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2011年11月10日 (木)

TPP協議に参加すべき。政治の出番となる社会的規制の話はもっと後。

TPP協議参加の賛否を巡る議論は、協議内容が我が国にどのような影響をもたらすかについて、ひとつひとつ詰めている作業になっています。例えば、国内農業保護、医療から皆保険など。個々の問題について対症療法的に議論するときりがないので、それらを議論の性質で括って、その括り毎に議論してみる必要もあると思います。

1.   ます、関税障壁と非関税障壁の問題に分け、関税障壁について考えます

関税を撤廃することによって、影響があるのが農業等の国際競争力のない国内産業の保護が必要であるかどうかです。

僕はないと思います。

製造業は随分以前から国際競争のリスクにさらされて、そのリスクに打ち勝つための努力を続けてきました。その間に競争力のない企業は市場から撤退し、その度に血を見てきました。そのかいあって、現在があります。

農業やサービス業などは、急に国際競争リスクにさらすと大変だから、当面保護して、その間に競争力を養おうということではなかったでしょうか。仮に当面ではなく、永久に保護するというコンセンサスがあったとしても、競争力は即ち高生産性、高品質などで測りますから、これらを向上させる努力は国際競争に関係なく継続して行われているべきでした。それができていないとなれば、実際に国際競争にさらすことで、危機感を感じるしか向上努力を促す道は残されていません。これは反対派からみれば乱暴は意見だと思われるかもしれませんが、しかし、製造業はその乱暴を強要されてきたのです。

だから、非関税障壁に限定するならTPP参加すべきという結論になります。

2.   次に、非関税障壁について考えます。

これは、経済的規制と社会的規制に分けて考えるのがいいでしょう。

経済的規制については、緩和していくべきだと思いますので、多国間協議の中で迫られなら外圧を利用した緩和が進むでしょうから好ましいと思います。例えば、実際にはTPPの協議対象にはなっていないかもしれませんが、通信回線の開放などです。

社会的規制については、困ります。

実際には協議対象になっていないが、将来は議論の対象になり得るとされている、医療分野の問題などは社会的規制の範疇に入ります。国家の理念として国民皆保険はその大切な柱の一つです。この辺は米国とは全く異なる国民性によるもので、政治の力で守らなければならないと思います。だからこれが損なわれるならTPP参加には反対します。

で、結局TPPに反対かというと、そうではありません。

TPPに参加することで得られる最大のメリットは国際競争条件の平等化、つまり機会均等です。参加しなければ、メリットが得られないが、デメリットもないと考えるのは無理です。この機会均等がなければ、それこそ日本経済は破綻してしまうでしょう。農業やサービス業を守って、日本経済全体が破綻してしまうという道を選択するのでしょうか。

では、どうすればいいのでしょう?

判断の材料を、TPP参加のメリット(機会均等)は近い将来だが、社会的規制への影響、つまり政治が必要になるのはもっと先の話だろうというところに求めてみました。従って、結論は、TPP協議には参加し、将来社会的規制の話になった時に抵抗する。抵抗できなければ撤退するというものです。

将来、抵抗するのは不可能だというのが反対派の意見ですが、これに対しては、現在のEUがヒントになると思います。

EUは石炭をきっかけとして発足した経済共同体ですが、いくつかの段階を踏んでここまで来ていますが、その都度多くを巻き込んだ議論がなされ、多くは民主的にかつ個別国を尊重して進められました。その証拠にイギリスは共同体に参加していますが、EMSから離脱しました。

そのEUの段階とは、

a.  資本や労働の国境を超えた自由な移動を認める

b.  個別国が金融政策自由度を放棄して、通貨を統合する

ここまでが、現在の段階です。今後EUの存続維持に欠かせない段階として、

c.  個別国が財政政策自由度を放棄して、財政を統合する

d.  最終段階として、政治を統合して国家運営の理念を統合する

二次大戦後から「a.」に進み、「b.」が実現するまで数十年かかりました。今後「d.」までは相当の時間がかかるでしょうし、そもそも「d.」の段階の話すらでていません。

TPPがEUと全く同じとは言いませんが、政治の力が必要な、社会的規制云々を議論するまでの段階は相当将来のことではないかと思います。

それを今から心配するより、まずは前に進むことが大切なのではないでしょうか。

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