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2010年5月21日 (金)

口蹄疫流行と宮崎県の責任

僕はオーストラリアの空港で荷物の中にあった梅干しを没収されたことがあります。空港内のあちこち、Foot-&-Mouth disease 検査への協力を呼び掛けるポスターが貼られていました。日本にも輸入されているオーズィービーフの産地オーストラリアでは、空港の検疫が非常に厳しく、しっかりした危機管理体制が敷かれている様子がうかがえました。

転ばぬ先の杖という言葉がありますが、口蹄疫が流行する前にそのようなものが宮崎県にあったのでしょうか。聞けば、宮崎牛は全国に誇るブランドで、非常に重要な産業であるという。ならばそれを危機から守る「杖」があってしかるべきです。

しかし、最初に疑われてから対処するまでに時間がかかりました。処分方針が決まっても、場所の確保ができていないので処分に時間がかかっています。また、ワクチンを投与してからの処分する方針を決め、非感染牛も大量に処分する方針が打ち出される一方で、酪農など関連する産業への救済方法などはまだです。

そんな様子見ていると、とてもそんな「杖」があったとは考えにくい。

どうも、世間では体制作りをする仕事を軽視する風潮があるのではないかという気がします。体制とは、危機管理体制はもちろん営業体制なども含む組織運営上のソフトウェアのことです。こういう仕事は地味で人目ににもつかず、人気がないらしい。

一方、実際に危機が起こったとき、収拾対応で忙しそうに動き回る仕事は派手で人気があるようです。大変なときに先頭に立って旗を振る姿はかっこいい。ドラクロワの有名な絵「民衆を導く自由の女神」の中央に描かれている女神は勇ましくてかっこよく、民衆が憧れる。自分の事などかまう余裕もなく、真剣にそのことに打ち込んでいる姿は、けなげで同情をかいやすい。成果があってもなくても、それだけで票を集める効果があります。

両者は同じようにリーダーシップを必要としますが、世間ではリーダーというと、前者のように地道に体制作りを指導する人より、後者のように緊急時にカリスマ性を発揮する人をイメージするのではないでしょうか。しかも、後者の方が評価されやすく、なにかとお得で、メディアもとりあげる。

ところで、当然ですが、危機管理体制がしっかりできていると、大きな事件が起きにくくなります。大きな事件にならないように危機管理体制を作るのですから当たり前の話です。ですから、体制作りを一生懸命している人は、派手でお得な事態収拾場面に登場する機会が少ないといえます。

この辺が不条理ですね。どちらかと言えば、より大切な体制作りを地道にこなしている人が世間の目から遠く、そこを怠って事態が大きくなってから登場する方が評価されやすい。

じゃあ、派手な事態収拾が好きな人は、そういう場面がないときは何をしているのでしょう。地道に体制作りをしているかというと、そうではありません。自分の似顔絵をあちこちに貼り付けては派手な宣伝活動に憂き身をやつしているのです。TVにも出ながら。

宮崎県知事は、もう少し足を地につけて、地道な体制作りに励むべきです。

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