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2010年12月

2010年12月28日 (火)

法人減税は何の為か。設備投資・雇用促進の為なら増税がいいのではないのか。

法人税が5%下がる。その為の財源もどうにかこうにか見つけてきた。随分苦労したようだ。しかし、こんなに苦労して財源を探してこなければならないほど、法人減税は、日本企業の国際競争力強化に効果があるのだろうか。

懸命に稼いだ利益の多くを国に取られる企業としては、法人税は安い方がいいのは確かだ。これによって、海外の企業が日本に進出しやすくなるかもしれないし、安い法人税を求めて海外に出ていこうとした日本企業が出ていくのを思いとどまるかもしれない。しかし、それは日本という国が企業立地上の競争力をつけることになりはすれ、個別の企業の競争力強化にどれほど効果があるかは、はなはだ疑問だ。

せいぜい、軽減された分を内部の純資産として留保することで、貸借対照表上の安定性が増し、将来ひょっとしたら今まで二の足を踏んでいた投資を思い切って実行に移す気になるかもしれないが、それだけのことだ。

それを、菅首相は「減税するのだから、設備投資を増やしたり、雇用を確保したりしてほしい。」と言う。財源捻出で増税に苦しむ無辜の民へのメッセージとして、「企業の為ではなく、結局は民の為なんだから我慢してね。」と言っているようだ。

しかし決してそうはならない。

なぜなら、減税によって残った利益は、株主に配当として支払われるか、内部に留保されるかの2通りの行き場しかなく、留保された利益が翌年以降どのように使われて、資産側の何になるかは、減税とは全く無関係だからだ。

留保された利益が、設備投資になって雇用を確保する方向で使われるかは、法人税減税とは別に、投資を促進する政策や将来の見通しが効く安定した社会が実現されなければならない。

逆の言い方をすれば、設備投資の環境が整っていなければいくら法人税だけ減税してなんにもならない。そんなにしてまで、どうして今、企業の内部留保を蓄えさせてやる必要があるのだろうか。儲かっているなら、この財政難の時期、税をしっかり払うのが国民の義務というものだ。

そこで提案だ。ただし、これはあくまで設備投資を促して雇用を確保するという目的のためという前提だが。

それは、法人所得税率を引き上げる方法だ。

極端なケースで税率が100%なら、どんな企業も利益を残さず、年度内にお金を使い切ろうとするだろう。税金で取られるくらいなら、いっそのこと従業員に給与として全部配ってしまった方がましだと考えるからだ。

或いは、大きく設備投資をして、初年度減価償却を目いっぱい計上して利益が残らなくするだろう。

結論は明らかだ。100%とは言わないが、設備投資を促進して産業界を活性化させたり、雇用を確保して消費需要を喚起するためには利益を得たところにお金を使ってもらうのが一番。そしてそれを促すのは、法人税増税だ。

このことは、企業がお金を使うのは税金を払う前の段階であり、税金を払った後の段階ではもう配当するか貯めるかしかないという損益計算書の仕組みによる。

内部に必要以上に貯えている企業経営者の姿は、小判をたんまり壺に入れて、裏庭に埋めておき、夜な夜なそれを掘り起こしては一枚二枚・・・・と数えている、守銭奴を連想させる。・・・・それはちょっと言い過ぎか。

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2010年12月20日 (月)

ドラッカー「マネジメント」サブノート、第6章

6.   企業とは何か

(1)   利潤動機という概念の怪しさ

  シアーズ事例は、企業が外界の力でなく、人によって創られることを示している。マネジメントは環境に順応するだけではなく、それを自ら主体的に左右しなければならない。

  また、企業は利益をあげるための存在ではない。利潤は軽視できないが、利潤最大化が目的ではない。経済活動のリスクを補い損失を避けるだけのものがあれば社会貢献できる。

(2)   企業の目的は、

「顧客を生み出すこと」である。社会から託された資源を使って顧客のウォンツとニーズに応える。その役割は、マーケティングとイノベーションに限られる。

つまり、企業活動とは、マーケティングとイノベーションを通して顧客を創造することだ。

  マーケティング

a.  マーケティングは1650年頃の日本で、三井家創始者が考案した。彼は顧客の為の仕入役を担い、顧客にふさわしい商品を企画した。

b.  狙いは、販売努力を不要にすること。顧客を知り、何もしなくても売れる、顧客にふさわしい製品やサービスを提供するのがその目指すところである。

  イノベーション

a.  イノベーションとは、より大きな富を創造できる新しい力に、人材や原材料を充てることであり、従来とは違う製品やサービスを生み出して新しい満足の可能性を開くことである。

