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2016年2月 1日 (月)

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2016年1月末現在)

【米ドル】

1月のドル円相場は月末に急上昇しました。

急上昇した理由の前に、月初からの動きをふりかえります。

年初は中国株下落で始まりました。中国株は昨年夏にも大きく下げて市場がうろたえたことはまだ記憶に新しいところです。このとき、当局はなりふりかまわず買い支えに入って大事に至る前に市場が落ち着きを取り戻しました。しかし僕は、その時に吐き出しきれずに残ったポジションが、今回吐き出されたとの印象を持っています。

当局は今回もなりふりかまわず、導入したてのサーキットブレーカーの運用を停止するとの挙に出ましたが、前回より市場へのインパクトは大きく、為替にも影響したようです。

影響の仕方は、中国経済はじめ新興国経済の後退を心配した、リスクオフの動きを通じたものです。投資通貨米ドルから一旦円に逃避しておこうという動きとなりました。

この動きは原油価格下落によっても加速されました。16日にはNY原油先物価格が12年ぶりくらいにバレル当たり30ドルを割ったのです。これにより、産油国がダメージを受け、いままで世界中に投資マネーとして出回っていたオイルマネーが引き揚げられることへの懸念から、やはりリスクオフの動きとなりました。

この間、月初の米雇用統計が良好な結果で発表され、一時的に戻す場面もありましたが、力強さはありません。暮に120円台前半で年越した相場は一時116円を切るほどに大きく下落したのです。

ところが、冒頭に記載したとおり、月末に急上昇したした。

1月29日、日銀の政策決定会合で、何を血迷ったか、マイナス金利導入を決定したのです。日銀の「びっくりポン」はこれで二回目です。日銀の貸借対照表が膨らみ、資産買い入れによる緩和もそろそろ限界に近付いているのではとの思惑もあって、緩和策尽きた後にくる円高を予想する向きもありましたが、日銀としてはそのような予想者に義理立てする必要は毛頭ありません。いきなり121.70水準まで円安ドル高が進み、121円台のまま月末を越えました。

 

【ユーロ】

1月はあまり面白くありませんでした。

ちょっと不謹慎ですが、乱高下すれば儲けの機会も増えて活気づく為替ディーラーにとっては面白くない、つまり動意が少ない一月でした。

そんな中でも、為替を動かしそうな材料ごとに、月初から見ていきますと、中銀のスタンスを反映したり、円の影響を受けたりしながら推移してきたことがわかります。

月初は暮の水準を引き継いで、1.09台の半ばで始まりました。その後、対米ドル円高に連れて、ユーロ円も売られ、5日にユーロ圏CPIが市場予測を下回る結果で発表されると、追加緩和措置への期待が高まって、1.07の後半まで弱含みました。その後に発表されたユーロ圏鉱工業生産統計もぱっとせず、1.08近辺の水準での推移が続きました。

中旬には、米国の弱い経済指標を受けて、金利が低下したのを背景に、一旦1.09台後半まで戻す場面もありましたが、ECBの追加緩和期待や独国債の利回り低下などあって、結局、1.08台前半で月を越しました。

 

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

1月は、中国株下落から始まる、リスクオフの動きに、一旦は大きく円高ドル安に触れましたが、月末に日銀の緩和策が打ち出されて、ほぼ元の水準まで戻ってきました。結局行って来いの展開となった1月はいったい何だったんでしょう。しかし、だからといて1月を省いて考えることはできません。中国株と原油価格に顕れる背景には、中国経済の原則と新興国をはじめとする世界経済への心配があります。この点も含めて、少し材料を整理してみると、

Ÿ 経済停滞への懸念からリスク回避する動きが広がる可能性→円高(中国等の株価動向や原油価格で見る)

Ÿ 米FRBの金利引上げが連続して、日銀の緩和がさらに進む可能性→円安(米FOMCや日銀政策決定会合結果を見守る)

上記一つ目の、リスク回避の動きが円高につながるというのは短期的な見方です。

中長期的には、海外経済が停滞すると、輸出に依存する日本経済はいくら金融緩和して輸出促進を発揮させるとしても、海外需要がなければ輸出は伸びませんので、貿易黒字の蓄積にはならず、円高要因は徐々に薄らいでいくと見ます。

