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2012年12月

2012年12月10日 (月)

ドラッカー「マネジメント」サブノート、第58章(全61章)

58.   多角化のマネジメント

(1)   多角化のマネジメントの必要性

  新規市場が、既存事業との相性がよいかどうかは事前予測がつかない。そのため、新規事業が実際には検討違いだった場合どうすべきかの答を持っていなければならない。

  既存の事業や技術から自然発生的に生じた動き(技術の枝分かれ等)が全体の統一性を乱すような場合についても、対処の仕方を押さえておく必要がある。

(2)   多角化のツール

  多角化をマネジメントするうえでは4つのツールが使える。

  はじめの2つは、多角化そのもの。新規事業育成と買収。

  3つ目は、多角化の成り行きがおもわしくない場合に全社との相性が十分でない事業を切り離すツール。

  4つ目は、多角化推進と解消の両方に役立つ、合弁事業。

(3)   新規事業育成と買収

  自社で事業を育てるのと他社を買収するのとでは、異なるアプローチや気質が求められる(但し、土台となる多角化戦略が欠かせない点は共通している)。

a.  事業の自力育成 :その事業は当社にどう貢献するかが重要。

b.  買収 :その事業に当社はどう貢献できるかが重要。

買収側が対象企業の業績や成果をあげることができなくてはいけない。

買収側の企業が経営陣を派遣するケースが多く、しかもたいてい難題が降りかかっているため、自社本来の強みを生かした舵取りをする能力や技能が必要。

  買収に備えた事業育成の例~「その事業にどう貢献するか」とはどういうことか

a.  J・P・モルガンは、M&Aにより適正な規模実現(規模拡大)を考えた。

b.  しかし、買収先に貢献する力がないとの自覚があったため、その時に備えて、聡明な若手を大量に採用して商業銀行業務を教育した。

c.   満を持して自行の10倍もの規模のギャランティ・トラストを買収した後は、これらの育成した人材を要所要所に送り込み、事業活動を活性化させることができた。

d.  この、事前の社内での人材育成が、この例での「その事業にどう貢献するか」を考えて実施した事である。

(4)   相性の合わない事業を切り離す

  自社育成にせよ、買収にせよ、相性の不一致が明らかになった時点で迷わずその事業を切り離せるように、予め方針を立てておく必要がある。相性不一致でも事業が順調な場合は、完全に切り離さずとも、少なくとも本体とは経営を分けるべきだ。

  事業の切り離しでは、その事業と相性が一致し、それを役立てられるかどうかを基準にして買い手を探すべきだ。そのような買い手こそ高い価格で買ってくれる。

(5)   合弁事業

  合弁には3つのタイプがある。

a.  ふたつの事業をまとめ、両方の強み(とかるや:異なるが併せる事でシナジーが出せるもの)を活かそうとするもの。

·  大手航空会社(BOAC)とリース会社(リースコ)が座席予約システムの合弁事業を立ち上げた。BOACの予約ノウハウとリースコの資金調達力を併せた。

b.  単独では成り立たない事業をまとめ、事業規模を一気に適正化しようとするもの。(とかるや:単独では規模が小さいものを、複数併せて規模のメリットを実現する)

