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2012年4月

2012年4月30日 (月)

ドラッカー「マネジメント」サブノート、第40章(全61章)

40.   マネジャーとマネジメント科学

(1)   マネジメント科学の役割

  マネジメント科学は、ツールの一つである。マネジメント分析と言ってもいい。しかし、あくまでツールに過ぎず、マネジャーはこれを利用して意思決定する役にまわる。

  とはいえ、マネジマント科学は本来きわめて大きな可能性をもったツールである。

(2)   しかし、マネジメント科学は、これに応えていない。
その理由として以下の2つある。

  マネジメント科学の特異な成り立ち

a.  他の学問分野は、何を対象にすべきかを探るという素朴な取り組みから始まり、その後に研究に必要な概念やツールを設けた。

b.  しかし、マネジマント科学は、他の多くの分野でそれぞれの目的に沿って生み出された概念やツールを応用することから始まった。

·  企業とマネジマントは何を行い、何を必要としているかを問う前に、他学問分野の既存概念やツールをどこに応用できるだろうかということばかり考えてきた。

c.   本来科学は、まず科学の世界を合理的に定義し、その後に一貫性と適切性のある網羅的な仮説や公理を打ち立てるものであるべきだ。

·  定義 :企業は人間によって成り立っているから、人材、とりわけマネジャーたちの仮説、意見、目標、誤りなどが定義の根幹にあるべきだ。

·  仮説や公理 :「企業は経済や社会に根ざしている」を前提としたうえで、下記を反映させる。

企業が生み出すのはモノでもアイディアでもなく人間が決めた理念である。

企業が用いる測定手法は極めて複雑である。

経済活動を行うためには、リスクを負わなければならない。

絶えず起きている変化に適応するために意図して進化し、革新を推進すべきだ

  マネメント科学はリスクを最小限に抑え、取り除くことを狙いとしてしまっている

a.  企業のリスクを取り除こうとするのは無意味な試みである。将来への期待をもとに手持ちの経営資源を投じる以上、当然ながらリスクが伴う。経済発展とはより大きなリスクを取れるようになることだ。

b.  マネジマント科学は、正しいリスクを取れるように企業を導くことを主な目標にしなくてはいけない。

(3)   マネジャーがしっておくべきことがら
マネジマント科学が可能性を十分に発揮できないのは、マネジャー側にも責任がある。
マネジマント科学を実地に活かす為には、以下の4つの要望ないし期待内容がカギを握る。

  マネジメント学者に仮説を検証してもらう

a.  まずマネジャーの側で基本的な仮説を立てなければならない。

b.  そのうえで、マネジマント科学者にその仮説を検証してもらうのだ。

  どのような問いを抱くべきかを見極める

a.  マネジャーの側が、「どのような問いを抱くべきかを見極めるように」注文を出す。

b.  マネジャーが正しい問いを投げかけていないにもかかわらず、マネジメント科学に応えを導き出すよう求めているのが実情だ。

c.   マネジメント科学は、マネジャーの視点(問い)が間違っていることを指摘し、マネジャーもマネジマント科学にそれを許すべきだ。(←とかるや注釈)

  解決策ではなく選択肢を示す

a.  マネジメント科学は、いくつかの選択肢を示すことができる。どの行動プランも完璧ではなく、リスクや不透明さを伴い、それぞれに努力や支出を要する。

b.  それらをもとにマネジャーは、会社としてどのようなリスクを取り、何を守り、何を犠牲にするかを見極める。

c.   マネジメント科学に解決策を求めてはいけない。解決策はマネジャーが見極めるのだ。

  体系化ではなく理解の醸成に力を入れる

a.  マネジャーはマネジマント科学者に対し、方程式ではなく洞察を期待すべきだ。

b.  方程式はマネジメント科学者にとてのツールであり、マネジャーが関心を寄せるものではない。そこに関心を持つのではなく、判断の本質をめぐる洞察に関心を持つべきだ。

(4)   マネジメント組織(閑話休題)

