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2015年2月

2015年2月19日 (木)

「為替リスク管理の教科書」出版のお知らせ

本を出版しました。
「為替リスク管理の教科書」中央経済社 著者:金森亨
~~前回は共著でしたが今回は単著~~

昨今の為替相場乱高下に、「円安倒産」という新語も・・・。
相場変動に振り回されずに本業に専念する為には、為替リスクを正しく管理しなければなりません。...
本書では、為替相場予想手法やリスクヘッジから管理体制の構築(組織機能や管理技術)までを経営の視点から丁寧に解説しました。


企業経営者やリスク管理業務に従事する方に読んでほしいと思います。
また、為替管理をコンサルする診断士の皆さんにも指導要領として使っていただければありがたいと存じます。

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2015年2月 4日 (水)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2015年1月末現在)

【米ドル】

1月は円高に振れる場面がありました。

原因は、原油安やユーロ圏での出来事を背景にリスク回避の動きが広がったことにあります。時系列でみていきましょう。

年初に119円台後半で始まりましたが、東京が休場で取引薄い中、一旦120円台半ばまでドルが買われました。しかし、下旬に予定されているギリシャ選挙や原油安を背景した不安から、リスク回避の動きが広がり、新興国の株も売られたほか、米欧の金利も低下し、中旬までに1156円台後半まで売られました。

期待されていた米12月小売売上高が良くなかったことや、スイス国立銀が対ユーロのスイスフラン上限を撤廃して、ユーロが売られ、一部が円に向かったことも背景にあります。

なお、この間に発表された米雇用統計は、雇用数が増加して失業率が低下した一方で、平均賃金や労働参加率が低下したことから、一時的に相場を上下させるにとどまりました。

下旬にかけては、日銀が追加緩和に出るのではないかとの予想から、119円間近まで戻しましたが、予想は裏切られました。その後、欧州中央銀行が量的緩和策の導入決定を発表したことや、ギリシャ選挙で急進左派連合が勝利し、今後のユーロ圏結束に不安をもたらすとの懸念からユーロが売られると、再びリスク退避先の円が買われ、結局117円台半ばで月を越しています。

 

【ユーロ】

1月は引き続き下落しました。

昨年春から下がり始めたユーロは、ここ数年の抵抗線であった1.20の壁を割り込み、1.1台に突入しています。1月は、政治がらみを含めてユーロ圏に関する大きな材料が3つありました。

<イスラム過激派による仏紙襲撃と一連のテロ事件>

一連の事件は、イスラム国やイスラム過激派との大規模かつ長期にわたる闘争を予感させます。グローバルな資金は中期的には安全な資産保蔵を目指しますから、一見為替相場に無関係に見えるこれらの騒ぎも、資産保蔵先としてのユーロ圏の信用を落として資金がユーロ圏から逃避する動きとなり、ユーロ安に作用しました。

<欧州中央銀行の量的緩和策導入の発表>

主要政策金利据置きを決めた欧州中央銀行(ECB)理事会の後、ドラギ総裁が会見で資産購入プログラム発表しました。3月から20169月までの期間にわたって、月額€600億の国債や機関債を購入する内容です。これによって市中の流動性が増しますからインフレ促進効果がありますが、資金運用面から見ると、ユーロでの運用の魅力が減退しますから、これもユーロ安に作用しました。

<ギリシャ選挙での急進左派連合勝利>

急進左派は、これ以上財政緊縮に耐えられないとして、これを緩めるよう主張して勝利しました。政権の運営方針が財政緊縮を放棄するなら、ギリシャはIMFECBから財政立て直しの支援を受けられなくなる可能性があります。緊縮財政が支援条件となっているからです。新政権は借入の削減を要求する方針を示していますが、簡単なことではありません。こう考えてユーロ圏不安定を予想するむきがユーロを売り、ユーロ安となりました。

上記のユーロ圏固有の要因に、原油安と新興国の経済不安が加わり、ユーロは年初の1.20台から2003年以来の1.11を割り込む水準まで下落しました。月末にかけては売りすぎを調整する買戻しが入り、結局1.12台後半で月を越しています。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

前月の予想材料は、現状の水準は十分な円安とみられ、多少の(対円米ドル)利食い売りの後は、異なる下記2通りの可能性がある。

Ÿ 円高へ ・・・アベノミクスからは、総需要が牽引する成長はおこらず、その結果、当面の円安分を吸収し終われば物量で測る輸入需要は減退し、国際収支からみた円安材料は剥げる。一方、従来のように成長戦略を輸出に訴えるなら、貿易赤字は縮小し、逆に円買いが進んで、結局110円前後に着地する。

