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2011年9月 8日 (木)

ドラッカー「マネジメント」サブノート、第16章(全61章)

16. 仕事、労働、働き手についての知見

(1)  仕事と労働は異なる。
仕事の生産性を高めるために必要な事柄と、働き手に満足感を得させるために必要な事柄は異なる。働き手のマネジメントに当たってはその両方に従わなくてはならない。

  仕事 :働き手の労働によって成し遂げられるもの。仕事には論理があり、分析、統合、コントロールを必要とする。

a. 分析 :(テイラー)基本となる動作を特定し、それぞれを解きほぐし、理屈に沿って調和のとれた順番に並び変えること。

b. 統合 :(ガント)一旦分解した仕事を業務プロセスとしてまとめ、生産活動へ統合する。PERTチャート、クリティカル・パス分析、ネットワーク分析など。

c.  コントロール :予想外の偏差が生じたらプロセスを変更したり、望ましい結果をもたらす水準にプロセスを保ったりする、フィードバック管理のこと。

  労働 :仕事を成し遂げる。働き手が行う活動のこと。労働には理屈がないが、様々な側面がある。⇒(2)へ

(2)  労働の5つの側面 :そのすべての側面において達成意欲が欠かせない。

  生理的側面

a. 人間は機械とは違い、ひとつの動作やオペレーションだけを繰り返していると、すぐ疲れてしまう。心理的に飽きるだけでなく、生理的に疲労がたまる。

b. また、最適なスピードや周期は存在せず、人によって異なる。

c.  だから、仕事は画一的に段取りを決めるのが最も望ましいが、労働に関しては人それぞれにやり方や周期、集中力持続時間を頻繁に変える裁量が必要。

  心理的側面

a. 仕事は人格の表れである。自己表現であり、自分の価値や人間らしさを測り、自分らしさを示すための方法である。

b. 6世紀、ヌルシアの聖ベネディクトは畑や作業場での労働を祈りや教えと同等に扱った(ベネディクト修道会)。

c.  仕事を通していかに心理的欲求を満たすかが課題とされる。

  社会や地域との絆を育む側面

a. 労働は有史以来、集団に属していたい、自分と同じような人達と意味ある関係を築きたいというニーズを満たすための役割と担ってきた。

  経済的側面

a. 仕事は担い手にとって生計の手段である。経済面でのよりどころであると同時に、経済資本を生みだす。

· 将来の経済資源(雇用、生活の糧など)を生みだすのに必要な資源を用意する。

· あらゆる経済は賃金と資本をあらかじめ手当てしておく必要がある。

b. 労働者には賃金と同じだけ資本をも必要とする。

· マルクスは、労働者による生産手段所有が実現すれば資本蓄積は不要だとしたが、間違いである。⇒修正社会主義(資本は必要で、権力構造に依存しない)

· 古典派経済学では資本(余剰)、賃金は長期的には調和するとした。労働者は、不確実性から身を守るため、明日の仕事を必要としている。

c.  賃金と資本は最終的には両立するとしても、当面は下記の矛盾に直面している。

· 資本蓄積に貢献した人と、その恩恵を受ける人が異なる場合が多い(例:1890年代に繊維産業で蓄積された資本は、繊維産業で新たな雇用のためにではなく、化学産業など新産業育成に投じられた)

· 属性の異なるさまざまな労働者の間では経済格差生じる。

d. 生活の糧としての賃金と、コストとしての賃金の間にせめぎ合いがある。

· 生活の糧として一定量必要である一方、生産性に見合っていて製品やサービスの価格競争力を維持できる水準である必要もある。

· コストと捉える企業と糧と捉える労働者の一体化として、資本主義とも国有化とも異なる、第3の道が現れた(年金基金等投資主体が企業所有者としての性格を強めている)が解決にはならない。

  組織における力関係

a. 組織はいくら小規模であっても、権力を持った人物が必ずいる。

b. 生産手段がどのように所要されているかに関わらず、権限は仕事に欠かせない。

(3)  そして、第6の側面として経済配分についての権限がある。

a. 各労働者の貢献内容が異なり、生産物のほとんどが組織外で消費される場合、各人のインプットと組織ノアウトプットを科学的に関連付けるのは不可能で、報酬を平等に分配するのも困難。

b. 従って、再配分が必要となり、どう再配分するかを決める権限主体が必要となる。

(4)  際立った側面などは存在しない
上記の各側面はそれぞれ切り離して分析可能だが、マネジメントにおいてはまとめてみる必要がある。従来の労働研究はひとつの側面を唯一の特徴であるかのように論じて誤りを犯した。

  マルクス :マルクス主義が破綻したのは収奪者の財産を収容しても経済以外の側面は従来通りであるため労働者の境遇や阻害状態は改善しなかったから。

  メイヨー :マルクスとは好対照をなし、心理・社会面が最重要と考え、経済や権力の側面には目を向けなかった。

  マズロー :

a. 欲求階層説(経済的欲求から自己実現欲求まで5段階の序列)を唱えたが、欲求は絶対的なものではない。

b. 例えば、それぞれでは十分高額な報酬を得ている2人の報酬が数ドルの差があるだけで、片方は不満。それには別の側面がある。

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