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2012年5月16日 (水)

ドラッカー「マネジメント」サブノート、第41章(全61章)

41.   新しいニーズと手法 ~とかるや注釈:組織構造の重要性と考え方

私たちは、適切な組織を持つ重要性を認識している。最善の組織構造を取り入れたとしても、成果や業績が保証されるわけではないが、組織のつくりが不適当では、決してまともな成果はだせない。

(1)   過去の「最終解」
第二次大戦後数十年間に生れた新しい組織構造のモデルのうち、職能別組織と連邦分権制ほど、必要な要件を十分に備えたモデルはない。しかし、最近では組織が変化し、これらの適合性が失われつつある。

  職能別組織

a.  1910年ごろ、アンリ・ファヨール(仏実業家)がメーカーの各職能を検討して導出した組織構造。

b.  当時はメーカーの組織づくりが大きな課題であった。

  連邦分権制

a.  1920年代、アルフレッド・P・スローン・ジュニアがGMの組織を検討して示した。

b.  各事業部には大きな権限を与えてファヨールの職能別組織を取り入れながら、全体のコントロールは本社が担う。

(2)   従来の前提と現在のニーズ :上記の最終解が適合性を失いつつある背景をGMの組織構造の変化でみていく。

  GMはメーカーであり、フョールもまたモノづくり企業を念頭に置いたが、今私たちが直面するのは、モノづくりを必ずしも主体としない大規模企業の組織構築の課題である。

  GMは単一技術をもとに単一市場で単一商品を販売したが、今は、たいていのい企業が複数の技術と製品を扱い、複数の市場で販売している。

  GMにとって米国以外はいまだに本国とは距離のある傍系組織であるが、近時目覚ましい成長を遂げた多国籍企業にとり、多くの国や市場が同等に近い位置付である。

  GMは概ね一国で製造販売しているため、情報はさほど深刻な問題とならないが、多国籍企業は情報の流れに合わせることに留意しながら組織を検討しなければならない。

  GMの従業員の8割までは肉体労働が事務処理だが、先進的な組織においては知識労働とその担い手への対応が重要課題となっている。

  GMは既存事業の運営を主な使命としてきたが、起業家精神やイノベーションをめぐる課題は増える傾向にある。

(3)   これまでに学んだ事柄 :上記の結果、新しいニーズが生じている。そのために組織構造・組織設計において私たちが学んだことは;

  組織のつくりは放っておいても進化するものではないということ。

a.  放っておいても進化するものは、混乱、摩擦、不手際だけ。

b.  直感だけでは組織は築けない。熟考、分析、体系的な手法が必要である。

  いきなり組織を決めるのではなく、まず組織の構成要素が何かを見極めること。

a.  ファヨールは業務内容を軸として職能分野について組織のつくりを決めようとした。

b.  しかし、今日では、貢献内容をもとに決めるべきだと考えられている。

  「組織は戦略に従う」

a.  組織のつくりは組織目標を達成するための手段である。このため組織構造についての研究は目標と戦略から出発しなくてはいけない。

(4)   三種類の業務 :業務は組織の構成要素ではないが、どんなシンプルな組織も業務をこなさなければならない。それは、第一に「日々の実務」、第二に「経営トップの仕事」、第三に「イノベーションの推進」である。これら3つの全部に当てはまる組織原理は存在しないが、それでもこれ等業務を組織化してまとめなければならない。

(5)   頭から消し去るべき議論 :組織構造をつくるに当たって、下記のようなまやかしの議論にまどわされてはいけない。

  任務と人材のどちらに重点を置くべきかという議論

a.  組織設計にあたっては、任務を重視なければいけない。仕事は人間味を取り除いて目標にそって行うべきものだ。

b.  他方、職務そのものは人間がこなすもの。だから仕事の割り振りでは、各人材に何が適しているか、状況が何を求めているかをもとに決めるべきである。

  階層制組織と自由型組織のどちら優れているかという議論

a.  部分と全体の両方に当てはめることができるのは、階層構造だけである。

b.  階層制組織批判者は、「上位者に権限が集中し過ぎる」というが、むしろ上からの身勝手な権限行使化から部下を守る利点がある。階層を超えた指示・命令は許されない。

c.   また、階層制組織のほうが各自の自由度は高い。組織の仕組みによって各人の仕事、権限、周囲との関係性が明確に定まっているからだ。

d.  一方、自由型組織は、「名は体を表さない」典型である。組織の柔軟性が高いと、各成員はその分おおきな負担を引受けなくてはいけない。

  組織論における唯一最善の解があるはずだという議論

a.  かりにあっても、私たちにはそれが何であるかは分らない。

b.  職能別組織・連邦分権制に加え、主に3つの組織原理(チーム組織、疑似分権制、システム組織)が生み出された。いずれも特定の仕事や任務に関しては最善の仕組みであるものの、普遍的な原則ではない。

c.   どんな仕組みであっても、成員が成果をあげて組織に貢献できるなら正しい答えでありえる。

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