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2013年12月

2013年12月 4日 (水)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2013年11月末現在)

【米ドル】

11月は、一貫してドル高(円安)方向の動きでした。

月初98円台前半で始まると、上旬に97円台半ばまで緩む場面もありましたが、そこから先は、月央に100円を再突破し、下旬には102円も超えてそのまま月末を超えました。しがって、11月の変動要因(材料)を列挙しようとすると、円安材料ばかりになってしまうわけですが、そこはどうやら従来のような見方では通用しない部分もあるようです。

まず、時間に沿って主な材料を見ていきましょう。

米経済指標が良いと金融緩和措置の早期縮小(米金利高)を予想してドルが買われるというのが最近の材料の特徴のひとつですが、この点、月初の米経済指標では、10ISM景況指数や第3QGDP、雇用統計が市場予想より良好でした。これにより、99円から100円に迫るまで円安となったのです。7日に欧州中銀が政策金利を下げましたが、これは米ドルと円に同量の買いとなって反応したため、ドル円相場への影響はありませんでした。

さて、従来の見方がそのままでは通用しない材料とは、金融緩和縮小が円安につながったのに、これとは別に金融緩和継続が円安につながっているという現象です。具体的には、月央のイエレン次期FRB議長の公聴会で金融緩和の継続方針が確認されたことで、リスクを取りやすくなった向きが円を売る動きに出たということ。

リスクオン指向は株にも表れ、ダウは史上最高を更新し続けました。株が買われると、これもリスクオン指向を促すという上昇スパイラスとなりました。米金融緩和継続では円が売られ、米金融緩和縮小では米ドルが買われ、どっちにしても円安ドル高とう相場展開となったというのが、11月の特徴です。

こんな中で、100円を軽く突破した後は、下旬にかけて、米経済指標のほかイラン核問題で主要国が合意したニュースも加わり、102円台で月末を超えました。

 

【ユーロ】

11月は、「行って来い」の展開でした。

前月にここ当面のピークである1.38台前半まで買われた後、反落途中の1.35台半ばで始まりました。月初はユーロ圏失業率等の経済指標が弱く、利下げを予想する向きもあって、弱含みましたが、実際に欧州中央銀行が政策金利を引き下げた(118日)ため、一気に1.33台前半まで下落しました。

その後も、今後のユーロ圏経済見通しやマイナス金利の余地を巡る有力者の発言などから、1.34前後の低い水準で低迷する動きが続きましたが、中旬以降から月末にかけては、徐々に回復してきました。

回復してきた背景は、円安にあります。

米次期FRB議長イエレン氏が公聴会で就任後の緩和措置継続を確認し景気対策に軸足が置かれると判断できることや実際に米株式がこれに反応して最高値更新するなどして、リスクオン指向が高まりました。このため、リスク回避を指向して円を買っていた向きが、今度は円を売りユーロを買い戻したのです。

実際、ユーロは米ドルに対しては、行って来いの展開でしたが、円に対しては一貫して強くなっています。ユーロドルは1.36まで戻して月を超えました。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

11月の変動材料に見るように、今までは米国の金融緩和政策が縮小される場合には金利が上昇してドルが買われると予想され、縮小の条件とされた失業率等の米経済指標に注目されていましたが、今後短期的には、金融緩和措置が継続されることで安心してリスクを取ろうという投資家が安心通貨である円を売る傾向になっています。

どっちに転んでも円安という奇妙な状況ですが、そのおかげで、短期~中期予測がしやすくなっています。つまり、突発的な逆材料が出ない限り円安という予測です。

では、中期~長期ではどうかというと、これも従来の円安材料に変更はありません。

但し、昨年、円が大幅買い持ち、ユーロが大幅売り持ちだった、IMM先物ポジションがここへきて逆転しており、円についは過去にない水準での売り持ちとなっています。売りポジションは先の十分な円安を先取りしたもので、実需が追い付けばいいのですが、そうでないとき、つまり市場の期待が裏切られた時の巻き戻しには注意が必要でしょう。

また、緊張している日中関係は突発的な事故になりかねませんので、この場合の有事のドル買いにも警戒しておかなければなりません。

 

ユーロドル ・・・

緩和継続にさほど固執していないと見られていた欧州中央銀行が11月初旬に政策金利を引き下げたことで、米FRB次期議長イエレン氏就任後も米緩和措置が継続されると確認されたことを考慮すると、マイナス金利にまで政策が及ばない限り、ユーロは底堅い動きとなるでしょう。欧州の緩和一巡に対して米FRBの緩和継続という立ち位置の違いが先月までに比べてはっきりしているからです。

ただ、欧州の金融政策がマイナス金利に及ぶかどうかは、関係者の発言にバラツキがあり、可能性がないとは言い切れません。そこを判断するのは欧州経済の状況ですが、10月のユーロ圏消費者物価指数が4年ぶりの低水準である前年同月比0.7%となったことは気になるところです。

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. FRBの金融政策方針に関する議長証言や講演への瞬間的な市場の反応。(縮小ドル高)

 2. 日米株式市況、平均株価上昇がリスクに対する姿勢を積極的させ、円安材料となる。

 3. 米経済主要指標(雇用統計、製造業・非製造業景況指数、小売売上など)堅調なら米金利上昇でドル高。

 4. 欧州中銀(ECB)の金融政策スタンスに関する発言など :緩和ならドルとの金利差からユーロ売り

 5. 中国など新興国の経済指標への反応。指標悪ければ、リスク・オフ動き活発となって円高。

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. 米国の金融政策スタンス。経済指標にもよるが、緩和出口戦略の検討状況が進めばドル高。

 2. 本邦貿易収支:Jカーブ効果許容期間を超えても赤字解消せず、赤字が定着しつつある円安

 3. ユーロ圏の経常収支 :黒字を維持できるなら、ユーロは底堅く推移。

 4. 米財政協議:連邦政府債務上限引き上げ法案可決(1310月)→201427日まで。

 5. 中国など新興国の景気動向。減速するならリスク回避の円買いで円高。

 6. 日中関係、防空識別圏を巡る日中関係緊張が極度に達して仮に戦闘状態に入ると円売り。

 

【長期的な材料(数年)】

 1. 貿易赤字の定着化で、実需の面から円売りが進む。

 2. 進んでいる円安が輸出増加効果となって顕れ、行き過ぎる円安に歯止めをかける

 3. 極端な金融緩和と政府・日銀の協力関係強化で、日銀の国債引受け体質が問題視されて利回り高騰し、財政が破綻。

 4. 消費税引き上げの影響(5%⇒8%⇒10%)

 5. NISA普及で、日本の対外投資活発化⇒円安

 6. 米国:順次延長され2014年遅くを期限としていた低金利政策を2015年半ばまで延長(2012.09.13)。

 7. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 8. ユーロ圏、財政統合の行方(2014銀行監督一元化~2012/10合意、各国予算編成への関与)順調ならユーロ評価に。

 

以上

 

 

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