3月はこれに加えて、米の保護主義政策の進展がありました。保護貿易が進むと米貿易赤字が減少し、ドル高になるのが本来の理論ですが、保護主義を進める一貫として、米以外を「為替操作国」に認定するなど政治的に米ドル安を測るだろうという思惑から、逆にドル安円高・・・と読んだのです。理屈もなににもあったものじゃありませんね。

その後月末にかけては、朝鮮半島を巡る動きが緊張緩和につながるかもしれないとの期待から、リスク回避先からの還流があってドルが買われ、107円をうかがいつつ、106円台で月を越えました。

なお、FRBは金利を引き上げましたが、これは予想通りで市場へのインパクトは大きくありませんでした。

 

【ユーロ】・・・対米ドル

3月は、往ったり来たりでした。

値幅はさほど大きくありませんでした。大きくは、2016年冬の1.05水準を底にし、そこからじりじりと値を上げて、今の水準まできたところで少し逡巡しているという流れです。じりじりと上昇してきた背景には、欧州各国の一連の選挙への不安がありました。3月も独メルケル政権がなんとか連立にこぎつけて安心する場面や、逆にイタリア総選挙で中道右派が勝利したことへの不安などありましたが、2016年ほどの影響はありません。

3月の欧州中銀(ECB)の動きは上旬にありました。8日の理事会では金融緩和の縮小を着実に進めていく姿勢を示しました。ECBは既に1月、国債などの資産購入額を月300億ユーロ(約4兆円)に半減させる動きを示し、今回の姿勢も併せ、出口策を着々と進めており、ユーロ買い材料となっています。

ただ、いつものようにドラギ総裁の発言は、それを中和させるように緩和継続の必要も解いており、なかなか一段のユーロ高までは進みません。月初1.22の水準で始まったユーロは、往ったり来たりしながら結局1.23台で月を越しています。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

政治的な動きが市場の思惑に影響する場面もあって、なかなか読みにくい状況にありますが、それも含めて売り買い両方の材料を整理するなら。

ドル売り円買い材料は、上に示したように

①日銀の金融緩和措置の出口策の模索具体化

②米保護主義政策進展に伴う政治的な動きとしてのドル安政策

③米経済のインフレ圧力によるドル安

ただし、①は総裁続投と続投する総裁があくまでも緩和継続にこだわり続けていることから少し弱めです。また、③は中長期的な将来の材料です。

ドル買い円売り材料は、

①FRBの利上げ頻度とそのスピード

②日銀の緩和政策への固執

ただし、②は短・中期的には文字通り、日米金融政策スタンスの差という意味でドル買い材料になりますが、さらに超長期では、日銀による財政支援体質が円通貨への信用を損なって構造的な円安につながるというリスクもはらんでいます。

 

ユーロドル ・・・

ドル円にも共通する材料として、米保護主義政策進展に伴う政治的な動きを考慮しておく必要があります。対円ほどではないにしても、米が貿易不均衡を解消していこうという強い意向には、ユーロ圏、特に独の突出した貿易黒字も例外としないでしょうから。

先月書いたように、ユーロ圏経済の強いファンダメンタルスもユーロ高に寄与するものと思われます。さらに、毎年夏になると問題が持ち上がってユーロの信用不安をもたらすギリシャの財政も、今年は早々と融資枠継続でコンセンサスが得られているようです。

これらはいずれもユーロ買い材料ですが、ドルに対する相場動向でいうなら、米利上げ頻度が増すと言われるなか、ユーロの緩和出口とどちらが早いか強いかによっては、米ドルに対してユーロが売られる場面もあります。

また、中長期的には、英国のEU離脱は経過措置をとることで合意されたものの、交渉の成り行きによってはユーロ不安になるリスクもあります。

 

 

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. 北朝鮮情勢:さらに緊張高まれば、リスク回避先として短期i円買い、もしくは日本への不安からくる中期円売り。

 2. 米経済指標(雇用統計、物価指数など):堅調なら、金利引上げ、積み上がり資産の縮小の環境が整い、ドル買い材料

 3. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 4. 原油価格上昇。米国のインフレからドル売り材料となる。ただし、インフレならFRBが利上げしやすくなり逆にドル買い材料となる。

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. 北朝鮮情勢:さらに緊張高まれば、リスク回避先として短期i円買い、もしくは日本への不安からくる中期円売り。

 2. トランプ政権の運営状況 :混乱続けば、経済政策進まず、利上げ機会も遠のく。円滑なら経済説教先が執行されドル買い要因に。

 3. 米大型減税(2017/12可決)の効果による、米国への資金還流(多通貨からドル変換によりドル高材料となる)

 4. 欧州中銀(ECB)の量的緩和策(資産買入)終了時期が201712月から延期された20189月に本当に終了するか~2018/6にも判断する模様

 5. 米経済好調から、インフレ懸念され、米ドル減価につながる

 

【長期的な材料(数年)】

 1. 米大型減税(2017/12可決)の効果による、米国への資金還流(多通貨からドル変換によりドル高材料となる)

 2. 好調な世界経済の恩恵を受けた本邦輸出促進効果で貿易収支改善、対外直堰投資蓄積による配当や利益の本邦送金を背景に、経常黒字拡大が再び円高を誘う。

 3. 英のEU離脱交渉の行方2016暮~2017年独選挙まで、一連の欧州主要国選挙の結果は、政権こそ維持されたものの、極右・極左勢力が存在を示す結果となった長期的にはユーロ経済運営に悪影響

 4. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻超インフレ(円安)。

 5. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 6. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 

 

以  上

 

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2018年3月 1日 (木)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2018年2月末現在)

【米ドル】・・・対円

2月は円高になりました。

1月に続いて2月もドルが売られ、一段の円高に進み、一時105円台半ばをつけました。為替相場は短期材料や中長期材料など時間軸の解釈でも方向が変わるし、同じ材料でもその先の何を想定するかで上下が異なる反応を示す場合もあります。例えば大震災発生直後は海外投資回収で円高になるがその後はファンダメンタルズから円に嫌気さすという具合です。2月の円高も今回は市場の解釈が円高を促したということです。少しこの背景を見てみましょう。

2日の米雇用統計は賃金の伸びが良く、利上げの環境が整う状況となりました。米利上げなら日米金利差から円安です。しかし、利上げを見越して米長期金利が高騰して株が大きく売られたことで円高になりました。株下落はリスク回避動機を刺激して回避先の円が買われたのです。株価変動を介すると円安が円高に代わってしまう。

14日に発表された消費者物価指数(CPI)も円高に作用しました。CPIの上昇率が市場予想を上回ったため、インフレ懸念が広がりました。雇用統計の賃金もインフレ効果を発揮しますからこれと重なって、インフレ通貨は売られるという理屈に沿って円高になったのです。しかし、インフレは利上げ環境をさらに高めるはず。どうしてここでは金利相場にならず、インフレ理屈が優先したのでしょう。市場がどちらを優先するか・・・ですから、短期相場は理屈だけでは予測できません。

