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2013年5月

2013年5月 3日 (金)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2013年4月末現在)

【米ドル】

4月は、¥100への挑戦が2回ありました。

月初、いったん92円台までドルが売られて始まった後、上旬と下旬に1回ずつ1ドル¥100の円安水準に挑戦する動きがありました。しかし、いずれも目前で戻され、結局97円台で月末を越えています。

2回の挑戦のうち、1回目は日銀の金融緩和策発表を材料として行われました。44日、日銀は政策決定会合の結果として、「国債買い入れ対象を40年債まで拡大すること、輪番オペの統合、マネタリーベースを2年間で2倍にすること」を盛り込んだ緩和策を発表しました。これだけなら、従来の緩和姿勢をより一層明確にしたにすぎなかったのですが、これに対して米FOMCでは逆に、「雇用が改善されるなら量的緩和策は年内に縮小開始し、年末までに亭主するのがよい」と、緩和策の出口をさぐる複数の意見がだされた議事録が開示されたことで、日米の金融政策のスタンスの差が際立ったのです。このため、一気に99円台後半まで円安が進みました。しかし、米小売売上高など弱い米材指標の発表がこれに冷や水をかけ、97円を切るまで戻ってしまいました。

2回目の挑戦は、G20を材料して仕掛けられました。41819日のG20で、日本の円安政策への非難がなかったことで、安心して円安方向へチャレンジできるということになり再び99円台後半に昇りました。しかしこの時もすんでのところで引き戻されたのです。ECBによる利下げ観測が強まったことや中国の景気減速の兆しを嫌った結果でした。結局、97円台半ばで月を越えています。

 

【ユーロ】

4月は底堅く、全体としてみれば買われました。

1ドル1.28ユーロ台で始まった後、中旬にかけて1.31台に上昇、その後は一旦小幅に売られたものの月末にかけて再び強含み、結局1.31台後半で月を越えています。

といってもユーロを支える積極的なニュースや材料はなく、むしろ米ドルに関わる材料が米ドルを押し下げた結果、対米ドルでユーロが買われたという動きでした。米ドルに関わる材料とは、米経済指標です。雇用統計や小売売上高、消費者信頼感指数などで、これらが市場予想より弱かったため、米金融当局の緩和出口戦略が遠のいたことが要因となりました。といっても背景にユーロの大きなショートポジションを調整しようとする動機があり、弱い米指標がこのきっかけを作ったと言うべきではないでしょうか。

このポジション調整の動機が、ユーロ圏固有の政治や経済の下押し要因に勝ったということです。市場にさほど影響しなかった政治や経済の下押し要因は・・・

・ユーロ導入以来最悪の失業率や厳しいユーロ圏経済とECBの利下げ観測

・キプロス不安

・イタリアでようやく発足した新政権がモンティ元首相の緊縮路線から舵をきり始めた

などです。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・・

昨年末からの急激な円高は、4月にはまた一段階シフトした感があります。短・中期では、¥100の大台突破をチャレンジする動きが活発になるでしょう。ただし、4月の2度の挑戦に際しても冷や水がかけられたように、今後も一方的な円安に対してこれを阻む要素に注意しなければなりません。主に3つあります。

第一に、欧州リスク。実際にECBは52日に政策金利を0.25%下げ過去最低の0.5%としましたし、他にも財政統合に向けた諸施策の行方が懸念される材料があります。たとえばイタリアの新政権。モンティ路線を踏襲せず緊縮財政方針を離れると、支援体制にも綻びが出てリスク回避から円買いということにもなりかねません。

第二に、米国の金融政策方針です。近時、発表される経済指標はいずれも弱く、なかなか緩和の出口が見えません。・・・となると、日米金利差が開かず、円安の勢いも弱くなるでしょう。最後に、中国景気です。景気減速がリスク回避の円買いに流れる可能性があります。

さて、日銀の展望レポートが発表されました。無効12年のインフレ率は期待に沿ったものになるが、その先は実質金利はそれほど下がらない(インフレ率は縮む)というものです。これを長期の為替予測にはめてみますと、12年は円安が進むが、その先は足踏みするということになるでしょう。当面は膨張する貿易赤字も円安を支援しますが、そのうち物量で見た輸出が次第に増えてくるとそれも円安ドライブを弱めることになります。¥100を突破するチャンスがあるとすれば、ここ数カ月から1年以内ということなりそうで、その先はむしろ円は底堅い推移を見せると思われます。もっとも、従来から材料としてみている財政破綻や、そこまで行く前に日銀がフ財政のァイナンス引き受けているとの認知が市場に広まることになれば、さらに数段の円安があるかもしれません。

 

ユーロドル ・・・・・・

短期では、ショートポジションの調整による下支え効果と厳しいユーロ圏経済状況による下押し効果のせめぎあいで、一進一退で進むと思います。

中長期では、ユーロ圏の財政統合に向けた諸施策が順調に進んでいるかどうかを見守っています。これに関しては、経済的な要因のほかに、政治的な要因が結構大きく影響することが考えられます。

・一旦、落ち着いたキプロス問題

・イタリアの新政権が緊縮財政路線から離れようとしているリスク

民衆の緊縮緩和要求による緊縮財政貫徹の意思軟化という縮図はイタリアにとどまりません。緊縮財政が南欧支援の条件となっているだけに、ユーロ圏全体の問題となり、上記の諸施策の進捗を遅らせる要因になるなら、通貨への信頼は再び揺らぐでしょう。

これに加え、ユーロ安定化諸策の行方という点では、この秋に予定されているドイツの総選挙にも中長期の材料として注目しておく必要があります。

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. 米経済主要指標(雇用統計、製造業・非製造業景況指数、小売売上など)堅調なら米金利上昇でドル高。

 2. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 3. 連邦政府の債務上限引き上げ協議の行方(2013/5/19まで暫定的に引き上げている)

 4. ユーロのショートポジション調整の圧力。

 5. スペイン、イタリア、ギリシャ等南欧諸国の財政状況。政府の対応状況と国民の反発。

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. 米国の金融政策スタンス。経済指標にもよるが、緩和出口戦略の検討状況が進めばドル高。

 2. 中国など新興国の景気動向。減速するならリスク回避の円買いで円高。

 3. 2%物価目標を伴う本邦金融緩和策による円安効果:輸出回復・貿易収支改善で円安傾向に制約。

 4. スペインを含む南欧の政治動向:緊縮財政に疲弊した民衆の不満から不安定になればユーロ安。

 5. ドイツの総選挙(2013/9)。ユーロ圏支援に理解を示す新たな政権か、消極的な政権か。

 

【長期的な材料(数年)】

 1. 日銀展望レポート(13/4月)より、12年のインフレ率は期待通りだが、その先は縮む。デフレ要素は再び円高要因になる。

 2. 進んでいる円安が輸出増加効果となって顕れ、行き過ぎる円安に歯止めをかける。

 3. 極端な金融緩和と政府・日銀の協力関係強化で、日銀の国債引受け体質が問題視されて利回り高騰し、財政が破綻。

 4. ユーロ圏、財政統合の行方(2014銀行監督一元化~2012/10合意、各国予算編成への関与)順調ならユーロ評価に。

 5. 米国:リーマンショック金融危機への対処の結果として負った財政負担(延期措置では解決しない)

 6. 米国:順次延長され2014年遅くを期限としていた低金利政策を2015年半ばまで延長(2012.09.13)。

 

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