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2012年10月

2012年10月14日 (日)

ドラッカー「マネジメント」サブノート、第55章(全61章)

55.   不適正な規模への対処

(1)   不適正な規模の原因と症状

  規模が適正でない原因はいくつもある。たとえば、

a.  かなりの規模がないと生き残れない業界での小さな規模。小さな鉄鋼会社や小粒な軍隊などは存続難しい。

b.  逆に大企業が生き残れない業界での大規模。例=アメリカの出版業界

  しかし、不適正な規模に陥った場合の症状は一定なので分析しやすい。その症状とは、ごく少数の分野、活動、職能、施策などが肥大化して完全に調和を失う状況だ。

a.  あらゆる生体や組織の労力や費用の大きさは、最大の構成要素によって決まる。ところが、売上高の方は、実際の業績や成果によって決まる。

b.  両者がバランスしない場合には、内部では肥大だが、市場ではまだ小さいということになる。このような場合、事業を支えようとするのは望ましいとは言えない。

(2)   治療法

事業規模が適正でない場合、肥大化した活動を支えられる規模まで売上高を押し上げようとする経営者が多いが、適切ではない。治療法として以下の3つがありうる。

  事業のあり方を変える。

a.  適正規模をはずれた事業は、生存と繁栄に必要なニッチを抑えていない。そこで事業のあり方を変えて市場で異彩をはなつことを目指す戦略を検討するのだ。

b. 

·  アメリカン・モーターズは1960年代半ばにビッグスリーと同じ顧客層に販売していたため、三社と同じような費用も負担した。

·  これに対し、フォルクスワーゲンは、ビートルと小型バスに限定し、どちらも三社と競合せず、(とかるや加筆:規模にふさわしいニッチを見出していると言える。)

  M&Aによって規模を改める。

a.  上記①よりリスク小さい。

b.  狙いはあくまで、かけている部分を探し出して穴を埋めることにある。(自社とは反対の理由で適正な規模から外れてしまった企業を見つけるのだ。)

·  例 :肥大化した研究組織を維持するのが目的なら、研究組織に比べて製品ラインが肥大化した企業を探す。

c.   このため、実行に当たっては、規模が不適正な理由を押さえておく必要がある。

  事業の売却、撤退、計画的な縮小。

a.  経営層の受け悪いが、もっとも成功可能性が高い。

b.  生体にとって「大きい」「小さい」は意味ない。種として繁栄するために適正な大きさかどうかだけが重要だ。(JBS・ホールデン1928年の論文より)

(3)   適正な規模とは

  規模に限界はあるのか :(とかるや追記:規模に限界がないと見えるほど、その到達点は遠い)

a.  ただ巨大なだけではマネジメント不能には陥らない。マネジメントの仕事を組み立ててまとめあげる力が規模の大きさを補うからだ。

b.  しかし、無限に巨大化できるという意味ではない。マネジメントできないほどの規模に達した企業がこれまでのところ存在しないだけだ。(とかるや追記:つまり規模に限界がないと見えるほど、その到達点は遠い)

c.   もっとも、公的機関では、軍部などマネジメント不能に落ちいた例がある。

  最適な規模 :上記に反して、組織には最適な規模というものがある。

a.  最適な水準は規模が限界に達するはすか手前にある。

b.  収益性が低下へ転じる分岐点に達したら、それ以上の拡大を控え、事業の一部を独立させる方法を探らなくてはいけない。

(4)   環境と規模 :企業規模が大きくなるとマネジメントが困難になるなどの社内事情よりも深刻な問題は、外部環境との調和が崩れることだ。

  規模によって行動の自由が制約され、地域社会への配慮や反発へのおそれなどから、事業にとってはこのましくないと分っていながら不適切な行動をとらざるを得ないなら、その企業は規模が大きすぎる。

a.  地域の雇用をほぼ一手に担う場合などは、地域から頼みの綱と見なされる。

  もっとも、銅や石油など天然採掘に携わる企業では選択肢が限られる。そんな場合は地域に与える影響をどう和らげるかを検討するしかない。

  経済のなかで企業が大きな存在になりすぎる場合もある。

a.  日本やフランス政府は、自国の鉄鋼メーカーや化学メーカーを育成し合併などで競争力を高めようとした。

b.  それらは国内では大きすぎる規模になったが、世界では十分ではない。(とかるや追記:かといって縮小しようとして、政府が企業の戦略の自由度を奪っているから難しい。)

