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2012年4月 2日 (月)

ドラッカー「マネジメント」サブノート、第37章(全61章)

37.効果的な意思決定

意思決定について標準的な手法を体系的に設けたのは日本人だけである。しかし、それは書籍が勧めるルールに反したものだ。

(1)   日本的な意思決定の方法

  欧米と日本の違い

a.  欧米 :問題への答えが重視され、答えを導く為の体系的な手法を設けようとする。

b.  日本 :重要なのはいかに問いを組立てるか。意思決定を下す必要があるのか、何についての意思決定なのかの2点を見極めるのが重要なステップになっている。

  日本の意思決定プロセスは、問題の理解に重点を置いている。

  その具体的な方法は;

a.  日本人は欧米人が「意思決定」と呼ぶ段階に到達すると、「行動の段階に着いた」と言い、トップが相応の人々に意思決定を委ねる。合意が形成されるまでの議論のプロセスで各人の考えが明らかになっているので、トップは誰に意思決定をゆだねるかを決める事で事実上答えを選んでいる。

·  この間、日本人は長い時間をかけるが、その後のプロセスは速い。

·  欧米人は意思決定してから、その中身を売り込む(関係者に働きかける)。

b.  日本人の意思決定プロセスの特徴は大きな判断を導く点だ。

·  時間がかかるので、ささいな問題の意思決定には適さない。

·  方針や行動を根本から変えるような重要な事柄にしか適用できない。

c.   欧米も日本的な手法に傾きつつあるが、依然として一つの選択肢(答え)を絞り込むことに重点を置いている。

·  日本の意思決定はどのような選択肢があるかを見極めるのが重要なステップで、あらゆる選択肢を洗い出すまでは、絞り込むことはしない。

  日本的な意思決定アプローチの基本は;

a.  何について判断するのかを決めることに重点を置く。

b.  対立するいくつもの意見を議論の俎上に載せる。

c.   正しい解より、選択肢を探りだすことに焦点を当てる。

(2)   事実か意見か

  一般的な意思決定方法では、「事実」を探るよう勧めるが、「意見」から出発すべきだ。

  (意見の前に)事実を探ろうとしても、
ごく月並みな取り組みに終わる。自分の念頭にある結論に一番合いそうな事実を探そうとする。(そして期待に沿った事実は必ずみつかるものだ)
効果的な意思決定は事実についての合意から導かれるのではない。

  「意見から出発する」方法では
意見は未検証の仮設にすぎないため、現実妥当性の基準を定めなくてはならない。

(3)   異論や対案の必要性

  意見の違いがないところでは意思決定はできない。対立するいくつもの考えをぶつけ合い、異なる視点からの対話を行い、そのなからひとつを選ぶことで判断が導かれる。

  異論が求められる理由

a.  意見の相違があれば、意思決定者は組織の囚人にならずに済む。

b.  異論がなければ対案は生れない。対案のないまま判断を下すことは、どれほど考え抜いたとしても、しょせんは伸るか反るかの賭けである。

c.   イマジネーションを刺激できる。創意工夫にによって解決策を導きだし新しい状況を切り開くため、イマジネーション(従来とは異なる見方や理解)が欠かせない。

(4)   「正しい」という罠

  ある行動だけが正しく、ほかは間違っているという前提から出発することはない。

  たしかな反証がないかぎりは、自分と異なる意見については、異なる現実に目を向け、異なる問題に関心を寄せているからだと考えるべきだ。

(5)   本当に判断する必要があるのか

  「何もしない」という選択肢も必ず存在する。

a.  現状を放置したら事態が悪化していく可能性が高いか、重要な機会が目の前にありすぐ行動しなければ失われそうな場合は判断が必要だ。

b.  しかし、かりに悩ましくあるがさほど重要でない問題があったとして、たとえ行動を起こしても事態が大きく変わりそうもないなら、性間してほうがよい。

  行動か静観かは、行動に必要な努力・リスクと、静観の場合のリスクを比べる。その指針は;

a.  コストやリスクよりも利益の方がはるかに大きいなら行動する。

b.  行動するかしないかどちらかに決め「逃げ」や妥協を避ける。

(6)   誰が仕事をすべきか~意思決定の中身を行動に移すためには、①この決定を誰に知らせるべきか、②どのような行動をとるべきか、③誰が行動を起こすべきか、④関係者にとって実行可能なものであるためには行動の中身はどうあるべきか、を決める必要がある。

(7)   正しい妥協と誤った妥協

  決定しようとしている中身が歓迎されず、実行も困難と判明し、妥協しなくてはならない時は、ふたつの種類があると理解し、誤った妥協を避けなければならない。

  妥協の2つの種類

a.  半分のパンでもないよりはましだということ。

b.  赤ん坊が半分になったのでは、ひとりもいないよりも深刻な事態であること。

(8)   フィードバック

  期待通りに現実がうごいているかどうかを検証するため、意思決定にはフィードバックを組み込まなければならない。

  このため、

a.  何を期待するのかを明確にして書き留めておく必要がある。

b.  判断を下した後の状況を組織だって追跡しなくてはいけない。

c.   このフィードバックもまた意思決定の一環であるため、意思決定プロセスのなかでフィードバックへの備えをしておくべきある。

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