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2012年5月15日 (火)

消費税は景気の腰を折るのか、はたして逆進性があるのか。

消費税率引き上げを巡って、議論が白熱していますが、いわゆる「慎重派」の反対理由が具体性を欠いていてよくわかりません。理由とされているものの中には、

A.景気回復の腰を折るから・・・とういのと、

B.逆進性が不平等だから

というのがあるようです。

【むしろ景気へは良い影響】
まず、景気への影響についてです。これは、経済理論に基いた議論が学者を交えて盛んに行われているようです。日本の場合、政府の借金は国内債だから財政破綻はありえないので、デフレを克服するまで気にしてはいけない。だから消費税は増税してはいけないと主張する学者が居れば、財政破綻が見えるようになると、金利が高騰しで大変だという学者もいます。

そんな中で、先日テレビを見ていたら、こんなことを言う若者が居ました。「消費税が上がって年金財源が確保されるなら、将来に不安を持っている若者の不安を払拭し、いろんなものに挑戦しやすくなる。その結果、むしろ投資や消費が増えて景気が良くなるのではないか。」う~ん、そうかもしれませんね。今の閉塞感は将来への不安が原因であると私も思いますから、このコメントに思わず納得してしまいます。

【財政破綻の方が深刻】
結局、税率を上げてもそれほどマインドが落ち込むことはないかもしれません。それより、高齢化によって貯蓄が減ってくれば、今は内国債でも数年のうちに外国人投資家に頼らざるを得なくなると考えられるから、やっぱり景気の腰が折れる心配より財政破綻の方が深刻であると、私は思います。

【逆進性の主張はその根拠がへん】
一方の逆進性についてはどうでしょう。
そもそも、なぜ逆進性と言われるのかについてですが、所得をベースにして税金の所得に対する比率を計算すると確かに、高所得より低所得の方が、比率が高くなります。それは、いくら所得が増えたからといって、人々の消費量は所得が増えるほどの勢いでは増えないという理屈に基づいています。
しかしその理屈は正しくありません。いま使わなくても長期的には、結局消費に回って、消費額は所得額と同じになるからです。その結果消費税は、累進性はなくても少なくとも逆進ではないと言えます。それを以下に説明しましょう。
【その説明~少なくとも逆進ではない】
今、仮に¥100の低所得者と¥1,000の高所得者が居たとして、低所得者の消費は¥100(貧乏なので所得の全額を使い果たしてしまう)、高所得者の消費はそれより多く、¥300としましょう。この場合、消費税率10%として、税金の所得に対する比率を計算すると、低所得は10%、高所得者は3%となります。消費税反対派は、これを指して低所得者ほど税率が高くなって平等ではないと主張しているわけです。

【逆進ではない理由】
ところで、¥1,000の高額所得者は、消費しなかった¥700を貯蓄に回すことになりますが、その貯蓄はいつまでも貯蓄しっぱなしというわけではありません。¥700は一旦貯蓄されるが、それは将来の消費の為に待機しているだけで、いずれは物やサービスと交換され消費税を払うことになる。だから、所得¥1,000の高所得者は、長期的にみれば¥100納税することになるというわけです。貯蓄しまま死んだとしても、相続者が消費するでしょう。だから所得に対する税の比率も最終的には低所得者と同じ10%になります。

【累進にする検討案】
さらに、累進にする方法だってあります。現在検討されている方法は、税額控除による方法と軽減税率による方法の2つです。いずれも内容は新聞などで解説されているので、理解も浸透していると思いますが、念の為書いておくと;

§ 税額控除 :低所得者の税金を納税時に減らしてあげる方法。減らしてあげる金額より納税額が小さい場合は、その恩恵を受けられないので、その場合は給付することも検討されています。「給付付き税額控除」ってやつですね。

§ 軽減税率 :生活必需品の税率を軽くして、贅沢品ほど高くする方法。英国などでは一部食品は税率ゼロであるようです。

軽減税率は主として自民党が主張していました。民主党は一旦この方法を選択肢からはずしましたが、野田総理は再び選択肢に入れて検討しているようです。給付するややこしさや、消費税は消費税の枠内で対応すべきとの筋論から、当然後者を採るべきではないでしょうか。

【消費税に消極的賛同】
以上のようなわけで、私は消費税に賛同します。
税金が上がるのは、支払う立場からすれば誰だって嫌います。税を上げる前に経費を削減する方が先だという主張もわかります。しかし、ここ何年も節約を工夫してきたけど効果が出ない。もう限界じゃないでしょうか。
節約工夫は終えて節約余地はもう残っていないから、いよいよ増税を許容しようと言っているのではありません。節約工夫はその方法が間違っていたから、時間だけが無駄に過ぎてしまった。節約は時間切れになってしまったからやむなく増税を許容しようと、むしろ消極的賛同です。

【多少の感情論】
少し感情が入りますが、その節約、本気なら、国会議員の数を十分の一にできるのではないかと。それから、一般会計、特別会計合わせて200兆円以上あるのに、なぜ事業仕分けでたった1兆円しか捻出できなかったのか・・・とか。
いろいろありますが、とにかく今はもう時間切れです。

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コメント

鳩山元首相を考えてください。
お爺さんやお父さんたちが残した株の配当が億単位ですよ。資産家は代々資産を増やしては残していくのが普通です。
稼いだ大金を使い切るような人間は、小室哲也ぐらいです。

大竹教授の「消費税は本当に逆進的か」の受け売りでしょうが、大竹教授は「消費税は累進的」とするため数字まで誤魔化していますよ。

投稿: ステレオ | 2012年7月 6日 (金) 09時27分

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