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2014年10月 9日 (木)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2014年9月末現在)

【米ドル】

9月は大きく円安になりました。

今年1月から前月中旬まで、しばらくの間101102円水準でほとんど動きませんでしたが、前月下旬の米FOMCと米FRBイエレン議長講演をきっかけに上昇し始めました。そのきっかけとは下記の2点です。

 8/20に開示されたタカ派的なFOMC議事録で利上げ期待が高まった。

 8/22イエレンFRB議長の講演で目標への進展が早まれば利上げも早いと述べた。

この動きに投機筋のポジション形成が加わって、9月は109円台まで伸ばし、実際に10月に入ってから110円台をつけました。

上昇を支えた9月の材料は以下の諸点です。

 9/4 :黒田発言「円安が日本の経済にとって好ましくないとは思わず」→105円台に

 9/11 :安倍総理と黒田総裁会談(物価目標達成できない場合は追加緩和行う→107円台に

 9/19 :スコットランド独立を問う投票結果に市場が安心して円売り→109円台に

なお、日銀の政策決定会合の結果や米FOMC声明文の市場への影響は限定的でした。

 

【ユーロ】

9月は一方的に売られました。

今年の春からずっと下降し、2012年ユーロ危機の水準に近づいています。

月初に1.31台前半で始まりましたが、9/4ECB理事会決定を受けていきなり1.29台に割り込みました。ECBの決定事項は以下のとおりでいずれも緩和策です。

 リファイナンス金利を0.05%、中銀預金金利をマイナス0.20%に引き下げる。

 ABSカバーボンドの買い入れを決定し10月から実施する。

また、2014年の成長・インフレ見通しを引き下げたほか、その後の会見でもドラギ総裁は「必要なら追加の措置を講じる」と述べたのです。

その後も下のような売り材料が相次ぎ、月末には2012年以来の1.26を割り1.2571まで売られてその近辺の水準で月末を超えました。

 前月のFRB金融政策スタンスに関わる発表や講演のドル買い効果が継続

 9/24 :ドラギ総裁の金融緩和を指示する発言から、ユーロ圏の国債買い入れ期待がたかまった

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

今年春から8月下旬まで101102円近辺で動かなかったのは、円に関わる新たな材料が不足しており、トレーダーがドル円への興味を失っていた時期だったのかもしれません。それが8月下旬の米FRB議長の講演などで米国金融政策スタンスがはっきりしたため、これを材料に110円を目指して相場が動き始めました。

しかし、この米FRBの金融政策スタンスは以前から知れていたこと。それが講演をきっかけにより明確に今後の利上げが現実化するとなっただけで7円の円安は行き過ぎではないかと考えます。

ここ数ヶ月、この記事に書いてきたように、日米の金融政策スタンスの差がしばらくはドル高円安を促すことには違いありません。しかし、相場の動きは尋常ではなく、この買われ方には投機筋の仕掛けパターンとの空気を感じています。実際にIMMの投機筋のポジションに円ショート積み上がりは異常です。ユーロがここ10年ほど、1~2年で投機筋のポジション形成に沿って1.21.4の間を行ったり来たりしていることを思うと、このまま110円前後が定着するかどうかは疑問です。先月のこの記事のコメントを以下に再掲します。今月も中長期では変更ありませんから。

「中期的にはアセット・アプローチにより運用資産選好が働いて金利上昇気配がある米ドルに流れるのは間違いありません。しかし経済が活発になると消費需要や輸入需要が旺盛になり理屈の上からは貿易赤字から当該通貨が減価します。逆に日本経済は回復機運に盛り上がっていますが、デフレリスクが大きく、非常にフラジャイルですから再び実質金利が上昇して円が買われるリスクは小さくありません。長期から超長期では円高と予想します。」

 

ユーロドル ・・・

ユーロも円同様、米国の金融政策方針の明確化によって対米ドルで売られていますが、そのほかにユーロ圏内固有の材料もあります。デフレ対策からマイナス金利を容認するほどの緩和策を続けていることと、将来のデフレリスクが非常に大きいことです。この点を考慮すると、これも円同様、当面はアセット・アプローチからユーロが米ドルに対して売られるが、将来はデフレ通貨として買い戻されるとの予想が立ちます。

しかし、そこから先はわかりません。実は、このところのユーロ圏の運営があやしいと思っています。地域的に広がった、あるいは今も広がっているユーロ圏は、さまざまな民族が集まって、南北問題や東西問題などおおきい経済格差や思想ギャップをかかえる多様でまだら模様の地域となっています。そんな多様な地域を統一ルールで統治しようとしているのが現状のユーロ圏の姿。通貨を統一し、銀行管理も一元化、財政の統合も目指しています。どこからみても無理ではないかと最近感じます。通貨には仲介機能や決済機能のほか、資産保蔵としての役割もありますが、ユーロという通貨の基盤はおやしければ資産保蔵通貨としての魅力も減退し、ユーロ圏居住者自身がユーロを嫌うことになるかもしれません。超長期的には、デフレ通貨としての買いより、信用力減退による売りの方が強いという可能性もあると考えます。

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. 米FRB金融政策:量的緩和縮小(2014/10)と金引上げ時期に関する発言や議事録開示内容。

 2. 米経済主要指標(雇用統計、製造業・非製造業景況指数、小売売上など)が堅調ならリスク挑戦行動が活発化し、株価上昇とともに円から他通貨にポジションシフトして円安。

 3. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 4. ウクライナ情勢やイスラエル・ガザ地区情勢。緊迫リスク回避心理円高。

 5. 中国など新興国の経済指標への反応。指標悪ければ、リスク・オフ動き活発となって円高。

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. 米FRB金融政策動向:量的緩和縮小(2014/10)と金引上げの実行状況。

 2. ユーロ圏の経常収支 :黒字を維持できるなら、ユーロは底堅く推移。

 3. 米国中間選挙(201411月)

 4. ユーロ・キャリー取引動向。新興国経済停滞巻き戻しユーロ買い戻し。

 5. ウクライナ情勢やイスラエル・ガザ地区情勢。緊迫リスク回避心理円高。

 6. 中国など新興国の景気動向。減速リスク回避の円買い。改善リスク挑戦円安。

 

【長期的な材料(数年)】

 1. 中国など新興国の景気動向。改善・成長本邦輸出促進貿易収支改善円高。

 2. 貿易赤字の定着化で、実需の面から円売りが進む。

 3. 極端な金融緩和と政府・日銀の協力関係強化で、日銀の国債引受け体質が問題視されて利回り高騰し、財政が破綻。

 4. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 5. 欧州物価:継続的に適度な上昇かデフレ深刻化(ユーロ買い)か。

 6. 欧州議会選挙(14.5/2225)の結果(EUに懐疑的な勢力が台頭)、ユーロ圏財政統合等安定化策の進捗が阻害されればユーロの信頼失墜。

 7. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

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コメント

Thanks in favor of sharing such a nice thinking, piece of writing is good, thats why i have read it completely

投稿: louboutin outlet | 2014年11月 6日 (木) 22時51分

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