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2013年6月 5日 (水)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2013年5月末現在)

【米ドル】

5月は、数年ぶりとなる対円高値まで伸ばした後弱含みました。

月初97円台前半で始まった米ドルは、100円を越えてどんどん上昇しました。先々月までの円安の背景にあったのは、日銀の強い金融緩和姿勢と意思でしたが、先月はむしろ米ドル側に焦点が当たり、円安が進行したよ言うより、ドル高が進行したと言えそうです。

その米ドルを何が支えたのかと言うと、米国経済回復基調を背景とした、FRB金融緩和策早期縮小の兆しと米ドル金利の上昇です。

具体的には、まず5月2日発表の米雇用統計や13日の米小売売上高が好結果であったほか、新規失業保険申請件数が市場予想に反して5年ぶりの低い水準だったことなど主要米経済指標が米経済の確実な回復を裏付けました。経済が回復するなら、景気対策として行われてきた大規模な金融緩和は必要なくなり、22日のバーナンキFRB議長会見でも、失業率の改善が続くなら資産購入ペースを減速させる可能性を示唆したのです。実際米長期債利回りも上昇していました。これを受けてこの日につけた高値が10374銭です。なんと月初97円から7円近くも円安となったのです。

投機筋の円売り越しも相当積み上がっていました。こうなると、さすがに一旦利食いを入れたいというのが自然でしょう。そのきっかけとなったのが23日の中国PMIです、これが予想を下回り、新興国経済の不振が再びリスク・オフの円回帰を理屈付けしたので、102円、101円を相次いで切り、月末には100円台前半まで低下して月を越えました。それは今月に入っても続き、3日NYでは98円台にまで突っ込んだ後、現在は再び100円台に戻しています。

 

【ユーロ】

5月は、月央に弱含む「U字型」の動きでした。

月初は、ここ数カ月では比較的強い1.31後半の水準で始まりましたが、ユーロ自身の要因と米ドル要因により下旬にかけて1.28半ばまで弱含みました。

ユーロ自身の要因とは、月初ECB理事会後のドラギ総裁講演です。それまでは金利引き下げを織り込んだ上で、ユーロ圏経済回復につながるだろうとの思惑から比較てき底堅かったのに、総裁が景気下振れリスクを示唆したため、これに水を差す形となり、ユーロが売られました。これに加えて、ECB内にはもっと金利を下げるべきだとの主張が多いことや、マイナス金利に言及するむきもあることもユーロ売りを加速させたのです。

一方の米ドル要因とは、主要指標が示す米国経済の回復基調です。ドル円でも書きましたが、回復に乗って米金利が上昇し、22日にはFRB議長が今後の指標によっては金融緩和縮小に向かう可能性が示唆されたことが米ドル買いとなり、円もユーロも安くなりました。

月末にかけては、米ドルが円に対して売られたことにつれ、ユーロもほぼ1.3の水準まで戻して月を越えました。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・・

先月末にかけて円が買い戻される兆しを見せていましたが、今月初急騰しました。しかし、市場はこのまま円高へ向かうとは見ていないようです。ただ、IMMの投機筋円売り越し水準は相当高く、今回の利食いではまだその持高は片付いてはいません。利食い圧力はまた何かのきっかけを捉えて顕れるのではないでしょうか。短期では、それが出るきっかけとして各種経済指標を見守る必要があります。

具体的には、何といっても米国の雇用統計や月央の米鉱工業生産、消費者信頼感指数、米景気先行指数などです。これらが悪ければ、FRBの金融緩和出口が遠のき米ドル安円高。また、最近では中国など新興国の経済指標も注目されています。悪ければ円への回帰。一方、円自身の材料は短期ではあまり見当たりません。

長期ではどうでしょうか、短期の投機的な材料とは異なり、長期では理論の基本に従うという前提で材料を拾うと、円安材料としては、貿易収支の赤字定着、日銀の異次元金融緩和によるインフレ期待、日銀の実質的な国債引き受けからくる財政破綻への懸念と超インフレなどあります。逆に米ドル安も含めた円高材料としては、米財政支出削減を背景にした回復遅延対策としての緩和策長期化、阿部政権が打ち出す成長戦略の長期的な効果で経常収支改善などです。

どちらかというと、円安材料の方が強い感じがします。

その他、南海トラフ地震による大災害が為替にもたらす影響も長期か短期かわかりませんが、突発の円高騰につながる可能性があります。

 

ユーロドル ・・・・・・

ユーロ圏の財政統合に向けた諸施策が進められ、これが長期的にはユーロの安定につながると期待できることから、長期・超長期ではユーロ底堅しと予想していました。しかしここへきて、施策進捗を減速させる懸念材料が2つでてきました。

懸念材料の第一は、緊縮財政に伴うユーロ圏経済の低迷です。先月半ばに発表されたEuroStatでは、13月期GDPが前期比0.2%減(年率換算0.9%)となり、単一通貨創設以後で最も長い、6四半期連続マイナスとなりました。欧州委員会は外需主導による回復を見通していますが、新興国経済も疲弊しており、そう簡単ではありません。

第二は、国民の緊縮財政への不満からくる政治の不安定です。特に、南欧諸国。

これら2つは、その対策として財政出動を容認し、それがユーロ圏財政統合を遅らせるという結果になるかもしれません。

この切り口だけから相場をみると、短期では金利のさらなる引き下げを巡ってユーロ安、中長期では各国財政による景気の一時的回復からユーロ底堅く、超長期では長い目で見たユーロ安定化策の遅れからユーロの信用を落とす結果となるのではないかと予測されます。

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. 米経済主要指標(雇用統計、製造業・非製造業景況指数、小売売上など)堅調なら米金利上昇でドル高。

 2. IMM投機筋の円売り越し積み上がり水準。高ければ、利食いの円買いが起こる可能性。

 3. ユーロのショートポジション調整の圧力。

 4. 阿部政権が6月にまとめる成長戦略への市場の短期的な反応。

 5. 中国など新興国の経済指標への反応。指標悪ければ、リスク・オフ動き活発となって円高。

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. 米国の金融政策スタンス。経済指標にもよるが、緩和出口戦略の検討状況が進めばドル高。

 2. 中国など新興国の景気動向。減速するならリスク回避の円買いで円高。

 3. 2%物価目標を伴う本邦金融緩和策による円安効果:輸出回復・貿易収支改善で円安傾向に制約。

 4. スペインを含む南欧の政治動向:緊縮財政に疲弊した民衆の不満から不安定になればユーロ安。

 5. ドイツの総選挙(2013/9)。ユーロ圏支援に理解を示す新たな政権か、消極的な政権か。

 

【長期的な材料(数年)】

 1. 貿易赤字の定着化で、実需の面から円売りが進む。

 2. 日銀展望レポート(13/4月)より、12年のインフレ率は期待通りだが、その先は縮む。デフレ要素は再び円高要因になる。

 3. 進んでいる円安が輸出増加効果となって顕れ、行き過ぎる円安に歯止めをかける。

 4. 極端な金融緩和と政府・日銀の協力関係強化で、日銀の国債引受け体質が問題視されて利回り高騰し、財政が破綻。

 5. 阿部政権が6月にまとめる成長戦略の実体経済への効果。

 6. 米国:順次延長され2014年遅くを期限としていた低金利政策を2015年半ばまで延長(2012.09.13)。

 

以上

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