この時期、海外投資先の(日本への)利益送金のカバーが持ち込まれるため、円買い実需があるという季節要因もあります。また、IMMの投機筋の円売りが積み上がりこれを調整動きもあったのではないでしょうか。その辺りが市場の選択を決めたのかもしれません。月末は106円台中~後半で超えました。

 

【ユーロ】・・・対米ドル

2月は往ったり来たりでした。

月初1.24台前半という比較的高い水準で始まったすぐ後、米雇用統計が発表され、賃金が市場予想より高いことを受けて米の長期金利が高騰し、ドル買戻しユーロ売りの動きとなりました。相場はずるずると1.22台前半まで落ちました。しかし、この材料が消化されると、再びユーロが買われ、1.25台半ばまで上昇しました。放っておくとユーロが買われる背景には欧州中央銀行(ECB)の金融緩和が出口に向かっているとの認識があります。実際、111日に公表されたECB12月理事会議事録では、2018年の早い時期にこれまでの金融緩和政策を修正する可能性があるとの指摘が出ていました。市場の想定が議事録によっても裏付けられたのです。

ところが、222日に発表された1月理事会議事録は、これとは違う内容でした。フォワードガイダンスの変更はまだ早すぎで、しばらくは緩和を続ける方針となっていたことが明らかになったのです。これを受けて、ユーロ買いの根拠がなくなり、梯子をはずされた格好になった相場は再び1.22付近まで下がってそのまま月末を越えました。

なので、往ったり来たりの相場展開となったのです。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

上に書いたように、短期相場の予測はとても難しい。材料として挙げるなら、米金融当局の利上げスタンス(今年は3回なのか4回なのか)、北朝鮮や中東等の政治リスクや原油価格などでしょう。中長期で見るなら、やはり金融政策のスタンスとそれによる経済への影響の仕方に注意しておく必要があります。

日米とも長い目で見ると低金利状況にあり、両者とも金融当局は金融緩和の出口をさぐっています。日銀は「出口」とは言いませんが、実態は表に出ないように緩和を縮小しつつあります。米ではFRB議長が交代しましたが基本スタンスがイエレン氏を引き継ぐものとなっており(27日の議会証言でも期待を裏切らなかった)、日銀は黒田総裁続投が決まったことで、この先のスタンスも変わらないと見ます。

しかし、異なるのは経済のファンダメンタルズ。米は好調で利上げしてもインフレ率はさほど落ちない。トランプ減税や大型公共投資で財政に不安ができるものの、新興国など海外からの資金還流でバランスをとることができます。それに対して、日本は経済底這いで、財政がなんとかこれを支えている。利上げすると、国債費が嵩んで財政が経済を支えられなくなり、いくら日銀が国債を引き受けても限界。そうするとインフレにならないのに短期長期金利だけが高騰するでしょう。そうなるとデフレ通貨対インフレ通貨という構図になってドル安円高が進むということになりそうです。ただし、中長期です。

超長期では国債利回り高騰して財政破綻し、円信用が失墜しないことを切に望みます。予算案が通りました。低金利をいいことに財政に頼りきった経済運営はまやかしではないかと心配になります。

 

ユーロドル ・・・

2月は往ったり来たり・・・と方向感のない相場展開になりました。ECB理事会の方向がフォーワードガイダンスを修正すると言ってみたり、やっぱりやめたと言ってみたりでは、どっちつかずになってしまうのでは当然です。

今後を予想する材料として、一旦ECBスタンスから目を離し、ファンダメンタルズに着目すると、やはりユーロが強そうだなと思います。

欧州委員会は2019年までの経済見通しを公表しました。228日付け日経新部にも掲載されました。それによると、ユーロ圏の2018年の実質成長率を前回見通しは201711月から0.2ポイント高い、2.3%へ上方修正、実質成長率は2019年も2.0%と前回から0.1ポイント上方修正、消費者物価指数の上昇率は2018年が1.5%とこれも前回比0.1ポイント上方修正(2019年は1.6%と前回から横ばい)としています。2019.3月英離脱影響は加味せず、英国との貿易関係などは現状維持を想定した見通しではありますが、ユーロ圏経済が好調を維持するなら、やはり緩和措置は解消してインフレ対策として金利も引き上げていくのではないでしょうか。

ただし、政治上の懸念材料として、ドイツの大連立政権成立懸念、イタリア総選挙があります。昨年の一連の欧州選挙よりは懸念度合い低いものの、やはり見ておかなければなりません。

 

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. 米経済指標(雇用統計、物価指数など):堅調なら、金利引上げ、積み上がり資産の縮小の環境が整い、ドル買い材料

 2. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 3. ドイツ :メルケル首相の大連立成立の行方、イタリア総選挙の行方

 4. IMM(シカゴ投機筋)の円売り持ち高の積み上がり:巻き戻するなら円高。

 5. 北朝鮮情勢:さらに緊張高まれば、リスク回避先として短期i円買い、もしくは日本への不安からくる中期円売り。

 6. 原油価格上昇。米国のインフレからドル売り材料となる。ただし、インフレならFRBが利上げしやすくなり逆にドル買い材料となる。

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. 米大型減税(2017/12可決)の効果による、米国への資金還流(多通貨からドル変換によりドル高材料となる)

 2. 北朝鮮情勢:さらに緊張高まれば、リスク回避先として短期i円買い、もしくは日本への不安からくる中期円売り。

 3. 欧州政治の不安定化:スペインカタルーニア独立運動や、一連の欧州主要国の選挙結果で極右・極左勢力が存在を示し始めていることなどユーロ圏不安からユーロ売り要

 4. トランプ政権の運営状況 :混乱続けば、経済政策進まず、利上げ機会も遠のく。円滑なら経済説教先が執行されドル買い要因に。

 5. 欧州中銀(ECB)の量的緩和策(資産買入)終了時期が201712月から延期された20189月に本当に終了するか

 

【長期的な材料(数年)】

 1. 米大型減税(2017/12可決)の効果による、米国への資金還流(多通貨からドル変換によりドル高材料となる)

 2. 好調な世界経済の恩恵を受けた本邦輸出促進効果で貿易収支改善、対外直堰投資蓄積による配当や利益の本邦送金を背景に、経常黒字拡大が再び円高を誘う。

 3. 2016暮~2017年独選挙まで、一連の欧州主要国選挙の結果は、政権こそ維持されたものの、極右・極左勢力が存在を示す結果となった長期的にはユーロ経済運営に悪影響

 4. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻超インフレ(円安)。

 5. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 6. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 

 

