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2012年7月10日 (火)

ドラッカー「マネジメント」サブノート、第45章(全61章)

45.   仕事と課題のどちらを中心に据えるか:職能別組織とチーム組織

(1)   職能別組織とチーム組織

  全ての仕事は下の3つの方法により組織化できる。

a.  業務プロセスの段階に応じて組織を分ける方法
家を建てる時に、土台を作り、骨組を築いて屋根を載せ、最後に内容を仕上げる。

b.  仕事のステップごとに必要な技能やツールのある場所で仕事をする方法
教育プロセスの素材である学生が、教室から教室へ移動しながら各講座を受ける。各教授は自分の専門分野だけを扱う。

c.   仕事の内容に応じて異なる技能やツールを持った人材を集めてチームを構成する方法
映画作りなど。

  職能別組織は、互いに関連する技能を集めた組織だが、職能だけでなく業務プロセスも切り口にしている。人材は一定の位置にとどまり、その間を仕事が移動する。

  チーム組織は、仕事や課題は一定の場所に固定され、人材が移動する。

  職能別あるいはチーム、少なくとも一方の原理を用いる必要があり、両方を併用すべき事も少なくない。

(2)   職能別組織

  長所と短所

a.  長所

·  きわめて明快で、誰もが自分の居場所を持ち、自分の課題が何かを理解できる。

·  安定性が高い。組織との相性がよければ、人材への心理的負担を少なく押さえ、人間関係も気苦労ない。

·  最上部を占める一握りが組織を動かす仕事(組織づくり、コミュニケーション、調整に時間を費やせば、他の人々は自分の仕事に専念できる。

b.  短所

·  規模が大きくなり複雑さが増すと、摩擦が生じ、調整、会議などのコスト高い。

·  他の職能からの攻撃によって荒らされないように自分達の職能を守るのが第一の仕事と看做すようになる。

c.   上記の結果;

·  意思決定には向かない。最上部でしか判断をくだせない。トップを除いては、誰も事業全体を見渡さず、トップの判断も組織に正しく伝わらない。そして何が正しいかより誰が正しいかとの発想が幅を利かせる。

·  人材の育成や力試しにも向かない。職能分野の知識や能力を培うことが重視され、狭いビジョンしか持たなくなる。

·  育っても、マネジメントに適さない傾向がある。仕事ぶりや成果より職能に閉じた技能が重視されるからである。

  上記の短所に対して下記が試みられたが成果をあげていない。

a.  AT&T :事業全体のあり方や目標を基に、職能毎にゴールや評価尺度を設定。→電話会社のように単一市場、単一製品の公的機関でしか効果発揮しない。

b.  GE :職能別組織の成果目標を持たせようと努力した。→「優れた製造業務とは」等の類の基準を設けるにとどまった。

  適用範囲

a.  実務にしか適用できない

·  経営層としての仕事(具体的な実務を除き)には適さない。

·  適用すると、社長だけが判断し、他のメンバーは主要職能別部門長であるため、主に自分の管轄分野しか目を向けない。

b.  イノベーションに関わる仕事にはなじまない。

·  一種類の仕事を与えられた、肉体労働ばかりの、複雑でない組織に良いが、

·  ダイナミズム、進取性が増し、高い成果が求められる場合にはなじみにくい。

(3)   チーム組織

  チーム組織とは

a.  チームとは、様々な経歴、技能、知識を持った人材を多彩な組織(出身母体)から集め、力を合わせながら具体的な職務を遂行させる仕組み。

b.  私たちは最近になって、チーム組織を常設することも可能だと気付いた。

·  例えば、設計、販売、顧客サービスは組織図では職能別に分かれているが、実態は各設計者は一つまたは複数のチームに属し、チームが全体として顧客に責任を負う。

·  セールス担当者は、顧客に張り付くことなく、あくまでも特定の製品ラインに割り当てられる。

·  チームリーダーは、そのチームではリーダーを務めるが、他のチームでは1メンバーであることもあり得る。

  教訓(とかるや注釈:チーム組織を活かすポイント)

a.  チームを組織する為には、任務が変わったとしても、使命は一定でなくてはいけない。→使命が変わるようなら、常設チームは不要である。さらに、任務が一定なら、チーム組織にする必要もない。

b.  チームには明快な目標が欠かせない。全体とメンバーについて、仕事ぶりや成果が目標に沿っているかどうか絶えずフィードバックが必要。

c.   チーム全体が任務に責任を負う。各人はそれぞれの技能や知識で貢献するが、自分の仕事だけでなくチーム全体の活動ぶりと成果に席にを負う。

d.  チームメンバーが互いをh知らなくても、成果をあげるうえで支障はない。ただし互いの役割や貢献できそうな分野は心得ていなくてはいけない。

  チームの利点と制約

a.  利点

·  全員がチーム全体の仕事が何であるかを常に心得、それに責任を負う。

·  適応力に優れ、試行錯誤、新しい発想や方法も抵抗なく受け入れる。→職能の壁を打ち破り、縦割りの弊害を取り除くためには最適な組織形態である。

· 

b.  制約

·  チームリーダーが明快な指示を出さない限り目標や役割があいまい。

·  不安定で、メンバーは全体の課題を理解するが自分の仕事への注意がおろそかになりがち。←メンバー同士の関係性、職務の割り振り、説明、協議、コミュニケーションなどへの配慮が必要。

·  より大きなマネジメント責任者育成には、職能別組織よりわずかに優れているにすぎない。

·  チーム組織は往々にして満足な成果をあげられずに終わる。自由度が高い組織形態だから、強い自己規律や責任感が必須となる。

·  規模に制約がある。

  適用範囲

a.  最も相性がいいのは、経営チーム

b.  実務分野では、職能別組織の効果を最大限に引き出し、チーム組織を補完的に活用して設計者の意図どおりに機能させることが可能となる。→大量生産に特にはまる。

  チーム形態と職能別形態の相互補完関係は、知識労働分野で威力発揮する。

a.  職能別形態の威力発揮:高度な専門知識を持つ知識労働者・スペシャリストは実質的に会社だけが上司。組織上の問題をまず引き起こさない。(とかるや注釈:個別に知識を磨き、さらに高度化できる)

b.  チーム形態の威力発揮 :専門的な知識は断片的な性格を帯びるので、成果を生み出すためには、自分の知識を別の人の知識と組み合わせる必要がある。

c.   上記の2点より、知識組織では、下記2つの軸を持つ。

·  職能別組織で人材とその知識をマネジメントし、

·  方やチームにおいて仕事と課題をマネジメントする。

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