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2013年2月

2013年2月12日 (火)

ドラッカー「マネジメント」サブノート、第60章(全61章)

60.   成長のマネジメント

(1)   成長は痛みを伴う

  組織の成長は緊張や痛みを伴い、ある時点で自己変革が求められる。

  IBMは、そのいい例である。

a.  1950年頃のIBMは中堅企業だった。

b.  コンピューターが誕生して成長のチャンスが訪れた時、創業者CEOのワトソンは、主力のパンチカード事業の足を引っ張ることを恐れ、二の足を踏んだ。

c.   ワトソンはこれを変えようとはしなかったが、司法省反トラスト局による「パンチカード事業を独占」の告発をきっかけに、退任させられ、新たな経営体制となったことで、このチャンスを掴み、コンピューター業界のリーディング企業へ躍進した。

(2)   成長の必要性

  高成長企業は遠からず深刻な危機に直面する。

a.  1950年代、経済界は成長信仰が起こり、多くの企業が成長神話の虜になった。

b.  しかし、多くの企業が謳う10%の成長を遂げたら、たちまち経営資源を食いつくす。

c.   長期にわたって高成長を続けるのは、むしろ不健全で、適切なマネジメントが不可能になり、わずかな失敗が危機につながる。

  成長産業もyはり危ない。

a.  成長産業では新しい経済活動を大がかりに繰り広げる余地が大きいので、参入企業はおしなべて業績が良い。

b.  そこへ多くの企業が殺到し、ほどなく、競争が激化し、淘汰が進む。

  従って、成長そのものをゴールと見なすのは誤り(規模の拡大そのものには意味がない)、よりよい企業を目指すべきだ。健全な成長は、正しい行いをした結果であるはず。成長事態を目指そうというのは虚栄心の表れでしかない。

(3)   公的機関の成長

  公的機関は、予算が重視されており、大勢の人材と多額の予算を確保することが大きな成果と見なされている為(12章)、成長熱にうなされている。

  しかし、忙しくしてさえいれば成果があがっていると思い込む傾向を反省し、トップ層を組織化して、組織の複雑化に注意を払い、成長をマネジメントしなければならない(13.14章)。

(4)   生き残るための成長

  成長信仰は終わったが、これからも企業は成長を目標にせざるを得ない。経済成長が止まると、成長できない業界や企業は衰退するほかない。このようなときこそ、生き残るため、成長プランを立て、マネジメンとするための戦略が求められる。

  とはいえ、今後は成長の中身が異なってくる可能性がある。

a.  成長の軸が製造業から知識産業に移行する。

b.  環境を守る必要性も高まる。

(5)   成長目標の必要性~経営層は次のような成長目標を持たなくてはならない。

  最低限でもどの程度の成長が必要かを検討しなくてはいけない。

a.  企業が生き残り成長するためには、市場で相応の地位を占めなければならない。

ž 市場が拡大しているなら、共に成長するため、必要最低限の成長率は高い。

b.  規模ではなく、経済成果の尺度を持つ。(経済や社会への貢献度、経営資源の生産性、収益性など)

  最適な成長率を見極めなくてはいけない。

a.  経営資源の投入はリスクを伴う。

ž リスクを高めずに利益率を向上させる水準、リスク逓減させて生産性を押し下げ、市場での地位が危うくなる水準を見極める必要がある。

b.  企業の成長目標は最大値ではなく、上記の最適値を上限とすべきだ。

ž 最適値を上回るのは好ましくない。最適値を超えて成長すると、生産性を下げてまでも市場シェアを拡大させることになり、これは不健全だ。

(6)   成長に備える必要性 ~チャンスが訪れたときのために次のような備えが必要。

  たゆまぬ学習を重んじる風土を醸成しなくてはいけない。(会社の成長は人材の成長と切り離せない)

  資金計画。(緩やかに成長しただけでも、すぐ従来の財務基盤では不十分になる)