(3)   生産性

企業は、この目的を果たす為、富の創造につながる資源を最大限に活かして生産性を向上させなければならない。生産性=最小限労力で最大限産出を得るための全生産要素の組み合わせ(一人当たり、或いは時間当たりの生産性という旧来の尺度とは異なる)で、単に肉体労働だけではなく、以下のような要素がある。

  資本設備、機械の力 :肉体労働の変わりを果たすもののひとつ。

  知識(とりわけマネジメント) :目に見えず費用として計上されないが、最大の効果。

  時間や製品ミックス

  プロセス・ミックス:部品調達方法、社内組立か外部委託、自前流通か卸か等の組合せ

  組織のつくりや事業活動のバランス

(4)   利益の役割

利益は、マーケティング、イノベーション、生産性などの面で成果をあげるとその結果として生じるものである(これそのものは目的ではない)。

  成果を確かめる役割。

  不確実性というリスクを取った褒美。

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2010年12月19日 (日)

防衛大綱はどのように議論されたのか

1217日に防衛計画の大綱が決定されて新聞に発表された。動的防衛力という概念が新たに打ち出され、具体的に中国や北朝鮮の脅威を想定して従来のように装備がそこにあるというだけではなく、しっかり機能する防衛力を目指す。

中国は直ちに懸念を表明した。そりゃ、これだけ明確に積極的防衛に舵を切った方針をうちだしたのだから、懸念も表明するだろう。もっとも、財源の裏打ちもなく、防衛技術の共同開発に不可欠な武器輸出三原則緩和を見送っているのだから、実効性ありやなしや?・・・というところではちょっと疑問符がつく。それでも、気持はこうだと明確に打ち出した意味は大きい。

それにしても、向こう10年の国の防衛方針という大切な事が一体どこでどのように決まるのだろう。しっかり議論されたのだろうか。少なくとも、新聞やテレビ等ではさほど話題にもならず、与野党間でどのような対立軸があるのかも報道されず、いきなり決まったという印象がぬぐえない。

鳩山政権が、年内の策定を目指したけど延びて結局断念したのは知っているが、あれから1年近くもの間、政治にかかわる新聞やテレビの報道は、政治とカネの問題やら大臣の失言の問題やら、それらにからむ政局がどうやら・・・ということばかりであった。

この間に、もしこの大切な事が私たちの知らないところで議論されていたとするなら、新聞やテレビ等のメディアは、その議論の内容から国民の目をそらす為に、枝葉末節の報道にいそしんでいたとしか思えない。そうだとすればなんというメディアの怠慢であろうか。

しかし、メディアが報道するような議論が国会や政府内にもないまま決定されて発表されたのだとしたら、こちらの方が問題だ。

防衛大綱は、昔は国防会議を経て、1986年以降は安全保障会議を経て閣議決定される。安全保障会議は行政機関であるから、昔も今も政府が決めると言っていい。

一方、国会には安全保障委員会が衆議院に常設されている。国会といえば、いつも予算委員会が注目されて、国会中継も予算委員会がほとんどだが、他にも常設委員会があり、国を運営する方法をそれぞれの分野に分かれて議論される場がある。安全保障委員会で今後の防衛方針に関してどのような議論があり、与野党がそれぞれどのような主張をしたのか、今からでもいいから教えてほしい。

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2010年12月16日 (木)

諫早湾干拓事業の開門調査と次々と事業を台無しにする民主党政権

諫早湾干拓事業で造られた堤防の開門調査を命じた福岡高裁判決に対して、政府は上告を断念した。周辺の漁業従事者らはこれを歓迎したが、干拓地に入植した農業関係者は反発している。

双方ともその言い分にそれぞれ理があるように思えるので、両方に同情したい。入植した農業従事者は、すでに土地を耕作しそろそろ採算に乗ってくるほどにまでなっているので、開門すると用水が引けず生活を脅かすことになる。一方、周辺の漁業従事者は、堤防による環境の微妙な変化の影響で、こちらは既に生活が脅かされている。現実の生活が脅かされるということで、双方にとって重大な問題だ。この状況ではどっちに転んでも被害が大きい。

しかし、この「どっちに転んでも被害が大きい」状況は、もともとそうだった訳ではなかろう。干拓事業開始前は、入植農業従事者はまだ居なかったのだから、漁業従事者の既存生活を脅かすリスクに対して、農業従事者側の事情としてあったのは、未実現の未来生活の可能性に過ぎなかったわけで、それはまだ明確な対立軸ではなかった。方や被害を被るはなしで、もう一方は機会を失うに過ぎない。既存生活が脅かされることと、未来生活の可能性への期待では、重みが全然違う。

しかし、入植も始まって農業が起こると当然そこでは干拓地に依存した生活が営なまれる。そうなると農業従事者も既存生活を持つことになるわけで、この段階では、既存生活が脅かされるという、同じ重みを持つ同質のリスクが対峙し、はっきりした対立軸が生まれる。以前は片方の犠牲だけだったのに、今はどっちに行っても必ず犠牲を強いる状況になってしまった。事態は解決せずに悪化しただけ。