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2012年10月 1日 (月)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2012年9月末現在)

【米ドル】

9月は、日米金融当局の金融緩和応酬に反応し、77円台前半~79円台前半で比較的ダイナミックに動きました。
前月末の追加的な量的緩和を示唆したバーナンキ米FRB議長の講演で、78円台前半に弱含んで始まりましたが、始めのうちは、ADP雇用統計、IMS非製造業景況感等の米景気指標が堅調だったため緩和可能性が薄らいで米金利上昇したことから、一旦79円台まで戻しました。
しかし、注目されていた米雇用統計が発表されて予想を下回ると、再び追加緩和可能性から77円台まで売られ、9/13にこれが現実のものとなって77.13の安値をつけたのです。因みに米FOMCの緩和措置は、①無期限でMBSを毎月400億ドル追加購入、②2014後半を期限としいてた低金利政策を2015年半ばまで延長するというものでした。
尚、この間欧州中央銀行が債権の無制限購入を発表しましたが、ユーロが主要多通貨に対して買われ、ドル円への影響は限定的だったようです。
さて、米の金融緩和措置に対し、今度は日銀が緩和政策を打ち出すだろうとの期待が高まりました。徐々に78台後半まで買われ、実際に9/19に資産購入限度を80兆円にまで引き上げるなどが発表されると79.23の高値を付けたわけです。
しかし、直後、利食いに加えて、その内容では他中銀に比べ見劣りする等の見直し論が出て、すぐに78円台に戻しています。その後は、月末にかけて、本邦半期末を控えた還流資金の円転などの実需に、77円台半ばまで売られ、78前後で月を超えました。

【ユーロ】

9月は、中旬に1.31台のピークを付けた後、弱含む展開でした。
徐々に上昇する流れの1.25台後半で、9月が始まり、9/6の欧州中央銀行(ECB)理事会の決定を受けて、今年5月以来の1.28台に上昇しました。ECB理事会の結果とは、①政策金利を据え置く一方で、②13年国債を無制限に買い入れる国債購入プログラム(Outright Monetary Transaction)で合意したというものです。タイミングを合わせたように、欧州の銀行監督を一元化する具体案も提示され、欧州財政危機安定化に向けての努力が進んでいると評価されました。
しかし、この時点ではまだ未確定要素が残っていました。

1)オランダ議会の選挙:ユーロを支持する政党が議席を守れるか否か。
2)ドイツ連邦憲法裁判所がESM(欧州安定メカニズム)を合憲と判断するか否か。
結果は、9/12オランダ議会選挙でユーロ支持が守られ、同日のドイツ連邦憲法裁判でもESMの合憲が認められました。特にESMは先のECB決定の国債買入プログラムの前提となるものだっただけに、市場の評価は高かったと思います。これに9/13の米FRBの量的金融緩和策の決定による米金利低下(米ドル売りユーロ買い)が加わって、1.3172まで買われました。
しかし、その後は、スペインが支援要請に逡巡し、その間にスペイン政府への抗議行動が激化するなどリスク回避志向が強くなって、再び値を下げ、1.28台半ばまで弱含む格好で月を超えました。

