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2011年10月22日 (土)

ドラッカー「マネジメント」サブノート、第22章(全61章)

22. 雇用、収入、福利厚生

(1)   雇用の保障と収入の安定

  熟練・非熟練、肉体労働・知識労働にかかわらず、働き手が、前章に示したような責任を引き受けるうえでは、雇用と収入が安定している必要がある。「職や収入を失うのではないか」という不安を抱えていては、業務やチーム、精華、業績に責任を負うのは難しい。

  雇用の不安は生産性の向上やイノベーションに抵抗する原因にもなる。

a.  新しい技術によって職を奪われるという不安を持つ。

b.  高い達成意欲を示すと、そのせいで他の者が職からあぶれるのではないかという不安を持つ。

c.   こういった、失職への不安が生産性の向上やイノベーションへの抵抗となって顕れる。

d.  結局、法律や制度のうえで雇用や収入を保障しても不十分。

給料をもらっていても仕事のない人は失業したのと同じくらい不安を感じる。

収入を保障するだけでなく、積極的に仕事を生み出し、社会の一員として生産活動に携わる機会をもたらすことが求められている。

  体系的な就職・転職支援の必要性

a.  終身雇用が保障される日本の制度のもとでは人々は職を失う不安とはほとんど無縁であるが、その一方、雇用の流動性が低いという短所がある。既存産業にとっては人材を囲い込む助けとなる反面、新規産業の人材確保を妨げることになるからだ。

b.  欧米では、日本に倣い、各就労者層のニーズや家族のライフステージに応じた収入の保障を制度として取り入れるべきで、日本では、知識労働者を軸として、雇用の流動性を確保すべきだろう。

c.   レーン・プランは転職支援の事例である。

・ユスタ・レーン(スウェーデン、労働組合リーダー)が1950年大に考案した。

・スウェーデンは産業と経済の構造を変革し生産性の低い旧来産業の縮小を図った。

・そのため、技術の発展や経済状況変化等により人員余剰が生じる恐れが生じる場合は、レーン員会(政府、株主、労働組合の共同運営)に報告される。

・委員会は余剰労働者に収入を請け合い、訓練を施し新職場に就職させる。

・転職率は高いが、変化への抵抗はなく、新しい技術・知識への意欲が高い。

d.  このように、雇用を保障し安定させるためには、就職や転職を支援するための体系的な取り組みが欠かせない。

(2)   福利厚生

  資本の一部である、(会社の)利益を従業員の福利のために用いると、必ず大きな効果をもらし、利益への反発も無くなる可能性がある。その理屈は・・・

a.  賃金と資本の間にはせめぎ合いがある。働き手は賃金や給与に利害を持ち、経済や企業は、(会社の)利益や生産性へのニーズを持つ。両者は相いれない。

・例えば、米国では投資信託を通して労働者が株主にもなっているが、それでも労働者は、(会社の)利益に敵意を持っている。

・また、日本では、原則として解雇されないため労働者は会社の生き残りと繁栄に大きな利害を持っている(受益的所有者)が、それでも利益への反発が強い。

b.  その理由は、

・利益は、賃金に比べて小さく、賃金より利益を重視する気になれない。

・賃金は硬直的で安定的だが、利益は業績に大きく左右される。

c.   だから、利益を所得とみなすのは誤りである。利益は株主資本の一部であり、企業内部に留保される。

d.  従業員のために資本を充実させる目的で使用されてこそ、意味を持つ。そのときに初めて利益の役割が理解され、利益への反発も解消する。

  福利厚生のあるべき姿とは

a.  受益者である従業員に対して、費用対効果が最も大きくなるように便益を与えるべきである。

b.  最低給付水準を定めておく必要がある。

c.   プラン毎に拠出額を決めるより、福利厚生全体の負担金額を決め、その枠内で従業員の層別にニーズに合った給付を組み合わせて提供する。

d.  福利厚生制度の運用はできる限り職場コミュニティに委ねる

  今後も就労者は、福利厚生を求め続ける。福利厚生費率は上昇する。福利厚生を米国のように飾り看做すのも、日本のように慈悲と位置付けるのも適切ではない。経営者の責任と位置付けるべきだ。

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