·  196070年代、米国巨大銀行に対抗するため、日欧の銀行がロンドンにコンソーシアム・バンクを作った。

·  また、原料調達のための合弁事業もこのタイプである。

c.   政治・規制や文化が異なる海外へ進出する際に、その国の地場企業の協力を得ようとするもの。

·  二次大戦後に、欧米の企業が日本で事業を展開する際に、日本企業と合弁事業を行った。

·  とりわけ、多国籍企業と発展途上の小国との関係において有効。

  合弁事業の鉄則

a.  合弁事業が波に乗っているときこそ、親会社同士の利害の違いが表面化する。そのため、①親会社二社と合弁会社の目標をそれぞれ定めておくことが鉄則だ。

b.  意見の対立や膠着が起きた場合にどのように判断を下すかのルールを予め決めておく。双方の尊敬を寄せる第三者を仲裁者に立てる等。

c.   合弁事業には自律性を与えること。そもそも親会社の枠組みに収まらないから合弁としたのだから、2社による共同マネジメントなどとはせず、独自の経営陣を置く。

d.  合弁事業が成功したり、大企業へ発展したりしたら、独り立ちを促すべきだ。

(6)   同族企業についての補足

  企業規模が一定以上(通常は中規模)になると、創業一族から経営者を迎えるのは不可能である。創業一族とはつながりのない専門的経営者に委ねる必要がある。

  企業規模が大きくなっても創業家が存在感を保つためには、一線級の人材を引き付け、つなぎ止めなくてはいけない。

  さらに、たとえ必要に応じて専門的経営者を引き付けることができたとしても、やはり一定以上に拡大すると、同族経営のままでは存続できない。ごく早い時期に会社と距離を置き、投資家という立場に回るべきである。

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2012年12月 5日 (水)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2012年11月末現在)

【米ドル】

11月は、前半は80円を挟む水準、中盤以降は82台の水準に円一段安となった展開でした。

79円台後半で10月末を越え、月初は市場予想を上回る米雇用統計に、一旦80円台半ばまでドルが買われましたが、米大統領選挙(11/6)の結果、「財政の崖」問題や経済政策に課題を残すオバマ大統領が再選されたことで、再び79円台に弱含みました。前半は、この他に欧州問題材料などから多少の揺れがありましたが、値動きは限定的でした。

ところが、月央に民主党と自民党の党首討論中に、野田総理が条件付ながら翌々日の解散を約束したことから、市場は政権交代を前提とした投機に走る相場に変わりました。市場の読みは、政権交代を前提に安倍総裁の大胆な金融緩和方針が政策に反映されるだろうという点にあります。この結果、相場は4月以来の81円台半ばまで進み、82円に迫りました。

そして、下旬には10月の本邦貿易収支が4ヵ月連続赤字と言う形で発表され、いよいよ赤字定着が現実味をおびてきたため、82円台半ばから後半まで、もう一段円安に進んだわけです。その後は、利食いやポジション調整の円買いが出されて、82円台半ばで月を超えました。

【ユーロ】

11月は、中旬にかけて1.26台まで売られた後、下旬に1.3台まで戻した展開でした。

月初は、前月の動きを引き継いで1.3付近の比較的高値で始まりましたが、ギリシャ向け支援を協議したユーロ圏財務相会合(11/12)で、財政再建期限の延長は了承したものの、追加支援決定は先送りされたことを嫌気して1.27を割り込むまで売られました。

その後、1.27台を回復する場面があったあと、米株価低調を材料に再び1.26台に下げました。米株価はこのところ、「上がればリスク選好してユーロ買い、下がればリスクを嫌ってユーロ売り」という反応形態になているようです。特に11月のように他に目立つ材料がない場合は、今後も材料として有効かもしれません。

さて、後半は、1.3台まで回復しましたが、その材料は、

§ 上記のギリシャ向け支援が合意されたこと、

§ 円とのクロスレートに支えられて、ドルユーロも押し上げられたこと、

などでした。

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・・・

短期では、やはり本邦の衆院選挙に注目しておく必要があるでしょう。11月は自民党への政権交代を前提としての投機行為の結果、82円台後半まで円安が進みましたが、仮に結果が異なった場合は注意。ただ、その場合でも各党とも日銀の独立性云々などあるものの概ね緩和方向なので、極端な値動きはないでしょう。それでも、IMMの円売りポジションが5年ぶりの高水準になっていることから、材料げからポジション調整の円買いが起こる可能性はあります。

