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2011年10月26日 (水)

円高、最高値更新でどんな対策がとられるだろうか。市場介入だけはやめてください。

最近の為替相場は、もっぱら欧州ユーロ圏の財政・金融システム不安を材料にユーロを買うか売るかの動きが中心になっていました。ユーロを買うときには米ドルが売られ、ユーロを売るときには米ドルが買われるという具合で、円はどちらかというと、その動きにつれて少し買われたり、少し売られたりという状況なので、目立った動きがなかったわけです。それにしては、随分と高い水準で落ち着いてしまったものだと嘆いておられる諸兄。それはジャブジャブに注入されて主に新興国等に出回っていた流動性が、世界的なデフレへの不安から円等の主要通貨に回帰してきたらです。

そんな中、この数日、円に関する目新しい材料がないのに、最高値に挑戦する動きが出てきました。主要通貨への回帰現象で、高い水準に張り付いたまま凍ったようになっている円については、相当神経質になっており、僅かな材料でも天井を突き破ることができるだろうと踏んだ投機筋のチャレンジではないかと思います。

このような挑戦、僕は決して健全な市場の姿ではないと思いますが、それはさておき、この円高に対して政府はどのような対策を打つでしょう?今朝の新聞には27日にも追加緩和策を打ち出しそうなことが書いてありましたが、以前のような愚かな円売り介入はしないほうがいいですね。

単純な市場介入は、経験的にいままで数日間の極短期の効果しかなかったし、理屈の上からいっても効果がないからです。3月の市場介入に効果があったように見えたのは、あれは介入の効果ではなく、円高材料が一時の気の迷いに過ぎなかったことに市場が気づいたタイミングと介入のタイミングがたまたま合致したに過ぎません。理屈の上から言っても、円を売ってドルを買う行為は手元にたまったドルをいつか吐き出さなければなりませんから、将来の円高の種をかかえることになり、根本解決にならないのです。市場はその辺を見透かし、介入すればするほど安心して円買いに出るわけです。

海外が日銀の介入を非難するのは、「お前だけ、市場のルールを破って抜け駆けするのはずるいぞ。」と言っているように新聞には書かれていますが、実は「そんなことしても効果ないのに、愚かなことだ。」と言っているように、僕には聞こえます。

市場からみると、逆に「なあんだ、円売り介入しかできないのか。根本的な対策がないなら、怖くないぞ。安心して円買いができるな。」と。

市場というのは、一体何にどのように反応して動くのでしょうか。

最近の経済学では、市場に限らず、資本主義経済に参加している人々の「行動パターンは将来の予想に従う。」と言われています。

今年のノーベル経済学賞を受賞した、ニューヨーク大学のサージェント教授、プリンストン大学のシムズ教授は、合理的期待仮説に基づいた研究をしました。政策が持つ将来の影響や効果を予想し、期待して行動するというものです。

また、学習院大学の岩田規久男教授は、実質金利の予想値やインフレへの期待が為替相場に影響すると説明しておられます。なるほどと思ってしまいました。

それでは、「円安になりそうだ」という合理的期待を市場に形成する政策とは何でしょう?

僕は、野田総理大臣が財務相の時に提案し、今も円高対策の一部となっている、JBICによる海外直接投資支援融資枠のようなものだと思います。これはドル建てで、投資に不足する部分だけが円投になるので、即座に効果があるというわけにはまいりません。それでも、長期には効いてくると思います。何故なら、これにより、日本企業が円投して海外直接投資にドライブをかけるだろう。そしてそれはこの支援制度がある限り続くだろうという期待を形成するからです。

他にも、いろいろあるかもしれません。米国は通貨対策を追加する余地はもうあまり残されていないのに対し、日本には通貨供給量を増やす方法やら、中銀による国債引受けやら、まだできる事が残されていると思います。

この機に乗じて、一気に円の国際化を測ってみてはいかがでしょうか。繰り返しますが、円売り市場介入だけはやめてほしいと思います。

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