以  上

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2018年2月 1日 (木)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2018年1月末現在)

【米ドル】・・・対円

1月はドルが売られました。

月初112円台半ばで始まった後、好調な株式市場にリスクオフ機運が高まり、一時114円に迫るほどドルが買われましたが、その後は売られ、下旬には一時108円台前半までつけました。

ドルが売られた要因は以下のとおりです。

まず、米以外の各国金融政策のスタンスが金融緩和の出口に向かい始めたと市場がみたこと。米FRBが利上げに動いているのははっきりしている一方、欧州中央銀行も日銀も緩和を継続すると言い続けてきました。日銀でいえば、19日、超長期債対象買い入れオペの買い入れ額を前回から減らすと通知、これを受けて、新発10年物国債の利回りが前営業日である5日と比べて0.010%高い0.065%に上昇しました。年80兆円を目途としてきた国債保有残高の増加額は足元では50兆円台まで減少しています。口では緩和継続といいながら、実際にはだまって緩和出口の準備をしているではないか・・・というわけです。「ステルス・テーパリング(見えない・徐々にすぼめる)」というそうです。そうすると、金利相場の理屈から、はじめは米利上げでドルが買われたけど、いまは他国も利上げ姿勢を見せ始めたため、金利差が広がらずに円が買い戻されるということになります。

中国政府が米国債の購入減額を検討しているとの報道もありました。米国債購入はドルを買って行われますから、これを減額するということはドル安材料です。

また、原油価格上昇もドル売り材料となっています。123日、New Yorkで原油先物の3月物が上昇し、1バレル=64.47ドルをつけました。これは約3年ぶりの高値です。なぜ原油高がドル売り材料なのか。原油高は米国の輸入価格を押し上げ、全体のインフレ要員になります。インフレ通貨は減価するという理屈からドルが売られるというわけです。

と、いうわけで、結局109円近辺で月末を越えました。

 

【ユーロ】・・・対米ドル

1月は上昇しました。

ドル円では日銀のステルス・テーパリングが米FRBの利上げ効果を薄めた格好ですが、ユーロに関しても、欧州中央銀行(ECB)のスタンスが米の利上げ効果を薄めた結果、ユーロが米ドルに対して買われる結果となりました。

月初1.20の前半で始まり、一旦は1.19台まで弱含む場面がありましたが、その後はほぼ一本調子で上昇し、1.25台の高値を付けたあと、1.24台で月末を越えています。

124日ロイターによれば、24日に発表された1月のユーロ圏購買担当者景気指数(PMI)速報値は58.6で、20066月以来の高水準となりました。また11日に公表された欧州中央銀行の12月理事会議事録では、2018年の早い時期にこれまでの金融緩和政策を修正する可能性があるとの指摘が出ていたようです。景気も良くなり、中央銀行も緩和修正と言っているなら、早晩ユーロ金利が上がるだろうと市場が見るのも無理ありません。

125日、理事会後のドラギ総裁がこれを気にして「利上げはほとんどあり得ない」とくぎをさしている(1/26日経)そばから2014年以来高値の1.25台を付けたというのも皮肉な感じがします。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

FRBの利上げは今年も行われる予想ですが、イエレン議長が任期を終え、新たに議長に就任するパウエル氏がどのようなスタンスで臨むかは興味深いところです。イエレン氏同様、いわゆるハト派で、慎重ながらも徐々に利上げを進めるとの見方で3月利上げは既に市場が織り込んでいるようですが、先に書いたように他国が口では緩和継続と言いながらその実こっそり緩和出口に進もうとしている中、ドル弱含み円が買われる場面もあるでしょう。投機筋の円売りポジションは最高水準にまで積み上がっていますので、この巻き戻しに火がつけば円高。これに加えて、先月も書きましたが、徐々に積み上がっている日本の経常黒字が円高要因となります。話題になっている原油先物価格上昇も米インフレを招いてドル安円高の材料となるでしょう。

しかし、一方のドル高材料もあります。

第一に米国の大型減税効果です。10年で1.5兆ドルの減税は海外からの投資や米企業の海外子会社からの資金還流を促してドル買い材料となります。

また、原油高はドル売り材料になるかもしれないが、同時に円売り材料にもなります。原油が高くなると積み上がった貿易収支黒字を吐き出して再び赤字転落、経常黒字の圧縮につながれば、国際収支赤字の通貨が売られる理屈から、これも円安材料になります。

つまり、ドル高ドル安両方の材料があり、どちらへ転ぶかはそうなってみないと分からないということ。ゴルディロックスという丁度いい無風が続く可能性もあるということです。

 

ユーロドル ・・・

ドラギ総裁が懸命に打ち消しているのにユーロがドルに対して(円に対しても)買われる状況は、確かに好調なユーロ圏経済を思うと納得がいきますが、実はまだ米国との金利差が縮まっているわけではありません。なかば公表される欧州中央銀行理事会議事録やファンダメンタルズから市場が勝手に予想し、テーパリングを先取りしているに過ぎないという面もあるようです。

シカゴ投機筋のユーロ買い越し残高は19日時点で144,691枚(1/16日経)。これはユーロ導入以来最大の水準だそうです。専門かによると10万枚を超えると危険水域だとのこと(1/16日経)。市場が勝手にテーパリングを見越して投機に走っている証左です。このコーナーで何度も書いているように、投機はいずれ反対取引で手仕舞う必要がありますから、必ず行って来いの相場展開になります。ならば、ドル円と同様、このポジション積み上がりの巻き戻しがなにをきっかけにどの程度起こるかを見極める必要があります。実際利上げが実施されるまでの間、一旦ユーロが相当程度弱含む場面があると見ておくのがいいと思います。

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. 米経済指標(雇用統計、物価指数など):堅調なら、金利引上げ、積み上がり資産の縮小の環境が整い、ドル買い材料

 2. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 3. IMM(シカゴ投機筋)の円売り持ち高の積み上がり:巻き戻するなら円高。

 4. 北朝鮮情勢:さらに緊張高まれば、リスク回避先として短期i円買い、もしくは日本への不安からくる中期円売り。

 5. 原油価格上昇。米国のインフレからドル売り材料となる。ただし、インフレならFRBが利上げしやすくなり逆にドル買い材料となる。

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. 米大型減税(2017/12可決)の効果による、米国への資金還流(多通貨からドル変換によりドル高材料となる)

 2. 北朝鮮情勢:さらに緊張高まれば、リスク回避先として短期i円買い、もしくは日本への不安からくる中期円売り。

 3. 欧州政治の不安定化:スペインカタルーニア独立運動や、一連の欧州主要国の選挙結果で極右・極左勢力が存在を示し始めていることなどユーロ圏不安からユーロ売り要

 4. トランプ政権の運営状況 :混乱続けば、経済政策進まず、利上げ機会も遠のく。円滑なら経済説教先が執行されドル買い要因に。

 5. 欧州中銀(ECB)の量的緩和策(資産買入)終了時期が201712月から延期された20189月に本当に終了するか

 6. FRB議長の後任指名されたパウエル氏のスタンス(利上げに慎重か、積極的か)

 