  組織のつくりは古くから研究され、職能別組織、タスクフォースなど様々な組織モデルがある。

  しかし、組織は構造ありきではなく、構成要素が先にくるはずだ。

  まず、構成要素として自社の使命や戦略にふさわしい重要活動を柱に据え、そのうえで下記をポイントにふさわしい組織をつくるべきだ。

 ・業務運営、イノベーション、経営の舵取りとう3つの異なる仕事をまとめ上げる。

 ・課題と人材に重点を置きながら権限と責任のふたつを軸にして決める。

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2012年4月23日 (月)

ドラッカー「マネジメント」サブノート、第39章(全61章)

39.   管理手段、方向付け、マネジメント

(1)   管理手段と行動

  「コントロール」は単数形と複数形で意味が異なる

a.  複数形の場合 :「測定や情報」⇒手段を指す。事実、つまり過去の出来事を扱い、過去から現在までの分析に関わる。

b.  単数形の場合 :「方向付け」⇒目的を指す。期待や予想などの将来を扱う。

  大量のデータを速やかに処理し分析する手法が発展したこと等により、企業などの社会組織は、複数形のコントロールを実践する力は急速に伸ばしている。

  マネジャー任務において、複数形のコントロールは専ら手段であり、目的はあくまで単数形のコントロ-ルである。

(2)   管理手段の特徴 ~下記3つの特徴がある

  管理手段は決して客観的でも中立でもない。

a.  企業が社会状況に直面すると複雑な事象を知覚することになる。

b.  その中から、重要な事象を管理の対象とするとき、重要と見なす行為そのものが既に主観的である。

c.   企業では管理手段を使う際には、目標と理念を揚げなくてはいけない。これには必ず善悪の判断が伴うために客観的ではありえないのである。

  管理手段を用いるためには結果を重視しなくていけない。

a.  企業活動の結果は、経済、社会、顧客など社外しか求められない(利益を生み出せるのは顧客だけ)。

ž すべての社内活動は費用しか生まず、社内はコストセンターだ。

ž 一方、事業成果は社外に表れる。

b.  しかし、社外に及ぼす効果については記録や定量化手段は限られている。

ž 効率(=活動ぶり)は記録を取って定量化するのは簡単だが、事業成として外に表れる、様子は社内の各領域と比べてはるかに掴みにくい。

c.   このため、今日の組織は、外に向けた統合的な感覚器官を備えておく必要がある。

  管理手段は、測定可能な事象だけでなく、測定に馴染まない事象にも必要とされる。

a.  測定可能な結果とは、①過去に生じた、②主として内部の出来事を指す。

b.  一方、将来についての事柄や、外部の重要な出来事は測定困難である。

c.   このため、測定不能な要素(将来や外部)についても変数や制約条件などの仮定を設けておくべきだ。

(3)   管理手段に求められる条件
管理手段からの情報をもとに行動を起こすには、それに先だって情報を翻訳する(ある種類の情報をべつの種類の情報に翻訳する)する、「知覚」が必要。そのための管理手段の条件は下記の7つである。

