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2015年1月

2015年1月 6日 (火)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2014年12月末現在)

 

【米ドル】

12月は120円を超える円安となりました。

10月下旬の日銀による予想外の金融緩和追加策の発表を受けて、急落した対ドル円相場は、その後も一本調子で売られ、一段安への挑戦を続けています。

12月に入ってもその動きは変わらず、上旬は下記の円売りまたはドル買い材料を背景に121円台まで進みました。

 

Ÿ 米国11月の非農業部門雇用者数が市場の予想を上回ったこと

Ÿ ECB理事会での追加緩和を期待(米ドルが買われる要因として)

Ÿ 日本国債格下げ

 

しかし、その後は、

 

Ÿ 原油価格の下落により資源国経済の先行きが懸念されたこと

Ÿ 石油輸出への依存度が高いロシア経済の先行き懸念と西欧諸国の制裁による地政学上リスクの高まり、ロシア通貨ルーブルの下落

 

などから、リスクを回避する動きが強まって、中旬には円が117円台まで買い戻されました。

下旬には、日銀政策決定会合で金融政策が据え置かれたこと、対する米国では、第3四半期GDP確報値が予想を大きく上回って米金利上昇したこと、ギリシャ大統領選出投票の結果を受けて米ドルが買われ、再び121円台に戻し、結局120円台半ばで年を越しました。

 

 

【ユーロ】

12月は引き続き下落しました。

月初1.24台半ばで始まったユーロは、一時1.25台を回復する場面もありましたが、基本的な流れは前月までの下降進行が続き、1.21台まで下げて年を越えました。

1.25回復のユーロ買い材料は、

 

Ÿ 月初においては、ECB理事会を控えて、ポジションを調整するむきのユーロ買い

Ÿ 中旬においては、独の良好な経済指標やリスク回避のため米国に資金が還流して米金利が低下したこと

 

などで、あまり積極的な買い材料ではありませんでした。

一方の売り材料としては、ギリシャ議会の大統領選出投票で与党が擁立した候補が支持を集められなかったことがあります。その背景にあるのが、EUやIMFがギリシャを支援する条件としている、緊縮財政に反対する左派連合の勢いです。数年前のユーロ危機の原因となったユーロ圏財政危機が再び再燃することへの懸念から、ユーロが大きく売られたまま越年しました。

 

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

米ドルの材料と円の材料でみる先行きについては前月と大きくかわりません。つまり、現状の水準は十分な円安とみられ、多少の(対円米ドル)利食い売りの後は、異なる下記2通りの可能性をがあるというものです。

 

円高へ ・・・利食いの円買いが進んで、結局110円前後に着地する。

円安へ ・・・消費増税先送りで、財政再建が遠のいたことから、これを補うための日銀による国債引き受けがさらに横行し、インフレ進行して円安。さらに財政破綻圏から円に対する通貨信用後退で、円での運用を嫌気した円売りも進む。

 

ただし、現状では「円高へ」について、次のような新たな材料も追加しておきたい。つまり、流動性を過剰に生み出しただけのアベノミクスからは、総需要が牽引する成長はおこらず、その結果、当面の円安分を吸収し終われば物量で測る輸入需要は減退し、国際収支からみた円安材料は剥げる。一方、従来のように成長戦略を輸出に訴えるなら、貿易赤字は縮小し、逆に円買い材料となる可能性があります。

また、「円安へ」については、前月も書いたように、財政破綻リスクは当局も十分認識しているはずだから、手をこまねいて見ているという無策はないでしょう。しかし、このような将来のリスクを認識せず、目先の生活の安定を望む大衆が無責任政党を選択するなら、危機は意外と早く到来するかもしれません。ギリシャだって、国家が破綻するかもしれないという危機感の前に目先の生活を優先するからこそ、緊縮財政反対派が幅を利かせているのでしょうから。

 

 

ユーロドル ・・・

ここ数年のスパンでは、米ドルに対して、1.22台~1.45台の間を行ったり来たりしてきました。しかし、昨年末は1.21台まで割り込むなど、さらに下押しされる懸念が出てきました。背景にあるのはギリシャ議会の大統領選挙です。EU・IMFの支援条件とされている緊縮財政に反対する連合が政権を奪って、これを破棄するなら、数年前のユーロ圏財政問題が再燃します。いや、支援策後の懸念ですから、選択肢を失うという意味で、むしろ数年前よりリスクが大きいと言わざるを得ません。

 

ユーロ圏の金融統合は銀行検査の一元化等の具体的な施策が進められていますが、これだけでは将来にわたるユーロの安泰はないと前に書きました。欠かせないのが財政統合です。財政の健全化はその前提となるものですから、ギリシャのこの問題がきっかけとなって、財政統合への道が危ぶまれるなら、ユーロそのものの将来も怪しいと言わざると得ません。従って、今回のギリシャ問題は超長期的なユーロの行方に影響を及ぼすことになるでしょう。

 

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 2. 米FRB金融政策:量的緩和縮小(2014/10)と金引上げ時期に関する発言や議事録開示内容。

 3. ギリシャ総選挙(1/25予定?)緊縮財政反対派が勝つなら、ユーロを中心に通貨不安。

 4. IMM投機筋の円売り越し積み上がり水準。高ければ、利食いの円買いが起こる可能性。

 5. 中国など新興国の経済指標への反応。指標悪ければ、リスク・オフ動き活発となって円高。

 6. 米経済主要指標(雇用統計、製造業・非製造業景況指数、小売売上など)が堅調ならリスク挑戦行動が活発化し、株価上昇とともに円から他通貨にポジションシフトして円安。

 7. 石油価格下落に伴う資源国経済の先行き懸念リスク回避による円買い(短・中期)

 

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. 日銀の緩和策実行による効果(通貨量、物価等)とアベノミクス3本目の矢の実現

 2. 米FRB金融政策動向:量的緩和縮小(2014/10)と金引上げの実行状況。

 3. 一連の欧州安定化策枠組み(国債買入プログラム合意2012.9.6、銀行監督一元化提言2012.9.6、ESM始動2012.10.8)の実施状況。懸念が生じればユーロ安。(2015/1月ギリシャ総選挙懸念)

 4. イスラム国、ウクライナ、イスラエル・ガザ地区など政治外交上の緊張状況リスク増は円高

 5. 中国など新興国の景気動向。減速リスク回避の円買い。改善リスク挑戦円安。

 6. 石油価格下落に伴う資源国経済の先行き懸念資源国停滞に伴う本邦輸出減による円売り(中長期)

 

 

【長期的な材料(数年)】

 1. 貿易赤字の定着化で、実需の面から円売りが進む。

 2. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 3. 極端な金融緩和と政府・日銀の協力関係強化で、日銀の国債引受け体質が問題視されて利回り高騰し、財政が破綻。

 4. 欧州物価:継続的に適度な上昇かデフレ深刻化(ユーロ買い)か。

 5. 消費増税延期による財政立て直し見通し悪化と日銀による国債引き受け体質から日本経済と円への信用劣化円売り。

 6. 欧州議会選挙(14.5/2225)の結果(EUに懐疑的な勢力が台頭)、ユーロ圏財政統合等安定化策の進捗が阻害されればユーロの信頼失墜。

 7. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 

 

 

以  上

 

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