« 2013年8月 | トップページ | 2013年10月 »

2013年9月

2013年9月 2日 (月)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2013年8月末現在)

【米ドル】

8月は、96円台~99円台を行ったり来たりの展開でした。

高値の99円台をつけたのは月初です。米国で今一番注目されている経済指標、雇用統計が発表される前でした。FRBが金融緩和策を縮小するには緩和効果が十分に顕われたと判断できる経済指標が必要であり、その点で重要視されているのが雇用統計(失業率)です。緩和が縮小されると、米金利が上昇し、円金利との差が開くのでドル高円安になります。

このところ米経済指標は良く、月初発表される雇用統計にも期待が集まった結果、ドルが買われて99円台後半(100まであと一息)まで上昇しました。ところが、実際に発表されてみると、それは市場の期待を下回るものでした。市場は持っていたポジションを整理する形でこれに反応し、今後は逆に96円台の前半までドルが売られたのです。

その後は月を通して、この範囲内で上下する相場展開となりました。この間、円売り(ドル買い)材料としては、月央に発表された本邦貿易収支(13ヶ月連続赤字)、下旬に発表された、米FOMC議事録の内容(年末までの資産購入ペースを調整する意見が多かった。~調整するとは、すなわち緩和縮小するという意に通じるのでドル高につながる)などです。下旬には、シリア情勢もリスク回避の動きを強める形で円買い材料となりました。

なお、日銀の政策決定会合の内容は、予想通りの現状維持でしたので相場への影響はほとんどありませんでした。

 

【ユーロ】

8月は、平穏でした。

月初の数日程度と月末に少し弱含む場面がありましたが、あとは総じてドルに対しそこそこ堅調な相場を維持しました。

月初は、ECB理事会後のドラギ総裁会見で、長期にわたる低金利政策を維持していく趣旨の発言があったことから、ドルに対してユーロが売られ、1.32を割り込みました。また、月末には、オーストリア中銀総裁がECBの利下げに言及したことなどから、再び1.32台を割り込むまで売られました。

月初と月末以外の月中は、1.33台から、一時1.34台を超えるような堅調さをみせました。堅調さを維持した背景にはトピック的な変動材料はありません。その中でもいくつかあげるとするならば、まずドル円材料ともなった米雇用統計です。良い数字に期待していた市場の予想を下回る結果であったことから、米金融緩和縮小が遠のいたと判断されてドルが円に対して売られましたが、同時にユーロに対しても売られてユーロが一時1.34台にのせたのです。

また、ファンダメンタルズとして経常収支の黒字拡大があります。ひところの債務危機が落ち着いて、市場がショートポジションを調整してきたなかで、経常収支も黒字を維持するようになり、ユーロに対する極端な不安は薄らいだことが今月の底堅さの背景にあると考えます。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・・

8月は、96円台~99円台の行ったり来たりだったと書きました。この行ったり来たりの幅が月を追って狭くなっています。少し過去の相場推移を見てみましょう。

昨年秋からの急激な円安は今年なってからもその勢いは止まらず、5月半ばにピークの102円台半ばをつけました。それが翌月半ばには急に93円台まで戻したのです。背景には大きく円の売りポジションを作っていた向きが悪い米雇用統計をきっかけに一気にポジション調整に動いたことがありました。そして、その後は米金融緩和の収束を材料にしながら行ったり来たりの相場となっていったのです。この間、特に目新しい材料はなく、相場を動かしたのは、主に緩和縮小が近いか遠いがによる市場の反応でした。だから、新鮮味がなくなって、その振幅幅は徐々に狭くなってきたのです。

今後も、短期中期では緩和縮小を巡る話題が中心です。その行方を占うものとして雇用統計など米経済指標が直接的な変動材料となるでしょう。ただ、市場は年末にかけて縮小方針が固まっていくと見ており、それはすでに相場に織り込まれていると考えます。

逆に、それを狂わせる要因を想定しておくなら、まず新興国の動向です。経済動向を見守るのはもちろんですが、他にも各国が為替防衛の為に金利引き上げに動いていることにも注意が必要です。利上げによる資本逃避防止は一時的なものに過ぎず、長期には国内経済へボディブローとなって聞いてくるでしょう。そうなるとリスク回避の動きを強めて資金が円に戻ってくる(円高)可能性があります。

