« 外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2014年5月末現在) | トップページ | アギーレ監督、仮に優勝したら、Made by Mexicoか »

2014年7月 1日 (火)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2014年6月末現在)

【米ドル】

 

6月は(米ドルが)少し弱含みました。

 

どれだけ弱含んだかというと、102円台から101円台の前半までです。月中の高値が102.80、安値が101.20台ですから、ほとんど値動きがないという状況でした。これだけ安定していれば、為替ディーラーの皆さんは面白くないでしょうけど、為替リスクを避けたい事業者は、為替差損益に悩まされずに本業に専念できているのではないでしょうか。

 

月初は102円前後で始まりました。いつもなら月初第一金曜日発表の米国雇用統計を控えてほとんど動かないのですが、6月はそ前に欧州中央銀行(ECB)の理事会があって、これが政策スタンスを変えたため、ユーロドルが大きく動き、これに連れてドル円も102円台後半まで買われました。ECBは主要政策金利0.15%に引き下げ、中銀預金金利もとうとうマイナス金利を導入して-0.1%へ引き下げたのです。その後発表になった、雇用統計は多少上下したものの影響は限定的でした。

 

後半弱含みの原因は、特定しにくいのですが、あえて2つあげましょう。

 

まず米金利低下です。中旬の米30年債応札が高い水準で金利が大幅に低下しました。また、イエレンFRB議長の発言は、量的緩和縮小の影響に配慮したものとなり、市場がこれを利上げスタンスの後退と捉えたことも金利低下に作用しました。

 

次に株式の軟調推移でしょう。リスク回避の動きを強めて避難先の円に資金が集まります。人々が景気動向を占うときに重視するのが株価なので、米株でも日経平均でも欧州や新興国でも、株価が下がるとこの傾向が見られます。

 

月末は101円台前半で終わりました。

 

 

 

【ユーロ】

 

6月は上中旬にかけて谷を描きました。

 

谷を描いた理由は、ドル円の項でも書いたように、ECBによる利下げです。月初は1.36水準で始まり、6/5のECB理事会で利下げが発表になると、1.36を割って、1.3503まで売られたのです。今回の利下げは、以前から議論されていたマイナス金利を導入することにもなり、市場がある程度織り込んでいたこととはいえ、この一線を越えたことで、今後のEUの金融政策スタンスに新たな選択分野を切り開いたことになります。

 

また、ドラギ総裁は理事会後の会見で「これで終わりではない。」と発言し、さらなる緩和措置も辞さない覚悟を示しました。EU経済にとって、このところのユーロ高は耐えがたいものになっていましたから、なんとかこれを是正したいとの意図があったものと思われます。

 

しかし、総裁の覚悟にもかかわらず、月の後半では、再び1.36台に値を戻し、1.37直前の相場水準で月末を超えています。ECBの金融政策スタンス変更を織り込んでいた投機筋のポジション調整(買戻し、又は利食いのユーロ買戻し)と、ドル円相場弱含みの原因ともなった米金利低下がその原因でした。

 

 

 

【今後の短期~長期予想】

 

ドル円 ・・・

 

ここ数カ月の変動材料はほぼ固定的で、①月初の米国雇用統計(良好なら米経済見通し良く、短中期でリスク避難先である円の売り材料)、②上旬の欧州中銀(ECB)理事会の、中旬の米FOMC、下旬の日銀政策決定会合での各国金融政策スタンスの表明、③各国株価(好調ならリスク挑戦するため円売り)です。金融スタンスは本来長期を見越した政策方針であるため、中長期の相場見通しの材料として使われるはずですが、短期の投機材料としても注目されているようです。

 

IMMの投機筋ポジション推移を調べてみると2013年のはじめから継続的に円売り持ち高が維持されている様子がはっきり見て取れます。阿部政権が発足して始まった円安を担っているのがこの持ち高であるように見えます。日米の数年先を見越した金融政策スタンスを先取りした投機行為で、いずれ中期(数年)的に本来の実需によって円安になれば、実需が現状の投機ポジションを吸収するという目論見なのでしょう。そう考えると中期の円安材料を先取りして形成されている相場が現在の相場だということになり、現在の水準が円安ピークかもしれません。

