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2014年12月

2014年12月 5日 (金)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2014年11月末現在)

【米ドル】

11月は円安になりました。

サプライズとなった、前月末の日銀による追加金融緩和策発表を受けて、112円台前半で月を越えた、ドル円は、さらに円安が進行し、120円をうかがう水準で12月を迎えることとなりました。

例月のイベントとしては下記があります。

 月初発表の米国雇用統計:非農業部門雇用者数は市場の予想を下回ったが、その代わり失業率が低下した。両方が中和する格好で相場へのインパクトは限定的。

 FOMC議事録:インフレ率の低下を心配するような内容から、一時ドル売り。

 下旬の日銀政策決定会合:総裁が追加の緩和策を提案したとの内容に、118円台半ばまで円安が進行。

上記の他に、下記の材料がありました。

 衆議院解散と消費増税延期の発表:市場は、ドル買い円売りで反応。

 OPEC減産見送り決定:原油価格下落し、為替市場はドル買いで反応。

 

【ユーロ】

11月は安値更新のあと少し取り戻しました。

ここ数年のスパンでみると、1.22台から1.45台の間を行ったり来たりしている、ユーロは今年春のピーク、1.38台からじりじりと売られ、今はこの範囲の底の方に向かって沈降しています。11月は、前月の1.25台前半の水準を引き継いだあと売られ、2年以上ぶりの1.23台半ばをつける場面もありました。

売り材料は、ECBドラギ総裁の発言です。上旬に行われたECBの記者会見で、総裁は、ユーロ圏経済の悲観的な見通しに触れたほか、必要に応じて緩和措置をとることにも言及し、これが金利低下を嫌う向きのユーロ売りを誘いました。また、それまで資産買い入れによるバランスシートの膨張は差し控えられるとされた見方を否定したこともユーロ売り材料となっています。

しかし、その後は、少し値を戻し、結局1.24台半ばの水準で月末を越えました。戻した背景にある材料は、

 9月のユーロ圏貿易黒字が拡大したこと。

 米FOMC議事録に、インフレの低下を懸念する内容が見られ、米金利引上げが遠のくのではないかとの思惑。

 11月ユーロ圏消費者物価指数が、市場の見通しを下回らなかったこと。

などです。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

120円に挑戦する動きが続いています。ここまでくれば120円はすぐそこですが(すいません。記事をUPする前に120円を達成してしまいました)、挑戦した後は、達成感から緩むのと、利食いの反対取引が出るため、数円の範囲で円が買われるでしょう。

問題はその後です。見方は2つあると思います。

A) 急激な円安が行き過ぎだと感じる市場が利食いの円買いをさらに進めて、結局110円水準で落ち着く。また、現状では増価していない輸出も、いずれ円安効果を映して増価し、経常黒字が安定してくると、実需から円高に戻る。

B) 消費増税先送りで、財政再建が遠のいたことから、これを補うための日銀による国債引き受けがさらに横行し、インフレ進行して円安。さらに財政破綻圏から円に対する通貨信用後退で、円での運用を嫌気した円売りも進む。

上記は全く異なる方向を示唆するものですが、B)については、相当危険であり、当局も十分認識しているはずですから、どちらかというとA)の見方のほうが可能性が高いと考えています。

 

ユーロドル ・・・

米ドルに対しては、金融政策スタンスの違いが明確ですので、引き続き弱含みで推移すると考えます。米国は量的緩和のLift-Offでこれからは金利がいつ上がるかという点で市場が注目している一方、デフレに悩まされているユーロは金融緩和を続け、ドラギECB総裁も発言の都度、追加緩和措置に触れています。

円に対しては、ここ当面の異常な円安を反映して、しばらくは強含みで推移するかもしれません。しかし長期的には弱いでしょう。ドル円で書いたように、2つの見方があって、どちらかというと長期的には円高方向と予想されるからです。

はたして、ユーロ導入は良かったのでしょうか、悪かったのでしょうか。悪いとは言いにくいものの、良かったのかというと、やはり疑問が残ります。

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 2. 米FRB金融政策:量的緩和縮小(2014/10)と金引上げ時期に関する発言や議事録開示内容。

 3. 日米株式市況、平均株価上昇がリスクに対する姿勢を積極的させ、円安材料となる。

 4. IMM投機筋の円売り越し積み上がり水準。高ければ、利食いの円買いが起こる可能性。

 5. 米経済主要指標(雇用統計、製造業・非製造業景況指数、小売売上など)が堅調ならリスク挑戦行動が活発化し、株価上昇とともに円から他通貨にポジションシフトして円安。

 6. 中国など新興国の経済指標への反応。指標悪ければ、リスク・オフ動き活発となって円高。

 7. 衆議員選挙の結果:現状の金融経済政策への支持あれば円安継続。

 

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. 日銀の緩和策実行による効果(通貨量、物価等)とアベノミクス3本目の矢の実現

 2. 米FRB金融政策動向:量的緩和縮小(2014/10)と金引上げの実行状況。

 3. ユーロ圏の経常収支 :黒字を維持できるなら、ユーロは底堅く推移。

 4. イスラム国、ウクライナ、イスラエル・ガザ地区など政治外交上の緊張状況リスク増は円高

 5. 中国など新興国の景気動向。減速リスク回避の円買い。改善リスク挑戦円安。

 6. ユーロ・キャリー取引動向。新興国経済停滞巻き戻しユーロ買い戻し。

 

【長期的な材料(数年)】

 1. 貿易赤字の定着化で、実需の面から円売りが進む。

 2. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 3. 極端な金融緩和と政府・日銀の協力関係強化で、日銀の国債引受け体質が問題視されて利回り高騰し、財政が破綻。

 4. 欧州物価:継続的に適度な上昇かデフレ深刻化(ユーロ買い)か。

 5. 消費増税延期による財政立て直し見通し悪化と日銀による国債引き受け体質から日本経済と円への信用劣化円売り。

 6. 欧州議会選挙(14.5/2225)の結果(EUに懐疑的な勢力が台頭)、ユーロ圏財政統合等安定化策の進捗が阻害されればユーロの信頼失墜。

 7. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 

 

以  上

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