【長期的な材料(数年)】

 1. 米大型減税(2017/12可決)の効果による、米国への資金還流(多通貨からドル変換によりドル高材料となる)

 2. 好調な世界経済の恩恵を受けた本邦輸出促進効果で貿易収支改善、対外直堰投資蓄積による配当や利益の本邦送金を背景に、経常黒字拡大が再び円高を誘う。

 3. 2016暮~2017年独選挙まで、一連の欧州主要国選挙の結果は、政権こそ維持されたものの、極右・極左勢力が存在を示す結果となった長期的にはユーロ経済運営に悪影響

 4. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻超インフレ(円安)。

 5. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 6. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 

 

以  上

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2018年1月 5日 (金)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2017年12月末現在)

【米ドル】・・・対円

12月は小幅での「往ったり来たり」でした。

月初112円台半ばではじまった後、トランプ大統領によるイスラエル首都認定やフリン前補佐官の虚偽供述問題など政治要因で111円台まで売られました。

その後は、米利上げへの期待や、米大幅減税への期待から買い戻され、113円台半ばから後半まで上昇しました。米利上げについては期待通り、FOMCが政策金利を0.25%切り下げて実現しましたが、物価の見通しなど、さらなる利上げ環境については悲観的な見方が多く、ドル円相場も再び112円台前半まで緩みました。

それでも、日銀の政策決定会合の緩和出口をみじんも匂わせない内容に再び113円台を回復。文字通り、「往ったり来たり」の相場展開になったのです。

年末にかけては、取引の薄いなか、ポジション調整から、結局112円台半ばで年を越しています。

 

【ユーロ】・・・対米ドル

12月は上昇しました。

月初1.19台半ばで始まった後、米国の大型減税によるドル買いに押され、月央にかけて一旦は1.17台前半まで弱含みましたが、その後はするすると上昇し、一時1.20台に乗せて1.19後半で年を越しました。

上昇要因は、欧州中央銀行(ECB)の緩和策縮小です。既に資産買い入れ縮小を決定して徐々に緩和策を緩めており(緩和策緩和?)、緩める環境(経済のファンダメンタルズ)も整っています。ECBは今月より資産(国債)買い入れ額を半分にする方針であり、9月にも量的緩和策の期限を迎える見通しです(1222日、日経朝刊参照)。

 

ドイツは、超長期国債の発行量を増加させる計画で、実際に増加すれば価格は緩み長期金利は上昇しますから、これに応じて€も上昇する可能性があります。

 

 

 

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

短期的な材料には乏しそうです。引き続き、米FOMCや日銀金融政策決定とそれを左右する主要経済指標によって思惑売買はあるものの、値動きは小さいと見込まれます。

一方、中長期ではいくつか材料があります。

① 米国の大型減税効果

先月20日、米議会は10年間で1.5兆ドルの巨額減税法案を可決しました。併せて、海外子会社からの配当課税も廃止します。これにより米国に還流する資金や米国への投資も増えると見込まれます。単なる投機と異なり、実需を伴った資金の動きは短期的には小さくても、中長期にはボディブローのように効いてきます。過去の還流資金減税では、それだけが全部の要因ではないにせよ、10円以上の円安をもたらした記録もあります。

② 日本の経常黒字

日本の経常黒字は、長期にわたる世界経済の好調の恩恵を受けて増えています。貿易も黒転してから順調にその幅を膨らませているほか、対外直接投資残高の継続的な蓄積により、配当や利益還流も伸びているからです。

③ 日米金利差効果

米金利は今年も引き上げられますが、米国の政策金利の目線が徐々に下がり、これが長期金利の上昇を阻害するのではないかと見方が市場に出てきているようです。一方の日銀はいつまでも頑なに緩和を継続するわかにもいかず、出口論もささやかれるでしょう。そうなると、ドル上昇が抑えられ、円高要因となる可能性があります。

上の①は円安、②・③は円高と、影響は真逆です。どちらが勝るかはよく見守っていく必要があります。どちらかというと、円高でしょうか。

 

ユーロドル ・・・

緩和策の縮小(終了)はユーロを押し上げる材料となりますが、一方で不安材料もあります。

① ひとつは物価動向です。経済成長率は伸びていますが、ECBが重視している物価の動向は思わしくありません。ユーロ圏19ヶ国のHICPHarmonised Index of Consumer Prices調整済消費者物価指数~2015100)は、8月で前年同月比+1.509+1.5410+1.3911+1.55と、いずれもプラス値ですが、ECBが目標としている「2.0%未満でその近辺」に届いていないからです。

② 次に政治リスクです。オーストリアでは極右政権を含む連立政権が正式に立ち上がり、EU方針に沿うコメントを出しつつ、イタリア国境に接する自治区でやはり民族主義的行動にでているほか、カタルーニアでは議会選挙結果で独立派が過半数を占めて事が長期化する様相を呈しています。また、イタリアは議会が解散され、選挙の見通しが不透明です。

③ 米ドルとの関わりでは、先月米上下院を通過した大型減税とげい環流資金への課税廃止に伴う米への資金還流によって米ドルが上昇するなら、取引反対通貨としての€は中長期で弱含む可能性があります。

以上、好調な経済に支えられた€も、短期・中長期の両方において上値を抑える材料があることに注意する必要があります。

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. 米経済指標(雇用統計、物価指数など):堅調なら、金利引上げ、積み上がり資産の縮小の環境が整い、ドル買い材料

 2. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 3. IMM(シカゴ投機筋)の円売り持ち高の積み上がり:巻き戻するなら円高。

 4. 北朝鮮情勢:さらに緊張高まれば、リスク回避先として短期i円買い、もしくは日本への不安からくる中期円売り。

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. 米経済指標(雇用統計、物価指数など):堅調なら、金利引上げ、積み上がり資産の縮小の環境が整い、ドル買い材料

 2. 米大型減税(2017/12可決)の効果による、米国への資金還流(多通貨からドル変換によりドル高材料となる)

 3. 北朝鮮情勢:さらに緊張高まれば、リスク回避先として短期i円買い、もしくは日本への不安からくる中期円売り。

 4. 欧州政治の不安定化:スペインカタルーニア独立運動や、一連の欧州主要国の選挙結果で極右・極左勢力が存在を示し始めていることなどユーロ圏不安からユーロ売り要

 5. トランプ政権の運営状況 :混乱続けば、経済政策進まず、利上げ機会も遠のく。円滑なら経済説教先が執行されドル買い要因に。

 6. 欧州中銀(ECB)の量的緩和策(資産買入)終了時期が201712月から延期された20189月に本当に終了するか

 