 

ではその先はどうでしょうか。貿易赤字、経常赤字による円安材料をこなしてしまうと、その先にあるのはデフレ。デフレなら購買力平価説により円高という超長期予測が可能かもしれません。

 

 

 

ユーロドル ・・・

 

ドル円でIMMの投機筋ポジションを見ましたので、ユーロドルのポジションも見てみると、2011年夏から2012年夏まではユーロの売りポジションが継続していますが、それ以降は財政危機が落ち着いて投機の方向も売り買い交錯しています。売り買いのポジションがスクエアになる点を拾い、その時点の相場水準を読み取ると、1.3501.370のあたりでしょうか。短中期的にはこの辺りでボックス相場(1.371.35を上下限にしてその間を行ったり来たりする相場変動)となりそうです。

 

しかし、長期となると先月も書いたように、先日の欧州議会選挙の影響が徐々に顕れて来るのではないかと思います。

 

欧州財政統合や銀行監督一元化など、一連の体制整備策に象徴される統一的EUの体制固めに懐疑的な勢力が今回の選挙で勢力を伸ばしたことで、これらの政策が滞り、結果としてユーロの信用力を失うのではないかと心配しているのです。その根拠は国際金融政策のトリレンマですが、現実に1997年にはアジアでその理論が正しいことが証明されました。そうならないことを祈ります。

 

 

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 

 1. 米FRBの金融政策変化:既定方針(量的緩和策を徐々に縮小)の進行具合と金利動向

 

 2. 米経済主要指標(雇用統計、製造業・非製造業景況指数、小売売上など)が堅調ならリスク挑戦行動が活発化し、株価上昇とともに円から他通貨にポジションシフトして円安。

 

 3. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 

 4. 欧州中銀(ECB)の金融政策スタンスに関する発言など :緩和ならドルとの金利差からユーロ売り

 

 5. 中国など新興国の経済指標への反応。指標悪ければ、リスク・オフ動き活発となって円高。

 

 

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 

 1. 2%物価目標を伴う本邦金融緩和策による円安効果:輸出回復・貿易収支改善で円安傾向に制約。現状ではまだ効果現れず。

 

 2. ユーロ圏の経常収支 :黒字を維持できるなら、ユーロは底堅く推移。

 

 3. 米国中間選挙(201411月)

 

 4. ウクライナ情勢。欧米vsロシア対立構図で緊迫するとリスク回避から円高、ユーロ安。

 

 5. 中国など新興国の景気動向。減速するならリスク回避の円買いで円高。逆は逆。

 

 6. 日中関係、防空識別圏を巡る日中関係緊張が極度に達して仮に戦闘状態に入ると円売り。

 

 

 

【長期的な材料(数年)】

 

 1. 貿易赤字の定着化で、実需の面から円売りが進む。

 

 2. 中国など新興国の景気動向。減速するならリスク回避の円買いで円高。逆は逆。

 

 3. 極端な金融緩和と政府・日銀の協力関係強化で、日銀の国債引受け体質が問題視されて利回り高騰し、財政が破綻。

 

 4. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 

 5. 欧州議会選挙(14.5/2225)の結果(EUに懐疑的な勢力が台頭)、ユーロ圏財政統合等安定化策の進捗が阻害されればユーロの信頼失墜。

 

 6. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 

 

 

以上

 

|

« 外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2014年5月末現在) | トップページ | アギーレ監督、仮に優勝したら、Made by Mexicoか »

外国為替相場の動向と変動要因分析」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/548369/59911607

この記事へのトラックバック一覧です: 外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2014年6月末現在):

« 外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2014年5月末現在) | トップページ | アギーレ監督、仮に優勝したら、Made by Mexicoか »