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2012年1月

2012年1月31日 (火)

介護福祉士国家試験、インドネシア等外国人の受験ハンディをどうするか

NHKのニュースで、介護福祉士資格試験を受けるインドネシア人の様子が報道されていました。

2012年1月29日に、介護福祉士の国家試験が行われ、日本と経済連携協定を結んだインドネシアから来日している96人がこれに挑戦したそうです。

経済連携協定に基づいて来日し、日本で介護福祉士として働くためには、4年以内にこの国家試験に合格しなければならないそうですが、3年の実務経験が必要という条件がついているので、受験機会は実質1回しかありません。

ニュースによれば、介護福祉士の合格率は全体で50%なのに、外国人の場合はわずか2.7%にとどまっているとのことでした。原因は主に言葉のハンディにあるようです。主催者側では言葉のハンディを緩和するために、難しい漢字にふりがなをふったり、英語を併記するなどの工夫を凝らしたりしているそうですが、この程度で日本人とのハンディが埋められるとはとても思えません。

せっかく高い志をもって来日し、一生懸命勉強したのに、大半の人がこのばかばかしいハンディのために志を全うできずに断念して帰国してしまうのは、実に気の毒です。

実際の介護福祉の仕事については、よく知りません。しかし、よくテレビで映される介護の現場を見ると、知識も大切ですが、実際の介護には、相手の気持ちを思いやる真心や仕事への取り組み姿勢、隅々まで気配りができるキメの細かさなど行動面の方が大事ではないかと思います。その点、東南アジアから来日した実習生は実によくこれに対応し、言葉はたどたどしいけど、真心と熱心さが伝わって、お年寄りたちも心から感謝しているようでした。

こんな場面を見ると、この試験にはもっと工夫が必要なのではないかと、思います。

例えば、以下のような方法はいかがでしょうか。

つまり、

  ・ 来日した日から始まる実地研修で、指導者が毎日個人別に習得ポイントを与える。

  ・ 習得ポイントは参加して自分でやってみることを最低条件として、行動の様子を指導者が共通の基準に沿って評価し、その程度によって加減する。

  ・ 介護するお年寄りからの評価も加算する。

  ・ こうしたポイントを数年間積み重ね、累積ポイントを筆記試験点数に加算する。筆記試験の配点はウエイトを小さく、累積ポイントの配点を大きくする。

どうでしょう?こうすれば、介護の現場において、より重要と思われる行動面評価がきちんと反映されることで実力本位の判定ができ、筆記試験での言葉のハンディも小さくできます。また、累積ポイントは本人にも随時知らせることによって、運命を左右する一発勝負の試験の弊害をなくして、人生設計しやすくもなります。

国家間の経済連携協定は、双方の利害が真っ向からぶつかりあうので、締結に至るまでが非常に大変です。せっかく苦労して締結した協定ですから、実際の効果もちゃんと出せるようにしてやるべきではないでしょうか。

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2012年1月30日 (月)

ドラッカー「マネジメント」サブノート、第28章(全61章)

28. 何より大切なのは、害を及ぼさないこと~それが責任のあり方である

(1)   マネジャーの第一の責任は「害を及ぼさないこと」

  ビジネスの倫理に特化した倫理などというものは存在しない

a.  企業人は毎日を誠実に生きなければならない。それは企業人に限ったことではない

  マネジャーに特有の倫理課題があるとすれば、組織のマネジャーは全体として、組織を柱とした社会のリーダー層を形成しているという事実を背景としている。

  リーダー層の一員となるということは、従来「専門的」(プロフェッショナル)と表されてきた。

a.  プロフェッショナルのグループに属することで、地位、卓越性、権威などが授けられ、義務も与えられる。

  プロフェッショナルの第一の責任は、「害を及ぼさないこと」(古代ギリシャの医師ヒポクラテス「ヒポクラテスの誓」)である。

  「何よりも大切なのは、害を及ぼさないこと」は、職業倫理や公的な責任倫理の基本ルールである。

(2)   害を及ぼしている例

  経営幹部の報酬と経済格差

・先進国においては、世間で言われるほど格差があるわけではない。

・経営幹部の報酬が法外に高すぎるなら、それは社会に害を及ぼしている例となるが、実際にはマスコミ報道が「収入格差が広がっている」という危険な思い込みを助長している。それが「害を及ぼしている例」だ。

  特別優遇措置の危険

・退職手当、特別報酬、ボーナス、ストックオプション等の優遇措置は、雇用主が働き手をしばりつけておくための手段となっている。

・今の勤務先で成果を上げられず、就職先を間違えている人々は、えてして会社にとどまるものだが、それが転職のペナルティ(今もらっている特別優遇措置がなくなるというペナルティ)が大きいせいで残るのだとすれば問題である。

