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2012年1月22日 (日)

ドラッカー「マネジメント」サブノート、第27章(全61章)

27.   企業と政府

(1)   従来のモデル

従来、政府と産業界の関係の指針となったのは、以下の2つの政治モデルだった。両者とも自由放任を信用せず、政府は経済やビジネスに介入せざるを得ないとの立場である。

  重商主義(フランス流には統制主義)

a.  17世紀後半に生れ、今なお大陸ヨーロッバでは主流である。

b.  経済は政治支配力、とりわけ軍事力の土台とされ、基本的に外の世界に対抗するために設けられる。

c.   経済の主な役割は外からの脅威を受けても国民国家が耐えられるよう手段を提供することで、企業人は政府役人より立場が低いとされる。

d.  政治主権の経済的土台を海外での競争力に置いている。輸出こそが目標であり、競争力の試金石とされる。

  立憲主義

a.  19世紀に主としてアメリカで発展。政府は基本的に企業と対立関係にある。

b.  両者の関係は行政ではなく、企業の悪影響を避けようとして、法律でコントロールされ、反トラスト法、規制などの手段で、企業にさまざまな縛りをかける。

(2)   新たな課題

しかし、現実は上記の従来のモデルでは説明できない。以下のような原因によって引き起こされる新たな課題がある。

  混合経済

a.  重商主義と立憲主義はともに、資本主義経済を念頭に置いている。社会主義経済でも機能することはできた(立憲主義の社会主義競争への応用⇒14章)が、政府と企業が密接に関係しながら活動と競争をする混合経済にはどちらも対処できない。

b.  軍事調達やアメリカ航空宇宙局(NASA)の事業など、政府と企業がチームを組み、共同で仕事を進める事例は今後もさらに増えるだろう。

  多国籍企業

a.  経済はもはや一国に閉じたものではないが、主権は依然として国境を超えていない。(従来モデルはいずれも、一国政府と国内産業の関係である)

b.  世界経済が国民国家の政治主権から切り離されて自律性を持つと、国境を越えた通貨や信用メカニズムを用いるが、従来モデルはこれに対処できない。

  政府の相対的地位の低下

a.  組織を柱とした社会では、政府は特別な立場を失い、具体的な目的をもったひとつの組織という位置付けになる。このような社会では政治以外のリーダーシップ層(企業経営者等)に社会的責任が負わされ、政府の役割は弱まっていく。

  専門的経営者(プロフェッショナル・マネジャー)の台頭

a.  従来モデルは起業家を念頭に置いているが、いま企業を経営するのは、学歴、経歴、価値観等で官僚と同水準の専門的経営者である。

b.  行政が逆に企業経営を手本にしようという動きもあり、政府が産業を統制したり、産業と対立関係になる従来モデルでは対処できない。

(3)   指針

従って、解決策を見出すため、個々の問題に対処する要件、対処方法を評価するための、下記のような基準が必要となる。

  企業とそのマネジメント層の自律性と責任を保つ。

企業は、「自由企業」より、「責任ある企業」を目指し、①経済の利益のため、②政府が高い成果をあげるため、③社会の利益のために、自律性と責任を持つ。

  自己変革の力を持った、自由で柔軟な社会を守る。

現在のような複雑で相互依存性の高い社会では、政府自身があまりに多くの分野に手を出す肥大化した体制から脱却し、健全に機能できるようになることが大切。(28

  多国籍企業が活躍する世界経済と国民国家の主権とをうまく調和させる。

世界経済と政治主権を平和的に共存させ、両方が守られる関係性を考えだす。

  政府が力を発揮して成果を上げられるよう後押しする。

企業経営者は政府や社会との関係を考えるのは自分たちの仕事だと認識すべきだ。

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