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2014年1月

2014年1月 6日 (月)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2013年12月末現在)

【米ドル】

12月は、ドル高続伸し、約5年ぶりに105円台にのりました。

前月の11月は一貫してドル高の動きでしたが、12月もこの動きを受けて102円台半ばで始まりました。

上旬は、日銀が追加の金融緩和措置を検討しているとの一部報道があったほか、日経平均株価の上昇を背景にリスク挑戦への動きが強まってリスク避難先通貨である円が売られる動きとなり、対米ドルで103円台に乗せました。

これに呼応して、米国経済の主要指標も、回復が確認できる良好な数字の発表が続いています。特に6日に発表された雇用統計では、非農業部門雇用者数が20万人超増加して失業率が7.3%から7.0%に大幅低下する良い結果となりました。

その後は、下旬の米FOMCを控えての小動きがつづきました。しかし、そのFOMCが、低金利政策継続の意思をしめしつつ、20141月の金融緩和縮小開始を決めたことで方向感が定まり、104円台に上昇しました。月末にかけてもその動きは変わらず、約5年ぶりに105円台に乗せてそのまま年を越したのです。

また、円はユーロに対しても売られ、年末にかけて欧州株が全面高となったのを背景にユーロに対して、これも約5年ぶりに145円後半まで下落しました。

 

【ユーロ】

12月は、行ったり来たりの展開でした。

2013年春の対米ドル1.28台という低い水準から行ったり来たりしながら徐々に上昇してきましたが、12月値幅の1.351.38は中期では比較的高い水準です。

月初は、1.35台前半で始まりました。最近ではユーロに関する数少ない材料となっている、上旬のECB理事会では、追加緩和が見送られたもののマイナス金利を主張する議論もなかったという内容で市場に与えるインパクトはありませんでした。しかしECBスタッフが予想する2014年の成長率が、1.0%から1.1%に引き上げられたことから、ユーロへの信頼感が高まり、1.38へ値を伸ばしていったのです。これが「行ったり来たり」の「行ったり」の部分です。

「来たり」の部分に当たるのは下旬の米FRBの政策決定を要因とするものでした。18日に米FOMCが量的緩和措置縮小時期を具体的に決めたことで、米ドルが買われユーロは利食い売りにあったのです。この結果一旦は1.36台まで弱含みましたが、それでもすぐに1.38台を回復する等底堅く、結局底堅い推移のまま越年しています。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

2013年秋ころから、短中期的な変動材料として米国金融政策を見る視点が変わってきました。それまでは、雇用統計を中心とする米経済指標の良好な結果が量的緩和措置の縮小を早め、それが米金利の上昇となって高利回り資産選好による米ドル買いを進め、円安となると見られていました。これはまだ生きているわけですが、これに加えて、量的緩和や低金利策などの金融緩和も円安材料として見られるようになったのです。

その波及経路は、金融緩和が米経済回復を早め、それが世界経済を下支えするからリスクを取りやすくなる。リスクを取りやすくなるなら、リスク回避のために円に逃避していた円建て資産を解いて再びリスク資産を積み上げる動機となり、円が売られるというものです。日経平均など株価の上昇も同様にリスク挑戦の動きを促進します。12月は日経平均が高値更新するに沿って円が安くなりました。

しかし、これらはあくまで短中期の見方です。IMMポジションをみると、この円売りで円ショートポジションが相当積み上がっている一方でユーロはかつてのショートが巻き戻されてロングになっている状況がわかります。このでこぼこは半ば投機であり、投機は短中期で手じまいされるのです。

したがって長期見通しの材料は変わりません。経常収支赤字の定着は円売り圧力となり続けます。これに加えて、本日の日経朝刊にもあるように円の実質金利はこのところのインフレで下降余地がでていますし、空洞化による生産拠点の海外移転や世界経済の低迷など構造上の問題から、円安になっても輸出が増えないということも、そろそろ長期材料として認めていかざるをえません。

以上から、短期でも長期でも円安傾向には変わりないということになります。

 

ユーロドル ・・・

過去の推移をみると、ピークは2009年秋の1.50台と2011年春の1.50台弱とあり、その間の安値は、2010年夏の1.22台と2012年夏の1.22台で、ほぼ1年のサイクルで高値と安値を行ったりしてきました。この数カ月はじりじりと上昇して高値圏内にあるわけです(グラフ~ 日銀時系列統計データから抽出~参照)。

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「相場は市場に聞け」との諺があります。それを気にしながらグラフをみていると、2013年の高値圏の後の2014年は下降するようにも見えます。上昇圧力と下降圧力がオーバーシュートしながら蛇行していく市場の癖のようなものがあるとすればそれも一理かもしれません。

しかし投機はともかく、経済活動上の需給材料からは短中期的には底堅いと考えます。その理由は、さきの安値圏は南欧をはじめとするユーロ圏の財政不安という事情があったが、ここへきて独政権が周辺国に配慮できる形で着地するなど圏内の政治は安定し、ユーロ圏全体の結束もかたいように見えること、財政不安への対策として打ち出した銀行監督や財政統合に向けた諸施策が着実に進んでいること、なんといっても国際収支や経済成長などの経済基盤が安定に向かっていることなどです。

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. FRBの金融政策方針に関する議長証言や講演への瞬間的な市場の反応。(縮小ドル高)

 2. 日米株式市況、平均株価上昇がリスクに対する姿勢を積極的させ、円安材料となる。

 3. 米経済主要指標(雇用統計、製造業・非製造業景況指数、小売売上など)堅調なら米金利上昇でドル高。

 4. 欧州中銀(ECB)の金融政策スタンスに関する発言など :緩和ならドルとの金利差からユーロ売り

 5. 中国など新興国の経済指標への反応。指標悪ければ、リスク・オフ動き活発となって円高。

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. 米国の金融政策スタンス。経済指標にもよるが、緩和出口戦略の検討状況が進めばドル高。

 2. 本邦貿易収支:Jカーブ効果許容期間を超えても赤字解消せず、赤字が定着しつつある円安

 3. ユーロ圏の経常収支 :黒字を維持できるなら、ユーロは底堅く推移。逆は逆。

 4. 米財政協議:連邦政府債務上限引き上げ法案可決(1310月)→201427日まで。

 5. 中国など新興国の景気動向。減速するならリスク回避の円買いで円高。

 6. 日中関係、防空識別圏を巡る日中関係緊張が極度に達して仮に戦闘状態に入ると円売り。

 

【長期的な材料(数年)】

 1. 貿易赤字の定着化で、実需の面から円売りが進む。

 2. 極端な金融緩和と政府・日銀の協力関係強化で、日銀の国債引受け体質が問題視されて利回り高騰し、財政が破綻。

 3. 本邦輸出量の動向 :生産拠点の海外移設や世界経済回復遅れが続けば輸出伸びず、円安は続く。

 4. ユーロ圏、財政統合の行方(2014銀行監督一元化~2012/10合意、各国予算編成への関与)順調ならユーロ評価に。

 5. 米国:順次延長され2014年遅くを期限としていた低金利政策を2015年半ばまで延長(2012.09.13)。

 6. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 

以上

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