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2013年4月

2013年4月 1日 (月)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2013年3月末現在)

【米ドル】

3月は、92年台前半で始まって月央に96.71の高値を付けた後、94円台まで戻って終ました。

年初から一本調子で下げてきた円は、2月、イタリア総選挙の影響で一旦90円台まで反発する波乱もあって足踏みしました。しかし、3月は前半に米ドルやユーロを押し上げる材料が出たために、一気に96.71まで円が下落する動きを見せたのです。その材料とは、①ユーロ圏1月の失業率過去最悪となり、ユーロ売り米ドル買いが強まった、②欧州中銀ECB理事会後の欧州経済を楽観視した総裁会見でユーロ買い円売り、③米小売売上高や米雇用統計などの指標が予想を大きく上回り米ドル買い円売り、などです。

しかし、この96.713月のピークとなりました。後半は米債金利堅調など米ドルを支える材料があったものの、逆に米ドル売りや円買いの材料がこれに勝り、93円台半ばまで反発したのです。主なものは下記の2つです。

EUがキプロス支援に銀行預金課徴金という条件を付けたことによる混乱。

・ダドリーNY連銀総裁の「金融緩和の維持が必要」との発言。(⇒日米金利差がさほど拡大しないことを見越した米ドル売り)

下旬には、キプロス問題も少し進展し、日銀の国債購入拡大発言などありましたが、他方ではイタリア政局不安もあって、94円台半ばで冴えないまま月末を迎えました。

 

【ユーロ】

3月は、1.30近辺からじりじりと値を下げ、月末近くには昨年11月以来1.28を割り込む展開となりました。

長い流れでみると、昨年7月に1.22の底値から反転して、2月上旬の1.36まで上昇を続けましたが、結局これをピークに今度は下降を続けることになっています。その中でも3月の下げ材料は、

・月初に発表されたユーロ圏の失業率が統計開始以来の最悪となったこと。

・キプロス支援の混乱(支援の見返りとして銀行預金に課徴金を課すという前例のない条件を付したこと。さらにこの方法がユーロの他の地域にも適用されるのでないか。市民に負担を強いることでその後の支援にも悪い影響が出るのではないかとの懸念。)

・イタリア政局不安(中道左派による連立政権樹立工作が失敗したことで混乱が続いている。)

この間、ECB理事会後のドラギ総裁記者会見で、ユーロ圏経済を楽観視する発言もありましたが、効果は限定的でした。結局、1.28の前半で月末を超えています。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・・・

3月の米雇用統計に対する反応の仕方には正直驚きました。キプロス支援の混乱に対する反応も少し過敏です。市場はかくも材料にハングリーで、この手の乱高下にはあまり耳を貸さない方がいいかもしれません。しかし、そうは言っても短期ではこの手の乱高下も相場のうち。米ドル上げ圧力が下げより強いという前提で、米指標を中心に短期材料を注視していかなければなりません。短期材料として、キプロス視点混乱を追加しましたが、基本的には米指標の他、日銀の政策決定会合の出方、月末の日銀展望レポートが大事です。

このところの円長期金利下落と日米金利差の拡大、国内のインフレ期待は、理屈で見ても円安材料です。この円安材料に水を差す新たな材料が出てくるかどうかでこの先の相場予想が変わってきます。その水を差す材料としては、第1に先月もあった米連銀関係者の「緩和継続支持発言」、米国連邦政府の借入上限引き上げが難航する可能性などです。対ユーロでは南欧諸国の政局動向は数ヶ月スパンで注視。

中長期では、インフレ期待の空回り。だぶついた資金が成長につながる資金需要にこたえる形で市中に浸透している兆しが見えないなら、空回りで再びデフレによる実質金利上昇となって円高。

ただし、超長期での見通しは変わりません。つまり、政策次第ながら、当面の円安効果としての輸出ドライブも生産人口の制約から長期にわたって経常収支黒字を維持するのは困難と思われるほか、ひきもきらない財政の出動が円の信用を落としていくと予想されることから、基本的には円安。それらの方向感を確かめる為、4月の日銀展望レポートは要注視。

 

ユーロドル ・・・・・・

短期では引き続いて弱い地合いが続くでしょう。ユーロ財政不安への対応措置が打ち出されて静かに進められていることで、昨年夏を底値(1.22)に2月上旬まで上げ続けましたが、ここへきて不安材料がでてきたので再び注目が集まってしまった感があります。イタリアの政局は先行き不透明なままですし、キプロス支援の問題は、単に金融支援だけでなくかつての「きな臭い」事件を想起させてより大きな不安につながる可能性もあります。

特に、イタリアの政局については、旧モンティ政権の緊縮財政の反動からユーロ安定化の諸策の行方を占う象徴的な問題となっています。仮にペルルスコーニの復権が成るならば、ユーロの信頼は傷つく方法に動かされるでしょう。ないと思いますが・・・。

ユーロ安定化諸策の行方という点では、この秋に予定されているドイツの総選挙にも中長期の材料として注目しておく必要があります。

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. 米経済主要指標(雇用統計、製造業・非製造業景況指数、小売売上など)堅調なら米金利上昇でドル高。

 2. 日銀金融政策打ち出し動向(次回政策決定会合での新正副総裁緩和策本格化期待)。

 3. 日銀展望レポート(4月と10月に発表される、GDP、物価などの予想、経済動向)中長期の禁輸政策を占う材料としても注目。

 4. イタリア政局:財政緊縮路線を大きく変更する枠組みになればユーロ安。

 5. キプロス支援の行方。

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. 近時のユーロ評価で、IMMのユーロ売持ち巻戻し、現状ほぼスクエアで再び売越す余地あり。

 2. 2%物価目標を伴う本邦金融緩和策による円安効果:輸出回復・貿易収支改善で円安傾向に制約。

 3. 連邦政府債務上限引上げ協議の行方(暫定的に2013/5/19まで引上げている)

 4. 伊・西を含む南欧の政治動向:緊縮財政に疲弊した民衆の不満から不安定になればユーロ安。

 5. ドイツの総選挙(2013/9)。ユーロ圏支援に理解を示す新たな政権か、消極的な政権か。

 

【長期的な材料(数年)】

 1. 進んでいる円安が輸出増加効果となって顕れ、行き過ぎる円安に歯止めをかける。

 2. 極端な金融緩和と政府・日銀の協力関係強化で、日銀の国債引受け体質が問題視されて利回り高騰し、財政が破綻。

 3. ユーロ圏、財政統合の行方(2014銀行監督一元化~2012/10合意、各国予算編成への関与)順調ならユーロ評価に。

 4. 米国:リーマンショック金融危機への対処の結果として負った財政負担(延期措置では解決しない)

 5. 米国:順次延長され2014年遅くを期限としていた低金利政策を2015年半ばまで延長(2012.09.13)。

 6. 日銀展望レポート(4月と10月に発表される、GDP、物価などの予想、経済動向)中長期の禁輸政策を占う材料としても注目。

 

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