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2012年11月 4日 (日)

ドラッカー「マネジメント」サブノート、第56章(全61章)

56.   多角化への要請

(1)   多角化は危険

  多角化は高い業績をあげられるというのは神話過ぎない。1950年代、1960年代に多角化ブームが起こったが、さしたる成果をあげられなかった。

  多角化したために複雑化し、一つの市場または技術に特化した小規模企業企業との競争にことごとく敗れた。

a.  同じことは、企業のスタッフ部もにも当てはまる。高い成果を示すのは一つの仕事だけに専念するスタッフ部門である。

b.  「なにかひとつうまくいかなくなると、すべての歯車が狂う」⇒ドラッカーの法則

  事業が複雑になりすぎると、マネジメントに支障をきたす。

a.  経営陣が事業・人材・環境・技術等を直に理解せず、現状から遊離した報告、定量的データなどに頼るようなら、その事業は複雑すぎてマネジメント出来ない状況だ。

(2)   資産管理の誤り、投資家                   vs資産管理者

  1960年代M&Aブームでは、資産管理(アセットマネジメント)が注目され、収益を上げていない分野から撤退したり、売却したりしたが、これは金融の世界に限ったものだ。

  好ましい、投資先を探し、出資を行い、取締役を派遣したりする活動は、事業として成り立つがあくまで金融事業である。(とかるや:資産管理と多角化を混同してはならない。)

a.  例:英国のカウドレイ卿は多くの事業を行ったが、各事業は各経営陣によって独立して経営され、カウドレイ自身は経営者としては振舞わず、投資家に徹した。

(3)   なぜ多角化するのか

多角化の誘惑や多角化信仰はなぜいつまでも消えないのか。それは下記2種類の圧力があるからだ。

  多角化を求める社内の圧力

a.  新しい仕事がしたくなる心理的な圧力。

·  しかしこれを「あさはかだ」と切り捨てる事はできない。

·  むしろ、柔軟な発想を忘れずに、従来と違う新しい何かに挑むことは必要である。

b.  規模の不適正を是正するために多角化を求める。

·  多角化によって新事業分野に参入し、規模の不適正に起因する弱みを克服しようというもの。条件さえ整えば望ましい。

·  後方統合(川上を統合)・前方統合(川下を統合)は規模の適正化を目的として行う場合だけである。

c.   コストセンターを収益体質に変えたい意識

·  例:英J・リヨンズ&カンパニーは、本業のティーショップ・レストランを支援するクリーニングや配送の補助サービスを社外顧客にも提供して収益をあげた。

·  ただし、うまく収益事業に転換できでも、継続するのはあくまで自社との相性がよい場合に限定し、独立させるのがよい。

  多角化を求める社外からの圧力

a.  経済の規模が小さい場合

·  小さいと、企業も成長できず、多角化をテコとした成長にならざるをえない。

·  小さな経済では、多角化企業が経済発展を牽引するのがよいとされる。

·  ただし、それは市場(経済)が拡大するについれて有効性を失っていく。

b.  (上記とは対照的な)市場拡大の波にのった多角化である、多国籍企業(⇒59章)

c.   技術

·  技術はもともと枝分かれするもの。枝分かれにまかせて多角化する場合がある。

·  この種の多角化は計画されたものではなく、研究室の試験管の中での成果からもたらされる。

·  テニクカルな分野に限らず、顧客の需要に応えるため、従来の知識を元に金融サービスを開発し続けた結果、サービスが増えた。

d.  税制の影響

·  先進国の税制はほぼ、株主への配当より、事業への再投資を遊具している。

·  このため、余剰資本が多角化の原資にまわされる。

e.  大資本市場と労働市場の拡大

·  大資本市場:投資家は株に期待通りの価値を要求する。

·  労働市場:高学歴若手は、提供される仕事やキャリアの価値に期待する。

·  これら2つの市場では多角化が重視される。

(4)   正しい多角化、誤った多角化

  上記から、正しい多角化と誤った多角化がることがわかる。正しい多角化を行うためには、経営陣の大きな仕事である。

  その出発点としては、下記を自問すべきだ。最適解は下記の間に位置する。

a.  最低限どれだけの多角化が求められるか

b.  最大限どのくらいの多角化なら(どれくらいの複雑さなら)マネジメントできるか。

  多角化と集中化(専門特化)のバランスをとらけくてはいけない。

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今日の一言はピーター・F・ドラッカー(経営学者)から。 「人はコストでなく資源である。共有する目的に向けてともに働く時、大きな成果が得られる。マネジメントとは地位や身分ではない。かけひきでも...... [続きを読む]

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