・そんなことをして、働き手を、彼らが間違えたと感じている就職先にしばりつけるのは「害を及ぼしている」例である。

  利潤動機という理屈

a.  利潤は最小限の要件ととらえるべきであるのに、利潤の最大化が自社の目的だと言う人がいる。

b.  利潤最大化を目的と捉えるのは、「害を及ぼす」例である。

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2012年1月22日 (日)

ドラッカー「マネジメント」サブノート、第27章(全61章)

27.   企業と政府

(1)   従来のモデル

従来、政府と産業界の関係の指針となったのは、以下の2つの政治モデルだった。両者とも自由放任を信用せず、政府は経済やビジネスに介入せざるを得ないとの立場である。

  重商主義(フランス流には統制主義)

a.  17世紀後半に生れ、今なお大陸ヨーロッバでは主流である。

b.  経済は政治支配力、とりわけ軍事力の土台とされ、基本的に外の世界に対抗するために設けられる。

c.   経済の主な役割は外からの脅威を受けても国民国家が耐えられるよう手段を提供することで、企業人は政府役人より立場が低いとされる。

d.  政治主権の経済的土台を海外での競争力に置いている。輸出こそが目標であり、競争力の試金石とされる。

  立憲主義

a.  19世紀に主としてアメリカで発展。政府は基本的に企業と対立関係にある。

b.  両者の関係は行政ではなく、企業の悪影響を避けようとして、法律でコントロールされ、反トラスト法、規制などの手段で、企業にさまざまな縛りをかける。

(2)   新たな課題

しかし、現実は上記の従来のモデルでは説明できない。以下のような原因によって引き起こされる新たな課題がある。

  混合経済

a.  重商主義と立憲主義はともに、資本主義経済を念頭に置いている。社会主義経済でも機能することはできた(立憲主義の社会主義競争への応用⇒14章)が、政府と企業が密接に関係しながら活動と競争をする混合経済にはどちらも対処できない。

b.  軍事調達やアメリカ航空宇宙局(NASA)の事業など、政府と企業がチームを組み、共同で仕事を進める事例は今後もさらに増えるだろう。

  多国籍企業

a.  経済はもはや一国に閉じたものではないが、主権は依然として国境を超えていない。(従来モデルはいずれも、一国政府と国内産業の関係である)

b.  世界経済が国民国家の政治主権から切り離されて自律性を持つと、国境を越えた通貨や信用メカニズムを用いるが、従来モデルはこれに対処できない。

  政府の相対的地位の低下

a.  組織を柱とした社会では、政府は特別な立場を失い、具体的な目的をもったひとつの組織という位置付けになる。このような社会では政治以外のリーダーシップ層(企業経営者等)に社会的責任が負わされ、政府の役割は弱まっていく。

  専門的経営者(プロフェッショナル・マネジャー)の台頭

a.  従来モデルは起業家を念頭に置いているが、いま企業を経営するのは、学歴、経歴、価値観等で官僚と同水準の専門的経営者である。

b.  行政が逆に企業経営を手本にしようという動きもあり、政府が産業を統制したり、産業と対立関係になる従来モデルでは対処できない。

(3)   指針

従って、解決策を見出すため、個々の問題に対処する要件、対処方法を評価するための、下記のような基準が必要となる。

  企業とそのマネジメント層の自律性と責任を保つ。

企業は、「自由企業」より、「責任ある企業」を目指し、①経済の利益のため、②政府が高い成果をあげるため、③社会の利益のために、自律性と責任を持つ。

  自己変革の力を持った、自由で柔軟な社会を守る。

現在のような複雑で相互依存性の高い社会では、政府自身があまりに多くの分野に手を出す肥大化した体制から脱却し、健全に機能できるようになることが大切。(28

  多国籍企業が活躍する世界経済と国民国家の主権とをうまく調和させる。

世界経済と政治主権を平和的に共存させ、両方が守られる関係性を考えだす。

  政府が力を発揮して成果を上げられるよう後押しする。

企業経営者は政府や社会との関係を考えるのは自分たちの仕事だと認識すべきだ。

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2012年1月 5日 (木)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2011年12月末現在)

【米ドル】

12月は、月初77円台後半で始まった後、78円を挟む小動きのままで月末まで推移しました。円相場を動かす材料は、金正日死去、本邦格付け会社による日本国債格付けの引き下げぐらいで、それ以外は円相場を積極的に動かすものではなかったとの印象です。その材料は大きく、①ユーロ不安材料になるものか、②米国景気によるものかの2通りに分けられるでしょう。

前者としては、EU首脳会議の結果(後述)、ユーロ安定策の各論における各国思惑の違い、格付け引き下げ方向見直し論、主要国の国債入札動向などで、どちらかというとユーロ圏の不安につながるもの。後者としては、雇用統計など米国経済指標が比較的良好で、不安を少し後退させるものでした。

このユーロ絡みの不安がユーロ売り円買いとなったものがあれば、ユーロ売りドル買いとなって、その結果円安になったパターンもありということで、円については、それら交錯し、ほぼ膠着状態でした。ただ、年末にかけては円買いパターンなって顕れ、実需もあって76円台後半まで円高に動きました。

