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2013年3月

2013年3月 2日 (土)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2013年2月末現在)

【米ドル】

2月は下旬に波乱がありました。

前月からの円安勢いを受けて月初91.70で始まり、2/5に白川日銀総裁の発言で一気に93円台に伸ばしました。その発言とは任期満了を待たずに3月に辞任するというものです。そうなると安部総理の金融緩和圧力への抵抗が外れ、さらに円安が進むと読まれたのでした。この金融緩和政策については、海外からの批判が懸念されましたが、黒田ADB総裁や米ブレイナード財務次官の発言がこれを払拭したため、その後も円安が止まらず94円台半ばまで進みました。

中旬では、モスクワで開催されたG7やG20で、名指しは避けたものの通貨安競争を懸念する声明が発表されたことによるポジション調整の円買いが出回った他、外債購入を巡る安部総理の発言などあって、92円~93台での定まらない値動きとなりました。

そして、下旬の波乱です。まず、日銀の正副総裁に黒田ADB総裁、岩田学習院大教授内定との報道で、両者が緩和論者、特に岩田氏は円安デフレ論者であることから、95円に迫る円安となりました。しかしイタリア総選挙では中道右派が勢力を伸ばし、現状の財政緊縮政策の維持が怪しくなってユーロ不安が再燃したため、リスク回避策から円が一気に買い戻され、一時90.85をつける騒ぎとなったのです。その後は落ち着きを取り戻し、結局92台で月を越しました。

【ユーロ】

2月は月初のピークから下降し続ける展開でした。

月初は、昨年夏の底値から前月までの上昇を引き継ぎ、この日に発表されたユーロ圏PMI好結果もあって、2011年以来の高値を付けました(1.3711)。しかし、その後は一貫して下がり続けたのです。変動材料は上げるものも下げるものもありましたが、IMMのユーロ売り越しポジションの巻き戻しも相当進んでいることもあって、着地水準はもっと安いと見たのでしょう。下旬までの主な下げ材料は;

     ECBドラギ総裁会見「ユーロ圏景気は低迷し、2013年初めも続く」

     2/14発表のユーロ圏GDPが予想以上に悪化した

     安倍総理の外債購入ファンド消極化発言

     FOMC議事録(金融緩和出口手段の検討を開始する内容であった)

     LTRO(長期資金供給オペ)の返済額が予想を大きく下回り回復減速を予感させた

     2/25伊総選挙結果で緊縮路線変更の可能性から不安再燃した

最後の伊選挙結果では一気に1.30まで押し下げました。

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・・・

このところの急激な円安について、これが為替操作であるとの各国の批判を先月のG7G20で回避できたことから円安への心理的抵抗は和らぎました。そうはいうものの、急激な変動には国内でも警戒する向きがあり、短期では95円の抵抗線を超えてさらに円安には向かいにくいと考えます。注意すべき材料は、①日銀正副総裁人事とその後の会合内容、米政府歳出強制削減へ回避への与野党協議状況、③ポジション調整の円買いなどでしょう。

中期では、米政府支出強制削減に対する対応が不十分で景気への影響が有る場合には、米緩和政策の出口が見えず、日米金利差も開いてこないと予想されることから、円安に一定の歯止めをかけることになるでしょう。その逆の場合は逆。

1年程度の長期では、政府日銀が一体となった金融緩和措置による円安効果によりJカーブ効果を越えた数ヶ月後から輸出回復して貿易収支が改善すると見込まれ、これも円安ドライブへの歯止め効果。

数年の超長期では、政策次第ながら、当面の円安効果としての輸出ドライブも生産人口の制約から長期にわたって経常収支黒字を維持するのは困難と思われるほか、ひきもきらない財政の出動が円の信用を落としていくと予想されることから、基本的には円安と見ます。それらの方向感を確かめる為、4月の日銀展望レポートは注視します。

ユーロドル ・・・・・・

短期では弱いでしょう。ここしばらくは緊縮策が進められユーロ圏財政不安が遠のき資本の動きも戻ってきていたのに、2/25伊総選挙やスペインの政局不安で再び懸念されるようになってきたからです。また、IMMのユーロポジションはほぼスクエアで、再び売りポジションを作り易い状況となっていることから、多少の不安材料も大きくユーロ売りに傾斜するのではないでしょうか。

ただ、中長期では現状が比較的すわりの良い水準であるように思います。過去5年の推移でみると、2008年春の1.57付近高値から2009年春には1.30を切る水準に下落し、200912月には再び1.50付近まで上昇しています。その後の上下の谷底はだいたい1.25程度(2010年夏、2012年夏)ですが、山はだんだん低くなっています。今回の山は先月の1.37付近の水準。この推移から次第に1.30かそれを少し切る水準に収斂しているように見えるのです。山同士と谷同士を線でなぞるとそう見えるというだけの話ですが、相場は相場に聞けという言葉もあります。

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

1. 安部新政権の財政金融政策への期待から浮足立っている市場のポジション調整円買い。

2. 米政府支出強制削減(3/1開始)対応状況:与野党協議で回避進めばドル堅調。

3. 米経済主要指標(雇用統計、製造業・非製造業景況指数、小売売上など)堅調なら米金利上昇でドル高。

4. 2/25総選挙を受けたイタリア政局:財政緊縮路線を大きく変更する枠組みになればユーロ安。

5. 日銀正副総裁人事(緩和志向者内定)に続く初会合(4月上旬):具体的な追加緩和措置への期待。

【中期的な材料(数ヶ月)】

1. 近時のユーロ評価で、IMMのユーロ売持ち巻戻し、現状ほぼスクエアで再び売越す余地あり。

2. 2%物価目標を伴う本邦金融緩和策による円安効果:輸出回復・貿易収支改善で円安傾向に制約。

3. スペインを含む南欧の政治動向:緊縮財政に疲弊した民衆の不満から不安定になればユーロ安。

4. 欧州長期資金供給オペ(Long Term Refinancing Operation)の返済状況:前倒し返済多ければユーロ安定材料となる。

【長期的な材料(数年)】

1. 進んでいる円安が輸出増加効果となって顕れ、行き過ぎる円安に歯止めをかける。

2. 極端な金融緩和と政府・日銀の協力関係強化で、日銀の国債引受け体質が問題視されて利回り高騰し、財政が破綻。

3. TPP参加協議動向:参加なら貿易収支悪化懸念緩和し、円売り材料が多少後退。

4. ユーロ圏、財政統合の行方(2014銀行監督一元化~2012/10合意、各国予算編成への関与)順調ならユーロ評価に。

5. 米国:リーマンショック金融危機への対処の結果として負った財政負担(延期措置では解決しない)

6. 米国:順次延長され2014年遅くを期限としていた低金利政策を2015年半ばまで延長(2012.09.13)。

7. 日銀展望レポート(4月と10月に発表される、GDP、物価などの予想、経済動向)中長期の禁輸政策を占う材料としても注目。

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