但し、日本の国際収支はいまや貿易に頼らなくても、所得収支が寄与する体質になっています。そうすると、経常収支の黒字が定着し、さらに長期では円高とも言えます。

後者の日米の金融政策スタンスについても、米金利が上昇して日本でマイナス金利を導入するならドル高円安が進みますが、これは金利を選好して動く短期の見方です。

いくら市中に流動性を供給しても、貨幣流通速度が遅いままではいつまでたってもインフレにはなりません。貨幣流通速度は経済が活性化するかで見ます。だめなら長期では円高です。

 

ユーロドル ・・・

下図は、ユーロが導入された1999年から先月までのユーロドル相場の推移です。日銀の時系列統計から東京市場のユーロドル午前9時の中心相場を週平均でプロットしてみました。

160201

 

リーマンショック前にピークを付けた後、ギリシャや南欧諸国の財政危機で3回ほど落ち込み、2015年にはそれらの落ち込みを下回る低い水準をうろついており、長いスパンで見ても最近の水準は随分と低いレベルにあることがわかります。

これは、ECBの金融政策スタンスが一貫して緩和方向にあるためですが、これを金利選好の視点でみるか、それともインフレ実現性の視点でみるかで予想は異なります。金利選好でみるなら、緩和が続く限りユーロが売られますが、ユーロ経済が回復してくるなら緩和政策は終わって金利が上がるからユーロは反転すると見ます。実際にユーロ圏実体経済は貿易を中心に相当回復してきています。現状ですでに十分低い水準にあるほか、IMM投機ポジションもショートを貯め込んでいますから、反転可能性は高いと見ることができます。

しかし、インフレの視点でみるなら、実体経済が回復して貨幣流通速度が高くなってくると金利も高くなるかもしれないけど、インフレが進行します。インフレは長期では自国通貨安を導きますから、さらにユーロ安という予測が成り立つわけです。

ただし、いずれの場合も為替は相対的価値ですから米ドルの対比で決まることを忘れてはいけません。

 

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

 1. FRBの段階的・継続的利上げペースを占う、米経済主要指標。好調なら、ペース早くドル高。

 2. 中国はじめ新興国の経済失速、株価動向心理的な不安がリスク回避行動となり、円買いに流れる。

 3. 石油価格下落に伴う資源国経済の先行き懸念リスク回避による円買い(短・中期)

 4. 中東諸国、サウジ・イラン断交に始まる、サウジはじめスンニ派諸国とシーア派イランとの対立激化

 5. 日銀金融政策の変化(政策決定会合の議論内容や発表内容)米国の金融政策スタンスとの比較。

 

【中期的な材料(数ヶ月)】

 1. FRBの段階的・継続的利上げペースを占う、米経済主要指標。好調なら、ペース早くドル高。

 2. 中国はじめ新興国の経済失速、株価動向心理的な不安がリスク回避行動となり、円買いに流れる。

 3. シリア、中東諸国の混乱状況。リスク回避機運高まれば、米ドル売られる。

 4. 欧州中銀(ECB)の量的緩和策(2015/32016/9)の進行度合い(2017/3まで延期を決定(20151203ECB理事会))。独など主要国債の利回り、物価景気動向、貿易収支の変化。

 

【長期的な材料(数年)】

 1. 中国など新興国の景気動向。改善・成長本邦輸出促進貿易収支改善円高(短期的な影響と異なる)。

 2. 円安による輸出促進効果で貿易収支の改善、経常黒字拡大が再び円高を誘う。

 3. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

 4. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下財政破綻超インフレ(円安)。

 5. 欧州議会選挙(14.5/2225)の結果(EUに懐疑的な勢力が台頭)、ユーロ圏財政統合等安定化策の進捗が阻害されればユーロの信頼失墜。

 6. 南海トラフ地震による大災害。対外資産取り崩して資金の国内還流が起これば円高騰。

 

 

以  上

 

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