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2013年11月

2013年11月 2日 (土)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2013年10月末現在)

【米ドル】

10月は、あまり動きませんでした。

そうは言っても、97を切る水準から98円半ばまで行ったり来たりという動きはありましたので、それを時間の流れに沿って振り返りましょう。

まず月初です。前月末に米財政協議難航していた事を材料にドルが売られた動きを受けて、98円を切る水準から始まりました。その後も、なかなか協議が決着せず、各機関の業務が止まってしまい、あわや米国債がデフォルトかという切迫した事態に、96円台まで下落したのです。各機関が止まってしまったので、月初の雇用統計など経済指標の発表も延期されました。この間、9月のFOMC議事録が公開され、年内の緩和縮小意見が多かったことから、ドル買い戻し場面もありましたが力ありませんでした。

この低迷は月央まで続き、15日)に米財政協議妥協案が合意されると、一時99.01円まで上昇しました。しかし、この材料が剥げると、市場は再び米FRBの金融緩和縮小時期を占う経済指標を注目し始めます。17日発表の新規失業保険申請件数は予想を下回り、延期されていた米雇用統計も非農業部門雇用者数が予想を下回ると、ドルは再び97円台まで売られました。

下旬には、中国経済も材料となりました。不良債権増加にともなう金利上昇でリスク回避する動きが活発になり、円に逃避する結果ドル円も低迷したのです。

月末にかけては、米鉱工業生産・米設備稼働率等の指標が予想を上回ったこと、開催されたFOMCでは必ずしも緩和固執ではない声明文に反応し、98円後半まで戻して結局98円半ばで月を超えました。

 

 

【ユーロ】

10月は、後半にかけてユーロ買いが進みました。

ユーロは、昨年夏1.2台に比べると、現状の1.3代半ばは高い水準にあります。

月初は、米財政協議の難航を受けて、高い水準の1.35付近で始まりました。また2日には、ECBドラギ総裁が「ユーロ相場は政策目標でない」と発言し、これがユーロの上昇圧力に対する懸念を一時的に払拭する結果となって、1.36台まで強含みました。

その後、米国で財政協議の妥協案が合意されると、1.34台まで売られます。

しかし後半に入ると、ユーロがどんどん買われて、1.3825まで上昇しました。上昇した理由は、新規失業保険申請件数や遅れて公表された雇用統計などの米経済指標が市場予想を下回り、米金融緩和縮小が遠のくとの観測が広がったこと。ECBドラギ総裁が、ストレステストで悪い銀行へは厳しい対処も辞さない旨の発言があったことなどです。

しかし、それだけではなく、背景には、一昨年夏から投機筋が売りポジションを調整していることもあります。特に昨年夏のユーロ圏財政危機では、大きく売りを溜めていた向きがここ2~3カ月では逆に買いポジションに変わっています。その買いポジションのボリュームは2011年春、ドル/ユーロ相場が1.41.45の水準であった頃と同程度になっていますから、IMMのポジション変化にも目をやっておく必要があるでしょう。

月末にかけては、ポジション調整があって、再び1.35台半ばまで戻したところで月を超えました。                

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

市場は再び、米金融当局のスタンスに着目していますから、金融緩和縮小の条件となっている失業率等の米経済指標には注意して見舞っていく必要があります。対して、日本の金融政策はどうかというと、目論見どおりに推移しており、2%の物価目標は達成できる見通しとなっているため、当面は日銀の政策決定会合結果よりFRBのスタンスへの注目度の方が高いと思います。

この点では、新興国の景気動向が不安定であることも影響して、FRBスタンスを占う経済指標はこのところまだ模様です。その結果、米緩和縮小は先送りされ、次期FRB議長の方針もどうやら緩和に軸足を置いているようですから、円買い材料となります。

但し、新興国や米国の景気が不安定であることは、日本の貿易収支にも負の影響を与えます。円安になってJカーブ効果期間も過ぎたのになかなか物量でみた輸出が伸びないのは、輸入国の需要が伸びないからでしょう。一方の本邦輸入については円安で金額ベースは高い水準のままです。輸出伸びず輸入高止まりなら貿易収支は赤字のままですから、この点では逆に円安支援材料となります。

結局、向こう数カ月の短期・中期では、現状水準からあまり変化しないかもしれません。

円安は輸出をサポートするが、それだけではダメだということです。根本的には相手国の経済が活発に動いて、消費需要が伸びないと我が国の輸出は伸びません。

長期ドル円は、前回までと変わりません。ドル高円安に進むと思います。

 

ユーロドル ・・・

短期・中期では、米金融政策のスタンスとECBのスタンスの格差が変動要因となっています。この点では、米FRBの金融緩和縮小が遠のいているとの観測が広がっている一方、ユーロ(ECB)では、緩和継続にさほど固執していない様子ですので、ユーロが米ドルに対して買われやすい状況が続くと思います。

ECBがさほど緩和に固執していないのは、貿易収支や経済成長などのファンダメンタルズがここへきて比較的良くなっていることが背景にあると考えます。ユーロ圏財政立て直しの諸施策も、銀行監督一元化など具体的に進んでおり、昨年夏の大騒動に比べて安定感があります。

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. FRBの金融政策方針に関する議長証言や講演への瞬間的な市場の反応。(縮小ドル高)

 2. 米経済主要指標(雇用統計、製造業・非製造業景況指数、小売売上など)堅調なら米金利上昇でドル高。

 3. 欧州中銀(ECB)の金融政策スタンスに関する発言など :緩和ならドルとの金利差からユーロ売り

 4. 中国など新興国の経済指標への反応。指標悪ければ、リスク・オフ動き活発となって円高。

 5. ユーロのショートポジション調整の圧力。

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. 米国の金融政策スタンス。経済指標にもよるが、緩和出口戦略の検討状況が進めばドル高。

 2. 本邦貿易収支:Jカーブ効果許容期間を超えても赤字解消せず、赤字が定着しつつある円安

 3. ユーロ圏の経常収支 :黒字を維持できるなら、ユーロは底堅く推移。

 4. 米財政協議:連邦政府債務上限引き上げ法案可決(1310月)→201427日まで。

 5. 中国など新興国の景気動向。減速するならリスク回避の円買いで円高。

 

【長期的な材料(数年)】

 1. 貿易赤字の定着化で、実需の面から円売りが進む。

 2. 進んでいる円安が輸出増加効果となって顕れ、行き過ぎる円安に歯止めをかける

 3. 極端な金融緩和と政府・日銀の協力関係強化で、日銀の国債引受け体質が問題視されて利回り高騰し、財政が破綻。

 4. 消費税引き上げの影響(5%⇒8%⇒10%)

 5. NISA普及で、日本の対外投資活発化⇒円安

 6. 米国:順次延長され2014年遅くを期限としていた低金利政策を2015年半ばまで延長(2012.09.13)。

 7. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 8. ユーロ圏、財政統合の行方(2014銀行監督一元化~2012/10合意、各国予算編成への関与)順調ならユーロ評価に。

 

以上

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