【長期的な材料(数年)】

 1. 米大型減税(2017/12可決)の効果による、米国への資金還流(多通貨からドル変換によりドル高材料となる)

 2. 好調な世界経済の恩恵を受けた本邦輸出促進効果で貿易収支改善、対外直堰投資蓄積による配当や利益の本邦送金を背景に、経常黒字拡大が再び円高を誘う。

 3. 2016暮~2017年独選挙まで、一連の欧州主要国選挙の結果は、政権こそ維持されたものの、極右・極左勢力が存在を示す結果となった長期的にはユーロ経済運営に悪影響

 4. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻超インフレ(円安)。

 5. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 6. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 

 

以  上

 

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2017年12月 4日 (月)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2017年11月末現在)

【米ドル】・・・対円

11月は円安一服しました。

9月、10月とドルが買われて円安に振れましたが、11月は前半にその勢いを保ったものの、後半では挫かれたようです。

前半にドルが買われた背景には、米金融当局の政策協議FOMCで年内の追加利上げが示唆されていることです。一方の日銀がさらに金融緩和を継続する意思を示していることから、日米金利差が広がってドルが買われて円安が進んだのです。年初の円安水準にまでは届きませんが、115円に迫る水準まで進みました。月初3日に発表された米10月雇用統計では、非農業部門雇用者数が26.1万人増と市場予想を下回る水準でしたが、コンスタントに増えているほか、失業率は予想を上回る4.1%まで下がったことなども利上げ環境に問題がないことを示しています。

ただ、一部には利上げペースが速いと逆に材料が早く剥げ落ち、逆にその先の警戒感からドル売り(円買い戻し)に走るむきもあるようです。理屈からすると、にわかには信じられませんね。しかし、現状の円安水準が投機筋の円売りポジションの積み上がりで成り立っているという面を考慮するなら、それもありかな・・・と。

IMMの為替投機筋の円売りポジションの積み上がりを「為替ドットコム」さんのグラフでみてみましょう。たしかに、直近ではここ数年で最高水準にまで積みがっています。乗り遅れないように早めのポジション調整タイミングを見極めようとする立場では、非常に神経質にならざるを得ません。2228日にかけては110円前後の水準まで円高に振れました。

ただ、これも月末にかけては戻しています。時期FRB議長に指名されたパウエル氏が利上げに慎重な発言をしたことや物価水準がおもわしくないことなどが原因として挙げられます。

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【ユーロ】・・・対米ドル

11月は反転しました。

今年は9月まで一貫してユーロが上昇した背景には、政治要因がありました。選挙の年と言われた今年、ひとつひとつ選挙の結果が出るたびに極右体制への不安が解消され、どん底にあったユーロをじわじわと持ち上げてきたのです。

この間、本来もっと注目されるべき材料である欧州中央銀行ECBの金融政策スタンスの変化は話題にはなるものの、上記政治要因の前にはあまり相場を動かす力がなかったと言えるでしょう。それが、一連の選挙が終わった今、金融政策要因が相場を動かす市場に戻ってきたような印象です。

ECBは資産買い入れ縮小を決定し緩和策の出口に向かっています。その一方で物価水準が1%台に留まっていること等から、出口から引き返すような場面もあり、それがユーロ相場に反映されて往ったり来たり。

9月、10月は軟化傾向でした、再び11月は出口へ向かって動き出した感があります。

月初1.16レベルで始まり、下旬にかけて1.19前半まで伸ばした後、ほぼその水準のまま月末を越えました。

171201

 

10月も下がりました。

ただし、それは下旬に入ってからです。上旬中旬では1.17から1.18半ばの間を往ったり来たりする動きでした。

9月のユーロも円同様、米FRBの予想外の利上げ言及にあおられて下落しました。また、独選挙結果などもこれに拍車をかけ、米ドルに対して売られた構造は円と良く似ていました。

この2つの材料が10月にどうなったかというと、まず、米利上げの材料が相場に織り込まれて色あせた点は円と同じです。しかし、他方の政治材料については、カタルーニャの独立騒ぎがあってさらに€売りの材料となった点が円と異なる展開となりました。

さらに、1026日のECB理事会とその後のドラギ総裁発言も€売り材料となりました。

理事会では資産買い入れの縮小を決定してテーパリング開始が明らかになりました。これは事前予想通りでしたが、ドラギ総裁の記者会見では、買入縮小するからといって緩和を止めるわけではなく、買入終了時期を201712月から20189月に延期したうえで、その後も緩和を続けることを匂わせる発言があったのです。この結果、€は1.160近辺まで下落し、1.16台半ばで月末を越えました。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

短期では、米国の利上げ動向に注目します。これに関わるFOMCの動向、特に121213日に予定されているFOMCでは利上げを決めるとの強い観測が市場にあり、その通りになるかどうか。また利下げ環境として、なかなか水準維持できない物価動向等の指標にも目をやっておく必要があるでしょう。

このとき、注意しておかなければならないのは日銀のスタンスです。これまで、米利上げに対して日銀が緩和継続スタンスだったのがドル高円安の材料となってきましたが、先日の黒田総裁のスピーチはいよいよ日銀も緩和出口を模索し始めたのではないかと思わせるニュアンスだったので注目されています。投機筋の円売りポジション調整の兆しも敏感に感じ取らなければなりません。

中長期的には、そろそろ経常収支の様子も見守る必要があります。このところ日米の金融政策スタンスの差にばかり注意が集まっていましたが、その間に経常収支黒字がじわりと積み上がっています。基本的な円高要素です。

 

ユーロドル ・・・

金融政策スタンスは緩和の出口を模索している方法で決まっているものの、それを許す経済環境が整うかがひとつのポイントです。

その意味では、失業率は改善を続ける(11月は8.8%、20091月(8.7%)以来、89カ月ぶりの低水準)ほか、貿易なども堅調に推移していますが、物価水準はECBが目標としている2%近い水準になかなか達しません(11月は1.5%)。

微妙なのは、米FRBの金融政策スタンスとの相対的位置です。先に書いたようにFRBも緩和出口にありますから、両方が並行して同じ方向に同量だけ進むなら、€・ドル相場が€の対ドル相対値であることを考えると、相場変動はないということになります。

さて、注目点は政治要因にもあります。カタルーニャの独立騒ぎは、1221日に予定されている州議会選挙で一定の方向が見えそうです。両者拮抗しており予断を許しませんが、決着の仕方によってはユーロ全体の体制にも影響を及ぼしかねません。また、先の選挙でなんとか第一党を確保したドイツのメルケル首相も連立政権の組立てで苦労しており、こちらもどちらに転ぶかで、将来への影響が心配です。

 