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・・・

単月短期では、先月後半の77円台半ばから値を戻し、各国金融当局の緩和政策発表があった水準、つまり7879円台で推移するのではないでしょうか。先月後半に77台半ばまで売られた背景としては、ユーロの中期的な売りポジション巻き戻しの過程で単発的に起こる調整で一旦安全通貨に逃げる動きが出たのと、半期末で本邦企業の円転需要があったことであり、その局面は終えたと思われます。
中期では、日銀の展望レポートと米国大統領選挙に注意しておかなければなりません。展望レポートは10月に発表されることから、短期材料と扱ってもいいのかもしれませんが、先月の緩和措置がこれを先取りしていることと、むしろ物価水準予想や経済動向などは発表後来月以降の金融政策を占うものであることから中期、ひょっとしたら長期の材料と位置付けるべきです。
長期では、来春の米「財政の崖」がそのままでは米経済の不安材料となって、米ドルを支える力を失いますので、ドル安円高。これに対し、①今回打ち出された緩和策の効果と、②本邦の経常収支悪化や、③円投による対外投資の円転需要の減退のドル押し上げ力のせめぎ合いで、8090円台を予想します。
超長期では積み上がった対外資産からの利益が経常収支をある程度サポートすることから、極端な円安を和らげる効果があると考えます。

ユーロドル ・・・・・・

短期では、スペインの支援要請の行方に注目。抗議活動は気になるが、先ごろ発表された、財政緊縮パッケージ第5弾はECB提案を反映されているとのことで、結局は市場の圧力を受けて逡巡している政府も動き出すと思われます。欧州安定化メカニズムも今月8日から始動し、先月打ち出された諸施策は動き始めるので、積み上がっていた大量のユーロ売りポジションの一部巻き戻しの過程が始まっていると見ていいでしょう。実際、IMMのポジションもここへきてかなり縮んでいます。
ただ、短・中期では、安定化枠組みが整いつつあるのと、実体経済は一致するとは限らず、主な経済指標や金利動向、国債利回りによって下振れする可能性も考えておくべきです。従って、短・中期での値動きは政治的に1.291.33を希望観測とし、1.261.28のリスクを経済要因に委ねるといったところでしょうか。
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月に打ち出された新たな枠組みにより、また一歩財政統合へ進みました。長・超長期では、道は遠いが結構前へ進むと思います。

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

1. 米経済主要指標(雇用統計、景況指数等)堅調なら米金利上昇でドル高。

2. スペイン、イタリア、ギリシャ等南欧諸国財政状況。政府対応状況と国民の反発。

3. 日銀の円売り介入警戒感:77円台が当面の抵抗線。

4. 欧州各国の国債入札状況。利回り上昇では欧州不安再燃、リスク回避、円ないしドル高。ドル円相場の変動は両者のバランスによる。

5. ユーロ関連好材料で、相当積み上がった、IMM先物ユーロ売持ちの巻きもどしが起こる可能性。

6. ESM(欧州安定化メカニズム:5,000 億ユーロの新規支援能力を有するセーフティネット)が2012.10.8に正式始動。

【中期的な材料(数ヶ月)】

1. 米「財政の崖(減税失効、歳出削減)」⇒景気へ悪影響、再び緩和策、ドル安。

2. 一連の欧州安定化策枠組み(国債買入プログラム合意2012.9.6、銀行監督一元化提言2012.9.6、ESM始動2012.10.8)の効果。

3. 本邦エネルギー問題を背景とした、輸入増加による貿易収支悪化。⇒円安。

4. ユーロ圏経済不振が新興国や世界に波及し、本邦輸出が飲み悩む結果、貿易収支の悪化が定着して円が弱含む。

5. 世界経済への影響が心配される、中国など新興国の景気動向。⇒悪ければ、リスク回避行動から円高へ。

【長期的な材料(数年)】

1. 本邦企業海外移転で輸出競争力低下⇒貿易収支悪化⇒経常収支悪化⇒円安

2. 日銀の金融政策(2012/2月発表:インフレ目途1%)がデフレ脱却に奏功するか。デフレ定着で円高も定着。

3. 米国:順次延長され2014年遅くを期限としていた低金利政策を2015年半ばまで延長(2012.09.13)。

4. 円高利用の対外投資は、中長期には円投増加による円安、超長期には将来の対外債権を増やし、経常収支維持に貢献するので極端な円安を防止する。

5. ユーロ問題の根底である、金融と財政の政策ミスマッチを解消する、ユーロ共同債、財政統合の動き。

6. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下⇒財政破綻

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