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2013年8月 7日 (水)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2013年7月末現在)

【米ドル】

7月は、円安円高材料が合い半ばする展開でした。

相場の動きとしては、月初に99円台半ばで始まり、月央に高値101円台半ばをつけ、月末に97円台半ばまで弱含んだ後、97円台後半で月を越すというものでした。

4円の値幅でふらふらしていたわけですが、円安(ドル高)材料と円高(ドル安)材料が交互に顕れたため、このようなどっちつかずの相場展開となったというわけです。材料は一言で言うと、円高(ドル安)材料は米金融政策、円安(ドル高)材料は米実体経済によるということでしょう。

まず、実体経済。これは、米経済指標が回復を裏付ける形で、相次いで発表されたため、金融緩和縮小の条件がそろいつつあるとの見方から、円安(ドル高)に作用しました。主なものは、雇用統計や製造業受注予想、ISM製造業景況指数など。中でも、鉱工業生産は4ヶ月ぶりに高い伸びを示しました。

次に経済政策。5月に米FRBの金融緩和策縮小示唆を材料に、一気にドル高が進んだの記憶に新しいとこですが、7月は逆に、経済回復の足取りが重いなら金融緩和は当面継続する可能性があると、緩和縮小を遠のかせるニュアンスの発言がありました。そうなると、日米金利差は広がらず(米金利が高くならず)ドル高材料が後退する動きとなります。この動きは、上旬のバーナンキ議長講演や中旬の議会証言で現れ、下旬には月末開催予定FOMCで金融政策先行き見通しが見直されて緩和が続くのではないかとの観測(実際には見直されなかった)となって現れました。結局月の締めくくりは、この動きの中で、97円台後半のやや円高水準で月を越したのです。

 

【ユーロ】

7月は、ユーロがドルに対して強含みました。

材料はドル円と似ています。それにユーロ固有の材料が加わってこのような展開になったと言えます。

まず、似ている点から。7月のドル円は、もっぱら米国側からの材料によってふらふらと動いたと述べました。ユーロドルも米国側からの材料によって動かされた面があります。その材料とは、ドル円で説明したように、金融政策と実体経済の両面で捉えることができます。つまり、米金融政策の縮小を多少後退させるようなFRB議長の講演や議会証言によって、ドルが売られてユーロが上昇した場面があり、それと交互して、実体経済は雇用統計や鉱工業生産の良好な数字が発表されるたびに、縮小促進を予想させて米ドル金利が上昇し、ユーロが売られる場面があったということです。

しかし、ドル円と異なるのは、ユーロドルでは上記にユーロ固有の材料が加わった点でした。売りと買いの両方あります。

売り材料は、ドラギECB総裁が追加利下げの可能性に言及したことや、イタリア格下げ発表などで、上旬に顕われました。

一方の買い材料は、ユーロ圏消費者信頼感やユーロ圏7月PMI、仏消費者信頼感などの経済指標が良好だったことです。これらは、下旬から月末にかけて発表されました。このため、上旬に、一旦は月間安値の1.27台半ばまで売られたものの、下旬には1.33台半ばまで上昇し、そのまま1.33台を維持して月を越えたわけです。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・・

米側からの要因としては、引き続き、FRBの金融緩和縮小へのスタンスとそれを裏付ける米経済主要指標を注視すべきです。見方は、金融緩和縮小に力点を置いたFRB発言はドル高(円安)要因。逆に緩和継続ならドル安(円高)要因。緩和縮小の条件としてあげている失業率はその裏づけとして一番重要です(改善⇒緩和縮小⇒ドル高円安)。

日本側からの要因としては、日銀の金融政策では市場に大きな影響を与えるような大きな変化はないものと考えます。さらに次元の違う緩和は無理であるし、かといって緩和を縮小するのはアベノミクスのスタンスに合わないからです。

