« 2014年4月 | トップページ | 2014年6月 »

2014年5月

2014年5月 1日 (木)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2014年4月末現在)

【米ドル】

4月は半ば以降小動きでした。

月初は、103円台半ばで始まったあと、イタリアやフランスの製造業PMI、米ISM製造業景況指数が良好であったことに加え、4日に発表された米国雇用統計が予想を若干下回りながらも前月・前々月統計を上方修正して米国経済が回復していることが確認できたことなどから、市場はリスク挑戦方向に動いて104円を突破するまで上昇しました。

しかし、9日公開された米FOMC議事録で米金利引上げ観測後退したことや、8日開催された日銀政策決定会合後の黒田総裁会見で、追加緩和不要との発言があり、裏切られた緩和期待筋が反応したことで一気に101円台に急落しました。この時の反省があったのでしょうか。30日の会合後会見での黒田総裁は、記者に「今回はあのようなコメントはないのか」と質問されて、苦笑いしながら計画通り進行している認識は一貫して変わらないと控えめにコメントしていましたね。

さて、月央以降のドル円相場は、上旬の動きに比べると実に小動きでした。材料としては、ウクライナ武装勢力強制排除を中止とするウクライナ不安などのドル売り材料、本邦3月貿易赤字や欧州株堅調などの円売りもしくはドル買い材料が互いを引き合う形で奇妙な均衡を維持したと言えそうです。結果、102円台半ばで月末を超えています。

なお、4半期毎に発表される日銀の展望レポートは2016年までのインフレ率2%達成をほぼ確実視する論調で発表されました。

 

【ユーロ】

ドル円同様、4月は半ば以降小動きでした。

月初は、欧州主要国の製造業PMIが予想を上回って1.38台に戻して始まりましたが。その後、欧州中銀理事会後のドラギ総裁会見で、追加緩和措置に言及したことによるユーロ売りや、米雇用統計発表で米経済回復が確認されたことによるドル買いを背景に1.36台まで急落しました。

しかし、米ドルの項でも述べたように9日に公開された米FOMC議事録では、利上げ予想が強調され過ぎているとの発言が目立ち、これが利上げへの牽制と受け取られて米金利予測が後退した結果、米ドルがユーロに対して売られ、1.39台を突破するまでユーロが買われました。

半ば以降は、ドル円同様小動きに終止し、結局1.38台半ばで月末を超えています。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

新しい材料はあまりありませんので、従来の材料をほぼ引き継ぎます。

短期では、ウクライナ情勢。リスクが増すなら、避難先の円が買われ、安定を採り戻す兆候が顕れれば円買いポジションの巻き戻しから円安です。

中国など新興国経済はぱっとしないので、引き続き株価の動向も影響しやすいでしょう。つまり、日米欧など主要国の株が堅調に推移するなら、ぱっとしない新興国へのリスク挑戦が活発になって、為替リスク退避先の円がうられる効果としてでてきます。ただ、リスク逃避先としては円の他に、近時経済回復が順調な欧州も選択肢として注目されていますので、円とドルの関係だけで見ることは危険です。

中長期では、米FRBは予定通り粛々と緩和縮小を進めており、日銀も2%達成に向けて政策変更は必要なさそうですから、日米の金融政策スタンスには依然ほど神経質にはなっていません。もっと長期的なインフレ率格差や貿易収支の動向に注目すべきだと思います。

その点、米国では長期で進めてきた緩和スタンスが縮小し、一方の日本では日銀展望レポートにもあるように緩和方針が維持ようですから、ドル高円安圧力は変わりません。だたし、緩和方針はあくまで方針です。生産人口が将来にわたって継続的に減少していく日本では積極的緩和を縮小しはじめたとたん円高再燃というリスクがあります。もっとも、日銀の国債引き受けが財政破綻とみられる場合は別ですか・・・。

 

ユーロドル ・・・

52225日に行われる欧州議会選挙は、ユーロ圏財政統合などユーロ結束に向けて進められている諸施策の方針が踏襲されるか変更されるかでユーロの行方が変わっていると思います。これは中長期の材料ですが、結果への反応として短期の相場にも動きがあるかもしれません。現在のところ、厳しい財政規律を要求する向きに反発する勢力が攻めている様子。

しかし、だからといってユーロが急に売られる地合いでもなさそうです。このところのユーロ圏経済はドイツを中心に元気を取り戻しており、日経新聞によれば、経済不振が目立つ新興国から資本がユーロ圏に流入する動きもあるようです。一昨年苦労していた南欧諸国の国債も金利が落ち着きを取り戻しました。

日々の相場の動きをみても、ユーロに不利な材料が出ると一瞬弱含むもののそれが剥げるとたちまちユーロ買い圧力が強くなる。つまり放っておくとユーロは強いという状況が続いているように見受けられます。今後も比較的堅調に推移するものと考えます。

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

  1. ウクライナ情勢。欧米巻き込んで緊迫するとリスク回避から円高、ユーロ安。

  2. 欧州議会選挙(5/2225):ユーロ圏財統合をはじめとするユーロ結束への諸施策を踏襲するか変更されるかでユーロの行方が変わる。

  3. 米経済主要指標(雇用統計、製造業・非製造業景況指数、小売売上など)が堅調ならリスク挑戦行動が活発化し、株価上昇とともに円から他通貨にポジションシフトして円安。

  4. 欧州中銀(ECB)の金融政策スタンスに関する発言など :緩和ならドルとの金利差からユーロ売り

  5. 中国など新興国の経済指標への反応。指標悪ければ、リスク・オフ動き活発となって円高。

     

    【中期的な材料(数ヶ月)】

  1. ウクライナ情勢。欧米vsロシア対立構図で緊迫するとリスク回避から円高、ユーロ安。

  2. 本邦貿易収支:Jカーブ効果許容期間を超えても赤字解消せず、物量でも輸出低迷。円安

  3. ユーロ圏の経常収支 :黒字を維持できるなら、ユーロは底堅く推移。

  4. 米国中間選挙(201411月)

  5. 中国など新興国の景気動向。減速するならリスク回避の円買いで円高。逆は逆。

  6. 日中関係、防空識別圏を巡る日中関係緊張が極度に達して仮に戦闘状態に入ると円売り。

     

    【長期的な材料(数年)】

  1. 貿易赤字の定着化で、実需の面から円売りが進む。

  2. 中国など新興国の景気動向。減速するならリスク回避の円買いで円高。逆は逆。

  3. 極端な金融緩和と政府・日銀の協力関係強化で、日銀の国債引受け体質が問題視されて利回り高騰し、財政が破綻。

  4. 本邦輸出量の動向 :生産拠点の海外移設や世界経済回復遅れが続けば輸出伸びず、円安は続く。

  5. ユーロ圏、財政統合の行方(2014銀行監督一元化~2012/10合意、各国予算編成への関与)順調ならユーロ評価に。

  6. 米FOMC:量的緩和終了後6ヶ月程度でゼロ金利も解消。2015末FF金利誘導目標は1%となる見通し。(2014/3

  7. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

     

    以上

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2014年4月 | トップページ | 2014年6月 »