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. 米経済指標(雇用統計、物価指数など):堅調なら、金利引上げ、積み上がり資産の縮小の環境が整い、ドル買い材料

 2. 121213日のFOMC :米利上げ決定か否か

 3. 北朝鮮情勢:さらに緊張高まれば、リスク回避先として短期i円買い、もしくは日本への不安からくる中期円売り。

 4. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 5. IMM(シカゴ投機筋)の円売り持ち高の積み上がり:巻き戻するなら円高。

 6. ドイツ :メルケル首相の連立政権の行方、スペインのカタルーニャ州議会選挙(2017.12.21

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. 米経済指標(雇用統計、物価指数など):堅調なら、金利引上げ、積み上がり資産の縮小の環境が整い、ドル買い材料

 2. トランプ政権の運営状況 :混乱続けば、経済政策進まず、利上げ機会も遠のく。円滑なら経済説教先が執行されドル買い要因に。

 3. 北朝鮮情勢:さらに緊張高まれば、リスク回避先として短期i円買い、もしくは日本への不安からくる中期円売り。

 4. 欧州政治の不安定化:スペインカタルーニア独立運動や、一連の欧州主要国の選挙結果で極右・極左勢力が存在を示し始めていることなどユーロ圏不安からユーロ売り要

 5. FRB議長の後任指名されたパウエル氏のスタンス(利上げに慎重か、積極的か)

 6. 欧州中銀(ECB)の量的緩和策(資産買入)終了時期が201712月から延期された20189月に本当に終了するか

 

【長期的な材料(数年)】

 1. トランプ大統領の金融・経済政策の具体化の状況とその内容

 2. 中国など新興国の景気動向。改善・成長本邦輸出促進貿易収支改善円高(短期的な影響と異なる)。

 3. 2016暮~2017年独選挙まで、一連の欧州主要国選挙の結果は、政権こそ維持されたものの、極右・極左勢力が存在を示す結果となった長期的にはユーロ経済運営に悪影響

 4. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻超インフレ(円安)。

 5. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 6. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 7. ユーロ圏移民政策の将来の影響 :移民二世の不満などがユーロ社会を不安定にさせるならユーロ通貨の信用力に影響。

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2017年11月 1日 (水)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2017年10月末現在)

【米ドル】・・・対円

10月も円安に振れました。

9月のような勢いは見られなかったものの、引き続き円が米ドルに対して売られました。但し、9月の円安材料は少し色あせ、ふらふらと迷っているようにも見えます。

9月のドル高円安材料は・・・

Ÿ FOMCで年内の利上げにまで踏み込んだ発言があったこと(日米金利差拡大予想によるドル買い円売り)

Ÿ 衆議院選挙で、消費税の使途変更や凍結が公約に挙げられ、財政再建が遠のくとの見方から円への信頼が少し揺らいだ

などでした。特に、利上げに関しては、FRBのイエレン議長の後任に利上げに積極的なテイラー氏が有力であるとの予想も、将来に向けた日米金利差拡大を予感させ、それを見越した円売りが加速しました。

10月は112円台半ばで始まり、前半の冴えない米国経済指標を受けて111円台半ばまで緩む場面があった後は、じりじりとドルが買われ、一時114円台半ばまで上昇(円安)しました。

しかし、月末にかけては弱含み、結局113円台半ばまで月を越えています。上記9月の材料に関しては・・・

Ÿ 米利上げ観測 :イエレン議長後任として緩和策に理解を示しているパウエル氏がテイラー氏より有力しされるように少し状況が変化したこと

Ÿ 衆議院選挙は、結局自公の勝利に終わり、財政再建への不安は残るものの、野党が主張する引き上げ凍結などの芽はなくなったこと

で、色あせてドル買いの勢いはさほど大きくならなかったと言えそうです。

 

【ユーロ】・・・対米ドル

10月も下がりました。

ただし、それは下旬に入ってからです。上旬中旬では1.17から1.18半ばの間を往ったり来たりする動きでした。

9月のユーロも円同様、米FRBの予想外の利上げ言及にあおられて下落しました。また、独選挙結果などもこれに拍車をかけ、米ドルに対して売られた構造は円と良く似ていました。

この2つの材料が10月にどうなったかというと、まず、米利上げの材料が相場に織り込まれて色あせた点は円と同じです。しかし、他方の政治材料については、カタルーニャの独立騒ぎがあってさらに€売りの材料となった点が円と異なる展開となりました。

さらに、1026日のECB理事会とその後のドラギ総裁発言も€売り材料となりました。

理事会では資産買い入れの縮小を決定してテーパリング開始が明らかになりました。これは事前予想通りでしたが、ドラギ総裁の記者会見では、買入縮小するからといって緩和を止めるわけではなく、買入終了時期を201712月から20189月に延期したうえで、その後も緩和を続けることを匂わせる発言があったのです。この結果、€は1.160近辺まで下落し、1.16台半ばで月末を越えました。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

短期では、米国の利上げが材料です。これが年内にあるか、年内にあるという動きがさらに出てくるかで115年をうかがうドル買い円売りがおこるかもしれません。その後は、FRBイエレン議長後任が利上げに積極的なテイラー氏になるかに注目が集まっています。FRB議長の後任は長期的な米国金融政策スタンスにも影響があるはずですから、この後任選びは相場の中長期動向を占うことにもなるでしょう。

一方で、米経済指標や物価動向はいまだに安易な利上げを許さない状況にあります。根中で利上げを続けると、新興国を含む世界から資金が米国に還流する速度が速まると、世界経済が減速し、出口を出た緩和トンネルに再び入っていくことも考えられます。

対する日本は、一向に緩和出口の話は出てきません。このまま出口を模索することなく、再び米国が緩和トンネルに入るなら、円は大きく買われることになるでしょう。

 

ユーロドル ・・・

ユーロを支える経済的な材料は豊富です。10月のユーロ圏経済景況指数は17年ぶりの高水準になったようですし、失業率も改善が続いています。経常黒字も相当に積み上がり、中長期的なユーロ高材料を形作っています。

しかし、政治的材料はネガティブです。政治は経済も破壊する可能性がありますから、いくら経済ファンダメンタルズが良くても政治要因であっという間にひっくり返ってしまいます。

短期的にはカタルーニャ独立騒ぎですが、長期的には、その動きがイタリア北部、ベルギーのフランドル地方、ユーロ通貨には関係ありませんが、イギリスのスコットランドと地域の政治不安定が大きく揺らぐ可能性があります。先月も書いたように、各国とも現政権を維持することには成功したものの、この1年、反移民や極右勢力が大きく勢力を広げたことも根っこは同じです。

ユーロを占う中長期的材料としてきた、銀行行政の統合や財政の統合の行方など、これら政治の動きの前にはひとたまりもありません。ユーロに関しては、ECBの金融緩和などの政策スタンスや経済指標より、これらの政治的な材料にしばらく注目していく必要がありそうです。