  少ない費用ですむ。

a.  管理は経済原理にそっていなくてはいけない。⇒管理手段の数がすくないほど効率があがる。

b.  このため、管理手段を検討したり利用したりする際に、マネジャーはまず「管理をするのに必要な最小限の情報は何か」を考える必要がある。

  有意義である。

a.  測定対象は、①それ自体として重要であるものか、②一大事に発展しかねない動きの兆候であるべき。

b.  管理手段は常に、大きな目標、優先順位の高い目標、主な活動、良心が問われる領域などに関係していなくてはいけない。

c.   そのため、「当社の事業は何か、将来は何か事業になるだろうか、何を事業にすべきか」の答えを土台にしているべきだ。

  的を射ている。

a.  管理手段は測定対象の性質に合わせて設けなくてはいけない。

b.  望ましいビジョンを生み出し、効果的な行動を引き起こすためには、測定も適切に行わなくてはいけない。実態を正しく反映している必要がある。

  適合性がある。

a.  対象となる事象に適した測定を行わなくてはいけない。

b.  例えば、努力しても低い精度でしか検証できない事象については、「測定できず、範囲や概算でしか示せない」ということ情報こそ重要である。

c.   事象ごとにふさわしい測定を行うためには、一見もっともらしい細かい数字よりも、概算値や「大きい-小さい」「早い-遅い」など比較表現が正確な場合も多い。

  タイムリーである。

a.  頻繁な測定や、迅速な報告で、より管理が実現するとは限らない。

b.  最近は、「リアルタイム管理」が話題になるが、大抵の事象には、リアルタイム管理は役に立たない。

c.   測定の間が空いても、経験豊かなマネジャーはその合間にも目配りを絶やさない。

d.  逆に、測定の間隔をあけ過ぎる危険もある。適切なタイミングが必要なのである。

  簡潔である。

a.  管理手段はシンプルでなくてはいけない。

b.  複雑な管理手段はうまく機能せず、混乱を招く。人々は管理の対象から目をそらし、管理の仕組みや手法にばかり気を取られる。

  業務に根ざしている。

a.  管理手段は実務に根ざし、行動に焦点を合わせている必要がある。

b.  報告、調査、数値など何にせよ、管理手段(複数形コントロール)は必ず、管理行動(単数形コントロール)をとれる立場の人が手にしなくてはいけない。

(4)   組織における究極の管理

  組織は人によって構成されており、人々の行動は報償や懲罰によって形作られる。

  人事面での判断は、組織における究極の管理であり、これだけが効果を持つ。

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2012年4月20日 (金)

ドラッカー「マネジメント」サブノート、第38章(全61章)

37.   マネジメント・コミュニケーション

(1)   これまでの教訓
私たちは主に失敗をとおして、コミュニケーションの以下の4つの基本を学びとってきた。

  コミュニケーションは知覚されてこそ成り立つ。

a.  コミュニケーションの主体は発信者ではなく受け手(知覚者)だ。

b.  知覚できる対象には限りがある。

·  ソクラテスは「バイドン」で、「人々に何かを語りかけるときは、相手の経験に引き付けた中身にするとよい」と述べた。

·  言葉の意味を説明するのは無駄な試みである。経験に根ざしていない言葉は受け止めようがない。知覚の限界を超えているわけである。

c.   従って、コミュニケーションを行う際には、真っ先に受け手の知覚範囲に収まっているか否か、相手はこれを受け止める事が出来るか否かを問うべきだ。

d.  知覚の範囲は能力によって制約される(メアリー・パーカー・フォレット「組織行動の原理」1941

·  物事を学びとる能力(経験をもとに心の持ち方を変える能力)に差がある。

·  意見の対立やいさかいは、答えや表面的な事柄を巡って起きるのではなく、知覚の不一致によって起きる。

  コミュニケーションは期待である。

a.  私たちは原則として、自分が期待する事柄しか知覚しない(見たいことを見て、聞きたいことを聞く)。⇒期待をテコにコミュニケーションに弾みがつけられる。

b.  期待に反する中身を知覚するためには、どのような知覚内容を期待しているのか、あらかじめ心得ておかなければならない。その上で従来の延長線上にはない異変が起きようとしていることを知る必要がある。⇒ショック療法によって相手の期待を打ち壊し、期待と異なる事柄が起きていることを悟らせる必要がある。

