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2011年12月

2011年12月 5日 (月)

ドラッカー「マネジメント」サブノート、第26章(全61章)

26.   社会的責任を縛るもの

(1)   社会的責任の範囲

  経営者は自分が使える組織の成果をあげるという、より高次の責任を負っており、これが何にも増して、社会的責任に縛りをかける。

  経営者には、問題を予見し、その問題を解決するにはどのようなトレードオフを受け入れる必要があるかを考える責任がある。

・  自分が舵取りする組織が成果をあげつづけるためには、どこまで社会的責任を果たすべきか、限界はどこかを検討しなくてはいけない。

・ 企業は「優れた成果」だけではなく、「優れた行い」もしなければならないが、優れた行いをするためには、まず優れた成果をあげなくてはいけない。

・ 優れた成果の前に優れた行いを優先すると、単なる「感傷的な振る舞い」となる可能性がある。

  社会的責任とのトレードオフ関係にあるものとして、(2)能力の限界と(3)権限の限界をみる。

(2)   能力の限界

  能力の限界と二種類(第25章参照)の社会的責任の範囲について、

a.  社会的影響への責任 :組織、自分たちが社会に与える影響に関して、責任を負えるよう必要な能力をすべて身につけてなくてはいけない。

b.  社会矛盾への責任 :逆に自分たちに起因しない社会問題に関しては、すでに持つ能力の範囲内で対処すれば、十分に義務を果たしているといえ、それ以上のことをする権限はない。

  社会矛盾への責任においては、企業の性格を考慮する必要がある。

a.  企業は責任が明確で、成果を測定できる分野で力を発揮しやすい。

·  市場の検証、生産性の尺度、必要な収益率への要請といった縛りのある分野が企業の土俵である。

b.  一方、政治的な意見や思い、地域社会からの賛同の有無、地域勢力の動員、権力関係の構築などが尺度とされる分野では、企業は手腕を発揮しにくい。

·  ただし、このような分野でも、具体的な仕事に関しては明快なゴールを定めることができる場合がある。

(3)   権力の限界

  社会的責任の範囲は権限によって狭められる

a.  責任と権限は常に対になっている(コインの裏表)。社会的責任を負おうとするなら、それに見合った権限を主張することになる。

b.  企業の責任を問う声があがったら、その都度「それにふさわしい権限があるか、それを持つのが筋か」と考えてみるべきだ。

·  多くの分野では、企業は権限を持つべきではなく、権限がないのであれば、責任の有無についても疑ってみるべきだろう。

  企業を敵視する社会派運動はかえって企業の権力を増長させる

a.  消費者運動リーダーのラルフ・ネーダーは大企業の敵を自認し、企業に対して製品の品質やサービスの安全性等にとどまらず、多くの分野で責任を果たすよう強硬に求めている。

b.  しかし、上記のように、責任と権限は対になっているから、仮に企業がこれに応えたら、本来は他の組織が担うべき数多くの分野において、大企業の経営層が究極の権力を振るうことになる。

c.   企業に無限の社会的責任を求めると、企業は無限の権力を手にすることになる。

  企業は権限のない分野にまで踏み込んではいけない。

a.  企業の社会的責任をいっさい否定するミルトン・フリードマンの考え方は指示するわけにはいかない。

b.  企業が自分たちの利益を守ろうとするなら、社会や地域に関心を持ち、本来のフィールドを超えて責任を負う必要がある。

c.   ただし、その際には権限のない範囲に踏み込むべきではない。また、権力欲と公益を混同してもいけない。

d.  何よりも無責任なのは、社会的責任という謳い文句のもと、能力不足を顧みずに、あるいは権限を逸脱して、本来とは異なる仕事に手を出し、十分な成果をあげられなくなることである。

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2011年12月 1日 (木)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2011年11月末現在)

【米ドル】

11月は、月初と月末がドル高、月央でドル安の「U字型」カーブを描く動きでした。

月初79円近辺と高い水準で始まったのは、10月31日に日銀が実施した大規模な為替介入によるものです。その後も小規模ながら継続して覆面介入が行われたと言われていますが、次第にげて、市場が要求する77円台半ばの水準にまで下げました。

中旬からは、欧州関連でいくつか材料が出てきましたが、対ドル・対円の影響の仕方は、「ユーロ対ドル又は円」となり、ドル円間での変動は、これではうまく説明できません。こんな中で、11月にドル円を動かした主な材料は、流動性確保の動きです。欧州不安が単なるリセッション予兆としてではなく、クレジットクランチ予兆として受け取った市場が、緊急時のドル手当てに動いたため、下旬ではドル高に作用して78円台前半に戻した訳です。その後、11月30日に主要6中銀がドル資金供給対応に動き、その懸念が当面払拭されています。

