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2011年10月22日 (土)

政府の円高対策は、円高阻止を断念した対症療法でしかない。

日本経済新聞に、「円高対策へ専門組織」という見出しの記事が掲載されていました。21日に閣議決定する予定だそうです。

で、その内容は、政府と日銀が協力して専門組織を作り、その組織が中小企業向けの金融支援や、国内立地促進や、外国企業の買収のための資金供給といった、円高対策がきちっと進められているかどうかの進捗管理をするというもの。

円高対策と一口にいっても、いろんな方法があり、依拠する金融経済理論によっても異なると思います。しかしいずれの方法も、円高対策というからには、円高に直接立ち向かう対策であるべきでしょう。特に政府が立てる対策なんですから。

ところが、列挙されている対策は、JBICの投融資枠を除けば、中小企業向け金融支援とか、国内立地促進とかというもので、なんだか円高に直接立ち向かっているような気がしません。円高に直接立ち向かうということは、円高を防ぐという方法でなければなりませんが、これらは円高を防ぐというより、円高は仕方ないものとしてこれに立ち向かうことを断念し、円高から派生する問題に対処しようとするものでしかありません。

こうすることの問題は2つあります。

1.  円高から派生する問題をやっつけるためには、それらの問題の原因となっている円高をやっつける必要があるのに、円高から起こる症状に対して行う対症療法になってしまっている。原因を断たなければ、今症状が和らいでも、いずれまた同じ症状が起こる。

2.  原因から派生する症状は様々なものがある。原因から遠くなればなるほどその症状は多岐にわたり、それら全てに対処するのは極めて非効率であるし、不可能。

では、円高そのものに立ち向かう方法としてはどんなものがあるでしょうか。理論の切り口が攻めるなら、3つあるでしょう。

1.  円の購買力を弱くする。←購買力平価説

2.  海外の物を買いまくる。←経常収支連動説

3.  インフレを起こす。←実質金利変動説

上記の3つが円高に直接立ち向かう対策のターゲットになるなら、一般にも言われている通り、いくつもの対策を列挙することができます。例えば、日銀が国債を引き受けてインフレを起こす(実質金利連動説)。インフレはまた、物価指数を押し上げて円の購買力を弱くするので、購買力平価説に基づいた対策ということにもなります。それから通貨供給量をどっと増加させる方法も物価指数を押し上げて円を弱くする効果があるでしょう。

では、「海外の物を買いまくる」方法では何があるでしょうか。実は、JBICの投融資枠がこれに当たります。外為特別会計のドル資金を使って、これを投融資に活用してもらうという方法です。この記事の冒頭で、「JBICの投融資枠を除けば」と書いたのは、実は打ち出されている対策で唯一これだけが、円高に直接立ち向かう対策であると思われるからです。もっとも、ドル資金だけでは不足する投資資金を円投することの効果だけですが。それでも、直接立ち向かう方法には違いありません。

円売り介入だけはやめた方がいいと思います。政府には、市場介入ではなく、市場の性質を利用した、円高阻止対策を考えもらいたいものです。

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