思えば、八ッ場ダムとか、普天間基地とかいった事業や案件も、以前は片方の犠牲だけだったのに、余計なことをしたためにどっちに行っても犠牲を強いる状況にしてしまったものとして、よく似ているように思う。

いずれも、民主党が政権を取ってからのこと。他に、事業仕訳などと銘打ってチョッカイを出した事業の中にも同じようなものがあったのではないかと思う。そして、これが政権を取った野党の宿命ではないだろうかと思う。その仕組みはこうだ。

つまり、野党が・・・全ての野党がという言う訳ではないが・・・・政府のやることに、いちいち異を唱えて存在感を出そうとする。まるで反対することだけが野党の役割であるかのように。で、思いがけずに政権を取ってしまうと、自分で創り出すことに慣れていないから、野党時代に反対していた既存の事業を悉く掘り返してはつぶしていく。

今では、2大政党が交替する英国も、昔初めて労働党が政権を取った時は何もできないまま国民の期待を裏切り、すぐにまた政権を保守党に奪われしまった。そのうち次第に政権与党としてのノウハウが身につくようになってようやく今の形ができたそうだ。

民主党も早く学習してほしいものだ。

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2010年12月12日 (日)

ドラッカー「マネジメント」サブノート、第5章

5.   企業のマネジメント:シアーズ・ローバックの事例

企業とは何か、企業マネジメントとは何を意味するかを理解する為、理論化を進めるよりまず、実在の企業行動を見てみる。

(1)   シアーズ・ローバックの成長過程

  19世紀末~20世紀初め、農村部の市場を開拓した。~ジュリアス・ローゼンワルド

a.  農村部は、ほかと切り離された異質な市場があると気付いた。

b.  彼らのニーズとウォンツに応える商品を生み出して販売する為、以下のイノベーションを行った。

·  体系的な商品政策を立案。

·  農民は大都市に買い出しにでかけられないため流通カタログを用意した。

·  返品を許容するサービスを行った。

·  通販工場により、大量の注文を低コストで処理する方法を作った。

·  人材を集めて組織を築いた。

  1920年代半ば、形成されつつあった広大な都市市場に対応する為、店舗販売へと軸足を移した。~ロバート・E・ウッド氏

a.  この市場は、25年前の農村と同様にまわりから隔絶されていたが、中・上流階層と同じ商品への思いがあった。

b.  店舗販売への参入が、組織面でのイノベーションをもたらした。

  その後も人口動態の変化に合わせて、何度も市場を定め直した。

a.  家庭が求め、欲する商品を十分な情報を基に、企画生産する役割に重心を移していった。

b.  もはや、商品を切り口にして自社の事業を見るのではなく、中流家庭のニーズ・ウォンツ満足を中心にそえた。

(2)   シアーズ事例の教訓

  何が正しいかは、結果が出る前には決して分からないこと。

  正しい答は直感からではなく、適切な問いかけから導き出される。そのため、自社の本質を体系的に理解しようと努めなければなない。

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ドラッカー「マネジメント」サブノート、第4章

【第一部 マネジメントの務め】

マネジメントは組織を担い、組織は、特定の社会的機能を果たしながら社会の一翼を担っている。だから、マネジメントの務めを明らかにするためには、成果の大きさや成果に対する外からの要求等の観点を見る必要がある。

4.   マネジメントの諸側面

(1)   マネジメントの3つの務め

  組織の具体的な目的と使命を果たす。

組織は社会において特定の役割を果たす為に存在する。

企業とそれ以外の組織ではその役割は異なる。企業の使命は経済活動だ。

  業務の生産性を上げ、働き手に達成感を得させる。

組織の真の資源は人材だけ。成果を上げるには人的資源から生産性を引き出す。

但し、人的資源はモノではなく、人格や市民権を持ち、責任、士気、満足、地位、役割等を求める存在だと心得ておく必要がある。

  社会への影響に対処し、社会的責任を果たす。

組織は地域共同体や社会との関わりを断って存在することはできない。

(2)   その他の側面

  時間軸

マネジメントは現在と将来の両方を視野に入れなくてはいけない。

その理由は以下の2つ。

·  判断を下してから、その結果が現れる期間。現在ではこれが1020年と長期化している。

·  足元の業績である現在と、成長や変革への布石である将来の両方を同時に見る。必要がある。

  既存事業遂行と新規事業開拓

成果のあがっている既存事業をつづけながら、将来の繁栄への礎を作る。

これらをうまく融合させることも経営全般をついこうするために必要となる。

「組織は戦略に従う」~組織を設計する為には、使命、目的、戦略を理解する必要がある。

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