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2011年10月 3日 (月)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2011年9月末現在)

【米ドル】

9月は主に欧州が注目された相場展開となり、ドル円は直接材料に乏しかったことから、76.10~77.84の小幅な動きでした。

月の初めから追ってみますと、米国雇用統計が予想を下回る結果だったことなどから76円台半ばに弱含んで始まった米ドルは、6日にスイス国立銀行の通貨対策(1=SFR1.20を超える場合には無制限介入)が発表されると、スイスフランがユーロや米ドルに対して下落したため、77円台後半まで上昇しました。その後の、オバマ大統領が打ち出した景気対策は限定的ながらも一定のドル下支え効果あり、月半ばにかけて77円台を維持する小動きで推移しました。

月の後半では、FOMCがツイスト・オペを実施しました。しかし、これは短期国債を売って長期国債と入れ替えるもので、為替相場の短期動向に影響を与えるものではありません。むしろ声明では米景気減速懸念を強める内容であったため、売り圧力が強くなり、76円台前半まで弱含みました。月末にかけては第2四半期GDPや米失業保険申請状況を好感し、77円台前半まで回復して月を越しました。

【ユーロ】

9月のユーロは、月初めの高値圏(1.43台)から月半ばにかけて安値圏(1.33台)に下り、その後は月末にかけて安値圏で上下する展開でした。

具体的には、月の前半では、スイス国立銀行の通貨対策や、ドイツ憲法裁判所判決(債務危機のユーロ諸国支援が違法との訴えを退けた)などの買い材料がありましたが、それ以上に、IMF支援につながるはずのギリシャの追加緊縮措置を拒否した事や「ギリシャがユーロ離脱なら連鎖反応が起こるだろう」とのメルケル首相の懸念などの売り圧力が勝ち、1.35を切る水準まで下落しました。

月の後半では、相変わらず底流する欧州不安(売り材料)に対して、ユーロ共同債やEFSF(欧州金融安定基金)の機能拡充など、対策案の議論進行(買い材料)が交錯しながら、結局1.34を切る安値圏のまま月を越しました。

【今後の短期~長期予想】

欧州財政・金融システム不安から派生する当面の緊急流動性確保の動機によって、短期から中期の流れが変わったと思います。リーマンショック後注入された大量の流動性は新興国に流れていましたが、高いソブリンリスクを抱える主要金融機関への不安はユーロ圏内にとどまらず、世界を覆う金融システム自体への信頼も揺らぎかねないことになっています。このため、当面の支払い手段を手元に確保しておきたいとの思いが広がりました。そうなると弱体化したとはいえ、未だ決済通貨としてシェアが高い米ドルへの回帰が自然です。価値保存を目的とした「金」が急落したのもこの動きでしょう。

ただ、対円ではどうかというと、リスク逃避先としての円ロング余地はまだ残されており、ドルと一緒になって買われると予想されます。結果、1ヶ月以内の短期から数ヶ月以内の中期にかけて、ユーロはドルに対して1.3台での弱含み、ドルは円に対して現状よりも若干の強含みながら、80円の上値は非常に重たいと予測できます。

一方、中期から長期にかけては、米国債務問題、欧州財政不安、日本の経常収支悪化・財政不安・デフレという基本的な材料は変わりません。ただ、上記のような新興国を中心とした国々からの資金流出や流動性が「わな」にはまる動きが加速することになれば、相対的に日本の実質金利が低下して、超長期でみていた円安が前倒しになる可能性があります。

【短期~長期の判断材料、番号は優先度】

短期的な材料(1ヶ月前後)

1

欧州財政・金融システム不安から派生する当面の流動性確保の動き(米ドル買い)

2

EFSF(欧州金融安定基金)の機能拡充法案の各国での承認手続き進捗状況。

3

市場では106日のECB理事会での利下げ観測も浮上しており、引続きユーロは軟調な展開が続くと考えられます

4

米ファンダメンタルズ・景気動向(米FRBの追加金融緩和策への期待がなくなったので当面は米経済力に回帰)

中期的な材料(数ヶ月)

1

欧州(ユーロ圏)の財政・金融システム不安から、新興国を中心に、安全資産より緊急時の流動性確保が重要との対応変化が顕れ、円・米ドルへ需要が強まっている。

2

ギリシャ等の重債務国の国債を大量保有する欧州主要銀行の信用不安・健全性不安。

3

スイス国立銀行の為替対策(スイスフランの下限設定)により、リスク逃避先としての円が再クローズアップされる。

4

日本:円高対策パッケージ(日本企業の海外投資支援の為JBIC通して$資金融通(残額を円投させる)主要銀行に持ち高日次報告義務付け)

5

欧州債務問題(過剰債務を抱えるギリシャなどへの支援負担からユーを嫌気する)⇒リスク逃避先:¥・SFR

6

米国債務問題から派生する(財政悪化により米ドルを嫌気する)⇒リスク逃避先:¥・SFR

長期的な材料(数年)

1

米国金融危機(リーマンショック)、欧州金融・財政不安⇒新興国からの資金引き揚げ⇒各国実質金利低下⇒円の相対的な金利低下

2

日本:復興需要と製造業の海外移転で輸出競争力低下⇒貿易収支悪化⇒経常収支悪化

3

米国:FOMC声明(8/9)「景気回復スピード予想以上に遅く、少なくとも2013年半ばまで超低金利政策を継続する」と発表 ⇒米金利引き上げ時期のずれ込み。ドル売り材料

4

日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下⇒財政破綻

5

米国:リーマンショック金融危機への対処の結果として負った財政負担(債務上限引き上げでは解決しない)

6

EU:PIIGS財政悪化問題(支援策では根本解決にはならず、長期的課題となる)

7

2011/9月G20で、経常収支不均衡是正の進捗状況(黒字国通貨高へ)

8

米国:米国債務上限引上げ法案可決と引き換えに、財政赤字削減2兆ドル以上は今後2年間にGDP0.20.5%押し下げる影響

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