c.   このため、受け手が見聞きしたいと考えているか、把握しておかなくてはいけない。それにより、上記のa.の対応をとるか、b.の対応をとるかが見えてくる。

  コミュニケーションは受け手に負担を強いる。

a.  ある記憶力についての実験で、下記がわかった。

·  人は、心地よい連想を誘う単語は記憶に残り、不快な連想を誘う単語は忘れ、

·  どちらでもない無意味な文字列は記憶に残り易い。

·  無意味な単語は受け手の心に負担をかけないから、記憶はもっぱら機械的に機能するのである。

b.  上記のようにコミュニケーションは受け手に負担を強いる。何かの型にはなるように、何かをするように、何かを信じるように求め、誘因としての役目を果たすのだ。

c.   このため、受け手の理念、目的などに沿った内容は効果を発揮するが、それに反していると反発される。

·  改心を目的としたコミュニケーションは相手に降伏を求める。

  コミュニケーションと情報は、異質どころか対照的だが、互いに依存している。

a.  コミュニケーションは知覚と拘わるが、情報は論理を結びついている。また、有用な情報の条件は、有用なコミュニケーションの条件の対局にある。

·  情報は形式的、具体的なもので意味をなさず、人間関係とも人間らしさとも無縁。

·  コミュニケーションを成り立たせるためにはさまざまな要素が絡み合った全体を知覚する必要があるが、情報を処理する際には個々の具体的なデータを扱う。

b.  その反面、情報はコミュニケーションを前提として成り立っている。

·  情報は必ず記号化されている。記号の存在を知り、理解しない限り、それを受け取り、活用できない。

·  このため、予め何らかの合意、つまりはコミュニケーションが必要となる。

(2)   上意下達が効果をあげない理由
では、私たちの知識と経験から、コミュミケーション成功の条件として何がわかるのか。

  送り手がコミュニケーションの主体だとの前提に立ってはいけない。

a.  自分たちの伝えたい中身ばかりを重視しては、成果はあがらない。

b.  コミュニケーションでは受け手の果たす役割が大きい。

c.   上意下達で伝えられるのは、命令、つまりあらかじめ決められた合図だけだ。

  理解に関わる事柄は知覚する側かr知覚を誘おうとする側へのボトムアップ型のコミュニケーションが求められる。

  しかし、単に耳を傾けるだけでは十分ではない。上司は部下の主張を理解できる、つまり部下はコミュニケーション能力があるという前提にたっているからだ。耳を傾けるのは第一歩に過ぎない。

  また、良い情報を多く得たとしても、コミュニケーションの問題の解決にはならない。

a.  情報の処理は、事前の合意に大きく頼る。事前の合意はコミュニケーションによって形成される。

b.  人間のコミュニケーションが情報処理の効果を左右する度合いを決める。

  これらは、情報量が増えているにもかかわらず、コミュニケーションがそれに見合って増えていない状況を映し出している。

(3)   マネジャーには何ができるか?
では、コミュニケーションに関して出来ることは何か。

  出来る事の条件としては;

a.  コミュニケーションは送り手ではなく、伝えたい相手を起点とすること。

b.  ボトムアップで始めなくてはいけない。

c.   下から上へのコミュニケーションがうまく定着したら、上から下へのコミュニケーションを検討する。

  その具体的な方法は;

a.  MBO :送り手と受け手がともに知覚できる共通するものとして、目標による管理を実践することがあげられる。

·  MBOでは、上司も部下も組織への貢献として目標を捉える。

·  上司と部下が同じ現実を異なる視点から眺めていても、それがわかればすでにコミュニケーションが生じているといえる。

b.  人事考課 :能力や実績を評価し、能力開発の方向性をめぐって議論するのもコミュニケーションの土台作りに役立つ。

·  この取り組みは、部下の悩みに耳を傾けながら、様々なテーマについて考え方を聞きだし、その期待に応えようとするものだ。

  組織におけるコミュニケーションは、手段ではなく、行動や発想の様式なのである。

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2012年4月 2日 (月)

ドラッカー「マネジメント」サブノート、第37章(全61章)

37.効果的な意思決定

意思決定について標準的な手法を体系的に設けたのは日本人だけである。しかし、それは書籍が勧めるルールに反したものだ。

(1)   日本的な意思決定の方法

  欧米と日本の違い

a.  欧米 :問題への答えが重視され、答えを導く為の体系的な手法を設けようとする。

b.  日本 :重要なのはいかに問いを組立てるか。意思決定を下す必要があるのか、何についての意思決定なのかの2点を見極めるのが重要なステップになっている。

  日本の意思決定プロセスは、問題の理解に重点を置いている。

  その具体的な方法は;

a.  日本人は欧米人が「意思決定」と呼ぶ段階に到達すると、「行動の段階に着いた」と言い、トップが相応の人々に意思決定を委ねる。合意が形成されるまでの議論のプロセスで各人の考えが明らかになっているので、トップは誰に意思決定をゆだねるかを決める事で事実上答えを選んでいる。

