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2010年5月29日 (土)

大相撲溜席の入場整理券と経営組織

牢屋に居る親分が、テレビに映った子分の元気な姿を見て、感涙にむせぶ情景を思い浮かべてみてください。昔流行ったやくざ映画のシーンにありそうですね。

昨年7月の大相撲名古屋場所中に、山口組系暴力団の幹部が土俵下の溜席にある維持員席で観戦していた問題で、この席の入場整理券を手配した現役の親方が、日本相撲協会から罰せられました。暴力団を町から追放するためには、全員が一致協力してこれに当たらなければなりません。一部に妥協する者が現れると、暴力団はすぐにそれに付け込んで、たちまち協力体制が崩れてしまうから、今回のように暴力団に渡るとは思わなかったなどという言い訳は通用しません。当然の罰だと思います。

しかし、何故そんなことをしたのかという理由を聞いた時、僕は別の意味で今回の事件に興味を持ちました。暴力団幹部は、刑務所では相撲と高校野球を見ることが義務付けられていることに注目し、テレビに映りやすい観客席に居れば、刑務所に収監されている親分がテレビに映る自分たちを見つけてくれるかもしれないと思ったということです。

それは、ロケ中の有名人の後ろで、自分もテレビに映ろうと、しきりに手を振っている子供なんかとは違う。「ねえねえ!私昨日テレビに映ったの!見た?見た?ねえ、見たでしょ?」

その暴力団幹部は、刑務所に居る親分はきっと自分たち子分のことを心配しているに違いないと思ったのでしょう。だから、親分を心配させちゃいけねえ。ここは是非自分たちの元気な姿を見せて安心してもらおうじゃねえか。と誰かが言って、そうだそうだということになったのでしょう。

子分は親分が自分たちのことを心配しているはずだと信じている。そして親分のために何かして差し上げたいという気持ちで子分たちが一丸となっている。なんだかけなげで美しい。

日本的経営が幅を利かせていた古き良き時代の企業組織もこうだったのではないでしょうか。あるいは、殿様と家臣の関係も。トップの命令がミラミッド型の組織形態を通して一気に家臣に伝わると、皆一丸となって団結しトップの為に命を賭して頑張る。そんな組織は、一定の条件を満たせば、存分に組織力を発揮して、非常に強くなります。

ただ、その一定の条件というのが結構くせものです。少なくとも言えるのは、次の2つでしょうね。

まず、トップが命令を出すこと。残念がら日本的経営では組織の意思決定が主にボトムアップでなされ、トップはよきに計らえ的に君臨しているだけという場合が多いようです。

2つめは、正しい命令を出すこと。日本に限らず、苦労して叩き上げた経営者の中には理論を軽んじる傾向があります。経験は説得力があって強いが、実に狭いのです。だから理論を軽んじる経営者は視野が狭く、正しい命令を出すことがなかなかできません。

結局、強い体質を持ちながら、この2つの条件が満たされないために、現実にはなかなか強くなれない。うまくできていますね。

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