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2015年4月

2015年4月 2日 (木)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2015年3月末現在)

【米ドル】

3月は122円達成後一旦緩みました。

前月(2月)は、米FOMCもイエレンFRB議長の会見も、近い将来の金利引上げを疑わせる内容であったことから、上値が重たいまま月末を越え、月初119円台後半で始まりました。しかし、その後は3/6に発表された米雇用統計を材料に再び122円を挑戦し、これを達成しました。

米雇用統計はどうだったかというと、非農業部門雇用者数は事前の市場予想を大きく上回って前月比295000人増えました。20万人越えは12ヶ月連続で、19953月以降で最長だそうです。また、失業率も前月の5.7%から5.5%へと低下しました。このことが米経済の好調を裏付けることとなり、好調なら量的緩和策の出口である金利引上げも早期に可能だろう。金利を引き上げるなら、アセット・アプローチから運用選好の動きが活発になって、米ドルを買う人が増えるだろうという予想回路に従ってドル円高値を更新したのです。結局、前月の早期金利引上げ断念感を払拭する結果にもなりました。

しかし、その後、中旬にはFOMC声明文の発表に続くイエレンFRB議長の記者会見で、ドル高が輸出伸び悩みの原因だとの発言あったり、政策金利の見通しが下方修正されたりしたことで、再び売られました。

下旬には、この動きに加えて、サウジアラビアによるイエメン空爆がリスク回避行動につながり、円買いが進んで、一時118円台前半をつけました。月末にかけては、再びイエメンFRB議長の発言が利上げ期待を高め、結局120円台前半で月を越えています。

 

【ユーロ】

3月はユーロ安が一段と進みました。

ユーロは昨年春の1.38付近をピークに、その後は一貫して下がり続けています。最近の動きでは、今年1月のギリシャ急進左派勝利を背景にした財政不安がそれをさらに進めた後、前月(2月)はふらふらしていました。その後、3月に入ってさらにユーロ安を促した材料は、ECBの金融政策スタンスと米雇用統計に関わるドル買いです。

1. ECBの金融政策スタンス

3月から開始する量的緩和策のプログラムは、以前に発表されて相場にも一定量織り込まれていましたから実際に開始されても(39日)相場への影響は限定的でした。

しかし、上旬のECB理事会後のドラギ総裁会見は、それに輪をかけるものでした。2016/9月以降も量的緩和を継続する可能性を示唆し、2017インフレ予想もECB目標を下回る見通しであるとしたのです。

2. 米雇用統計に関わるドル買い

米雇用統計は、米ドルの項目でも記載したように、事前予想を大きく上回る好結果となりました。そのため、早期米国金利引上げの期待が高まり、円に対してもユーロに対しても米ドルが買われました。

上記は、1.がユーロの金利を下げる圧力として、2.が米ドルの金利を引き上げる圧力として働き、結果として両者の金利差を拡大することになったのです。その後は、ユーロ圏の良好な経済指標発表が続いたこと、1.05台を割り込んだ達成感から、ショートカバーの動きがでたことなどから、一旦1.1台前半まで戻し、結局1.07台前半で月を越えました。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

過去の最安値は201110月の75.54ですから、随分とドル高円安が進んだものです。IMM投機筋の円売りポジションも、昨年暮れから120円近辺でふらふらしている間に相当量を消化したようですから、新たな材料が出てこない限り、短期的にはしばらくはこの水準で落ち着きそうです。

今注目されているのは、日銀が目標としていた、「2年で2%程度のインフレ」です。その期限が到来しているわけですが、消費増税分を除けば、2%インフレには程遠いのが現状で、これに対しては、さまざまな憶測が流れています。

もちろん日本経済にとって大事なのは単に物価が上昇するだけのインフレではなく、健全な成長であるわけですから、インフレが自己目的化してしまうようなことはあってはなりません。その切り口から、ここにきて2%に固執する必要はないのではないかとの意見やら、いや成長の起爆剤としてはまだ足りぬという意見まであり、今日の日経によれば実際にリフレ派も分かれている様子。

ということは市場も予想が定まっていないということ。次の日銀の政策決定会合で出される何かがあるとすれば、それがどのようなものであれインパクトは大きいのではないでしょうか。これに伴う米国との金融政策スタンスの差が中期における着目材料です。

長期~超長期の予想は変更ありません。

 

ユーロドル ・・・

短期では、ギリシャへの財政支援問題とECBによる量的金融緩和策への評価に注目したいところです。後者は、既に相場に織り込まれてはいるものの、3月のドラギ総裁記者会見での発言にも見られるように、ときとして織り込まれている材料を再評価したり、或いはひっくり返したりするようなことも起こります。ECBが量的緩和によって達成したいとする金融政策スタンスは、相手当局のスタンスと比べることで市場へのインパクトは増幅されますから、この場合米FRBの出方と一緒に見ていく必要があります。

この両材料は中期・長期においても、方向を決める重要なポイントとなるでしょう。ギリシャ問題は、単にギリシャだけの問題ではないからです。南欧諸国の財政問題は、ユーロ全体の安定を占うものであり、この問題を根本的に解決するために打ち出されている財政統合など一連の施策の行方がどうなるかにもかかってきます。

また、量的金融緩和策については、短期ではその運用スタンスに関わる声明や発言などが投機材料となるのに対し、中長期では実際の効果が相場動向を左右します。効果を発揮してデフレから脱却できるなら、ユーロ経済への評価から、相場は反転してユーロ高に向かいますが、デフレ脱却はすなわちインフレ、インフレ通貨は基本的には減価しますから、金利上昇を越えてインフレが進むなら、超長期にはユーロ安となります。

いずれにせよ、この2つの材料は目が離せません。

 

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 2. 米FRB金融政策:量的緩和縮小(2014/10)と金引上げ時期に関する発言や議事録開示内容。

 3. 米経済主要指標(雇用統計、製造業・非製造業景況指数、小売売上など)が堅調ならリスク挑戦行動が活発化し、株価上昇とともに円から他通貨にポジションシフトして円安。

 4. 中国など新興国の経済指標への反応。指標悪ければ、リスク・オフ動き活発となって円高。

 5. IMM投機筋の円売り越し積み上がり水準。高ければ、利食いの円買いが起こる可能性。

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. 日銀の緩和策実行による効果(通貨量、物価等)とアベノミクス3本目の矢の実現

 2. 欧州中銀(ECB)の量的緩和策(2015/32016/9)の進行度合い。

 3. 一連の欧州安定化策枠組み(国債買入プログラム合意2012.9.6、銀行監督一元化提言2012.9.6、ESM始動2012.10.8)の実施状況。懸念が生じればユーロ安。

 4. ギリシャ総選挙(2015.1.25)で急伸左派の勝利緊縮財政放棄で、ユーロを中心に通貨不安。

 5. 米FRB金融政策動向:量的緩和縮小(2014/10)と金引上げの実行状況。

 6. イスラム国、ウクライナ、イスラエル・ガザ地区など政治外交上の緊張状況リスク増は円高

 

【長期的な材料(数年)】

 1. 貿易赤字の定着化で、実需の面から円売りが進む。

 2. 中国など新興国の景気動向。改善・成長本邦輸出促進貿易収支改善円高。

 3. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 4. 極端な金融緩和と政府・日銀の協力関係強化で、日銀の国債引受け体質が問題視されて利回り高騰し、財政が破綻。

 5. 欧州議会選挙(14.5/2225)の結果(EUに懐疑的な勢力が台頭)、ユーロ圏財政統合等安定化策の進捗が阻害されればユーロの信頼失墜。

 6. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 

 

以  上

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