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2016年1月 5日 (火)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2015年12月末現在)

【米ドル】

12月のドル円相場は下がりました。

RRBの利上げはほぼ確定したため、材料としては色あせ始めています。

月初は、前月の米利上げムードに沸いた相場を引き継いで123円台で始まりました。ドル高を牽制したような米FRBイエレン議長の発言があって緩む場面もありましたが、4日の米雇用統計の好結果に再び123円台に乗せるなど、125円への挑戦は難しいながらも相応の高値を維持したのです。

しかし、その後は原油価格にからむ材料がリスク回避機運を高めました。上旬に開催されたOPEC総会の足並み乱れから原油価格続落し、14日にはWTI原油先物価格が1バレル35ドルを割ると、エネルギー関連株が下落し、経済への悪影響を懸念する市場がリスク回避に流れ、回避先の円が買われたのです。その結果、ドル円は120円丁度の水準まで下がりました。

なお、15日の米FOMC10年ぶりの利上げを全会一致で決定して、一時122円台半ばまで戻す場面がありましたが、これは予想通りなのでインパクト小さく、また日銀政策決定会合が決めた金融緩和補完措置も相場への影響も限定的でした。

結局、年末にかけて120円台前半~半ばで小幅推移して年を越しました。

 

【ユーロ】

12月は少し回復しました。

Ÿ 前月(11月)のユーロはここ数年の安値(1.05半ば)まで下落していました。理由は、下記の2点です。米FRBの年内利上げほぼ確実となったこと。

Ÿ 逆にECBは緩和措置としての資産買い入れ範囲拡大検討を予想させたこと。

これを受けて、12月は1.05台後半で始まりましたが、その後は買われて1.10台半ばまで回復しました。その理由も上記2点にからむものです。

Ÿ 米利上げは年内実現が決まったため、変動材料としては注目が離れたこと。

Ÿ ECBが検討していた資産買い入れ範囲変更はたいしたものではなかったこと。

1.00を目指して売ってきたが、これによって息切れし、すこし回復したと言えます。

原油価格続落もユーロ買い材料になりました。この辺りは判断が難しいところです。円はリスク回避先として広く認知されていますが、ユーロについては2面併せもっています。

もともとユーロ圏内諸国はリスク回避のため新興国から資金を引き揚げるなら自国通貨(ユーロ)を買い戻すことになります。また、新興国からリスク回避の為に引上げた資金は流動性の高いユーロで保蔵することもあるでしょう。しかし一方で、ユーロ圏財務危機から引きずっている価値保蔵通貨としてのユーロはまだ信頼を失ったままです。

この2面性において、12月はユーロを信頼する方向に働いたと言えるでしょう。結局年末にかけては1.08台半ばで年を越しました。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

米利上げが年内に実施されるとの材料で沸いた11月の相場は、12月に材料の色があせ、120円台前半で年を越しました。しかし米金融当局の金融政策スタンスについては引き続き高い優先順位で見守っていく必要があります。

FRBは数回に分けて政策方針を実現させていくため、今後の利上げがどのようなペースでどんな水準まで引き上げられるのかによって、日銀との金融政策スタンスとの違いが際立つ場面もあり、その場合は米利上げが引き続きドル高円安の材料になるわけです。

そこで日本の政策スタンスに目を向けてみましょう。

日本の金融緩和は専らデフレ脱却がその目的として捉えられていますが、最終的なゴールは需要が牽引していく経済成長にあります。

アベノミクスの新3本の矢が進むなら、流動性供給によるデフレ脱却は卒業し、インフレの適度な制御が必要となるほか、需要が牽引する経済は金利の上昇につながりますので、日米金融政策スタンスの格差は次第に埋められるということになるでしょう。

中長期的には、日米政策格差(米金利引上げ)を材料とした円安は終り、むしろ中東の宗派間争いにはじまる政治的要因からくるリスク回避の動きから円高が予想されます。

他にも言い続けてきた円高材料がありますが、先月までの記事を参照してください。

ユーロドル ・・・

資産買い入れ範囲を拡大するなど、ECBの金融政策スタンスは緩和継続で変わっていない一方で、米は今後何回かに分けて金利を引き上げていくでしょうから、政策スタンスの格差はいまだ歴然としています。

ただし、ユーロの緩和手段は次第にその余地が狭くなっており、金利もすでにマイナスですから、相場に影響を与えるのはECBの追加緩和策より米FRBの利上げペースでしょう。この点で、注目すべきはやはり米FRBのスタンスを決定づける米経済指標です。

一方、ユーロ圏のファンダメンタルズは、貿易や雇用状況など一時の財政危機から次第に回復してきてはいるものの、中国経済失速はじめ新興国経済の影響を受けるほか、テロへの不安や難民問題などから、不透明感が強いままです。

ユーロに関しては、経済的な要因よりも政治的な材料の方が今後当面の相場を動かしているように見えます。テロへの警戒や右派の台頭、年明けに拡大した中東諸国の混乱などです。リスク回避の動きがユーロ買いに出るか売りに出るかは、先にみた2面性からいちがいに定めが付きません。

以上から、個々の材料は判断難しいものの、やはり当面はユーロが売られやすい局面であると見ます。ただし、IMM投機筋のポジションは、昨年夏頃に相当圧縮された売り持ち高が現在では再び大きく膨らんでおり、何かをきっかけに巻き戻しに転じるリスクは高まっていることにも注意が必要です。

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. FRBの段階的・継続的利上げペースを占う、米経済主要指標。好調なら、ペース早くドル高。

 2. 中国はじめ新興国の経済失速、株価動向心理的な不安がリスク回避行動となり、円買いに流れる。

 3. 石油価格下落に伴う資源国経済の先行き懸念リスク回避による円買い(短・中期)

 4. 中東諸国、サウジ・イラン断交に始まる、サウジはじめスンニ派諸国とシーア派イランとの対立激化

 5. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. FRBの段階的・継続的利上げペースを占う、米経済主要指標。好調なら、ペース早くドル高。

 2. 中国はじめ新興国の経済失速、株価動向心理的な不安がリスク回避行動となり、円買いに流れる。

 3. シリア、中東諸国の混乱状況。リスク回避機運高まれば、米ドル売られる。

 4. 欧州中銀(ECB)の量的緩和策(2015/32016/9)の進行度合い(2017/3まで延期を決定(20151203ECB理事会))。独など主要国債の利回り、物価景気動向、貿易収支の変化。

 

【長期的な材料(数年)】

 1. 中国など新興国の景気動向。改善・成長本邦輸出促進貿易収支改善円高(短期的な影響と異なる)。

 2. 円安による輸出促進効果で貿易収支の改善、経常黒字拡大が再び円高を誘う。

 3. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 4. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻超インフレ(円安)。

 5. 欧州議会選挙(14.5/2225)の結果(EUに懐疑的な勢力が台頭)、ユーロ圏財政統合等安定化策の進捗が阻害されればユーロの信頼失墜。

 6. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 

 

以  上

 

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