中期では、従来の材料に加えてIMMでの円売り越しの積み上がりも考慮すべきです。これが投機である限り、いつか巻き戻して円買い材料に転ずるからです。但し、本邦新政権が引き続き大胆な緩和方針を支持するなら、そのまま円キャリー取引の継続として、中期のスパンで円安を支える可能性があります。

また、米財政の崖問題は、相場が織り込んでいる通りの展開、つまり期限を超えて紆余曲折しながらなんとか着地することになると思いますので、その筋書きから外れそうな変化だけに注意すればよいでしょう。

長期では、国際収支動向など従来の材料に変更はありません。基本的は8095円の水準まで円安が進むと思います。

ユーロドル ・・・・・・

短期では、ギリシャの財政再建期限延長や追加支援などが合意されて、ひとまず喫緊の不安は解消されたので、大きく乱高下することはないと思います。大きな材料がない状況下では、前述のとおり米株価にも注目しておいたほうが良さそうです。

中期では、一連の欧州安定策枠組み(国債購入、銀行監督一元化等)の具体的な実行手順の議論がどのように進められるかが材料となるでしょう。と言っても、その方向に見極めがつくのはもっと長期のことで、中期ではこれらをテーマにした各種会議の論調の変化を見ておくということです。最近独立気運が高まっているスペインの一部の州の問題も加味しながら注意。判断基準は当然、不安定⇒ユーロ安です。

長期材料は、上記の安定化枠組みの方向性です。短期ではユーロが底堅くでも、それは「そもそも論」であるユーロの構造的な問題解決(財政統合など)を長期としてしか見ていないからだと思います。長期では、上記スペインの問題やイタリアの南北問題に至るまでの政治的背景も含めて見守って行かなければなりません。

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

1. 本邦衆院選挙。自民党への政権交代なければ、ポジション調整の円買い。

2. 米「財政の崖(減税失効、歳出削減)」⇒財政面で景気へ悪影響、再び緩和策、ドル安。ただし相当部分織り込み済み。

3. 日銀追加緩和措置(2012.10)のアナウンスメント効果。今後促進されうる海外投資・円キャリー取引の活発化を見越す投機的な円売り。

4. 米経済主要指標(雇用統計、製造業・非製造業景況指数、小売売上など)堅調なら米金利上昇でドル高。

【中期的な材料(数ヶ月)】

1. 日銀が銀行融資増加分の全額を低利で長期融資(2012.10.30発表追加緩和措置)円キャリー取引促進

2. IMMポジション:円売り越し積み上がり。2012/12初旬現在、5年ぶりの高水準。

3. 一連の欧州安定化策枠組み(国債買入プログラム合意2012.9.6、銀行監督一元化提言2012.9.6、ESM始動2012.10.8)の効果。

4. 本邦エネルギー問題などを背景とした、輸入増加による貿易収支悪化。⇒円安。

5. 世界経済への影響が心配される、中国など新興国の景気動向。⇒悪ければ、リスク回避行動から円高へ。

【長期的な材料(数年)】

1. 円高、本邦企業海外移転で輸出競争力低下⇒貿易収支悪化⇒経常収支悪化⇒円安。

2. 日銀政策(2012/2月発表:インフレ目途1%)がデフレ脱却に奏功するか。デフレ定着で円高も定着(2012/10展望リポートでは2014までには困難と)。

3. 日銀が銀行融資増加分の全額を低利で長期融資(2012.10.30発表追加緩和措置)円投による海外投資促進。

4. ユーロ圏、財政統合の行方(2014銀行監督一元化~2012/10合意、各国予算編成への関与)順調ならユーロ評価に。

5. 日本貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下⇒財政破綻⇒超インフレ(円安)。

6. 米国:順次延長され2014年遅くを期限としていた低金利政策を2015年半ばまで延長(2012.09.13)。

7. 米国:「米国債務上限引上げ法案可決と引き換えに、財政赤字削減2兆ドル以上」(11年夏)は今後2年間にGDP0.20.5%押し下げる影響。

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