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2014年6月

2014年6月 4日 (水)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2014年5月末現在)

【米ドル】

5月は小動きでした。

といっても、低いながら一つの山と一つの丘、一つの谷がありました。

5/2に発表された米4月雇用統計は市場予想を上回る良好な結果でした。これで金融量的緩和縮小が順調に進むと米金利が上昇するとの筋書きから米ドルが103円台まで買われました。これが山です。もっとも利食いやら日経平均低迷ですぐに101円台半ばまで反落しています。

その後、恒例の米FEBイエレン議長議会証言では相変わらずのハト派証言で市場への影響は限定的でしたが、これも恒例の欧州中銀のドラギ総裁会見で6月での追加金融緩和を示唆する発言をした(5/8)ことから、ユーロがドルに対して売られ、このドル高によりドル円もの102円台の丘に上がってしばらくこの水準を推移しました。

谷は下旬で、5/21の日銀総裁会見で、異次元緩和が順調に効果をあげている趣旨の発言をしたことが、期待されていた追加緩和観測を裏切る結果となり、100円台後半まで円が買われました。月末にかけては米ドル実需買いやポジション調整(←便利な言葉ですね)などから101円台半ばで推移し、特に大きな変動もなく月を超えました。

ウクライナの選挙は影響ありませんでした。欧州議会の選挙結果は後述します。

 

 

【ユーロ】

5月は徐々に下りました。

先月の欧州中銀ドラギ総裁会見で追加緩和を示唆する発言があった以降、追加緩和で金利が下がれば金融資産運用選好先がユーロを離れて米ドルなどに向かうと予想するむきがユーロ売りにでていました。しかし5/8欧州中央銀行理事会では金融政策の据え置きが決定され、この予想を裏切ったため、ユーロが一時1.3995まで買い戻されました。

しかし、5月はこれをピークに月末にかけてじりじりと下がる一方の相場展開となりました。

下げ要因の一つは、ドラギ総裁の会見です。理事会後の恒例の会見で彼は、またまた「高くなり過ぎているユーロに対して牽制して追加緩和可能性を示唆したのです。毎月このような茶番を繰り返していると、しまいには誰も聞かなくなるのではないでしょうか。

ほかにも、欧州第1四半期のGDPが予想を下回ったことや、独の経済指標が良くなかったこと、株価の低迷などがユーロ下げの要因となりました。

5/22から25にかけて行われた欧州議会選挙は影響は限定的でした。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

目新しい材料はなく、従来の材料をほぼ引き継ぎます。

すなわち、米FRBの量的緩和徐々に縮小、日銀の異次元緩和方針変更なし、新興国経済の不透明感からリスク避難先として円やユーロが買われる可能性も依然として残っています。対新興国投資へのリスク挑戦ムードは日米欧の株価によく顕れ、株堅調では挑戦、軟調ではリスク回避のようです。また、国際収支では欧州の堅調、米国の輸出力点に方針変更の一方、本邦の貿易収支も赤字縮小ながら基調は変わりありません。

以上からドル円は上値重たいながらも下方には硬直的に推移する(平たく言うと、円安にふれやすい)と考えます。ただし、欧州議会選挙の結果は今後じわじわと影響していくと思われます。これは後述します。

 

ユーロドル ・・・

5/2225に行われた欧州議会選挙の結果が気になります。

市場は今、ドラギ総裁や理事の発言に一喜一憂するなどもっぱら金融当局の追加緩和に向いているので、選挙結果への反応は限定的でした。しかし、ユーロ圏の財政統合や銀行管理一元化など欧州財政危機通貨危機の後に決めて進めている一連の体制整備はどうなったのでしょう。最近ほとんどニュースになりません。「便りのないのはいい知らせ」とはこのことでしょうか。

有名な国際金融政策のトリレンマによれば、為替安定・資本の自由な移動・金融政策の自由度の3つは同時には成立しません。ユーロは為替の安定と資本の自由な移動を手に入れましたが、その代わり金融政策の自由度を失っています。2大経済政策のうち金融が使えないなら財政に頼るしかない。ということで、南欧諸国が財政を出動させた結果財政危機が起こり、ユーロの信用が崩れた・・・というのが2010年の欧州通貨危機でした。

これを受けて、今後の再発防止にむけて進めようと決めた対策が財政統合。それを「便りのない・・・」で順調に進めてきたさなかの今回の欧州議会選挙。結果、EUに懐疑的な勢力が大きく票を伸ばしました。この発言力が財政統合推進力を駆逐する、或いは駆逐しないまでも阻害したり遅らせたりするのではないかと心配しています。

ここ当面の追加緩和策などこの大きな流れに比べれば些細なこと。

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. 米FRBの金融政策変化:既定方針(量的緩和策を徐々に縮小)の進行具合と金利動向

 2. 米経済主要指標(雇用統計、製造業・非製造業景況指数、小売売上など)が堅調ならリスク挑戦行動が活発化し、株価上昇とともに円から他通貨にポジションシフトして円安。

 3. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 4. 欧州中銀(ECB)の金融政策スタンスに関する発言など :緩和ならドルとの金利差からユーロ売り

 5. 中国など新興国の経済指標への反応。指標悪ければ、リスク・オフ動き活発となって円高。

 

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. 2%物価目標を伴う本邦金融緩和策による円安効果:輸出回復・貿易収支改善で円安傾向に制約。現状ではまだ効果現れず。

 2. ユーロ圏の経常収支 :黒字を維持できるなら、ユーロは底堅く推移。

 3. 米国中間選挙(201411月)

 4. ウクライナ情勢。欧米vsロシア対立構図で緊迫するとリスク回避から円高、ユーロ安。

 5. 中国など新興国の景気動向。減速するならリスク回避の円買いで円高。逆は逆。

 6. 日中関係、防空識別圏を巡る日中関係緊張が極度に達して仮に戦闘状態に入ると円売り。

 

【長期的な材料(数年)】

 1. 貿易赤字の定着化で、実需の面から円売りが進む。

 2. 中国など新興国の景気動向。減速するならリスク回避の円買いで円高。逆は逆。

 3. 極端な金融緩和と政府・日銀の協力関係強化で、日銀の国債引受け体質が問題視されて利回り高騰し、財政が破綻。

 4. 本邦輸出量の動向 :生産拠点の海外移設や世界経済回復遅れが続けば輸出伸びず、円安は続く。

 5. 欧州議会選挙(14.5/2225)の結果(EUに懐疑的な勢力が台頭)、ユーロ圏財政統合等安定化策の進捗が阻害されればユーロの信頼失墜。

 6. ユーロ圏、財政統合の行方(2014銀行監督一元化~2012/10合意、各国予算編成への関与)順調ならユーロ評価に。

 7. 米FOMC:量的緩和終了後6ヶ月程度でゼロ金利も解消。2015末FF金利誘導目標は1%となる見通し。(2014/3

 8. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 

以上

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