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. 米経済指標(雇用統計、物価指数など):堅調なら、金利引上げ、積み上がり資産の縮小の環境が整い、ドル買い材料

 2. 北朝鮮情勢:さらに緊張高まれば、リスク回避先として短期i円買い、もしくは日本への不安からくる中期円売り。

 3. 欧州政治の不安定化:スペインカタルーニア独立運動の動向ユーロ圏不安からユーロ売り要因

 4. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 5. トランプ大統領のロシア疑惑の行方:弾劾など不安定になればリスク回避の円高

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. 米経済指標(雇用統計、物価指数など):堅調なら、金利引上げ、積み上がり資産の縮小の環境が整い、ドル買い材料

 2. トランプ政権の運営状況 :混乱続けば、経済政策進まず、利上げ機会も遠のく。円滑なら経済説教先が執行されドル買い要因に。

 3. 北朝鮮情勢:さらに緊張高まれば、リスク回避先として短期i円買い、もしくは日本への不安からくる中期円売り。

 4. 欧州政治の不安定化:スペインカタルーニア独立運動や、一連の欧州主要国の選挙結果で極右・極左勢力が存在を示し始めていることなどユーロ圏不安からユーロ売り要

 5. FRB議長の後任指名の動き(利上げに積極的なテイラー氏か緩和に理解示すパウエル氏か)

 6. 欧州中銀(ECB)の量的緩和策(資産買入)終了時期が201712月から延期された20189月に本当に終了するか

 

【長期的な材料(数年)】

 1. トランプ大統領の金融・経済政策の具体化の状況とその内容

 2. 中国など新興国の景気動向。改善・成長本邦輸出促進貿易収支改善円高(短期的な影響と異なる)。

 3. 2016暮~2017年独選挙まで、一連の欧州主要国選挙の結果は、政権こそ維持されたものの、極右・極左勢力が存在を示す結果となった長期的にはユーロ経済運営に悪影響

 4. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻超インフレ(円安)。

 5. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 6. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 7. ユーロ圏移民政策の将来の影響 :移民二世の不満などがユーロ社会を不安定にさせるならユーロ通貨の信用力に影響。

 

 

以  上

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2017年10月 2日 (月)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2017年9月末現在)

【米ドル】・・・対円

9月は円安になりました。

月初、110円台前半で始まったドル円相場は、しょっぱなに発表された米国雇用統計のぱっとしない数字に米FRBの緩和出口策への不安が市場に広がり、その後の1週間で107円台後半まで弱含みました。9月の米FOMCでは、年内での量的緩和を収束させて買入資産を圧縮するよう決定されるというのが半ば既定路線になっていますが、このところ不安定な物価動向もこの規定路線に不安をもたらしています。

ところが、21日に開催されたFOMCでは、規定路線であった量的緩和の収束を決めたばかりは、それはないだろうと思われていた年内の利上げにまで踏み込む発言があり、112円台半ばまで上昇しました。一時は113円台前半もつけました。

FOMCの内容は下記のとおりです。

 2008年危機後の量的緩和政策を完全に終結し、保有資産の段階的縮小開始を決定

 6月に続く利上見送り、FF誘導目標は年1.001.25%据置いたが、同時に公表した金融政策見通しでは、会合参加者の多くが年内1回の追加利上げを予想

市場は12月の会合で再び利上げに踏み切るとの観測が強まり、その結果、ドルが買われたのです。9月はそのまま112円台半ばで月末を越しました。

円が売られた要因はもう一つあります。それは、消費税の使途修正です。衆議院が解散され、解散によって信任を問う内容の柱に10%への引き上げが予定されている消費税の使い道を一部修正して教育に充てる方針が持ち出されました。これにより、2020年までの基礎的収支均衡の目標達成が一層困難になり、財政悪化が円への信頼を失わせたのです。さらにそれに輪をかけ、野党も引上げを当面凍結するなどの選挙公約を上げる様子。選挙で与党が政権を維持しても、仮に野党が政権を取るようなことになっても、いずれの場合も国家財政を悪化させる方向であるということなのですから。これは9月の相場変動要因としてだけでなく、長期的な円相場の方向感を修正せざるを得ません。

なお、21日に開催された日本銀行の政策決定会合では、短期金利▲0.1%、長期金利ゼロ%程度に誘導する長短金利操作の現状維持を決めています。

 

【ユーロ】・・・対米ドル

9月でピークを越えたようです。

前半は強かったユーロが後半は弱含んだというのが9月のまとめです。

前半の強かった原因は、ECB(欧州中央銀行)の理事会の動きです。7日理事会では、今の金融政策を維持したものの、10月の理事会では資産買い入れ策に言及し、具体的にテーパリング(資産買い入れによる量的緩和策を徐々に縮小すること)に触れたことで、間枠の出口がいよいよ現実のものとなり、ユーロ圏経済も安定して堅調に推移していることから、対外金利相対水準と経済ファンダメンタルズの両方からユーロ買いを誘った形です。

ところが、後半にはこれに水を指す材料が2つ出されました。

1つは、米FOMCです。【米ドル】でも述べたように、既定路線であった買入資産の年内縮小に加え、市場が予想していなかった年内利上げ観測もだされたことから、これまで円を除く主要通貨に対して弱かった米ドルが強さを取り戻しました。これまで買われてきたユーロを売るポジション調整が進んだのです。

他の一つは、独選挙結果などユーロ圏政治要因です。924日に行われた独連議会選挙では与党は第一党の地位を確保したものの、移民政策などの異を唱える勢力が存在感を示し、連立教義の難航も予想されています。ユーロ圏をまとめる筆頭である独の基盤が弱くなるとユーロそのものへの信頼も揺らぎ、売りにつながったのです。

結局、前半に1.20台前半まで買われたユーロは、後半に1.17台半ばまで弱含み、1.18台前半で月末を越えました。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

当面の主な判断材料は下記のとおりです。

a. 米、年内利上げ可能性と来年の利上げ速度

b. 本邦、財政再建をめぐる選挙、及び選挙の政策決定

c. 北朝鮮などの政治リスク

d. 経常収支と対外投資の動向

まず、米国の年内利上げの可能性は9月のFOMCから想定を超える形で浮き彫りになった議論の動向です。物価や雇用がさえないなか、買入資産の縮小は既定路線通り実行しても利上げまではないだろうとしていた市場の期待を裏切っています。所謂ハト派といわれているFRBイエレン議長の任期切れで後任は利上げに積極的になる可能性があるというのも、付随材用です。これらが当面の米ドル押し上げ要因になります。

