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2012年5月 7日 (月)

外貨預金は必ず損する。儲かるとすれば、それは為替投機でしかない。

日曜日にある銀行から自宅に電話がかかってきました。外貨預金のお勧めです。銀行は月曜日から金曜日の9時から3時までしかシャッターを開けていないのに(一部の銀行を除き)、日曜日にもこうやって営業の電話をかけてくることがあるようです。
昔と比べて随分と変わったものです。いや、それとも外部のコールセンターサービスに外注しているのかな。それにしたって大変なもんです。

【高い利率を強調するだけ】

しかし、だからかどうだか分かりませんが、説明には金融マンとしての専門性があまり感じられず、売り込みだけが先行しているような印象でした。米ドル建ての外貨定期預金の金利が年率12%もあるとしきりに強調していたのです。
これにはもっと説明が必要です。それを為替リスクヘッジしない場合とする場合に分けて考えてみましょう。

【損する理由説明~為替ヘッジしない場合】

まず、為替リスクヘッジをしない場合です。
例えば、US$1,000.00を1ヶ月の外貨預金にする場合で、預け入れる時の為替レート仲値をUS$1.00=¥80としましょう。金利は件の銀行の言う通り、12%とします。

預け入れ時
この場合、まずUS$1,000.00を手に入れなければなりませんから、円資金を銀行に持ち込んで米ドルに換えてもらいます。仲値が80円だから80円で交換できるかというと、そうではありません。銀行は外貨への交換手数料として、US$1.00当たり1円の手数料を取りますから、適用するレートは81円です。で、US$1,000.00を手に入れるには、¥81,000必要ということになります。

満期時の元利金は、なんと少なくなっている
さて、無事その銀行が倒産しないで1ヶ月後の満期を迎えました。元金と利息を計算します。(倒産してしまったら、現状ではまだ外貨預金は預金保険の対象にはなっていませんから、銀行に対するクレジットリスクが顕現化することになります)

元金=US$1000.00
利息=US$1,000.00×12%×(1/12)=US$10.00

1/12)をかけるのは、利率12%が年率、つまり1年間の利息なので、1ヶ月の場合はその利息の12分の1になるからです。
元金と利息の合計、US$1,010.00をもらったのでこれを円に交換します。この時のレートは幸い相場変動がなくて、預け入れた時と同じ¥80だったとします。しかし、80円で交換できるかというと、そう言うわけにはまいりません。銀行はここでも1円ずつ手数料を取りますから、適用されるレートは79円です。だから、円価での受取金額は、

US$1010.00×79=¥79,790

はじめに使った円資金¥81,000と比べると、なんと損しているではありませんか。

その「からくり」
からくりが2つあります。
ひとつは、往復2円の手数料です。お客さんが大手企業などでしたら、99円優遇とか言って、1銭で済む場合もあるかもしれませんが、個人相手ではそんなことありません。
ふたつ目はもちろん為替リスクです。上記では相場変動がないとの前提ですが、預け入れ時よりも円高になってしまえば、もっと損することになります。
逆に、きちんと年率12%の利息を確保するためには、いくら円安になっている必要があるでしょう。手数料は往復1円取られるとした場合は、¥2円安になって、¥82になっている必要があります。
また、円価での定期預金以上の利息を得ようと思ったら、いくら円安になっている必要があるのでしょう。仮に円価定期預金の年率が1%なら、

((¥81,000+(¥81,000×1%×(1/12))÷US$1,010.00)+¥1(円転手数料)

=¥81.26

始めの¥2や後の¥1.26が高いか安いかは人によって違うと思います。

【損する理由説明~為替ヘッジする場合】
さて、次は場合分けした後者の「為替リスクヘッジをした場合」です。
この場合は、預け入れ時に、満期時に円転する時の適用レートを予約しておくことでリスクヘッジができます。このような先物予約の方法以外にもヘッジの方法は山ほどありますが、先物予約と同じような効果を得ようとするなら、基本的には全部同じです。

ヘッジレートの決まり方
問題は、先物予約はどんなレートで締結できるかです。

自分で望むレートで予約できるわけではなく、銀行から呈示されたレートでしか予約できません。提示されるレートは市場の均衡値で決まります。じゃあ市場ではどんな力が働いて均衡するかというと、円と米ドルの金利差を打ち消すようにして決まります。つまり、円で預金する場合と外貨で預金する場合の利息が同じになるようにしかレートは決まらないのです。なぜなら、どっちかが儲かるとなれば、そっちの方向へ取引がどんどん集まり、結局需要と供給の関係から、どっちも儲からないような点にまた戻るからです。これを裁定取引と言います。

手数料分だけ必ず損する
儲からないなら損しないのかというと、そうではありません。ここでも銀行の手数料が邪魔します。結局、ヘッジした場合は、必ず往復2円の銀行手数料の分だけ損する仕組みになっているわけです。

【結論】
結論として言えるのは、「外貨預金は為替投機である。投機でない外貨預金は、必ず手数料分だけ円価預金より損する。」ということです。
銀行員ならお客さんの立場に立って、あらゆるリスクを考慮し、それを自分でよく調べて評価し、自分に置き換えてみてお客さんに勧めるべきでないと判断されるなら決して勧めないという良識があってほしいものです。

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投稿: リンクシェア・ジャパン倉橋 | 2016年7月21日 (木) 12時46分

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