·  この間、日本人は長い時間をかけるが、その後のプロセスは速い。

·  欧米人は意思決定してから、その中身を売り込む(関係者に働きかける)。

b.  日本人の意思決定プロセスの特徴は大きな判断を導く点だ。

·  時間がかかるので、ささいな問題の意思決定には適さない。

·  方針や行動を根本から変えるような重要な事柄にしか適用できない。

c.   欧米も日本的な手法に傾きつつあるが、依然として一つの選択肢(答え)を絞り込むことに重点を置いている。

·  日本の意思決定はどのような選択肢があるかを見極めるのが重要なステップで、あらゆる選択肢を洗い出すまでは、絞り込むことはしない。

  日本的な意思決定アプローチの基本は;

a.  何について判断するのかを決めることに重点を置く。

b.  対立するいくつもの意見を議論の俎上に載せる。

c.   正しい解より、選択肢を探りだすことに焦点を当てる。

(2)   事実か意見か

  一般的な意思決定方法では、「事実」を探るよう勧めるが、「意見」から出発すべきだ。

  (意見の前に)事実を探ろうとしても、
ごく月並みな取り組みに終わる。自分の念頭にある結論に一番合いそうな事実を探そうとする。(そして期待に沿った事実は必ずみつかるものだ)
効果的な意思決定は事実についての合意から導かれるのではない。

  「意見から出発する」方法では
意見は未検証の仮設にすぎないため、現実妥当性の基準を定めなくてはならない。

(3)   異論や対案の必要性

  意見の違いがないところでは意思決定はできない。対立するいくつもの考えをぶつけ合い、異なる視点からの対話を行い、そのなからひとつを選ぶことで判断が導かれる。

  異論が求められる理由

a.  意見の相違があれば、意思決定者は組織の囚人にならずに済む。

b.  異論がなければ対案は生れない。対案のないまま判断を下すことは、どれほど考え抜いたとしても、しょせんは伸るか反るかの賭けである。

c.   イマジネーションを刺激できる。創意工夫にによって解決策を導きだし新しい状況を切り開くため、イマジネーション(従来とは異なる見方や理解)が欠かせない。

(4)   「正しい」という罠

  ある行動だけが正しく、ほかは間違っているという前提から出発することはない。

  たしかな反証がないかぎりは、自分と異なる意見については、異なる現実に目を向け、異なる問題に関心を寄せているからだと考えるべきだ。

(5)   本当に判断する必要があるのか

  「何もしない」という選択肢も必ず存在する。

a.  現状を放置したら事態が悪化していく可能性が高いか、重要な機会が目の前にありすぐ行動しなければ失われそうな場合は判断が必要だ。

b.  しかし、かりに悩ましくあるがさほど重要でない問題があったとして、たとえ行動を起こしても事態が大きく変わりそうもないなら、性間してほうがよい。

  行動か静観かは、行動に必要な努力・リスクと、静観の場合のリスクを比べる。その指針は;

a.  コストやリスクよりも利益の方がはるかに大きいなら行動する。

b.  行動するかしないかどちらかに決め「逃げ」や妥協を避ける。

(6)   誰が仕事をすべきか~意思決定の中身を行動に移すためには、①この決定を誰に知らせるべきか、②どのような行動をとるべきか、③誰が行動を起こすべきか、④関係者にとって実行可能なものであるためには行動の中身はどうあるべきか、を決める必要がある。

(7)   正しい妥協と誤った妥協

  決定しようとしている中身が歓迎されず、実行も困難と判明し、妥協しなくてはならない時は、ふたつの種類があると理解し、誤った妥協を避けなければならない。

  妥協の2つの種類

a.  半分のパンでもないよりはましだということ。

b.  赤ん坊が半分になったのでは、ひとりもいないよりも深刻な事態であること。

(8)   フィードバック

  期待通りに現実がうごいているかどうかを検証するため、意思決定にはフィードバックを組み込まなければならない。

  このため、

a.  何を期待するのかを明確にして書き留めておく必要がある。

b.  判断を下した後の状況を組織だって追跡しなくてはいけない。

c.   このフィードバックもまた意思決定の一環であるため、意思決定プロセスのなかでフィードバックへの備えをしておくべきある。

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外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2012年3月末現在)

