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2011年11月20日 (日)

ドラッカー「マネジメント」サブノート、第24章(全61章)

24.  マネジメントと生活の質~企業の社会的責任

(1)   「企業の社会的責任」について

  従来の「企業の社会的責任」は、大きく以下の3つの分野に焦点を当てていた。

a.  私的な倫理と公的な倫理の関係 :マネジャーは組織への責任を果たすために、個人の倫理を踏み外してでも行動することはどこまで許されるかという視点。

b.  雇用主は権力と富を持つのだから、従業員に社会的責任を負うという議論。

c.   「社会的責任」は、経営者は率先して地域の文化を振興すべきだと主張し、経営者にそのような役目を負わせるために用いられた。

  しかし、近年は、従来と異なるところに着眼し、社会の問題に挑み、解決するうえで、企業は何をすべきか、何ができるかに焦点を当てる傾向を強めている。
例えば、人種差別問題や環境の保護や復興といった社会問題である。

(2)   背景と企業への期待

  従来とは着眼点が変わった、背景として以下が揚げられる。

a.  企業の成功
企業という仕組みがうまく機能したため、企業に対して新たな期待が生まれた。
社会的責任を果たすようにという声は、企業への敵意に根ざしているのではなく、期待している。成功の代償としての意味合いが強い。

b.  政府への失望
大きな社会問題を解決できずにいる政府に対して、能力への疑念がわき上がっている。

  このように、マネジャーが社会の主要なリーダーとして台頭し、政府への失望が広がり、生活の量が質へと重点点が移る変化が生じたため、企業のマネジャーに対して、社会への配慮を中心に据えて事業w展開するようにとの要請が生まれている。

(3)   3つの他山の石
しかし、社会的責任には、善良な意図や立派な行い、強い責任感などが誤った方向へ進んでしまう問題もある。以下はその例である。

  他山の石① :ユニオンカーバイドとウェストバージニア州ビエナ

・  19世紀、ユニオンカーバイドは、州内でも失業率の高い地域に新たに向上を立て、苦境にあえぐ地域の失業を和らげ、雇用を生み出そうと努力した。

・  一時は社会的責任を果たす姿勢が称賛されたが、10年後は、汚染が問題となった。

  他山の石②:アルゼンチンにおけるスウィフトとデルテック

・ アルゼンチンに食肉加工工場を営んでいたが、政府の政策により家畜の供給が減少し、価格が高騰したため、国際競争力を失ったと判断、デルテックに売却した。

・ デルテックは地域の雇用を維持するために頑張ったがとうとう清算に追い込まれた。

・  世間の評価は「他の外資系食肉加工会社は事業の採算が取れなくなった時点で向上を閉鎖したが、デルテックは持ちこたえようとして、周囲の期待を高めておきながら無残にそれを裏切った」と厳しいものだった。

  他山の石③ :公民権運動とクエーカー教徒の良心

・ 米国大手精製紙会社が南部に派遣した、クエーカー教徒のマネジャーは、黒人への採用差別を解消しようとしたが、その時は「大企業の経済力を振り回して、自分の道徳観や理念を地元社会に押しつけようとしている。」との批判を浴びたので、それを断念した。

・ しかし、何年か後、この会社は「地域最大の雇用主のくせに、人種問題を積極的に解決しようとしなかった。」と非難された。

  このように、企業の社会的責任を果たそうと努力したのに報われたいこともあり、ことは単純ではない。

・ しかし、「企業は経済組織であるから経済面の務めだけを果たすべきだ」というミルトン・フリードマンの主張には賛同できない。

・ 現代社会では、政府はもはや最高の権力も持っているわけでも、公益の守り手でもないから、企業が社会的責任をはたすしかないのだ。

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