(7)   成長をコントロールするのは経営層である ~経営層は、成長に備えて次のステップを含む必要がある。

  経営チームを育成する

a.  中小企業が成長を目指す場合、いずれワンマン経営は通用しなくなるので、それに備えて経営チームを設けておく。

b.  重要活動の中には、トップが不得手とするものをあるから、適材に任せる。

  兆候を察知する

a.  変革の時期が来ても、トップは必ず理由をつけて先送りしようとするが、

b.  基本方針、組織、行動様式等を改める必要が生じているかをいち早く察知して、着手しなければならない。

  変革を望む自分の本心をたしかめる

a.  最低限の成長さえ実現できていれば、それ以上に大きくなろうともがく必要はない。

b.  会社にまちがいなく成長力が備わっているか考え抜く必要がある。

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2013年2月 2日 (土)

女子柔道の園田監督、体罰は指導に効果を発揮するか

柔道の園田監督は、「選手にもうひと踏ん張りしてほしいと思った」と。ひと踏ん張りするには暴力が必要と思っている。つまり指導には暴力が必要であると思っている。ザッケローニ監督は「指導には暴力は必要ない」と。

報道では「体罰は悪」として扱われているが、現場では「やっぱりスパルタ的指導は選手の強化に効果がある」と思っている人が今でも多いのではないだろうか。

これに対し、「体罰が強化に効果をもたらすか否か」が明らかにされるならどうだろう。例えば、先のロンドンオリンピックの日本競泳チームの指導はどうであったか。過去の強かった選手の指導方法はどうであったかなど比較していると良い。それによって体罰が逆に選手を委縮させてチームを弱くしていたことが明らかになれば、園田監督のように、選手に強くなって欲しいと心から願う監督なら、即刻指導内容から体罰を排除するのではないだろうか。

それでも、暴力が続くなら、それは選手のことを思っているのではなく、単に自分の不満のはけ口であるということになる。その時ははっきりと断罪できる。

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外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2013年1月末現在)

【米ドル】

1月は、上下しながら結局右肩上がりに推移し、2年半ぶりの円安を実現しました。

昨年暮れからの流れを受けて、87円台と円安水準で始まった後、まず1/4の米雇用統計を受けて88円台半ばまで上昇しました。非農業部門雇用者数は予想どおりでしたが、賃金が予想を上回ったためドルが買われたのです。その後は、下旬に予定されていた日銀政策決定会合まで大きな材料はありませんでしたが、その中でも下記のような売り買い材料に、87円台~90円を超える値動きがありました。

1/8:日銀が2%物価目標に慎重との報道⇒87円台前半まで緩んだ。

1/11:本邦貿易・経常収支が予想以上の赤字⇒89円台半ばに上昇。

1/15:甘利経済再生相発言「過度の円安は国民生活に負担」⇒88円台半ばに下落。

1/17:米失業保険申請数、米住宅着工が予想を大きく上回り⇒90.13に急騰。

で、注目されていた政策決定会合(2%物価目標、無制限資産買入れ)は、事前に市場に織り込まれており、むしろ資産買入れ時期をめぐる議論や材料げ落ちからの利食い売りから、逆に88円台半ばまで下落しました。

月末にかけては、米の経済指標、欧州圏の経済指標、安部総理の金融経済政策に軸足を置いた所信表明などを材料に再びドルが買われ、91円台半ばで月を超えました。

【ユーロ】

1月は下旬に上げ材料が集中した展開でした。

月初、12月に買われたユーロの利食い売りから、1.3を一時割り込む水準にまで下落しました。注目されていた1/11のECB理事会は、ドラギ総裁が会見でユーロ圏の景気低迷が2013年も続く見通しを表明し、ユーロにとってはネガティブな内容となりました。しかしその内容とは裏腹に、金利決定が全会一致で決まり利下げ要請はなかったことがわかると、ユーロは徐々に買い戻され、1.33の水準まで戻しました。その後は下旬までさしたる材料もなく、1.33付近での小動きが続きました。

変動材料が出てきたのは下旬になってからでした。ユーロを支持する材料が続々と報道され、あれよあれよという間に1.36手前まで値を伸ばし、結局その水準で月を超えたのです。その材料の主なものを以下に列挙します。