【ユーロ】

12月は、前半比較的堅調、後半は軟化しました。

前半は、フランスやスペインの国債入札が比較的堅調だったこと、EU首脳会議への期待などから、11月の平均水準よりは軟化したものの1.331.35台の比較的堅調に推移していました。ECBの金利引き下げも市場の予想通りです。

8日のEU首脳会議も、①財政赤字を対GDP比で3%を上回った場合は制裁が発動される財政規律強化協定、②EUによるIMFへの危機対応支援のための拠出、③ESMの設立前倒し(20127月)が打ち出されて、好感されました。

しかし、EU首脳会議でのキャメロン首相の強硬な態度、その後のメルケル首相のESM融資上限引き上げ反対、仏外務相のユーロ共同再反対意見などは、この首脳会議の盛り上がりを後退させ、ユーロ不安を以前より募らせる結果となっています。他にも欧州15ヶ国格付けを引き下げ方向で見直さとの方針や、イタリア国債入札の利回り高止まりなどの材料も加わり、後半では1.28台半ばまで売られて越年しました。

【今後の短期~長期予想】

ドル/円相場は、ユーロ圏に関する変動要因が、円に向かうか、ドルに向かうか読みにくい状況が続いて、短期では小動きのまま76~78円で推移するのではないかと思います。その中でも、ユーロ不安が新興国に広がる兆候が顕著になってきた場合は、流動性確保の必要が米ドル回帰現象となって顕れ、3~6ヶ月の中期では、米ドル堅調の陰で78円台中~後半までの円安の可能性があるでしょう。

問題は長期です。円高を利用した円投・海外投資が増えていますが、海外投資はいずれ回収されて円転されることになるため、経常収支赤字化による円安が遠のくことが考えられます。一方で財政破綻による対日不安から円安加速シナリオも考えられますが、どっちが先行するのかは政府の政策実行力次第というところでもあるでしょう。

ユーロ/ドルは、根深いユーロ経済不安は簡単には払拭できず、本年第1四半期には、国債償還が集中するため、ユーロ下押し圧力は引き続き強いと思われます。中期でみても、1.25に絡む方向ではないでしょうか。超長期でも、制度変更を伴う議論がなされない限り、下押し圧力は止まらないと思います。

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

1.   1月末(EU首脳会議)までユーロ不安対策を協議する場がなく、制度上のユーロ問題対策は出尽くしているユーロ下押し圧力。

2.   欧州各国の国債入札状況でユーロ不安の進行・後退を占う⇒円買いパターンか、ドル買いパターンか。緊急時誘導性不足と絡むと円安パターン。

3.   米ファンダメンタルズ・景気動向(経済指標)⇒良好ならリスク回避策後退し、ユーロ買い戻し、円のつれ安。

4.   欧州財政・金融システム不安から派生する当面の流動性確保の動き(米ドル買い)

5.   主要6中銀のドル資金供給協調策(~2012/1金融システム不安による緊急時流動性確保需要を緩和し、当面のドル堅調材料減退。

【中期的な材料(数ヶ月)】

1.   本年第1四半期に、PIIGS諸国の国債大型償還あり、欧州資金繰り問題から緊急時流動性不安になるとドル高円安。

2.   主要6中銀のドル資金供給協調策(~2012/1金融システム不安による緊急時流動性確保需要を緩和し、当面のドル堅調材料減退。

3.   日本:円高対策パッケージ(日本企業の海外投資支援の為JBIC通して$資金融通(残額を円投させる)、主要銀行に持ち高日次報告義務付け)

4.   11/10月のユーロ危機対応包括策合意。中期的には、包括策の実施状況に注目。

【長期的な材料(数年)】

1.   円高対策パッケージに含まれる、日本企業による海外投資支援策(ドル建て支援だが長期的にはじわり効果)。

2.   日本:復興需要と製造業の海外移転で輸出競争力低下⇒貿易収支悪化⇒経常収支悪化

3.   米国金融危機に続いた欧州金融・財政不安が、世界的なデフレに発展すると、円実質金利が相対的に低下し、円売り材料となる。

4.   米国:FOMC声明(2011/8/9)「景気回復スピード予想以上に遅く、少なくとも2013年半ばまで超低金利政策を継続する」と発表 米金利引き上げ時期のずれ込み。ドル売り材料

5.   米国:米国債務上限引上げ法案可決と引き換えに、財政赤字削減2兆ドル以上は今後2年間にGDP0.20.5%押し下げる影響

6.   欧州連合の安定運営に向け、制度変更を伴う議論が開始されない限り、ユーロの下押し圧力が継続する。

7.   円高利用の対外投資は、将来の対外債権を増やし、経常収支維持に貢献する⇒長期には円安遠のく。

8.   日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下⇒財政破綻

9.   TPP参加に向けた協議開始。貿易収支悪化懸念を緩和し、長期には円売り材料が多少後退する。

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