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2015年12月

2015年12月 3日 (木)

著書

「為替リスク管1017385_664978446861465_211214523_211012623_1064994526859853_684864107理の教科書」中央経済社(2015.02.20)

~為替相場の変動に振り回されず本業に専念するための考え方と対応法

「事業再生の現場プロセス」中央経済社 (共著)(2013.06.15)

~知的資産経営の活かした、事業再生の手法と事例集

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2015年12月 1日 (火)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2015年11月末現在)

【米ドル】

11月は、1段円安になった後は動きませんでした。

前月(10月)に118円台まで売られたドルが後半に中国の金融緩和措置を受けて戻り局面に入った動きを受け、11月は120台で始まりました。この動きはさらに勢いがつきます。6日に発表された米雇用統計で、非農業部門雇用者数が市場の予想を大きく上回ったことがさらに1段押し上げる展開を促したのです。

しかし、1段といっても、せいぜい124円の手前まで。その後は月末まで一進一退の動きが続きました。注目されたのは、やはり米金融当局の政策スタンスに関わる発表や発言、日銀の政策決定会合の結果などです。

一昔前は、その国の経済の強さが通貨の強さも左右する感覚がありましたので、GDP伸び率や貿易統計などが注目されました。つまり安心して価値保蔵ができる通貨が大事だったのです。

しかし、ここ数年は金利の上げ下げを決める要因となる金融政策スタンスに注目が集まっているようです。そのため、当局が金融政策スタンスを決める材料として雇用を気にしているという発言があると、雇用統計に注目が集まるというわけです。大事なのは、高金利という果実をもたらしてくれる通貨ということでしょうか。

それでも「安心」が失せたわけではありません。

1段円安になった相場が124円前どまりとなったのも、安心に目が向いた場面があったからです。パリの同時テロ、トルコとロシアのロシア機撃墜を巡る争いがその材料となりました。リスク非難先としての円の存在感はまだあるようです。

そのため、124を越えて今年つけた円最安値125円台半ばを再び試す勢いはなく、結局123円台前半で月を越えることとなりました。

 

【ユーロ】

11月は、全後半に続いて、一段と売られました。

前月(10月)は、中国経済減速を気にして米FRBが利上げしにくくなった状況の中で、ユーロが買われる場面がありましたが、月末にかけては逆に、ドラギECB総裁が追加緩和を示唆する発言をしたために、売り圧力に変わりました。

そして、その圧力は11月も月初から月末まで一貫して続いたのです。

その材料を順番に並べると以下のようになります。

Ÿ 月初に発表された、ユーロ圏PMIPurchasing Managers' Index購買担当者指数)が予想を下回り、ドラギ総裁も緩和を期待させるニュアンスの発言をした。

Ÿ 6日に発表された米雇用統計が好結果だったので、米FRBが利上げしやすくなった。→ユーロとの金利差拡大。

Ÿ 13日、パリ同時テロの発生で、ユーロへの不安が起こった。

Ÿ FOMC議事録が年内利上げ実施を示唆する内容だったこと。

Ÿ ECBが次回理事会に向け中銀預金金利や資産買い入れ対象拡大を検討していることが明らかになったこと。

結局、1.05台半ばで月を越えました。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

短期的には、しばらくドル買い圧力が強いが、中長期的は円高傾向に転ずると見ます。

ドル買い圧力の根拠は、米FRBと日銀の金融政策スタンスの違いが際立ったまま推移するとの予測に基づいています。両者スタンスの違いは、米は利上げで日銀は緩和と明確ですが、そのタイミングを測るのは簡単ではありません。

始めはどうやら12月ということのようです。じゃあこの材料は市場からいつ剥げ落ちるかということです。中国はじめ新興国経済動向以外では、下記に注目です。

Ÿ 利上げ後の米経済指標、特に雇用統計が強ければ、数段の利上げ構えになるのでドル高円安進行。

Ÿ ただ、投機筋の円ロングポジションは相当に積み上がっていますので、主要経済指標に見るべき変化がなければ、数ヶ月のうちにポジション調整の円買いがで出る。

Ÿ 日銀のスタンスは、緩和期待が後退するのを牽制する発言があるものの、追加緩和の余地は少ないことから、これも徐々に剥げてくる。

 

ユーロドル ・・・

ドル円と同様、米FRBが実際に利上げに踏み切り、段階的に継続するかどうかが見極められるまでは売り圧力にさらされるものと思います。

その後は、ユーロ圏のファンダメンタルズによるところが大きいと思いますが、経済運営どころではないというのが、どうやら今の欧州の状況のようです。相場への影響としては、「風が吹けば桶屋が儲かる」的な着想への批判を甘んじて受ける覚悟で言うなら、以下のようになるでしょう。

つまり、テロへの不安から、ユーロ経済が停滞するリスクがあります。停滞すれば短期的には資産選好アプローチの切り口から、ユーロ安。ユーロを嫌気してユーロ建てで保有している金融資産を売って他の通貨に切り替える動きです。逆に、長期ではユーロ高の可能性もあります。停滞すると需要が減退して輸入減少し、経常収支黒字が蓄積される可能性があり、実需の切り口からユーロ高となるというものです。

ただし、これはあくまで材料の一つに過ぎません。書いていて恥ずかしくなりました。

今日の日経朝刊には、ECBの追加緩和余地がなくなっていることを指摘していましたが、これも金利選好という相場変動理論の一つの切り口を説明しているに過ぎません。

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. 米FRB金融政策:量的緩和縮小明言(2014/10)後の金利引上げ時期に関する発言や議事録開示内容。

 2. FRB利上げ後の、米経済指標の動き。強ければ段階的利上げ継続からドル高。

 3. 中国の経済減速、株価動向心理的な不安がリスク回避行動となり、円買いに流れる。

 4. 新興国の株価動向や主要経済指標。悪ければ、リスク回避の動きが強まって、円高。

 5. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. 米FRB金融政策動向:量的緩和縮小明言(2014/10)と金利引上げの効果など(2016年春以降)。

 2. FRB利上げ後の、米経済指標の動き。強ければ段階的利上げ継続からドル高。

 3. 中国など新興国の景気動向。減速リスク回避の円買い。改善リスク挑戦円安。

 4. テロへの不安から、経済活動が停滞するリスク。停滞すれば短期的には資産選好アプローチの切り口からはユーロ安(短期)、実需の切り口からはユーロ高(長期)。

 5. 欧州中銀(ECB)の量的緩和策(2015/32016/9)の進行度合い。独など主要国債の利回り、物価景気動向、貿易収支の変化。

 6. 一連の欧州安定化策枠組み(国債買入プログラム合意2012.9.6、銀行監督一元化提言2012.9.6、ESM始動2012.10.8)の実施状況。懸念が生じればユーロ安。

 

【長期的な材料(数年)】

 1. 円安による輸出促進効果で貿易収支の改善、経常黒字拡大が再び円高を誘う。

 2. 中国など新興国の景気動向。改善・成長本邦輸出促進貿易収支改善円高

 3. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 4. 極端な金融緩和と政府・日銀の協力関係強化で、日銀の国債引受け体質が問題視されて利回り高騰し、財政が破綻。

 5. 欧州議会選挙(14.5/2225)の結果(EUに懐疑的な勢力が台頭)、ユーロ圏財政統合等安定化策の進捗が阻害されればユーロの信頼失墜。

 6. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 

以  上

 

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