【ユーロ】

11月は、上旬の1.38水準から、次第に下旬の1.33前後水準に落ちる展開でした。

上旬は、ギリシャ首相が「国民投票で救済を受けるか否かを決める。」と言いだして混乱する場面もありましたが、すぐに収まり、前月下旬の3分野ユーロ対策合意を好材料として、1.38前後の高い水準が維持されていました。

ギリシャやイタリアの政権交替も、体勢が動きだしたとの曖昧な期待を生んで、高水準維持に貢献したと思われます。

しかし、その後は、イタリア国債利回り高騰、ドイツ国債の札割れ、23日欧州委員会で発表された欧州共同債実現準備素案に独メルケル首相が改めて反対表明した事など不安材料が次第にユーロを押し下げ、対ドル1.32台となりました。

ただ、月末は主要6中銀のドル供給協調策発表でドル不足への不安が解消されて、リスク危機多少和らぎ、1.34~1.35水準まで戻しています。

【今後の短期~長期予想】

短期的には、日銀介入で形成された当面の抵抗線(75円)は生きていますが、主要6中銀ドル資金供給協調策で、ドルへの緊急時流動性確保需要が当面の間(数ヶ月)減退することから上値も重たく、77円前後~78円前後での推移。

中期的にも、米追加緩和策の可能性が払拭されたわけではなく、金利差拡大は期待できないことも上値の重たさを支持し、数ヶ月のスパンでの円安は無理かもしれません。

長期では、TPP参加可能性が高まったことは貿易収支に貢献するとの判断から、円安期待を少し後退させるでしょう。しかし、それはいずれやってくる貿易収支悪化をわずかに遅らせるだけで、対外投資促進などの円高対策や日本の国債消化不安、財政破綻懸念等の材料は変わりませんから、超長期的には、構造的円安が進行すると思います。ただ、それが対ドルなのかどうかは不透明です。

ユーロについては、短期的には、主要6中銀のドル資金供給協調がプラスに作用するほか、10月に合意されたユーロ対策の実施状況見守り等で大きく下げることはないかもしれません。しかし、それらは支援強化や体制強化の延長線に過ぎず、制度変更を伴う議論がなされない限り、下押し圧力は止まらないと思います。

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

1.   主要6中銀のドル資金供給協調策(~2012/1金融システム不安による緊急時流動性確保需要を緩和し、当面のドル堅調材料減退。

2.   11/10月のユーロ危機対応包括策(ギリシャ2次支援、EFSF機能強化、銀行自己資本強化)合意当面はユーロ安定に寄与するだろう。

3.   10/31の日銀為替介入による75円抵抗線効果の持続可能性。

             

【中期的な材料(数ヶ月)】

1.   主要6中銀のドル資金供給協調策(~2012/1金融システム不安による緊急時流動性確保需要を緩和し、当面のドル堅調材料減退。

2.   日本:円高対策パッケージ(日本企業の海外投資支援の為JBIC通して$資金融通(残額を円投させる)、主要銀行に持ち高日次報告義務付け)

3.   11/10月のユーロ危機対応包括策合意。中期的には、包括策の実施状況に注目。

4.   2011/10月後半から、複数高官の発言が合いついている、米国の追加量的緩和策(QE3)の実現可能性ドル売り材料。

             

             

【長期的な材料(数年)】

1.   TPP参加に向けた協議開始。貿易収支悪化懸念を緩和し、円売り材料が多少減退する。

2.   円高対策パッケージに含まれる、日本企業による海外投資支援策(ドル建て支援だが長期的にはじわり効果)。

3.   米国:FOMC声明(8/9)「景気回復スピード予想以上に遅く、少なくとも2013年半ばまで超低金利政策を継続する」と発表米金利引き上げ時期のずれ込み。ドル売り材料

4.   米国:米国債務上限引上げ法案可決と引き換えに、財政赤字削減2兆ドル以上は今後2年間にGDP0.20.5%押し下げる影響

5.   日本:復興需要と製造業の海外移転で輸出競争力低下貿易収支悪化経常収支悪化

6.   欧州連合の安定運営に向け、制度変更を伴う議論が開始されない限り、ユーロの下押し圧力が継続する。

7.   日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻

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