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2013年1月10日 (木)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2012年12月末現在)

【米ドル】

12月は、ドル高円安の一方的な展開でした。

政権交代を見込んだ金融緩和政策への期待により、11月半ばから円安が進み始めました。12月はその動きを受けて82台半ばで始まりましたが、衆議院投票直前までは82円台での小幅な変動を続けていました。12/7に発表された米国雇用統計も結果は市場予想を上回りましたが、83円を突破する力にはなっていません。

そしていよいよ12/16日の投票を前に、その直前から大幅金融緩和を求める自民党の優勢が伝わり、円を売る投機行為が始まりました。結果、自民党が大勝利をおさめ、材料げによる利食いのポジション調整もなく、一気に84円を突破する展開となったのです。その後も、安部総理のインフレターゲット導入提案発言や、日銀政策決定会合の議事録で一部にオープンエンドの緩和明記の提案があったことなどを材料に、円売りドライブはかかりっぱなしとなりました。しかし、年末が近づくにつれて、一方の大型材料である米国の「財政の崖」への対応協議が大詰めをむかえ、結局何も対応が決まらないまま年を超えるのではないかとの懸念がドル買いを抑え、円安ドライブも相当程度削がれました。それでも、相場は年末にむけて円安進行し、86円を超えて越年したわけです。

なお、財政の崖は、年末ぎりぎりに合意して1/1(米国)には上院通過したため、この抑えがはずれて、年初に一時88年を突破しました。現在(1/9)は利食いうりから87台で推移しています。

【ユーロ】

12月は、材料少なく、1.3を挟む小動きでした。

ユーロは、金融・財政不安から売られ続けていた展開から昨年夏場に1.22前後の水準で反転し、9月から1.30の水準あたりで底堅く推移してきました。市場は昨年夏までに方向感が固まった、ユーロ共同債や財政統合、銀行監督一元化などの諸政策の実施状況を見守っており、12月もとくにそれらに支障をきたしたとか、修正されたとかなどの変化がないため、ユーロ圏固有の材料では動きにくい状況になりました。この間、米国雇用統計や財政の崖への対応状況などが相場に多少の動意を与えましたが、対米ドルでの相場変動は限定的でした。

しかし、円に対しては別です。もっぱら日本固有の材料によるものでしたが、衆院選挙とその後の大幅金融緩和の動きで、円はユーロに対しても下落し、月初の107円台から年末には114円台まで一本調子で下げました。

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・・・

短期では、衆院選挙と米国財政の崖という材料がげ、利食いの円買いドル売りに動くと考えます。米ドルを下支えする水準まで売られた後は、中長期のシナリオに沿った動きに回帰するでしょう。

その下支えする水準とはいくらかが問題となりますが、それを見極めるには、今まで中長期の判断材料として見てきた、本邦の貿易収支・経常収支の悪化や本邦の財政危機、米国の金融緩和措置の延長期間に加えて、安部政権の経済運営と金融緩和効果についても見ておく必要があります。具体的には、大幅な補正予算による政府支出が一時的には国内総需要を喚起して輸入が増える一方、金融緩和による投機的な円安が輸出を支援するといっても、その効果が表れるには相当の時間がかかることなどを勘定に入れます。その結果、貿易収支は中期では加速度的に悪化し、長期でも円安による輸入価格高騰が輸出押し上げ効果を相殺して余る結果経常収支は改善しないと考えます。

数字で言いきるには勇気が要りますが、思い切って言ってしまうと、利食いで8486円、その後中期では8790円、長期では9095円。

ユーロドル ・・・・・・

短期では、材料不足から対米ドルに対しては小動きでしょう。

中長期では、一連のユーロ圏金融財政安定化対策の進行状況や定着状況が材料となりますが、特にこの材料について実施が危ぶまれるとか修正が必要になったとかのマイナス情報は今のところありません。これらは予定通り実施されて当りまえなので、プラス情報は現在も今後もないと見ればいいでしょう。

ただし、懸念されるのは、一連の安定化策のとりまとめに奔走してきた指導者たちによって進められてきた痛みをともなう政策が、飽きっぽい民衆の不満の種となって反発し、政府に方針転換を迫っていることです。IMMの売り越しポジションも相当量の巻きもどしが進んでいることから、中期ではこれらを材料として、現在の1.301.32水準から1.20の水準に向けてのチャレンジが起こる可能性があります。

長期では、安定化策も進むと思いますが、なにせ集団思考力は弱く、民主主義では常にその得られる政策力がいくら頑張っても構成員の最大公約数以上にはならない(とかるやの独断)ので安心はできません。

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

1. 安部新政権の財政金融政策への期待から浮足立っている市場のポジション調整円買い。

2. 米経済主要指標(雇用統計、製造業・非製造業景況指数、小売売上など)堅調なら米金利上昇でドル高。

【中期的な材料(数ヶ月)】

1. 安部新政権による大型補正予算による内需増加効果で輸入が増え貿易収支改善しない(円安)

2. インフレターゲットを伴う本邦金融緩和策による円安効果とそれによる輸入価格高騰で貿易収支悪化(円安)

3. 本邦エネルギー問題などを背景とした、輸入増加による貿易収支悪化。円安。

4. IMMポジション:円売り越し積み上がり。2012/12初旬現在、5年ぶりの高水準。

5. 一連の欧州安定化策枠組み(国債買入プログラム合意2012.9.6、銀行監督一元化提言2012.9.6、ESM始動2012.10.8)の実施状況。懸念が生じればユーロ安。

6. 世界経済への影響が心配される、中国など新興国の景気動向。悪ければ、リスク回避行動から円高へ。

7. 日銀が銀行融資増加分の全額を低利で長期融資(2012.10.30発表追加緩和措置)円キャリー取引促進

【長期的な材料(数年)】

1. 円高、本邦企業海外移転で輸出競争力低下貿易収支悪化経常収支悪化円安。

2. 日銀政策(2012/2月発表:インフレ目途1%)がデフレ脱却に奏功するか。デフレ定着で円高も定着。2012/10展望リポートでは2014までには困難と。

3. 日銀が銀行融資増加分の全額を低利で長期融資(2012.10.30発表追加緩和措置)円投による海外投資促進

4. ユーロ圏、財政統合の行方(2014銀行監督一元化~2012/10合意、各国予算編成への関与)順調ならユーロ評価に。

5. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻超インフレ(円安)。

6. 米国:順次延長され2014年遅くを期限としていた低金利政策を2015年半ばまで延長(2012.09.13)。

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