その他、日本の消費税導入決定の行方にも注意を払う必要があります。国内では、景気を冷やしてしまう心配が先行して予定通りの導入を避けようとする向きがありますが、海外では財政破綻への心配の方が強い。仮に先送りするような決定がなされるなら、円への信頼は大きく失墜すると思います。

ところで、91日は防災の日でした。近いうちに必ず起こると言われている南海トラフ地震ですが、日本に大災害が起こったら、対外資産を取り崩して国内に資金を取り戻すだろうとの想定から、円が急騰することを忘れてはいけません。

 

ユーロドル ・・・・・・

ユーロ圏内の各国間でばらつきがあるものの、昨年、変動要因の中心だった債務危機は短期長期の対策が打たれ、それらが整備されつつある段階です。一時は短期的対策の財政緊縮が大衆の不満につながり、政治不安が持ち上がる場面もありましたが、今はそれも落ちついています。その一方で、ドイツ一国が牽引している不自然な姿であるとはいえ、経常収支が黒字を維持するようになったことは通貨ユーロへの信頼回復に一役買っているものと思われます。

長期では、銀行監督一元化や財政統合などの施策が時間を掛けながら動いていることから、新興国などの経済が広く停滞することのない限り、比較的底堅く推移するのではないでしょうか。

短期では、今月ドイツの総選挙に注目します。ユーロの維持に協力的かどうかでその後の南欧諸国支援の仕方にも影響が出てくる可能性があります。ただ、このあたりのことが、選挙が近づいてもあまり話題になってこないところを見ると、相場への影響は小さいかもしれません。それよりも、ECBの金融政策のスタンスに変更があるのかないのか(利下げや低金利維持は米ドル金利との金利差を拡大させてユーロが売られる)、ドラギ総裁や関係者の発言の方が短期的な相場を動かしそうです。

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. FRBの金融政策方針に関する議長証言や講演への瞬間的な市場の反応。(縮小ドル高)

 2. 米経済主要指標(雇用統計、製造業・非製造業景況指数、小売売上など)堅調なら米金利上昇でドル高。

 3. 中国など新興国の経済指標への反応。指標悪ければ、リスク・オフ動き活発となって円高。

 4. ドイツの総選挙(2013/9)。ユーロ圏支援に理解を示す新たな政権か、消極的な政権か。

 5. 欧州中銀(ECB)の金融政策スタンスに関する発言など :緩和ならドルとの金利差からユーロ売り

 6. IMM投機筋の円売り越し積み上がり水準。高ければ、利食いの円買いが起こる可能性。

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. 米国の金融政策スタンス。経済指標にもよるが、緩和出口戦略の検討状況が進めばドル高。

 2. 本邦貿易収支:Jカーブ効果許容期間を超えても赤字解消せず、赤字が定着しつつある円安

 3. 本邦消費税引き上げ(5$8$)の行方:予定通り実施なら、デフレ脱却期待(円安)が少し後退。

 4. 中国など新興国の景気動向。減速するならリスク回避の円買いで円高。

 5. ユーロ圏の経常収支 :黒字を維持できるなら、ユーロは底堅く推移。

 

【長期的な材料(数年)】

 1. 貿易赤字の定着化で、実需の面から円売りが進む。

 2. 日銀展望レポート(13/4月)より、12年のインフレ率は期待通りだが、その先は縮む。デフレ要素は再び円高要因になる。

 3. 進んでいる円安が輸出増加効果となって顕れ、行き過ぎる円安に歯止めをかける。

 4. 極端な金融緩和と政府・日銀の協力関係強化で、日銀の国債引受け体質が問題視されて利回り高騰し、財政が破綻。

 5. 消費税引き上げの影響(5%8%10%) :景気、財政赤字の両方の切り口から

 6. 米国:順次延長され2014年遅くを期限としていた低金利政策を2015年半ばまで延長(2012.09.13)。

 7. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 8. ユーロ圏、財政統合の行方(2014銀行監督一元化~2012/10合意、各国予算編成への関与)順調ならユーロ評価に。

 

以上

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2013年8月 | トップページ | 2013年10月 »