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2013年6月 9日 (日)

ドラッカー「マネジメント」サブノート、第61章(全61章)

61. 革新的な組織

(1) イノベーションを実現できる組織の必要性

 マネジメント関連の書籍は必ず、革新性を発揮する必要性に触れているが、その為には経営陣と組織はどうあるべきかとの点にはほとんど注意を払っていない。

 19世紀に革命的な思想が起こったり、多くの発明がなされたが、その後は社会、技術ともに大きな変化はない。しかし今再びイノベーションが求められている。

 しかしその形は、19世紀と同じではない。

a. 社会で一番深刻な危機は組織の危機である。解決には組織のイノベーションが欠かせない。

b. 企業の仕組み、組織、知識などを仕事に活かす手法、仕事から成果を生み出す手法等もまたイノベーションを必要としている。

(2) 革新的な企業 :革新性に溢れる組織には以下のような共通項がある

 イノベーションの意味を心得ている

 イノベーションの力学を理解している

 イノベーション戦略を持っている

 イノベーションを実現するためには、既存のマネジメント組織とは異なる、イノベーションの力学にふさわしい目標や評価尺度が求められることを理解している

 マネジメント層、とりわけ経営層は、イノベーションを推進する組織においては通常と異なる発想をし、異なる役割を担う

 イノベーションを担う組織は、既存のマネジメント組織とは異なる体制を持つ

以下、順番に説明する。

(3) イノベーションの意味

 イノベーションは科学でも技術でもなく価値そのものである。

 その真価は、環境にどれだけ影響を及ぼすかで決まる(社内ではなく社外の変化)。

a. このため、企業によるイノベーションは市場に重点を置いて進めなくてはいけない。製品ばかりに気を取られていては、技術は生れるが業績には寄与しない。

b. 大きな変化を求める消費者や顧客のニーズから出発するのが近道である。

(4) イノベーションの力学

 イノベーション成果は確率分布する。

 そのため、以下のようにして可能性の確立の高い分野を見つけ出す必要がある。

a. プロセス、技術、流通チャネル、顧客の期待などが抱える経済面での根本的な弱さに着目すると良い。需要が増えているのにそれを収益につなげられずにいる場合は、これらを変化させるイノベーションを成し遂げれば大きな見返りが得られる。

b. 既に起きた事のうち、未だ経済上の効果が生じていないものにチャンスがある。この場合に重要でかつ予測しやすいのが人口構成変化だ。予測困難だが、(社会の)意識、ビジョン、期待などの変化も重要だ。

 確率分布ではなく、型破りなイノベーションも存在し、しかもそれは世界を変えるほど重大だが、それは予測不能でマネジメントも不可能であるから例外として扱うべきだ。

(5) イノベーションを実現するための戦略

 時代遅れな分野から計画的に撤退する

a. 撤退しない限り、新分野に投入する経営資源、なかでも希少な人材を確保できない

b. 既存事業の規模や収入の大きさから比べると新しいものは重要でないように見えてしまうからこそ、過去のしがらみを断ち切ることが重要になる

 高いイノベーション目標を掲げる

a. 現状を改善する程度のものは、成功の確率が50%ほどだと考えられる。しかしイノベーションとなると大半は失敗hし、成功確率は10%程度である。

b. だから、90%の失敗を埋め合わせる必要があり、そのためには高い目標を持たせなくてはいけないのだ。

(6) 評価尺度と予算

 イノベーション案件には、既存事業の評価尺度、会計手法を適用してはいけない。

a. イノベーションにかかる費用を既存事業の予算からはずして別枠とするほか、投資収益率(ROI)等既存事業の評価尺度の対象外とする。

b. これにより、利益や業績が圧迫されるとの反発も避けられる。

 既存事業とは異なる扱いが必要である。

a. 既存事業では、その取組みの要不要を自問し、必要だと判断すれば最低限の後押しを考える。

b. イノベーションでは、追求すべき事業機会であると判断すれば、最大限どれだけの人材と経営資源を投じる事が可能かを考えなくてはいけない。

 既存事業とは異なる評価体系を取り入れることで、下記を見極めることができる

a. 最大限どれだけの事業機会が秘められているか

b. 失敗のリスクはどの程度か

c. 必要な努力と支出はどれくらいか

 失敗のリスクより、成功の一歩手前をさまようリスクがやっかいだ

a. イノベーション案件のかなりは、革命的な期待をされながらも、既存のちょっとした付け足しにとどまる。完全な失敗ではないので、断念できない。

b. だから、何を成果として期待するかをよく考えて書き留めておくべきだ。案件の成果と比べ、期待に及ばないなら撤退とその方法を自問すべきだ。

(7) イノベーションに適した発想

 変化が例外ではなく日常の一部を成し、脅威ではなく機会と受け止められるような組織を築く必要がある。

 教科書にある、従来型の組織では、マネジメント層は、提案に対して「ノー」をつきつける、拒否権という最終判断を担うとされたが、イノベーション組織ではこれと逆だ。

a. 経営層は、実現性の低いアイディアにも耳を傾け、実現させる方法を見出すべきだ

b. また、アイディアをもとにビジョンを描き、組織全体の目を向けさせる推進役にならなければならない

c. そのため、社内各組織の若手と会い、膝を交えるべきだ

(8) イノベーションにふさわしい組織

 イノベーションには原則として、従来の組織から独立させ、高い自律性を与えたチーム組織がふさわしい。

 また、起業家とパートナーを組み、独立会社を設けて取り組む方法も良い。

 上記のような社内の組織、独立会社のいずれの場合も、イノベーションの探求は既存事業とは別立ての組織に担わせる必要がある。既存事業を動かしながら、同時に新たな分野を切り開くわけにはいかない。

 

 

 むすび マネジメントの正統性

(1) マネジメント・ブームは終わり、マネジメント成果が問われる時代になった。

 20世紀社会は組織を柱としている。また、20世紀は知識社会への移行も進んできた。

 マネジメントはこの2つの潮流の結果である。組織が機能し使命を果たすにはマネジメントが必要だ。

 マネジメントの単なるブームは終わり、成果が問われる。社会と経済、コミュニティ、個人の為に成果をあげられるよう、組織を導いていく務めを担うのがマネジメントだ。

(2) その為には、マネジメントの技能(テノククラシー)だけでは不十分だ。

 ブームとしてのマネジメントは、マネジメント技能に焦点を当て、組織、モチベーション、財務等のコントロール手段、マネジメント科学、マネジャー育成など、主として内向きのものを捉えた。それは正しくもあったが、それだけでは不十分だ。

 マネジャーの第一の務めは与えられた使命に沿って組織をマネジメントすること。最優先は経済活動の推進である。同時に、高い生産性を引き出し、働き手に達成感を得さえ、世の中全体と各人の性格の質を高めるという勤めもある。これはテクノクラートの領分を越えたものだ。

(3) そして、正しいと認められる、正統性を持たなくてはいけない。

 血筋、魔術、人気投票や選挙、財産などを後ろ盾にしたものを正統性のよりどころとするのは適切ではない。

 よりどころとなるのは成果だけである。

 また、マネジャーが正統な権限を認められるには、徳の高さが欠かせない。マネジメントを存続させるには、組織の目的と特徴、ひいては本質が、道徳原則に根ざしていなくてはいけない。

 組織の道義的責任、すなわち人々の強みを引き出し、達成感をもたらすことを自分の責務として引き受ける必要があるのだ。

 

 

 

 

以   上

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