Ÿ 円安へ ・・・消費増税先送りで、財政再建が遠のいたことから、これを補うための日銀による国債引き受けがさらに横行し、インフレ進行して円安。さらに財政破綻圏から円に対する通貨信用後退で、円での運用を嫌気した円売りも進む。

とういものでした。

これに原油安による新興国経済の縮小、テロとの戦いに伴うリスク増大による世界的な投資意欲の減退が加わります。この2つは、中期的には、①輸出伸び悩みから円安材料、②輸出頼みの日本経済にとって輸出伸び悩みは景気後退につながることからアセットアプローチの観点からも円安材料となるでしょう。

 

ユーロドル ・・・

1月の動きで説明した、3つの材料は、今後の予想においても重要なポイントとなりそうです。しかも、そのいずれもがユーロ安を占う材料です。

まず、イスラム過激派との闘争が長期にわたるなら、長期的にユーロでの資金運用を懸念する動きが広がって、中期「アセット・アプローチ」の理屈からユーロが売られるでしょう。

ECBによる量的緩和は、日本や米国にならった緩和策ですが、最近まで量的緩和を継続してきた米国がそろそろこれを卒業して金利を引き上げる姿勢を示していることで、欧州と米国の金融政策スタンスが眞逆の立場となり、その違いが鮮明となりました。

欧州では流動性が増して資金運用利回りが低下し、米国では逆に資金運用利回りが上昇するとの見通しが立ち、ここでも中期的な「アセット・アプローチ」の理屈から、ユーロ売り米ドル買いが進むと思われます。ドラギ総裁によれば、量的緩和は20169月まで続けるようですが、インフレ促進効果(2%程度)が見えるまでは止めないと言っていますからその影響は中長期に及ぶことになるでしょう。

3つ目のギリシャ選挙結果は、これまで進めてきたユーロ圏財政統合の動きにブレーキをかけることになります。数年前のユーロ財政危機を思い出してください。統一通貨を導入したユーロ圏は、通貨が共通していることによって金融政策の自由度を失っています。このため、経済政策としては財政政策だけの片肺飛行になり、財政に過剰負担がかかって破綻の危機に晒されるわけです。したがって、財政の統合はユーロ圏経済の安定化に欠かすことができません。緊縮財政は統合に進めるための手順の最初でした。それなのに、一人ギリシャがこれを断念するなら、それはギリシャ一国の問題にとどまらず、その他の南欧諸国にも波及してユーロ圏全体の崩壊につながるリスクがあります。

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 2. 石油価格下落に伴う資源国経済の先行き懸念リスク回避による円買い(短・中期)

 3. 米FRB金融政策:量的緩和縮小(2014/10)と金引上げ時期に関する発言や議事録開示内容。

 4. IMM投機筋の円売り越し積み上がり水準。高ければ、利食いの円買いが起こる可能性。

 5. 中国など新興国の経済指標への反応。指標悪ければ、リスク・オフ動き活発となって円高。

 6. 米経済主要指標(雇用統計、製造業・非製造業景況指数、小売売上など)が堅調ならリスク挑戦行動が活発化し、株価上昇とともに円から他通貨にポジションシフトして円安。

 

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. 日銀の緩和策実行による効果(通貨量、物価等)とアベノミクス3本目の矢の実現

 2. 欧州中銀(ECB)の量的緩和策(2015/32016/9)の進行度合い。

 3. 一連の欧州安定化策枠組み(国債買入プログラム合意2012.9.6、銀行監督一元化提言2012.9.6、ESM始動2012.10.8)の実施状況。懸念が生じればユーロ安。

 4. ギリシャ総選挙(2015.1.25)で急伸左派の勝利緊縮財政放棄で、ユーロを中心に通貨不安。

 5. 米FRB金融政策動向:量的緩和縮小(2014/10)と金引上げの実行状況。

 6. イスラム国、ウクライナ、イスラエル・ガザ地区など政治外交上の緊張状況リスク増は円高

 7. 石油価格下落に伴う資源国経済の先行き懸念資源国停滞に伴う本邦輸出減による円売り(中長期)

 

【長期的な材料(数年)】

 1. 貿易赤字の定着化で、実需の面から円売りが進む。

 2. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 3. 極端な金融緩和と政府・日銀の協力関係強化で、日銀の国債引受け体質が問題視されて利回り高騰し、財政が破綻。

 4. 欧州議会選挙(14.5/2225)の結果(EUに懐疑的な勢力が台頭)、ユーロ圏財政統合等安定化策の進捗が阻害されればユーロの信頼失墜。

 5. 原油安による新興国経済の縮小。本邦の輸出伸び悩み国際収支悪化に伴う円安。

 6. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 

以  上

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