本邦要因で、注目しておかなければならないのは、主として中長期の材料となりますが、貿易収支の動向だと思います。円安進行で3~6ヶ月程度のJカーブ効果(円安が輸入価格を押し上げてしばらくは貿易収支が悪化する)期間の後には、輸出が回復するというのが理論ですが、どうもそうはなっていない。理由は、円高時期にせっせと海外移転した生産拠点は急には国内に戻せないこと、新興国の生産能力が過剰なほど伸びており、日本が相変わらず過当な価格競争を知られていることなどです。貿易赤字がこのまま定着すると円安の方向は変わらないでしょう。

 

ユーロドル ・・・・・・

短期的には、ドル円と同じように、米国の金融政策スタンスとそれを裏付ける米経済指標には、引き続き見守っていく必要がありそうです。そのうえで、ユーロ固有の材料を確認しておくべきでしょう。

下の箇条書きにもとりあげてある、固有の材料は、中期、長期のものです。具体的には、南欧諸国の政治的要因。財政緊縮に対する国民の不満から政権が交代したイタリアのほか、スペインやギリシャなど。一定の成長政策を容認する独のスタンスもあって、現在は比較的静かですが、材料としてはなくなっていません。その独では9月に総選挙があります。この結果次第では、南欧への厳しいスタンスか成長容認するハト派スタンスかの方向が決まりますので注目すべき。

長期では、ユーロ圏財政統合に向けた諸施策の行方。現状では、当初合意の予定通り、進められているようです(2014年夏までに銀行監督一元化新部局設置、査定基準統一)。また、財政緊縮の効果として経常収支が改善されていますので、長期的には、ユーロ評価につながると考えます。

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. FRBの金融政策方針に関する議長証言や講演への瞬間的な市場の反応。(縮小ドル高)

 2. 米経済主要指標(雇用統計、製造業・非製造業景況指数、小売売上など)堅調なら米金利上昇でドル高。

 3. IMM投機筋の円売り越し積み上がり水準。高ければ、利食いの円買いが起こる可能性。

 4. ユーロのショートポジション調整の圧力。

 5. 中国など新興国の経済指標への反応。指標悪ければ、リスク・オフ動き活発となって円高。

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. 米国の金融政策スタンス。経済指標にもよるが、緩和出口戦略の検討状況が進めばドル高。

 2. 本邦貿易収支:Jカーブ効果許容期間を超えても赤字解消せず、赤字が定着しつつある円安

 3. 本邦消費税引き上げ(5$⇒8$)の行方:予定通り実施なら、デフレ脱却期待(円安)が少し後退。

 4. 中国など新興国の景気動向。減速するならリスク回避の円買いで円高。

 5. 2%物価目標を伴う本邦金融緩和策による円安効果:輸出回復・貿易収支改善では円安傾向に制約。現状はまだ効果あらわれず。

 6. スペインを含む南欧の政治動向:緊縮財政に疲弊した民衆の不満から不安定になればユーロ安。

 7. ドイツの総選挙(2013/9)。ユーロ圏支援に理解を示す新たな政権か、消極的な政権か。

 

【長期的な材料(数年)】

 1. 貿易赤字の定着化で、実需の面から円売りが進む。

 2. 日銀展望レポート(13/4月)より、12年のインフレ率は期待通りだが、その先は縮む。デフレ要素は再び円高要因になる。

 3. 進んでいる円安が輸出増加効果となって顕れ、行き過ぎる円安に歯止めをかける。

 4. 極端な金融緩和と政府・日銀の協力関係強化で、日銀の国債引受け体質が問題視されて利回り高騰し、財政が破綻。

 5. 消費税引き上げの影響(5%⇒8%⇒10%)

 6. ユーロ圏の経常収支:黒字拡大⇒ユーロの下支え。

 7. 米国:順次延長され2014年遅くを期限としていた低金利政策を2015年半ばまで延長(2012.09.13)。

 8. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 9. ユーロ圏、財政統合の行方(2014銀行監督一元化~2012/10合意、各国予算編成への関与)順調ならユーロ評価に。

 

以上

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