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2012年9月 5日 (水)

中小企業がお金を借りられない理由。借り手はこうすべきだ。

日銀がゼロ金利政策を続け、湯水の如く流動性を市中に投入しても、銀行は国債を買うばかりでいっこうに中小企業の事業資金に回ってきません。なぜでしょう。

2012年度版の中小企業白書に、こんな事が書いてありました。中小企業庁が民間調査会社に委託して調べたところによりますと、海外に生産拠点を持っている中小企業のうち、投資回収年を設定している企業は全体の23.6%しかないということです。しかもその23.6%のうちでも、10年の長きにわたっても投資を回収できない計画が18.5%もある。

これには驚きました。中小企業が海外に拠点を作るのは大変なことです。残りの企業はこの「大変なこと」をどのように考えていたのでしょうか。いったいどういう目論見で海外に生産拠点を作ったのでしょうか。仮にこのような企業が、海外に生産拠点を作ろうと、その為の資金を銀行に借りに行っても、そんな行き当たりばったりの会社に銀行は絶対貸してくれません。いや、それはちょっと言い過ぎでした。借り手の本意ではない形でしか貸してくれないといった方がいいかもしれません。その仕組みはこうです。

銀行はまず聞くでしょう。「この資金を使って海外に工場を作ると、売上が伸びて単年度で黒字なるのはいつですか?」
「う~ん、だいたい世の中の常識として3年かな。」と社長は答えます。
「それでは、3年までの累積赤字を一掃できて、配当が開始できるのはいつですか?」
「う~ん、だいたい世の中の常識として5年くらいかな。」
「いや、世の中の常識ではなく、本件ではどのような計画になっているのですか?」
「そんなの、やってみなきゃ分からんだろう。」
「それでは、この事業から返済資金を生み出せるかどうか分からないということですね。」
「その通り。だからリスクを冒して挑戦するんだ。この世は挑戦意欲こそが大事だ。」
「分かりました。それではこの事業以外から返済資金が捻出できますか?」
「他は他で忙しい。」
「分かりました。それでは、返済できなくなった事態に備えて担保を用意してください。」

ここからシナリオは①と②に分かれます。

  のシナリオ

「担保なんてないよ。だから銀行は金を持っている先にしか貸さないと言われるんだ。」

  のシナリオ

「担保なら、僕の自宅があるよ。」
「では、その価値に応じて¥○○まで融資できます。」
「いや、海外進出事業なんだから、事業内容で見てほしいんだよ。」
「なら、実現可能で説得力のある計画を見せてくださいよ!」
「それができりゃ、苦労はないよ。」
「では、中小企業診断士に相談してください。社長の思いをしっかりと事業の仕組みに仕立てて、投資回収計画も作り、お金を借りてからも計画の実現をお手伝いしてくれますから。それなら銀行も安心して融資できます。」

銀行は、まず計画を評価してその事業が生み出す新たなキャッシュフローで返済される形を作りたいと考えます。できれば担保も保証もなしで。でもその計画が行き当たりばったりでは評価できません。そうなると担保に頼らざるを得ないし、担保がなければ潤沢な流動性が今この場で確保されていなければ安心できないということになるわけです。

ですから、銀行がお金を貸してくれないのには、借り手である中小企業側にも反省すべき点があると言わざるをえません。

ではどうすればよいか。お金の使い道や、使って回収できる実現可能な計画をしっかりたてることが肝心です。確かに「やってみなきゃ分からん。」というところもあるでしょう。でも、そういった不確実性への対処の仕方さえ計画する必要があります。

それから、計画は、単に売上目標や利益計画だけではなんの説得力もありません。目標だけなら鉛筆を舐めていくらでもできるからです。そうではなく、環境の変化を踏まえ、自社内の力をどのように活かして利益を生む仕掛けに仕立てましょう。その辺が、計画を信頼してくれるかくれないかの分かれ目となります。

俺は江戸っ子だい。宵越しの金は持たねえ。出たとこ勝負だ。そんな社長は豪快でかっこいいかもしれませんが、そんなんでよければ役者でも連れてくればいいでしょう。役者を社長に立てて神輿にかついでいる会社はまだまだ余裕のある会社です。

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