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2014年8月

2014年8月 4日 (月)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2014年7月末現在)

【米ドル】

7月は月末だけ動きました。

月初から月末にかけて小幅な値動きに終止し、月末(7/30)だけ米ドル高円安に振れました。月末までの小幅な動きの中でも主な買い材料と売り材料を見てみます。

買い材料は7/3発表の米雇用統計です。事前の予想を上回る好結果で、非農業部門雇用者数が5カ月連続して目安の20万人を超えたほか、失業率も59ヶ月ぶりの水準(6.1%)まで低下したのです。これにより101円台前半で始まっていた相場が102円前半まで伸びました。

主な売り材料は、リスク回避の動きを誘った下記の2つです。

 ポルトガル大手銀行の信用不安

 マレーシア航空機ウクライナ東部上空墜落とこれに伴う対ロ制裁強化の動きやイスラエル軍ガザ地区地上侵略開始

なお、いつもの月初行事のひとつ欧州ECB理事会は予想通り政策金利据え置きで影響ありませんでした。また、本邦経常黒字が予想を大きく上回った材料も大きなインパクトはありませんでした。

月末のドル買いは、米GDPFOMCです。GDPは第2四半期で予想大幅に上回るものであったほか第1四半期も上方修正されました。FOMC(米連邦公開市場委員会)は、量的緩和終了後の利上げには慎重がら、インフレは期待通りであるとの認識を示したことから金利が上昇し、103円台前半まで米ドルが買われました。その後若干の利食いが入って102円台後半で月を超えています。

 

【ユーロ】

7月は下降線でした。

月初1.37前後の水準で始まりましたが、月末までほぼ一本調子で下げ、1.33の後半で月を超えました。下げ材料を下に列挙します。

 月初:米雇用統計の非農業部門雇用者数が予想を大きく上回った。

 月初:欧州ECB理事会後の総裁会見で、「経済の下押しリスクは引き続き大きい」と発言した。

 上旬:ポストガル大手金融機関の信用不安からリスク回避。

 中旬:マレーシア航空撃墜事件とそれに伴う対ロ制裁が欧州経済に影響との予想。

 月末:米GDP市場を大幅に上回る好結果、米FOMCがインフレ進行期待通りとの認識を示したことで、米金利上昇した。

これらの他に、日経新聞によれば、ユーロ低金利を利用したキャリー取引が横行しているとのユーロ売り材料もあるようです。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

このところ、市場はドル円相場にあまり興味を持っていないようです。短中期的には安定して推移するかもしれません。

米国の金融政策スタンスは、10月に緩和措置終了し、その後は雇用情勢やインフレ進行状況を見ながら金利引上げ等調整していくと明確で、しかも目指すインフレ水準や雇用水準の判断基準も打ち出していますから、結構先まで見通しが効くようです。対して本邦の金融政策スタンスも2%の必達目標に向け、ここが不安になる場合はさらに異次元の緩和措置を打ち出してくるでしょう。

したがって、中長期的には日本のスタンスが緩和一辺倒で米スタンスが利上げに移行している兆しが見える段階がさらなる円安進行のタイミングです。また、新興国やEUの経済停滞が予測され、日本の輸出も伸び悩むため(円安が輸出促進の十分条件ではない)、貿易収支の改善は見込めないことも円安支援材料となるでしょう。

しかし、超長期では本邦のデフレ要因から、円高に転じるポイントがあると考えます。

 

ユーロドル ・・・

ユーロ・キャリー取引はユーロの低金利を利用した動きです。以前、円の低金利を利用した円キャリー取引が蔓延しましたが、これをユーロで行っているため、ユーロが売られて安くなっているという見方があります。

ユーロを借りて他通貨に転換し、他通貨で運用するのがその方法ですが、金利が低いため多少の為替リスクを負っても軽い金利負担でこれを十分補うことができるということから為替ヘッジを避けるのでユーロの売りポジションがどんどん蓄積していきます。

問題は運用先です。米ドルに換えて米国リスクに投資する場合と、新興国リスクをとる場合とでは今後のシナリオが大きく異なるでしょう。米国リスクと新興国リスクではリスク回避・リスク挑戦の動きが正反対だからです。米国リスクをとっているならリスク回避の動きでも大きな変化はないと思いますが、新興国リスクをとっているならユーロの買戻しに走るはずです。

どちらへの投資が大きいかは分かりませんが、どちらの場合でも、市場がユーロ売りポジションに傾いていることは事実ですから、いずれ巻き戻しが起こってユーロが買い戻さるのは間違いありません。

ただし、これはキャリー取引に限定した予想です。その他の基本材料は先月から変えるつもりはありません。中でも、さきごろの選挙で欧州議会の勢力図が変わった影響は長期的にユーロ下押し要因になるのではないかと懸念しています。

また、ECBの金融政策スタンス修正でデフレ克服できるかどうかも見守る必要があります。さらなる金融緩和措置の余地はなく、デフレ克服の予兆がみられなければ、ユーロ買い戻される可能性があります。

 

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. 米FRB金融政策:量的緩和縮小(2014/10)と金引上げ時期に関する発言や議事録開示内容。

 2. 米経済主要指標(雇用統計、製造業・非製造業景況指数、小売売上など)が堅調ならリスク挑戦行動が活発化し、株価上昇とともに円から他通貨にポジションシフトして円安。

 3. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 4. ウクライナ情勢やイスラエル・ガザ地区情勢。緊迫リスク回避心理円高。

 5. 中国など新興国の経済指標への反応。指標悪ければ、リスク・オフ動き活発となって円高。

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. 米FRB金融政策動向:量的緩和縮小(2014/10)と金引上げの実行状況。

 2. ユーロ圏の経常収支 :黒字を維持できるなら、ユーロは底堅く推移。

 3. 米国中間選挙(201411月)

 4. ユーロ・キャリー取引動向。新興国経済停滞巻き戻しユーロ買い戻し。

 5. ウクライナ情勢やイスラエル・ガザ地区情勢。緊迫リスク回避心理円高。

 6. 中国など新興国の景気動向。減速リスク回避の円買い。改善リスク挑戦円安。

 

【長期的な材料(数年)】

 1. 中国など新興国の景気動向。改善・成長本邦輸出促進貿易収支改善円高。

 2. 貿易赤字の定着化で、実需の面から円売りが進む。

 3. 極端な金融緩和と政府・日銀の協力関係強化で、日銀の国債引受け体質が問題視されて利回り高騰し、財政が破綻。

 4. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 5. 欧州物価:継続的に適度な上昇かデフレ深刻化(ユーロ買い)か。

 6. 欧州議会選挙(14.5/2225)の結果(EUに懐疑的な勢力が台頭)、ユーロ圏財政統合等安定化策の進捗が阻害されればユーロの信頼失墜。

 7. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 

以上

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