本邦の財政再建をめぐる議論もここ数週間で出た材料です。積極的な経済政策への期待がある一方で財政は大きな問題です。政権が思っているほど、世界の目は甘くないのではないでしょうか。現に日本国債の長期格付けは低迷したままでこれに慣れっこになってしまっています。円安要因になります。ただ、これは長期的な材料として捉えておく必要があります。

長期的材料としては、経常収支と対台投資の動向にも注意しておく必要があります。貿易は新興国経済に依存しつつあまり大きな期待はできず、対外投資は国内のカネ余り現状を反映してとても活発です。当面は短中期では円安要因となり、長期では経常収支黒字を支えて円高要因になります。

以上から、短中期では、ドル高円安、中長期では財政要因と経常収支要因のせめぎ合いの中、どちらとも言い難い状況と言えます。

 

ユーロドル ・・・

ユーロは9月の1.20台を以って、当面のピークを越えたとく見方が市場に出ています。ここまで主要通貨(円を除く)に対して弱かった米ドルが利上げ可能性を機に強みを発揮し始めていることで、ユーロを買い進めていた向きがポジションを調整しつつある、つまり溜まった買いを売り始めたという見方です。

そこには、ユーロ圏経済の基礎力は底堅く、堅調に推移しているものの、それを背景した緩和策の収束はもう市場に織り込まれているという判断があります。

長期的材料としては、政治に目を向けておく必要があります。ここ1年近く、2016年暮から2017年の独連邦議会選挙までの一連の主要国選挙に焦点が集まっていました。どの選挙においても、移民に不寛容な極右勢力が政権を握るのではないかとの不安があり、それがユーロ通貨を抑えていました。しかし、選挙結果は、いずれも現政権を維持するものとなり、不安がひとつずつつ片付いていくに従って、ユーロには不安解消の買いが入ったのです。このことが、金融管措置収束という材料に加えてユーロ高に寄与してきたことは明らかです。

しかし、直近の独連邦議会選挙では移民に不寛容な勢力が存在感を示したことに注目されました。この点は、実は他の選挙でも同じように言えることだったのではないでしょうか。仏や蘭、オーストリアでも極右が票を伸ばし、一定の勢力を確保しています。

極右とか極左とか両方の言われ方がされますが、その主張するところは移民を排除し、労働者階級を含む自分たちの生活を一番に考えようという民族主義的な一面です。極右と極左はこの点を共有していると言えます。反グローバリズムはユーロ圏の結束を不安定にするでしょう。通貨統合に続く、銀行検査の統一や財政統合など現在進めようとしている各政策は円滑にすすまなくなると考えられます。これらの政策はユーロ通貨の信頼を強める効果があるはずでしたから、結果としてユーロ売りにつながると予想できます。

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. 米経済指標(雇用統計、物価指数など):堅調なら、金利引上げ、積み上がり資産の縮小の環境が整い、ドル買い材料

 2. 北朝鮮情勢:さらに緊張高まれば、リスク回避先として短期i円買い、もしくは日本への不安からくる中期円売り。

 3. 消費税の使途修正や引上げ可否の論議など財政悪化から円通貨への信用を損なう

 4. 欧州政治の不安定化:スペインカタルーニア独立運動の動向ユーロ圏不安からユーロ売り要因

 5. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. 米経済指標(雇用統計、物価指数など):堅調なら、金利引上げ、積み上がり資産の縮小の環境が整い、ドル買い材料

 2. 北朝鮮情勢:さらに緊張高まれば、リスク回避先として短期i円買い、もしくは日本への不安からくる中期円売り。

 3. トランプ政権の運営状況 :混乱続けば、経済政策進まず、利上げ機会も遠のく。円滑なら経済説教先が執行されドル買い要因に。

 4. 英のEU離脱交渉の行方

 5. 欧州政治の不安定化:スペインカタルーニア独立運動や、一連の欧州主要国の選挙結果で極右・極左勢力が存在を示し始めていることなどユーロ圏不安からユーロ売り要

 

【長期的な材料(数年)】

 1. トランプ大統領の金融・経済政策の具体化の状況とその内容

 2. 中国など新興国の景気動向。改善・成長本邦輸出促進貿易収支改善円高(短期的な影響と異なる)。

 3. 消費税の使途修正や引上げ可否の論議など財政悪化から円通貨への信用を損なう

 4. 2016暮~2017年独選挙まで、一連の欧州主要国選挙の結果は、政権こそ維持されたものの、極右・極左勢力が存在を示す結果となった長期的にはユーロ経済運営に悪影響

 5. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻超インフレ(円安)。

 6. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 7. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 8. ユーロ圏移民政策の将来の影響 :移民二世の不満などがユーロ社会を不安定にさせるならユーロ通貨の信用力に影響。

 

 

以  上

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2017年9月14日 (木)

iPhone X の公表で感じた。 iPhoneの人気は高い。

日本はiPhoneのシェアは非常に高いそうです。今日の読売新聞朝刊によれば、出荷数でスマホ全体の5割。それに対して、世界では1割強。サムスンのシェアの方が高いとのこと。

日本におけるiPhone 人気の理由はなんでしょうか。それはカッコいいから。

ノートPCでは、モニターを開くと、かじりかけのリンゴマークが立ちますね。それを見ると、なんだか使っている人の「こだわり」を感じてしまいます。なんか仕事ができそうでカッコいいなあ・・・と。同じように、iPhoneもなんだか先端を行ってて、なんでも先取りする・・・・先取りできる敏感なセンサーを持っているようで、カッコいいなあと思ってしまいます。iPhone コンプレックスと言えるかもしれません。

今日の日経新聞朝刊によれば、iPhoneを使っている人の79%が次もiPhoneにしたいと思っているそうです。サムスンより16ポイント上回っています。特に日本ではiPhone-userの忠誠心が強いのでしょうね。

因みに、本日の各紙。日経新聞は2面の社説のすぐ左隣に比較的大きな紙面を割いてiPhone Xを紹介していました。読売新聞は政治面にはありませんでしたが、経済面のトップに。NHKは朝7時ニュースのトップ、夜7時、9時でも相当の時間を割いていました。相当高い位置付けです。因みに本国での扱いは・・・、New York Timesworld欄、US欄にはなくてBusiness 欄の27項目中20番目、Technology面の3番目の扱い。Washinngton Postでは、World欄、US欄にはなくて、Business欄の下の方に、「アップルはここからどこへ行くのか」ってなニュアンスの見出しで紹介していました。

ところで、日本ではWindowsのスマホ売っていませんね。昔は、ドコモがサッカーの中田英寿でPRしていたT-01というのがあり、僕はPCが全部Windowsなので重宝していましたが、今はそれがまるでドコモの過去の汚点みたいな扱いになっています。世界ではWindowsスマホもそれなりのシェアを持っているのに、日本では頑なに触れようともしない。なんだか変な感じですね。

 

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