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2014年11月 5日 (水)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2014年10月末現在)

【米ドル】

10月はサプライズがありました。

サプライズとは、月末に発表された日銀の追加緩和策とGPIFの運用方針変更です。

前月は、上旬にサンフランシスコ連銀の調査論文を直接のきっかけに、約5年ぶりに106円台をつけたことから始まって、ドル買い円売りが仕掛けられました。それは相当の勢いを伴ったものでしたが、すんでのところで110円という節目を突破できずに、月を越してしまったのです。

その不完全燃焼の悔しさから先月月初には早々に一時110円台をつけました。しかし、一度達成すると、さっそく利食いのドル売り円買いが持ち込まれ、108円台まで弱含みました。

その後は、米雇用統計や本邦貿易赤字等のドル買いサポートもありましたが、日銀が生産の現状判断を下方修正したことや、IMFが世界経済見通しを下方修正したこと、NY連銀製造業景気指数やj小売売上高等の弱い米経済指標を受けた10年債利回り低下を材料に、月央には105円台前半までドルが売られました。これらの材料の影響というより、どちらかというと110円達成後の利食い売りが弱含んだ主な理由だと思われます。

さてそこへ、前述のサプライズです。

日銀の金融政策決定会合は、追加金融緩和として、長期国債、ETF等資産買入れを増額することや、マネタリーベースの拡大を決定し、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は株式運用の割合5割にする等リスク挑戦的な資産構成の目安を発表したのです。予想外のサプライズで市場は大きく動きました。NYの市場関係者が「日本よ、ハローウィンのプレゼントを有難う!」と興奮してコメントしていましたね。

相場は、月初に達成した110円を再び突破して112円台前半で月を越え、今月月初には114円台に乗せた後、現在(11/5)は113円台半ばで推移しています。

 

【ユーロ】

10月は上下しました。

今年春の1.40弱の水準から一本調子で下落してきたユーロは、先月少し上下しました。下は上旬と下旬、上は月央に顕れたので、月を通してのカーブは山を描いた格好です。

上旬 :前月の終を受けて1.26台で始まりましたが、独の製造業9月のPMI50を割り込んだことをユーロの売り材料に、また、米国雇用統計で非農業部門雇用者数が予想を上回るほか失業率も5.9%に低下したこと、ISM非製造業景況指数やPMIなどの米経済指標も良好であったことを材料とした米ドル買いにより、1.25を切る寸前まで低下しました。

中旬 :米FOMC議事録で景気先行き懸念が示されたこと、中旬に発表された、小売売上高やNY連銀製造業景気指数等の米経済指標が予想を下回ったこと、さらにこれにより米10年債利回りが低下したことで米ドルが売られ、1.28台後半まで値を伸ばしました。この時は同時に米ドルが円に対しても売られたため、円も105円台にまで強含んでいます。

下旬 :10/26発表の銀行ストレス・テスト結果草案では11行が失格になっているとの報道をきっかけにユーロが売られました。当然、月末の日銀金融緩和追加策の発表も影響し、ひとつの抵抗線であった1.25を切って1.24台後半まで下落した後、1.25台前半で月末を越えました。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

FRBが明確に緩和措置の出口を示したことと日銀の予想外の追加緩和策を打ち出したことで、市場は荒れています。ここぞとばかりに円の売りポジションを積み上げたIMMの投機筋もこれに意を強くしていることでしょう。

これが実需または実需の先取りなら、この円安水準が定着するところです。また、この追加緩和策が実行されると日本のマネタリー・ベースが米国のそれに匹敵する水準にまで伸びるようなので、そうなるとフィッシャーの理論からインフレ期待が波及し、この点からも円安水準が定着する可能性があります。

しかし、それはどれほど長続きするのでしょうか。インフレは単に物価が上昇するという現象面だけ捉えた呼び名ですから、物価上昇の背景にあるものを含意するものではありません。ですからインフレは背景にそれをサポートするものがなければ「気のせい」で終わってしまうのです。結局、物価上昇の背景に需要を牽引するものがなければ、米FRBが苦労したように日本でも出口戦略に相当苦労するのではないかと思います。

で、実際に需要を牽引するものはありません。この点で、いずれ円は再び買われるとの予想は修正しないことにします。

 

ユーロドル ・・・

先月書いたように、ユーロもデフレ通貨としていずれ買われると思いますが、ユーロには円とは違った事情を抱えており、ユーロ圏経済運営がうまくいかない可能性があるため、円に対しては弱い推移のしかたになると考えます。

(参考~先月のコメント抜粋)

「地域的に広がった、・・・・・南北問題や東西問題など・・・。・・・銀行管理一元化、財政統合も目指しています。どこからみても無理ではないかと最近感じます。・・・資産保蔵通貨としての魅力も減退し、ユーロ圏居住者自身がユーロを嫌うことになるかもしれません。超長期的には、デフレ通貨としての買いより、信用力減退による売りの方が強いという可能性もあると考えます。」

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. 米FRB金融政策:量的緩和縮小(2014/10)と金引上げ時期に関する発言や議事録開示内容。

 2. 日米株式市況、平均株価上昇がリスクに対する姿勢を積極的させ、円安材料となる。

 3. IMM投機筋の円売り越し積み上がり水準。高ければ、利食いの円買いが起こる可能性。

 4. 米国中間選挙(201411月)

 5. 米経済主要指標(雇用統計、製造業・非製造業景況指数、小売売上など)が堅調ならリスク挑戦行動が活発化し、株価上昇とともに円から他通貨にポジションシフトして円安。

 6. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 7. 中国など新興国の経済指標への反応。指標悪ければ、リスク・オフ動き活発となって円高。

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. 米FRB金融政策動向:量的緩和縮小(2014/10)と金引上げの実行状況。

 2. ユーロ圏の経常収支 :黒字を維持できるなら、ユーロは底堅く推移。

 3. イスラム国、ウクライナ、イスラエル・ガザ地区など政治外交上の緊張状況リスク増は円高

 4. ユーロ・キャリー取引動向。新興国経済停滞巻き戻しユーロ買い戻し。

 5. 日銀の緩和策実行による効果(通貨量、物価等)とアベノミクス3本目の矢の実現

 6. 中国など新興国の景気動向。減速リスク回避の円買い。改善リスク挑戦円安。

 

【長期的な材料(数年)】

 1. 中国など新興国の景気動向。改善・成長本邦輸出促進貿易収支改善円高。

 2. 貿易赤字の定着化で、実需の面から円売りが進む。

 3. 極端な金融緩和と政府・日銀の協力関係強化で、日銀の国債引受け体質が問題視されて利回り高騰し、財政が破綻。

 4. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 5. 欧州物価:継続的に適度な上昇かデフレ深刻化(ユーロ買い)か。

 6. 欧州議会選挙(14.5/2225)の結果(EUに懐疑的な勢力が台頭)、ユーロ圏財政統合等安定化策の進捗が阻害されればユーロの信頼失墜。

 7. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 

以  上

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