【米ドル】

3月は、後半にかけてドル高が調整される展開でした。
2月に勢いよく上昇したドル¥相場は、3月に入っても中旬伸ばし、2月からみると、76円台前半から、3月中旬の84円台前半(11カ月ぶり、84.18)をつけるまで、8円近くも円安ドル高になったことになります。
まず2月末に、FRB議長発言「前回緩和(QE2)実施時のデフレは解消した」、3月初め、日銀総裁の発言「1%をインフレ目途にした緩和継続」から始まり、8日には、1月の本邦経常収支が3年ぶりの赤字となったこと、さらに市場予想を上回る米非農業部門雇用者数等雇用環境の改善、ギリシャの債務交換への楽観的見方が広がったことなどことごとくが、米ドルを支持し円を売る効果となりました。
まとめると、
ドル買い材料 :主要指標から米経済回復が見え、デフレ解消⇒金利上昇
円売り材料 :経常収支赤字。金融緩和策継続⇒円金利低下
リスクオン材料 :ギリシャ債務交換等の不安払拭材料⇒円売りユーロ買い

とういことになりましょうか。
しかし、中旬以降は、米経済指標に少し心配がでてきたことや、先月にはデフレ解消と言っていたFRB議長が「失業率下げるためには緩和継続の必要がある」と警鐘を鳴らしたことなどで、頭打ちとなり、82円台での月超えとなりました。

【ユーロ】

3月は、中旬にかけて弱含んだ後下旬には結局月初水準以上に戻す展開でした。
前月後半には、ギリシャ支援に関わる懸案事項が合意に至った事を材料に1.35水準まで回復した後、1.33台まで下げて月越えしましたが、3月はここから、中旬にかけて売り買い交錯しながら1.30水準まで弱含みました。
まずしょっぱなに、スペインが、EUの財政規律に逆らうように2012年財政赤字削減目標を緩和することを表明したことで、一部に再びユーロ不安が起こりました。その後はギリシャ債務交換の民間債権者参加率が上昇したことを好感して回復する場面もありましたが、米FRB議長発言や好調な米経済指標に米金利上昇したことなどから中旬にかけて1.30水準まで弱含んだわけです。
その後は、ギリシャ国債の債権好感がまとまったこと、ECBの3年物オペ資金供給が安定に貢献すると評価されたこと等の、ユーロ圏経済に関わる好材料に加えて、円安にも貢献した、米FRB議長の「失業率低下には緩和継続が必要」発言で米金利上昇期待材料が薄まってドル売りユーロ買いとなり、末にかけては月初水準を上回る1.33台半ばまで買われて月を越しました。
ただ、「行って来い」の相場展開とはいえ、1.30近辺~1.33半ばの狭い幅での動きでした。いわゆるユーロ財政不安が一巡し、その後の材料には乏しいといった状況です。

【今後の短期~長期予想】

短期
ドル円では、先月と同じように米主要経済指標の発表の度に神経質に売り買いが交錯するでしょう。また、それと関わりを持ちながら、日米金融当局の政策に関するコメントにも一喜一憂させられそうです。神経質な振れがどっちに向かうかというと、市場でのネット円売り持ち高は積み上がっていることや実需もあって、上値は重たく、ドル買い円売りの勢いはこれまでほどは強くなく、むしろ80~83円と少し弱含むくらいの方向感なのではないかと思います。
ユーロドルは、ユーロ経済圏の財政不安に関して中長期的には懸念材料はあるものの短期では大きな変動材料とはなりにくいと思います。ただ、仏やキギリシャの選挙を先取りする投機的な動きはあると考えられ、その場合はUE統合や緊縮財政の動きにブレーキがかかるとのリスク材料として扱われユーロ売り要因となるのではないかと思われます。しかし、IMMのユーロ売り持ち高はまだ大きく積み上がったままであることを思うと、それほど大きく下落することはなく、現状の水準前後での動きではないでしょうか。

