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2015年10月

2015年10月 1日 (木)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2015年9月末現在)

 

【米ドル】

 

9月は、ボックス相場でした。

 

ボックス相場といのは、上限と下限の間を行ったり来たりする動きの相場です。上限は121円前後、下限は119円前半です。これを4回ほど繰り返しました。円安ドル高に振れた要因と、逆に円高ドル安に振れた原因をまとめると以下のようになります。

 

円安ドル高

 

Ÿ まず月初は前月のFRB関係者のタカ派発言を受けて121円台前半で開始

 

Ÿ 上旬の終頃、日経平均株価や上海株の上昇によりリスク挑戦機運から円売り

 

Ÿ 続く10日には、「物価目標必達」や「追加緩和必要」を示唆する一部政治家の発言が円売り材料

 

Ÿ 下旬には、イエレンFRB議長の「年内利上げの公算が高い」発言がドル買い材料

 

円高ドル安

 

Ÿ 月初121円台で始まった後の、弱い中国経済指標と日経平均株価下落で円買い

 

Ÿ 4日の米雇用統計結果を受けて、利上げ材料不十分の判断がドル売り材料(一時118円台半ば)

 

Ÿ 月央の日銀政策決定会合で政策維持、緩和期待が裏切られて円買い材料

 

Ÿ 注目された米FOMCは金利据え置きで、利上げ期待裏切られてドル売り

 

Ÿ 月末にかけて日経平均株価下落が円買い材料

 

材料で一番注目されたのは、米FOMCでした。中国経済リスクに配慮して利上げを見送った形です。以上をまとめると、米の利上げと中国経済リスクの2点に絞ることができます。

 

 

 

【ユーロ】

 

9月は方向感ありませんでした。

 

今年春に、ここ数年の底値1.06の水準を脱して浮上しかけたのですが、1.121.14の範囲を抜けることができない。上に抜けるには力弱く、かと言って下へはなかなか底堅いといった状況です。

 

注目された材料は以下の2つでした。

 

Ÿ ECB理事会(月初):内容には従来施策の大きな変更はなかったものの、現在行っている量的緩和措置を暫く継続するとのニュアンスから、ユーロ売り材料

 

Ÿ FOMC(月央):利上げに踏み切らなかったためドルが売られ、反対のユーロが対ドルで買い材料

 

ユーロ経済動向としては、前半に発表された、GDPや鉱工業生産は市場予想を上回ってユーロ買い材料となりましたが、下旬に発表された、数種類の物価指数がマイナスとなったため、追加緩和が予想されて、売り材料となりました。

 

振り返ると、月初1.12の後半で始まったユーロは、月央に1.14半ばまで買われたものの、再び弱含んで、1.11代後半で月を越えるという定まらない動きでした。

 

 

 

【今後の短期~長期予想】

 

ドル円 ・・・

 

FRBが金利を引き上げるまでは、利上げ期待が続き、このおかげで円安ドル高材料を当面の間持ち続けることになりそうです。

 

これに水を指すのが中国経済リスクとそれにともなう新興国群の景気後退です。

 

ただし、これが相場に与える影響としては2通りあります。一つは、リスク回避ムードが高まって回避先の円に資金が向かう、つまり円高方向。他の一つは、新興国群からの資本逃避が始まって、いやもう始まっているのかもしれませんが、ドルが買われる方向。

 

最近、円のリスク回避先としての位置付けは多少弱まっていることを考慮すると、おdちらに転んでも円安ドル高の方向ではないでしょうか。

 

ただ、米利上げは中期的な材料、リスク回避や挑戦は短期~中期の材料、新興国からの資本逃避は中期的な材料ですから、長期的には別の力が働きます。

 

 

 

ユーロドル ・・・

 

9月下旬に発表された物価指数がマイナスになったことから、量的緩和の継続実施、追加緩和などを予想する人が多く、実際に先月のECB理事会でも、量的緩和は来年9月を超えてさらに継続するようなニュアンスで伝えられました。

 

ユーロの金融政策スタンスと米FRBの金融政策スタンスの違いはさらに明確になっており、この点ではユーロ売り材料が先行するように見えます。

 

しかし、ユーロ圏経済のファンダメンタルズはそれほど弱いものではなく、失業率は徐々にではありますが、月を追って着実に下がっているほか、国際収支は一貫して黒字幅の拡大を続け、GDPや鉱工業生産も堅調です。

 

また、最近では行き過ぎたユーロのショートポジションを巻き戻す動きも見られ、リスク回避先通貨としても見直されていることなどを考慮すると、米欧金融政策スタンスの違いによるユーロ売り圧力に対して、中期的には一定の底支え効果も見せるのではないかと思います。

 

 

 

 

 

 

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 

 1. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 

 2. 米FRB金融政策:量的緩和縮小明言(2014/10)後の金利引上げ時期に関する発言や議事録開示内容。

 

 3. 中国の経済減速、株価動向→心理的な不安がリスク回避行動となり、円買いに流れる。

 

 4. 新興国の株価動向や主要経済指標。悪ければ、リスク回避の動きが強まって、円高。

 

 5. 米経済主要指標(雇用統計、製造業・非製造業景況指数、小売売上など)が堅調ならリスク挑戦行動が活発化し、株価上昇とともに円から他通貨にポジションシフトして円安。

 

 

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 

 1. 日銀の緩和策実行による効果(通貨量、物価等)とアベノミクス3本目の矢の実現

 

 2. 米FRB金融政策動向:量的緩和縮小明言(2014/10)と金利引上げの効果など(2016年春以降)。

 

 3. 欧州中銀(ECB)の量的緩和策(2015/32016/9)の進行度合い。独など主要国債の利回り、物価景気動向、貿易収支の変化。

 

 4. 一連の欧州安定化策枠組み(国債買入プログラム合意2012.9.6、銀行監督一元化提言2012.9.6、ESM始動2012.10.8)の実施状況。懸念が生じればユーロ安。

 

 5. 中国など新興国の景気動向。減速リスク回避の円買い。改善リスク挑戦円安。

 

 

 

【長期的な材料(数年)】

 

 1. 円安による輸出促進効果で貿易収支の改善、経常黒字拡大が再び円高を誘う。

 

 2. 中国など新興国の景気動向。改善・成長本邦輸出促進貿易収支改善円高

 

 3. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 

 4. 極端な金融緩和と政府・日銀の協力関係強化で、日銀の国債引受け体質が問題視されて利回り高騰し、財政が破綻。

 

 5. 欧州議会選挙(14.5/2225)の結果(EUに懐疑的な勢力が台頭)、ユーロ圏財政統合等安定化策の進捗が阻害されればユーロの信頼失墜。

 

 6. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 

 

 

以  上

 

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