・デンマーク中銀政策金利を0.2%から0.3%引上げた。

・ドイツやユーロ圏のPMIが改善した。

ECB3年物LTROの返済額が予想を超え、欧州危機後退したとの観測が広がった。

・イタリア10年債の入札利回りが2010年来の低水準に落ち着いた。

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・・・

今回は、短期(1~2ヶ月)の材料に注意が必要です。第一に今の円安が行き過ぎたものであるか否かの判定、第二に米財政問題です。

第一の材料については、IMMの円売り越しポジションも積み上がっていることもあり気になるところ。本邦政府は円安を誘導しているわけではなく、今までの過渡な円高が調整されている局面に過ぎないと説明していますが、2/1516に予定されているG20蔵相・中銀総裁会議では、どのような共通認識が形成されるのかによって、反転円高を注意しなければなりません。ただ、今のところ市場は過渡な円高調整局面との認識を受け入れているようです。

第二の問題については、年末に財政の崖問題をかろうじてやり過ごしたものの、結局はまだ解決はされていません。今後も財政上の制約から米国経済の回復にブレーキがかかってしまう危険があり、その場合は金融緩和措置再発動からドルが売られることもあります。それを占うのは歳出強制削減への突入で、それは今月の議会で揉まれるはずです。

中期(数ヶ月)では、大盤振る舞いの財政出動による物量輸入と円安による金額輸入の増加で円安が進むと思います。輸出増加効果は時間がたたないと現れないし、その頃には財政に対する不安やインフレ懸念から輸出増効果を打ち消す以上の円安効果が出てくるのではないかと予想します。

長期(1~2年)、超長期(数年)での予想は変わりません。

ユーロドル ・・・・・・

短期では、先月後半の各種経済指標からユーロ圏経済への不安が遠のいたとの観測が広がり、底堅いものと予想します。特にイタリア国債の入札利回りは2010年来の低い水準であったことは資金の流れが徐々に戻ってきていることの証左であり、モンティ首相の努力の賜物であると感じます。モンティ首相だけでなく、ユーロを率いる首脳は経済や金融に詳しく実務に長けており、昨年策定された安定策もとん挫しているとか難航しているというようなニュースは聞こえてきません。

今月予定されているイタリアの総選挙でも、その後の政策方針を大きく変更するものではないと予想されています。

この点、中期、長期においても安定化策が確実に進捗し、ユーロの安定化に貢献するのではないでしょうか。ただ、前回書いたように、構造改革を進めようとすると、緊縮財政による痛みが大衆に広がり、大衆の要求によって方針転換を迫られるリスクもあります。

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

1. G20蔵相中銀総裁会議(2 /1516):緩和が円安への誘導であるかの議論

2. 安部新政権の財政金融政策への期待から浮足立っている市場のポジション調整円買い。

3. 強制歳出削減突入、暫定予算策定をめぐる米国議会の動き(突入や策定困難なら緩和ドル安)

4. 米経済主要指標(雇用統計、製造業・非製造業景況指数、小売売上など)堅調なら米金利上昇でドル高。

【中期的な材料(数ヶ月)】

1. 安部新政権による大型補正予算による内需増加効果で輸入が増え貿易収支改善しない(円安)

2. 2%物価目標を伴う本邦金融緩和策による円安効果とそれによる輸入価格高騰で貿易収支悪化(円安)

3. 本邦エネルギー問題などを背景とした、輸入増加による貿易収支悪化。円安。

4. IMMポジション:円売り越し積み上がり。2012/12初旬現在、5年ぶりの高水準。

5. 一連の欧州安定化策枠組み(国債買入プログラム合意2012.9.6、銀行監督一元化提言2012.9.6、ESM始動2012.10.8)の実施状況。懸念が生じればユーロ安。

6. 日銀が銀行融資増加分の全額を低利で長期融資(2012.10.30発表追加緩和措置)円キャリー取引促進

【長期的な材料(数年)】

1. 進んでいる円安が輸出増加効果となって顕れ、行き過ぎる円安に歯止めをかける。

2. 極端な金融緩和と政府・日銀の協力関係強化で、日銀の国債引受け体質が問題視されて利回り高騰し、財政が破綻。

3. 日銀が銀行融資増加分の全額を低利で長期融資(2012.10.30発表追加緩和措置)円投による海外投資促進

4. ユーロ圏、財政統合の行方(2014銀行監督一元化~2012/10合意、各国予算編成への関与)順調ならユーロ評価に。

5. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻超インフレ(円安)。

6. 米国:順次延長され2014年遅くを期限としていた低金利政策を2015年半ばまで延長(2012.09.13)。

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