中長期
ドル円は、昨今のドル買い円売りの勢いが短期では引っ張るものの、中期では米金融政策の基本は緩和方針をベースとしたものであることを忘れてはいけません。円固有の材料として、日銀の緩和政策強調や円高利用の海外投資活発化などあるものの、数年後の本邦経常赤字化を見越した投機的円売り持ち高の維持はそれほど続けられるとは思えないことや、中国など新興国の成長鈍化を受けたリスク回避の動きもあること等から、中期には円が強含み、再び76~79円台ということもあると思います。
しかしそれでも、長期では経常収支赤字を根拠とする大きな円安の流れに変わっていく予想は変えていません。
ユーロドルは、4~5月に予定されている選挙の結果に左右されるでしょう。仏では実質的な2大候補のどちらが勝っても、緊縮財政やEU安定化を図る方針に大きくぶれることはないと思いますが、それでも市場には不安要素となるし、ギリシャの場合は政権の不安定がそのまま財政の不安につながるでしょうから、短期では現状水準と予想しても中期ではドルに対して弱い動きとなると思います。長期でも財政を統合できるような新たなEU統合枠組みが具体化しない限り、大きく回復する見込みなく、むしろ1.20水準からさらに下へ売られる可能性もあると思います。
ただし、将来は、特に企業経営戦略の切り口からは、円もユーロも対米ドルで捉えるより、もっと他の例えば新興国通貨との関係で見ていく方が戦略に生かしやすいかもしれません。

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

1.   米FRBの追加緩和策に関する姿勢。主要経済指標とのバランスで見る。

2.   米ファンダメンタルズ・景気動向(経済指標)良好ならリスク回避策後退し、ユーロ買い戻し、円のつれ安。

3.   フランス大統領選挙、ギリシャ総選挙の結果を予測した投機行為トップ変わるような予想に対してはユーロ不安を煽る相場に。

4.   IMM先物投機筋の円ネット売り持ち高積み上がり。ポジション調整による潜在円高材料。

5.   IMM先物投機筋のユーロネット売り持ち高が以前有意な水準。ユーロ不安払拭しきれていない。

6.   主要6中銀のドル資金供給協調策(~2012/1金融システム不安による緊急時流動性確保需要を緩和し、当面のドル堅調材料減退。

【中期的な材料(数ヶ月)】

1.   将来の円売り材料(日本の貿易赤字定着化、経常赤字化)を見越した投機行為横行。

2.   日銀の金融政策(2012/2月発表:インフレ目途1%、資産買入基金規模5565兆円)効果。

3.   フランス大統領選挙(4~5月)、ギリシャ総選挙(5月)UE統合や財政緊縮の動きに水を差すような結果であれば、再びユーロ安へ。

4.   世界経済への影響が心配される、中国など新興国の景気動向。悪ければ、リスク回避行動から円高へ。

5.   日本:円高対策パッケージ(日本企業の海外投資支援の為JBIC通して$資金融通(残額を円投させる)、主要銀行に持ち高日次報告義務付け)

6.   主要6中銀のドル資金供給協調策(~2012/1金融システム不安による緊急時流動性確保需要を緩和し、当面のドル堅調材料減退。

【長期的な材料(数年)】

1.   日本:復興需要と製造業の海外移転で輸出競争力低下貿易収支悪化経常収支悪化

2.   米国:2013年半ばまでとしていた超低金利(ゼロ金利)政策を、2014年末まで継続すると決めた。

3.   円高対策パッケージに含まれる、日本企業による海外投資支援策(ドル建て支援だが長期的にはじわり効果)。

4.   円高利用の対外投資は、将来の対外債権を増やし、経常収支維持に貢献する長期には円安遠のく。

5.   欧州連合の安定運営に向け、制度変更を伴う議論が開始されない限り、ユーロの下押し圧力が継続する。

6.   米国:「米国債務上限引上げ法案可決と引き換えに、財政赤字削減2兆ドル以上」は今後2年間にGDP0.20.5%押し下げる影響

7.   米国金融危機に続いた欧州金融・財政不安が、世界的なデフレに発展すると、円実質金利が相対的に低下し、円売り材料となる。

8.   日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻

9.   TPP参加に向けた協議開始。貿易収支悪化懸念を緩和し、長期には円売り材料が多少後退する。

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